2010年10月10日

相棒 Season4 第14話

2006年1月25日(水)
第14話 「アゲハ蝶」

 野口史明(渡辺憲吉)の部屋。テーブルには蝶の標本と札束が置かれている。「お断りですよ」。テーブルをはさんで対峙する相手を、帰そうとする野口。その時…!

 翌日、野口は自室で刺殺体となって発見される。そこへ、熱心な蝶コレクターの染井繁(飯田基祐)が、警察の制止を振り切り飛び込んでくる。「蝶を取り返してください!」。染井は、野口が持っていた世界に2体しかない新種の蝶『ミヤモトアゲハ』の標本のことを言っているのだ。確かに、前日、札束と一緒に置かれていたその標本は、室内から姿を消していた。ミヤモトアゲハの相場は300万円。もし、標本目当ての殺人だとすると、もう1体の持ち主も危ない。杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)はさっそく、保管場所の城南大学へミヤモトアゲハの第一発見者、宮本洋一郎教授(並樹史朗)を訪ねる。

 標本は無事。だが、助手の小西美紗緒(板谷由夏)は、宮本教授の悠長な態度が心配でならない。するとそこへ、あの染井が300万円を持って訪ねてくる。ミヤモトアゲハを売ってくれというのだ。教授にその気はまったくないのだが、染井は連日のように現れるという。「あきらめませんよ…いつか必ず…」と、ぶつぶつ言いながら去って行く染井。

 野口宅から盗まれた標本は、かつてオークションにかけられていた。300万円で落札したのが野口。競り負けた相手は染井だ。その後、染井はどうにか金を工面し、幾度となく野口の家を訪れたという。しかし、野口が標本を売ることはなかった。その無念さが、染井を動かしていた。「蝶を手に入れるためなら、どんなこともする…」。

 その夜、城南大学に再び染井が現れる。美紗緒を捕まえて標本を売ってくれと迫る染井。札束はさらに増え500万円。実家の掛け軸を売ったという染井の狂気に、美紗緒は恐怖を感じ、逃げるように大学を後にするのだった。

 あくる日、大学の研究室で宮本教授の他殺体が発見される。標本も見当たらない。当然、染井は重要参考人として聴取を受けるのだが、「天罰ですよ」と笑うばかり。「あの蝶を自分のものにする資格があるのは、この世でただ一人、僕だけなんだ…」。

 教授も野口も、「あの蝶を心から愛してはいなかった」と言う染井。確かに、野口は染井のような蝶愛好家ではない。しかし自宅には、染井が持っていたのと同様の、ミヤモトアゲハの採取・目撃地点が詳細に記された地図があった。その分布状況を見て、右京はある確信を得る。ミヤモトアゲハの羽化地は、採取された地点よりずっと北にあり、季節風に乗って和歌山まで飛ばされてきたのだと。風上には、5年前に地元住民の反対を押し切って操業を開始したものの、1年で閉鎖となったある企業の工場があった。野口は、そこの元社員。また、宮本教授が代表を勤めていた蝶協会のメイン・スポンサーでもある。工場と今回の事件に、何か関係があるとしたら? 右京は、ミヤモトアゲハが工場の自然破壊による“異常固体”なのではと推理を広げ…。


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相棒 Season4 第13話

2006年1月18日(水)
第13話 「最後の着信」

 夜の公園。バス停にやってきた亀山薫(寺脇康文)がタバコを取り出す。しかし中身はカラ。舌打ちする薫の前に、タバコが紙ケースごと差し出される。「ちょうど止めよう思てたとこや」。酩酊状態の男は、薫にタバコをケースごと手渡すと、千鳥足でその場を立ち去って行った。

 男は脇幸太郎(桐谷健太)。数日後、公園内で死体となって発見される。所持品は白、赤、黒の携帯電話3台。そのうち白は、脇の手に握られた状態で見つかっていた。死亡推定時刻と着信履歴を照合すると、脇は死ぬ間際まで、白の携帯電話で話していたことになる。その相手を着信番号からたどるも、国際電話への転送システムを使用していたため特定には至らなかった。

 「以前、同じ手口を使った銃の売人がいましたねぇ」。杉下右京(水谷豊)の推理が動き出す。白の携帯電話には名前登録の無い番号が2件、黒には苗字や名前だけの個人名が50件ほど、そして赤には銀行や飲食店などプライベート用と思われる登録が30件ほど入っていた。白が仕入先、そして黒が顧客か? その数からいって、脇は麻薬の売人だったのかもしれない。

 右京の推測通り、脇の覚せい剤がらみの前科が判明。死因は転落による打撲だったが、前科を考慮し、事故と事件の両面から捜査が行われる。

 薬物対策課の角田六郎課長(山西惇)は、課の情報屋、通称“エス”を総動員して、犯人の検挙にあたる。あわよくば、捜査一課を出し抜いて、殺人での立件もしてしまおうという意気込みだ。

 3年前、脇は覚せい剤を入手したと自ら出頭。自首による逮捕だったため、執行猶予がつけられた。逮捕した菱沼貞夫刑事(中西良太)によれば、入手ルートは不明のまま。ゆきずりで買ったということだった。

 その後、角田のエス作戦は功を奏し、鷲頭という麻薬の仲買人が連行される。脇とのつながりはすぐに判明。角田は殺人での自白も迫るが…。

 脇は死んだ日の昼過ぎに、白坂由美(黒坂真美)という女性と会っていた。映画を見、食事をして別れた後、脇は自分の縄張りであった公園に向かっている。さらに行きつけのスナックに寄った後、再び公園に戻り命を落としたらしい。脇の足取りを順番にたどる右京と薫。するとその日、高校の同窓という由美との食事中、脇は携帯電話の使用をめぐって、店と揉め事を起こしていたことが分かる。店員の証言によれば、携帯電話の色は白。また、脇行きつけのスナックでは、相当酔いながらも上機嫌で、結婚して故郷に帰るかもしれないと漏らしていたという。相手は由美なのだろうか?

 その後の調べで、脇は警察の情報屋だったことが判明。3年前の逮捕以来、警察内につながっている人物がいるらしい。国際電話への転送システムを利用したのも、事情に詳しい警察官の知恵だとすると…。右京と薫は、すぐさま菱沼刑事の顔を思い浮かべる。だが、同業者をつついたところで、真相が判明するとは思えない。そこで2人は大河内春樹(神保悟志)監察官のもとに向かった。

 案の定、菱沼刑事は去年、脇がらみの事件を送検せず、監察官の取調べを受けていた。3年前の逮捕に関しても、調書が書き換えられた疑惑があるという。しかし、菱沼刑事は優秀な麻薬捜査のエキスパートとして、とがめを受けることは無かった。

 脇を使って手柄を上げ続け、監察官の調べをもくぐり抜ける菱沼刑事。もし、自分のやり方を知り尽くしている脇が、結婚を機に引退を考えていると、菱沼刑事が知ったとしたら…?


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相棒 Season4 第12話

2006年1月11日(水)
第12話 「緑の殺意」

 大型商業施設の最上階。開店を直前に控えたオーガニックレストランで、オーナーの川端敏臣(菊池隆則)にシェフの久保寺太一(小林隆)が詰め寄っている。業務契約が、久保寺に圧倒的不利な内容で締結されたからだ。しかし川端は、今辞めるなら違約金を要求すると、逆に久保寺を追い詰める。返す言葉もない久保寺。

 オープニングイベント当日。川端と久保寺は不和を押し隠し、自慢の有機野菜でゲストを迎える。場慣れした振る舞いで、自ら野菜を食べて会場を和ませる川端。ゲストの中には、宮部たまき(高樹沙耶)に誘われた杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)がいる。また、肉食の薫をも魅了した野菜の生産者、野崎春菜(七瀬なつみ)の姿も。「すばらしい野菜です」と、声をかける右京。その時、薫が突然、驚きの声で「春菜!」と呼び捨てにする。実は、美人ファーマーとして人気の春菜は元歌手で、薫世代にはアイドル的存在だったのだ。

 会場では、久保寺のスピーチが始まっている。客の中にいる川端。が、締めの挨拶を前に、川端は会場を出て行ってしまう。そのままイベントはお開きに。帰る前にトイレへ向かった薫が『清掃中』の札の前で立ち往生していると、フロアマネージャーが血相を変えて走ってくる。「大変です!社長が、社長が!」。

 川端は、非常階段の踊り場で死亡していた。死因は首の骨折。手にハンカチが握られていたことから、トイレに向かったが清掃中だったため、別の階のトイレに行こうとして非常階段を利用。慌てて足を滑らせたのだろうと推測された。だが、そのトイレをのぞいてみると、中に清掃者の姿はない。外し忘れたのだろうか? 宴たけなわに社長がたまたまトイレに行きたくなり、たまたま清掃中の札が取り忘れられていたため、階段を利用したまたま足を滑らせた。そんな偶然が3回も続くものだろうか…?

 右京と薫は、さっそくスタッフの聞き込みを開始。そんな中2人は、久保寺が川端のデスクからファイルを持ち出すところを目撃する。

 イベントの収録ビデオを入手した右京たちは、川端が会場を出て行く様子をチェックする。川端の側には、たまきと春菜。怪しい人影はいない。やはり事故か? だが現場検証の結果、非常階段には足が滑りやすい細工がされていたことが分かる。川端が慌ててトイレに向かう原因さえ作れれば、『清掃中』の札と合わせて“遠隔殺人”が可能ということだ。

 右京は、川端が食べた野菜の中に、アレルギーが理由で吐き出したいものが混ざっていたのではないかと推理する。実際、川端はネギ類にアレルギーを持っていた。また、外食産業界に進出する前は、春菜の芸能マネージャーだったという意外な過去も分かる。

 イベント当日、春菜はソースに使うネギ属のハーブを、食材として提供していた。春菜の農園は、川端の融資で成り立っていたが、返済のめどは立っていなかったという。古い付き合いの春菜なら、川端のアレルギーを知っていたはず。また、調理した久保寺には契約上の恨みがあり、混入のチャンスもあった。右京の推理が次第に現実味を帯びてくる。ところが、川端の胃からネギの成分は検出されなかった…?


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相棒 Season4 第11話

2006年1月1日(日) 夜9時
第11話 「汚れある悪戯」

 ある銀行の昼休み。総務部の城崎愛梨(葉月里緒奈)が、眼鏡を掛け換え出かけて行く。その姿を追う何者かの視線。程なく総務部長・平林(斎藤洋介)あてに、愛梨を誘拐したとの電話がかかってくる。犯人は“須佐之男(スサノオ)”と名乗り、身代金5億円を要求。人を食った態度で警察への通報を容認した後、電話は一方的に切られる。

 警視庁は“特殊班”の出動を要請。銀行と所轄署に指揮本部を設置し、犯人からの連絡を待つ。2度目の電話を逆探知した結果、犯人は愛梨の携帯電話を使用していると判明。居場所を絞れても、特定は難しい。警視庁は全署員を無期限待機とし、総動員で事件に当たる。ただし、特命係は対象外。亀山薫(寺脇康文)がふてくされて帰ろうとすると、犯人から3度目の連絡が入る。特命係には、犯人とのやり取りを傍受できる無線機が置かれているのだ。犯人は愛梨を電話口に出す。「助けてください!」。聞こえてくる愛梨の叫び声。人質の無事を伝えた犯人は、身代金を1億円ずつ、帯封を切って袋に詰めることと、ヘリコプターを準備することを要求。そして、警察に体制を整わせるため、明朝まで待つという。普通は一刻も早くと焦るのが誘拐犯の心理。にもかかわらず“須佐之男”は、のんびり夜が明けるのを待ち、明るくなってからの接触を設定してきた。「僕ならば、断然夜がいいですね」という杉下右京(水谷豊)は、犯人が身代金を受け取る気がないのではと推測する。

 その夜、薫は、インターネットの掲示板に“須佐之男”というハンドルネームを発見する。スレッド名は『誘拐事件発生だよ!』。書き込み今日だ。明日の午前10時に身代金をばらまくとし、場所も指定している。指揮本部に連絡する薫。しかし、特命係からの電話に耳を貸すものはなく…。

 翌朝。スタンバイしたヘリコプターは犯人の指示に従い離陸。からかうようにあちこち飛行させた後、犯人は掲示板に記した公園へとヘリを向かわせる。

 若者でにぎわう公園広場。その上空にさしかかるヘリ。先回りした右京と薫が見上げる中、身代金として用意された5億円がばらまかれる。金に殺到する人。その中で薫は、目隠しと猿ぐつわをされ、座り込む愛梨を発見する。

 愛梨は、会社を出た後、一人で歩いているところを後ろから襲われた。その後、目隠しとヘッドホン、後ろ手に手錠を掛けられた状態で監禁されていたため、犯人の顔は見ていないという。しかし、愛梨の手首には何の跡も残っていない。監禁された部屋には暖房が入っていたというし、愛梨の眼鏡がきちんとポケットに入れられていたことなどから、右京は愛梨の証言が事実ではないことを嗅ぎ取るのだった。

 その晩、帰宅した愛梨は変声機で声を変えた男からの電話を受ける。「第一幕は大成功だったな。今度は人質の写真を撮ってネットにアップするぞ」…。

 同じ夜、畑山財閥の御曹司・哲弥(甲本雅裕)が“須佐之男”に誘拐される。身代金は5億。通報を受けた警視庁は、畑山邸に指揮本部を設置。しかしその甲斐なく、哲也は変わり果てた姿で発見される…。


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相棒 Season4 第10話

2005年12月14日(水) 夜9時
第10話 「殺人生中継」

 朝の天気予報。新人キャスターの八木沼リカ(宮地真緒)が、テレビ局のテラスから中継している。リカの大ファンという薬物対策課長の角田六郎(山西惇)は、画面に釘付けの状態。その時、テレビから女性の悲鳴が! 角田と一緒に画面に見入る杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)。リカは撮影クルーとともに、声が聞こえてきた方へと向かって走る。そして仮眠室に入った一同は、リカの先輩アナウンサー・綾瀬圭子(東風平千香)の刺殺体を発見するのだった。

 生放送で殺害現場が中継されるという前代未聞の事態に、世間は騒然。警察は、全国の注視にさらされながら、慎重かつ迅速な捜査を求められることになる。

 テレビ局は事件発生直後に封鎖。現場に到着した右京と薫は、アナウンス部長の仁科真由美(竹井みどり)から、圭子はある時期、熱烈なファンによるストーカー行為に悩まされていたと聞かされる。毎日のように届く手紙は、内容が次第にエスカレート。自宅ポストに「殺してやる」との脅迫文を送られるに至り、局は送迎を手配した。そのせいか、ストーカーの正体は分からずじまいだが、最近は被害が収まっていたという。

 手柄目当ての捜査一課は、特命係をつまみ出しストーカー情報の収集を始める。一方、右京と薫はリカのもとへ。圭子はリカの教育係だった。特に、敬語の使い方を仕込まれたというリカは、圭子を尊敬し「大好きな先輩でした」と涙を流す。ストーカーについても「その話は伺っています。ご自宅にまで参ったことも…」と。「参ったではなく、行った」と、すかさず敬語の誤用を指摘する右京。圭子に注意された懐かしい記憶がよみがえったのか、リカの目から再び涙がこぼれ落ちる。お茶でも飲んで気分を落ち着けてもらおうと、自販機で飲み物を買う薫。と、その奥に怪しい男が…! 

 仮眠室の検証により、圭子は自分でドアの鍵を開けていたことが分かる。また、極度の近眼だった圭子が眼鏡を掛けずに応対していたことから、犯人はストーカーではなく、ごく親しい人間の可能性があると右京は推理する。さらに、通風用の窓が開いていることに何かを感じる右京…。

 身内犯行説はすぐに捜一に伝えられる。アナウンス部から一人ひとりのアリバイを聴取するトリオ・ザ・捜一。その結果連行されたのは、なんとアナウンス部長の真由美だった!


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相棒 Season4 第9話

2005年12月7日(水) 夜9時
第9話 「冤罪」

 「私…、人を殺しました」。ある晩、緑川警察署に、内縁関係の青木由紀男(平井賢治)を自宅アパートで殺害したと、篠宮ゆかり(青山知可子)が出頭してくる。凶器の灰皿を持ったまま2時間もさまよい歩いた末、逃げ切れないとあきらめ、近くにあった緑川署に自首したのだという。原因は別れ話のもつれ。捜査課は、当直で聴取を担当した安城雄二警部補(中村育二)を中心に、正当防衛の可能性も視野に入れ捜査を進めると決定する。その直後、安城はゆかりの弁護士と名乗る室園悦子(一色彩子)の訪問を受ける。送検も起訴も済んでいないのに、手際が良すぎる。不審を抱いた杉下右京(水谷豊)は、悦子の事務所に向かう。

 悦子は数日前、青木との金銭トラブルをゆかりから相談されていた。しかし、悦子は刑事事件が専門。そこで、民事専門の弁護士を紹介し、帰したという。ゆかりは、その時の名刺を出頭時に所持していたらしく、すぐに悦子に弁護を頼んだというわけだ。

 悦子立会いの下、ゆかりと接見した右京は、凶器の灰皿はヘビースモーカーだった青木の持ち物だと聞かされる。だが、アパートを訪れた右京と亀山薫(寺脇康文)は、10年も住んでいたというのに、畳に焦げ跡が一つもないことを不思議に思う。几帳面とは言いがたいほど部屋は散らかり、何かをこぼしたような染みまで残っているのに…。「妙ですね」。染みを見つめる右京がつぶやく。染み跡が、畳の縁できれいに途切れているのだ。そして隣の畳の反対側に、同様の染みが。2人は畳を持ち上げ回転してみる。染みはぴったりつながった。と同時に、畳の下から札入れが見つかる。青木の財布は押収済み。ではこの札入れは…?

 その日、ゆかりの兄・彬の逮捕歴が明らかになる。罪状はゆかりと同じく殺人。彬は20年前、金子祐介殺害を自白。しかし、その後“冤(えん)罪”を主張し、上告中に拘置所で病死していた。自白調書を読み終えた右京は、取調官の署名に目を留める。「安城雄二」。ゆかりの担当捜査官だ。

 安城の調べでは、犯人が兄妹ということを除き、2つの事件に関わった人物に接点はないという。自身が担当になったのも運命の皮肉だと。しかし、右京たちは違和感をぬぐい切れない。そしてその夜、違和感を一層強める情報が、奥寺美和子(鈴木砂羽)からもたらされる。彬を起訴したのは、当時、検事だった悦子だと!

 「皮肉」。悦子は安城と同じ言葉を口にする。ゆかりは過去の事実を知らずに、自分に弁護を依頼していると続ける悦子。だが、右京たちはこの言葉を信じない。身内を起訴した検事の顔を、誰が忘れるというのか。

 右京たちが畳の下から発見した札入れは鑑定に掛けられ、結果、青木と 20年前の被害者・金子の指紋が検出される。これにより、青木が20年前の真犯人という可能性が浮上。獄中死した彬は、やはり無実だったのか? そうとも知らず、兄の仇とも言える男と内縁関係を続けていたゆかり。もしも彼女がその事実を知ったとしたら!?

 財布には他に、身元不明の指紋があった。すぐに安城の指紋と照会させる右京。ところが明らかになった指紋の主は、安城ではなく悦子であった…!


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相棒 Season4 第8話

2005年11月30日(水) 夜9時
第8話 「監禁」

 「無断欠勤とは、不届きですねぇ」。お昼過ぎ、亀山薫(寺脇康文)の出勤表を見つめながら、杉下右京(水谷豊)がつぶやく。薫は今朝から警視庁に姿を見せていない。携帯電話もつながらないままだ。そこへ、右京を訪ね女子中学生の2人組がやってくる。前日、あるジャーナル誌に載った『警視庁・特命係に“和製シャーロック・ホームズ”がいる』という投書を読んで、取材を申し込んできたのだ。2人は推理小説研究会のメンバーで、右京を題材に新しい小説を書くという。快く取材に応じる右京。中学時代、自分も推理小説を書いていたという右京と少女たちの間には、和やかな時間が流れていく。

 取材を終えた右京は奥寺美和子に会う。彼女は夕べ、薫に約束をすっぽかされていた。家にも行ってみたが姿はないという。気になった右京はその足で捜査一課へと向かう。捜一の面々が協力的な姿勢を示すことは無かったが、偶然にも、右京は彼らから大きなヒントを得る。捜一は、捜査中の大学教授と歴史研究家が相次いで行方不明になっている “インテリ失踪事件”になぞらえ、薫に共通点がないことを百も承知で、第三の被害者に見立てるという不謹慎なことを言ってきたのだ。「杉下さんなら分かるんですけど」との捨て台詞まで付けて…。

 特命係に戻った右京は、ジャーナル誌を手に前日の出来事を思い出してみる。前日の退勤時、右京は一人の女性に鞄を捕まれ、足留めをされていた。記事を読んでファンになった、相談に乗ってほしいと色っぽく迫る女性。右京はとっさに、それはもう一人の特命係、亀山刑事のことだと嘘をつき、面倒をやり過ごしていたのだった。

 鞄を持って鑑識に向かう右京。予想通り、指紋から女の素性が割れる。前科があったのだ。進藤ミサエ(佐藤江梨子)、26歳。若さに似合わず、2度も実刑を受けている。罪状は横領、詐欺に強盗未遂…。金のためなら何でもするタイプと思われた。

 右京は、ミサエが薫を和製シャーロック・ホームズと勘違いし、連れ去ったと確信。事件を“インテリ、かっこ、例外一名含む、かっこ閉じ、失踪事件”と改め、単独で捜査を開始する。

 そのころ、行方知れずの薫は、どこかの地下室にロープで拘束され監禁されていた。古めかしい家具に大量の書物。壁には軍人らしき人物の写真が飾られている。そして重厚な埋め込み式の金庫。薫のそばには破壊された携帯電話と、一編の詩が書かれた紙が置かれていた。『やまとはくにのまほろば たたなづくあおがき やまごもれる やまとしうるはし』…。

 「お勉強は進んだかな?」。そう言って階下に降りてきたのは、ブランド服に身を包んだミサエだ。金庫内には4億相当の金塊があり、この詩は金庫を開けるための暗号だと言う。薫と同じように拉致されてきた大学教授と歴史研究家は、暗号を解くことなく不慮の事故で命を落としたとも。もしも暗号が解けなければ、薫も同じ運命をたどるのは明白だ。現に、薫はすでに痛手を負っている。しかし、肉体派の薫に右京並みの推理が働くはずもなく…。

 ミサエがしびれを切らすのが先か、それとも右京が居所を突き止めるのが先か、1秒を争う戦いの結末は…!?


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相棒 Season4 第7話

2005年11月23日(水) 夜9時
第7話 「波紋」

 ある日、交番に600万円もの大金が拾得物として届けられる。我こそは持ち主と名乗り出る人また人。交番内ではなぜか、金の亡者たちを杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)がさばいている。そこへ、パトロールを終えた下薗司巡査(音尾琢真)が戻ってくる。テレビを見ながら一服する右京たち。画面には600万円を届け出た学生が、取材陣に追い掛けられる様が映し出されていた。顔にぼかしは掛けられているものの、明らかに迷惑そうである。

 学生の名は池田俊太郎(中村友也)。訳の分からない大金がアパートの郵便受けに投函され、それを正直に届け出たばっかりに、一躍、時の人となってしまったのだ。

 その晩、池田が暴漢に襲われる。幸い命に別状は無かったが、良いことをした自分がなぜこんな目に…と、池田は世の中に対する不信感を募らせていく。暴漢は池田に、あれは自分の金で無ければヤバイことになる、警察から取りかえして来なかったら殺すと言ったという。過熱報道により、池田の素性は一部メディアに流出していた。それを見て、暴漢は池田に言いがかりをつけてきたのか…。

 正直者がバカを見る世の中なんて絶対に許せない!と、池田を守る決意の薫。対して右京は、池田の行為が単なる美談では終わらない可能性を指摘する。池田が拾得者の権利を放棄していなかったからだ。持ち主が現れなければ、いずれこの大金は池田のものになる。そこには理不尽と言えども“嫉妬”が生まれる。池田の受難は、この先も続くだろう…と。

 案の定、池田は大学でも“正直者のI君”と揶揄され、孤独を深めていった。新聞にも、いまだ続報が綴られている。そんな紙面を暗い表情で見る池田の顔色が一変する。自分を襲った暴漢の写真が掲載されていたからだ。

 暴漢の名は古谷稔(犬養淳治)。新聞にはリンチ殺人の被害者として掲載されていた。つまり古谷は、池田に言った通り“ヤバイこと”になり、命を落としてしまったわけだ。古谷は麻薬の売人だった。売上金を巡るトラブルが原因だろうか。だが、検死の結果、遺体にあった無数の傷は死後につけられたものと判明。知識に欠けた人物による“偽装リンチ”の可能性が濃くなった。また、届けられたお金には帯封が掛けられており、麻薬取引の金と考えるには無理があった。古谷が紛失した600万円は別に存在する…。

 そんな折、600万円の本物の持ち主が現れる。下薗巡査が親しく世話をしていた近所の老婦人・梶多恵子(絵沢萌子)だ。多恵子は、公表されていない6束すべての最初の紙幣番号を申告し、認められた。老眼で新聞をあまり読まないという多恵子は事件の詳細を知らず、下薗に助言されタンス預金を確認したところ、はじめて600万円が無くなっていることに気づいたのだという。万が一に備え、紙幣番号を控えておいたのが役に立ったと喜ぶ多恵子と下薗。さらに、捜査一課の働きにより古谷殺しの犯人も検挙され、事件には幕が下りる…はずだった…。

 だが、ただ一人、終わりを感じられずにいた右京の予感が的中。翌朝、多恵子の他殺体が自宅で発見される。前夜、多恵子宅から出て来るところを目撃された男はなんと、大学生の池田だった…!


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相棒 Season4 第6話

2005年11月16日(水) 夜9時
第6話 「殺人ヒーター」

 捜査一課は怨恨の線で犯人の割り出しに掛かるが、思わしい成果が上がってこない。手詰まりの捜一に右京は、被害にあった会社の従業員になれなかった人物を調べるよう助言する。大きなヒントに思わず顔色を変える捜一の面々。それでも、特命係が捜査の一員に加えられることはないのだが…。

 夜。特命係。杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)が、炭化した紙片を一枚一枚調べている。企業連続放火事件の遺留品整理を、捜査一課に押し付けられているのだ。「早く終わりにして帰りましょう」。だが2人の願いは叶わない。その夜、次の放火事件が発生してしまうのだ。

 これで事件は6件。今回も含め3件で死者が出ている。6件目の現場は『ヨツバ電気』本社。労働組合事務所にいた組合長・小柳津桐子(辻沢杏子)が被害者となった。一連の放火の手口は、現場にあるストーブやヒーターを使って出火させていること。今回もまた、ヒーターが火元となっていた。現場に到着した右京たちは、捜査一課に揶揄されながら、焼け残り品を採取。そこで右京は、使われないままヒーターの横に置かれていた消化器に、不自然さを感じるのだった。

 捜査の結果、6件中2件の会社で不採用になった黒川英明(村杉蝉之介)という男が浮上してくる。一流大学出身で国家資格を持ち、履歴書からだけでもプライドの高さがうかがい知れる男だ。

 桐子の死因は窒息死。遺体の損傷が激しく、煙を吸い込んだためとは断定されなかった。そこで右京は、絞殺の可能性もあるとみて別方面から捜査に乗り出す。出火前に桐子が殺されていたとすれば、使われなかった消化器の謎も解ける。さっそくヨツバ電気に赴いた2人は、桐子が社内で相当恨みをかっていたことを知る。「小柳津(こやなつ)は嫌なやつ」。社員はそう言って、桐子を中傷していた。理由は、桐子がふりかざす“正義感”にあったらしい。桐子の組合長としての働きは度を超え、自社製品へのクレームにまで発展していたという。その結果、降格を余儀なくされた社員もいた。その一人、恩田義男(嶋田久作)。桐子は恩田が設計した製品の欠陥を指摘し、製造ラインを止めて全品検査をしない限り、業界紙に告発すると言い張ったらしい。自社を脅迫する女。恩田の目に桐子はそう映った。右京たちを前にしても、桐子への恨みをまったく隠さない恩田…。

 その夜、とある事務所に忍び込む男がいた。黒川だ。不採用になった腹いせに、またしても放火を企てたのだ。だが今回は、黒川の動きを張っていた捜査一課により、あえなく御用。取り調べでも「バカは死ねばいい」と、“優秀な”自分を不採用にした会社に対する犯行をあっさりと認める。しかし、死者が出た3件については犯行を否認。罪が重くなることを恐れての供述か?

 それを知った右京たちは、黒川が否認した3件に、死者が出た以外に共通点がないかを調べ直す。すると、どれも同じコードレスヒーターが出火原因だったことが分かる。製造元はヨツバ電気。設計者はあの恩田だ…。


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相棒 Season4 第4・5話

2005年11月2日(水) 夜9時
第4話
「密やかな連続殺人」

 片方だけのピアス。13年前、東京で起こった殺人事件の被害者が身に付けていた物だ。懸命の捜索にも関わらず、もう一方のピアスは発見されず、事件も未解決のまま。そのピアスが、引退した刑事(山崎一)から亀山薫(寺脇康文)に渡る。被害者、遺族、そして元同僚の無念をおもんばかる薫…。

 翌日、東京の荒川河川敷に若い女性の他殺体があがる。遺体は片耳のピアスを無くしていた。イヤリングと違って外れにくいピアスがなぜ? 引っかかりを感じる杉下右京(水谷豊)に薫は、偶然にも前日渡された遺留品のピアスを見せ、犯人が持ち去った可能性がないかを問う。13年前の事件との関連を探り、2人はすぐに過去の資料を調べ始める。その結果、片耳ピアスの女性遺体が発見された未解決事件は、全国で過去に10件も起きていることが判明。日本には、FBIのような全国的捜査機関が無い。県をまたげば警察の情報は共有されず、殺害方法を変えれば同一犯だとは気づかれにくい。犯人は警察の盲点を突き、殺人という快楽を味わい続けているのだ。今回の事件も、殺害場所が荒川上流の埼玉県と考えれば辻褄が合う。だが、右京たちの考えは、上層部からは当然のごとく切り捨てられる。お見通しの右京は、報告義務完了につき、薫と2人で13年前、東京で起きた事件から調査を開始する。

 13年前の事件には、有力な容疑者がいた。村木重雄(小日向文世)。予備校講師だった村木は、被害者へのストーカー容疑と目撃証言から、最も犯人に近い人物とされた。しかし、証拠不十分で不起訴に。右京たちはまず、村木の自宅を訪ねてみる。するとそこには、すでに捜査一課が。警視長が右京たちの推理を受け、手回ししていたのだ。しかも、村木に自殺未遂されるという失態のおまけ付きで。

 村木は「疑われるのはもう嫌だ!」と、いきなり手首を切ったという。幸い傷は浅く一命を取り留めるが、病院に迎えに来た村木の妻・順子(山下容莉枝)は、そんな夫をいきなり殴り飛ばす。「死ねるもんなら死んでみなさいよ!」と罵声を浴びせる順子。村木は土下座をしながら絶対服従の体。すると順子は嘘のように優しく手を差し伸べ、事故で足を不自由にしたという村木を伴い病院を後にするのだった。夫妻の尋常ではない関係に唖然とする一同。その中にあって右京だけは、2人に鋭い視線を向け続けている。そして、順子の耳たぶが変形しているのを目撃するのだった。

 その後、右京は村木を診ているという精神科医・内田美咲(奥貫薫)は美咲から、“支配と隷属”というコミュニケーション方法があると聞かされる。さらに美咲は今回の犯人像について、大人しくまじめなタイプの男性、出張や転勤の多い仕事に就き、その先々で殺人を繰り返している可能性が高いとプロファイリングする。また、自分だけに分かる共通点を残しているとも。それがピアスを持ち去ることだとすると、そこには“征服”という意味が込められるという。

 ピアスにはその昔、悪霊が耳孔から入り込むのを防ぐ意味合いがあった。それを外すことで人は、相手に暴行を加えることなく支配気分を味わえるという。もし村木が犯人で、持ち去ったピアスを妻に渡していたとすると、日ごろの“支配と隷属”関係の逆転を、村木は観念的に味わうことができたのではないか…?

 一方、順子と接触していた薫は、村木が、容疑を掛けられる以前は、講義のため全国を飛び回る人気講師だったと知る。大手予備校ともなれば支店は各地にある。つまり、村木の職業は美咲のプロファイリングに合致するのだ。右京と薫は、村木が勤めていた予備校の講義録を調べる。すると、にらんだ通り、過去の事件と村木の講義日程が一致。しかし、村木を犯人と確定するには、まだ決定的な壁があった。足が不自由な村木には、遺体を川に投げ込むのは不可能だ。村木の身近な人間に、共犯者がいるのか…?



2005年11月9日(水) 夜9時
第5話 「悪魔の囁き」

 捜査一課の勇み足により、村木重雄(小日向文世)は自殺。その直前、村木は10件すべての犯行を認めていた。だが、家宅捜索では、最初の事件から数えて7件分のピアスしか発見されなかった。焦る捜査一課は、共犯者を妻の順子(山下容莉枝)とにらみ、全件で村木を立件するため血眼の捜査を開始する。

 一方、杉下右京(水谷豊)は、まったく別の角度から残り3件の犯人を推理し始める。共犯者が順子ならば、同じ場所でピアスが発見されるのが自然だろう。事件一連の特徴を知り得る身近な人物で、順子以外に犯行が可能な人物がいるとしたら…?

 翌日、右京は亀山薫(寺脇康文)を伴い、荒川事件で殺害された日高鮎子(堤幸恵)の当日の足取りを洗い始める。この荒川事件で、犯人は2つのミスを犯していた。1つは、遺体が川の流れに乗り、過去に事件を起こしていた東京で発見されてしまったこと。もう1つは、東京在住の鮎子を標的にしてしまったこと。犯人は埼玉県内で事件を完結させたかったはず。それがこの犯罪の絶対条件だからだ。1つめのミスは想定外として、2つめは?

 右京たちは、犯人が鮎子を埼玉の人間と勘違した可能性を探る。すると案の定、鮎子が埼玉のデートクラブで働いていたことが判明。事件当夜は、客を取ったまま店に戻らなかったということも。犯人は鮎子を指名した男か…。だが店長によれば、女客からの指名もあるという。再び犯人像が薄れたことに、落胆を隠せない薫…。

 そのころ警視庁では、順子が捜査一課をさんざん愚ろうし、時間を浪費させた後、ようやく荒川事件当夜のアリバイを告白していた。順子はその時間、ホテルで男と会っていた。相手はなんと、村木を診ていた精神科医・内田美咲(奥貫薫)の助手・安斉直太郎(高橋一生)だ。美咲の代理として順子から相談を受けるうちに、関係を持ったという。

 その夜、右京は美咲から、村木が描いたという無気味な絵を渡される。美咲は、絵に認められる一連の事件を暗示する“ヒント”を見過ごした自分を責めた。と同時に、もし村木が連続殺人の詳細を自分に語っていたなら、どんなに興奮したか…とも。美咲は犯罪心理学の専門家でもあった。右京はそんな美咲の心情を理解しながらも、彼女の中に悪に惹かれる一面があることを見抜くのだった。

 右京はすでに美咲の過去の講演スケジュールを調べていた。ピアスが見つかっていない最後の3件は、すべて美咲の講演先で起きている。渡された村木の絵は、いわば美咲からの挑戦状なのか…。だが、薫の捜査の結果、鮎子が最後に取った客は男と断定される。美咲は事件とは無関係なのか? バラバラに散らばるピースを犯人像に結び付けるため、右京と薫の戦いが始まる!


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相棒 Season4 第3話

2005年10月26日(水) 夜9時
第3話 「黒衣の花嫁」

 教会。華やかなウェディングドレスを身にまとう津島瑞希(遠野凪子)。だが、対照的なほどにその表情は暗い。新郎・海老原元章(中原裕也)が現れないのだ。周囲にも不安な空気が漂い始めたころ、思いもよらない訃報が届く。2人が幸せをはぐくむはずだった新居で、海老原が他殺体で発見されたと…。

 家の中は荒らされ財布が見当たらないことから、海老原は前夜、帰宅したところを強盗に襲われたと推定された。その現場に、非番のはずの捜査一課・芹沢慶二(山中たかシ)が、顔色を変え飛び込んでくる。殺された海老原は、芹沢の大学時代のゼミ仲間だった。前夜は、ゼミの仲間が集まり、海老原の“独身さよならパーティー”を開いていたという。「あんなに幸せそうにしてたやつが…」と、絶句する芹沢。

 海老原は殺害される直前、新婦の瑞希にメールを打っていた。内容は『話はまた日を改めて。明日、式場で君のウエディングドレス姿を見るのを楽しみにしている』。いったい被害者は婚約者に何を話すつもりだったのか? 事件を知った杉下右京(水谷豊)の頭が、静かに回り始める…。
 芹沢は私情が入り込むのを懸念され、事件の捜査から外される。友人が殺されたのに何もできない…そんな悔しさに唇をかむ芹沢を、亀山薫(寺脇康文)が特命に誘う。一瞬ためらう芹沢。だが友の無念を晴らすため、芹沢は特命チームと行動を共にすることに。

 海老原の葬儀は、結婚式を挙げるはずだった同じ教会で行われた。運命の皮肉。純白のドレスを黒衣に着替えた瑞希は、感心するほど気丈に振る舞うが、そんな中、突然、海老原の元彼女・浅葉ハルミ(大塚由佑子)が棺にすがりつき騒ぎ始める。そして瑞希に近づくと、いきなり平手打ちを見舞い「あなたのせいよ!」と、食って掛かるのだった。

 ゼミの友人たちは口をそろえ、「海老原はハルミと結婚すると思っていた」という。学生時代から、ハルミは幾度となく海老原の苦しい時を支えてきていた。裏切られたハルミが海老原を…?

 右京は依然、海老原が瑞希に伝えようとしていたことが何なのか気になっていた。瑞希本人も、また友人たちにも思い当たることがないという。挙式直前に伝えたいこと。大事な話に違いない。それをメールでキャンセルした点も引っかかる。別人がメールを打った可能性はないか、右京は推理をめぐらす。そして、その人物特有の“書き癖”から捜査を進めると、ハルミとゼミ仲間の一人、田村厚(坂田聡)の2人に同じ癖があることが判明する。

 しかし、別行動で捜査を進めていた捜査一課は、瑞希に任意同行を求める。調べによれば、瑞希の父の死に、実は海老原が関わっていたというのだ!悲劇のヒロインから一転、容疑者となる瑞希。はたして真相は…。


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相棒 Season4 第2話

2005年10月19日(水) 夜9時
第2話 「殺人講義」

 大学教授・春日秀平(石橋蓮司)と不倫関係にあった島田加奈子(石橋奈美)が服毒自殺をした! その晩、春日と加奈子は、将来、一緒になる約束を交わしていたのに…? だが、その約束はおろか、2人のひそかな男女関係を知る者はなく、遺書が見つかったこともあって、加奈子の死は疑われることなく自殺として処理される。しかし、いつになく幸せそうに帰宅する加奈子を見かけていた管理人(前沢保美)だけは、自殺などするはずがないと言い張り、特命係に捜査を依頼。もとから自殺説を疑っていた右京は、薫を伴い、加奈子が勤めていた大学へと向かう。

 加奈子は大学で春日の助手をしていた。右京たちは真っ先に春日と接触。加奈子宅で見つけた家計簿の収支から独自の理論を展開し、加奈子が不倫をしていた可能性があると春日に示す。しかし、心理学が専門の春日は、加奈子の性格で不倫は考えられないと言い、仮にそうだとしても相手に心当たりはないと白を切る。だが、去っていく春日の背中を見送りながら、右京は確信を得る。不倫相手は春日に間違いないと。いったい、右京に目には何が映ったのか…?

 それからというもの、右京と薫は春日を徹底マーク。大学のみならず自宅にまで顔を出し、春日をいらだたせる。しかし、そのかいあって捜査は進展。確実に春日を追い詰めていった。あとは物的証拠があれば…だが、その可能性はゼロに等しかった。右京の推理では、証拠物は加奈子自身が捨てるように仕掛けられていたからだ。さすがはプロの心理学者。捜査もここで手詰まりか…。

 そこへ、管理人の孫が、加奈子の恋人を見たことがあると名乗り出る。天の助けと喜び、春日が講義中の教室へ連れて行くと、なんと孫は、春日ではなく大学院生の田辺健太郎(溝呂木賢)を指差した!


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相棒 Season4 第1話

2005年10月12日(水) 夜8時 2時間スペシャル
第1話 「閣下の城」

 “閣下”と呼ばれた男を覚えているだろうか。名前は北条晴臣(長門裕之)。かつて、右京(水谷豊)たちの捜査により殺人犯として逮捕されながら、超法規的取引で自由の身を手に入れた傲慢・狡猾・残忍な元外務省事務次官だ。その閣下から、右京と薫(寺脇康文)にパーティーの招待状が届く。「すべてを水に流そう」。招待状にはそう書き添えられていた。しかし、額面どおりに受け取れるはずもなく…。

 パーティーには北条の保釈取引に関わった、小野田公顕・警察庁官房長(岸部一徳)と瀬戸内米蔵・元法務大臣(津川雅彦)も招かれていた。誰もが疑いの目で北条を見つめる。だが北条は、まるでその視線を楽しむように、突如、若い女性秘書・郷内繭子(高橋かおり)との結婚を発表するのだった。

 その夜遅く、薫は、繭子と嵩人(高杉瑞穂)のキスを目撃する。嵩人は繭子の従兄妹で、この城の執事。繭子が秘書になると同時に、雇ってもらえるよう頼み込んだのだという。幼なじみだと言っていたが…。釈然としない思いで城を後にする右京たち。

 案の定、1日と日を置かず事件が発生。アイアンハート城で殺人が起きたのだ。殺されたのは嵩人。北条のコレクションの剣で胸を一突きされていた。城の住人は嵩人を入れて3人。当然、残った北条と繭子が疑われた。憔悴しきった繭子に寄り添う北条。が、突如態度を一変。「殺したのはこいつだ!」と言い捨て、部屋を出て行ってしまう。

 北条が婚約相手に対して冷徹な態度を取ったのには訳があった。北条は前の晩、繭子に恋人がいることを知ってしまったのだ。財産目当ての結婚。問い詰められた繭子はあっさり白状する。しかしそれでは、北条には嵩人殺しの動機があっても繭子にはないはず。それに、どちらがやったにせよ、今のところ証拠は何もない。

 いったん引き上げる右京たち。証拠はどこにあるのか、嵩人の解剖を見守りながら慎重に推理をめぐらす右京。そして、殺害手口のひとつとして、繭子の犯行説を成立させるのだが…。

 そのころ、北条と繭子の2人だけになったアイアンハート城では、右京たちが想像だにしない会話が、密やかに繰り広げられていた。「しかしおまえは役者だねぇ」。「閣下ほどじゃありませんよ」…。


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2010年10月09日

相棒 Season3 第19話(最終話)

幽霊? 生霊? 薫が池から髑髏(しゃれこうべ)を掬い上げた!
小野田から情報を得た右京と薫は尼寺へ。
頭蓋骨から復元された顔とそっくりな顔をもつ女性とは・・・。

2005年3月23日(水)
第19話 「異形の寺」
最終回 90分 スペシャル

 深夜、薫(寺脇康文)は、自分から美和子(鈴木砂羽)を奪っていった鹿手袋(西村雅彦)からとある公園へと呼び出される。鹿手袋は美和子に結婚を申し込んだが、美和子の心から薫を追い出すことができず悩んでいるという。

あんたの亡霊に取り憑かれている、という鹿手袋の言葉にあきれていると、2人の前の池の向こう側に全裸の女性が立っているのが目に入る。グルッと池を回って女性のもとへ駆けつけた薫だったが、なぜかそこには誰もいない。池に落ちたのだろうか? 薫は近くに落ちていた魚の網で池を探ると、なんと髑髏(しゃれこうべ=頭蓋骨)がひっかかって・・・。ということは、薫らが目にした全裸の女性は・・・幽霊!?

 翌日の捜査で池からは麻袋に入った頭蓋骨以外の人骨が発見される。どうやら頭蓋骨だけ袋が破れた部分から出てしまったらしい。鑑識の米沢(六角精児)によると、白骨死体は死後3年ほど。25から30歳の女性で全裸で袋詰めにされたようだという。

 美和子が薫を訪ねてきた。鹿手袋との話が気になったらしい。薫が問いただすと、確かに鹿手袋からプロポーズされ、美和子もOKしたとか。が、美和子は条件として自分の心の中から薫を追い出して欲しい、と言ったという。薫の心境は複雑で・・・。

 白骨死体の復顔像が完成すると、唐突に小野田(岸部一徳)が特命課にやって来て右京(水谷豊)に何やら耳打ちをする。なんでも、つい最近元法務大臣の瀬戸内(津川雅彦)と訪ねた寺にいた雀蓮(高橋由美子)という尼僧に復顔像がよく似ているという。

 復顔像の一般公開に合わせるように右京と薫は雀蓮のいる寺へ。玄関に出てきた雀蓮を一目見た右京と薫は思わず息を飲む。まさしく復顔像に瓜二つだ。右京は雀蓮にそれとなく質問を。すると雀蓮は捨て子として育てられ両親の顔を知らないという。身内は双子の弟のみで、その弟も今は世界を放浪しているという。

 右京と薫は寺の中の一室へと案内され、瀬戸内と知り合いだという庵主である蓮妙(高橋惠子)に話を聞くが「幽霊が抜け出したりしませんよ」というくらいで大きな手掛かりはつかめない。

 帰り際、右京は警察の人間を前にしても復顔像の話題を一言も口にしない雀蓮に不審を抱く。「違和感を覚えます」という右京に対しても、雀蓮は考えすぎとふっと笑うだけだ。

 山門を出る右京と薫の前に、捜査一課の伊丹(川原和久)らが現れた。伊丹によると、歯の治療記録から白骨死体の身元が飯島佐和子(高橋由美子=二役)と判明。その佐和子は出家して飯島雀蓮になっているという。

 しかし、雀蓮は間違いなく生きている。とはいえ、歯の治療記録に間違いはないはず。頭をひねる一同を前に右京は大胆な仮説を披露する。その仮説とは・・・。


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相棒 Season3 第18話

死んだはずの浅倉が殺人!?
平成の切り裂きジャックが再び・・・!
信じがたい事件に右京と薫が捜査に乗り出す!

2005年3月16日(水)
第18話 「大統領の陰謀」

 バスの中、前の席には死んだはずの浅倉(生瀬勝久)が座っている。
「俺は……殺していない。今度はちがう」。
 薫(寺脇康文)にそう告げる浅倉は、そのまま立ち上がって去っていき・・・。

 ある早朝、薫は不穏な夢で目を覚ました。殺人鬼と言われた浅倉が死んでもうすぐ1年。薫は美和子(鈴木砂羽)と墓参りへ行く約束をする。

 トランク詰めの女性の遺体が発見され、容疑者として浅倉が浮上した。検察庁の検事でありながら売春婦ばかりを狙う連続殺人鬼として“平成の切り裂きジャック”と怖れられた浅倉。逮捕後、死刑が確定していたが、拘置所から脱走。その後、記憶を失いホームレスとなっていたところを逮捕されるが、当時の次長検事の指示で拘置所内で殺害されていた。

 その浅倉が今回の被害者・静香(七森美江)を殺害したと思われるのは、最初の逮捕から脱走したあと。静香が行方不明になったころ、深夜キャスター付きのトランクを引いていく姿が複数の人間に目撃されている。

 所轄の調べでは静香はクラブを経営。それ以前には高級コールクラブに所属していたらしい。確かに状況証拠だけを見れば、娼婦連続殺人事件を起こしたことのある浅倉が犯人である可能性が高い。しかし、当時浅倉は記憶喪失だったはず。そのころの浅倉は自分の犯した罪を心から悔いていたはずだ。そんな浅倉を知る薫には、とても浅倉が犯人とは思えない。そう右京(水谷豊)に訴えた薫は、2人で事件を調べることに・・・。

 捜査一課の芹沢(山中たかシ)から資料を受け取った右京らは、ホームレスだった浅倉が暮らしていた河川敷へ。そこでは大統領と呼ばれる間島(きたろう)を中心に一種のコミュニティが形成されていた。ホームレス仲間で仕事をして蓄えた賃金を薬代や食費にあて、あとは自由に暮らす。浅倉もそんな彼らが言うところの“自由共和国の国民”だったのか、と思いきや、彼は仲間に入ろうとしなかったという。右京はふと目に入った「グラウンド建設断固反対」という看板について質問を。平本市長(新藤栄作)がホームレスの追い出しを目的の一つとして掲げた選挙公約だったらしいが、なぜか1年前から立ち退きの勧告が来なくなったという。

 目撃者の証言から浅倉は河川敷近くの豪華ホテルからトランクを引いていたらしい。右京らはホテルに静香が宿泊していたか確認するが、そんな記録はないという。ただ当時は平本市長主催のパーティーが行われていた。コック長の話では、その日も大統領こと間島も残飯を引き取りに来ていたはずだという。

 美和子の取材に付き添うという形で右京と薫は平本市長に接触。平本の妻・昌恵(藤吉久美子)の父は国会議員。養子に入った平本の目標は近く国会議員として出馬することだった。そんな平本への取材をしようとすると、なんと右京と薫は警察手帳を取り出して身分をばらしてしまう。怒った平本は3人を追い出すと、新聞社と警察に抗議する。

 殺された静香の生前の生活が派手だったことがわかった。どうやら愛人がいたという噂も。さらに浅倉の遺品からホテル名が印刷された便箋に書かれた地図を発見する。まるでトランクを運ぶための指示書のようだ。どうやら浅倉は何者かに頼まれてトランクを運んだ可能性が高い。

 そんな折り、大統領が土手の階段から転落して死亡した。警察は事故で片付けたらしいが、右京は彼が大切に首から下げていた大事にしているという袋がないことに気づく。他殺の疑いを強くした右京は、“国務長官”の藤(綾田俊樹)に浅倉は国民ではなかったのか、と改めて質問をすると、藤はそれを認めたうえ、意外な事実を明らかにする。


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相棒 Season3 第17話

劇作家が自宅マンションで殺害された。
彼の作品に主演している舞台女優に不審を抱いた右京。
が、彼女は犯行時刻、殺害現場から遠く離れた劇場でリハーサル中・・・。

2005年3月9日(水)
第17話 「書き直す女」

 知り合いのゲイバーのママ・ヒロコ(深沢敦)に誘われ、右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は芝居見物へ。帰り際、ヒロコは店の常連というプロデューサーの川島(市川勇)に頼み、女優のななみ(高畑淳子)の楽屋へ。サインをもらっていると、電話が入り、今回の舞台の脚本を書いた劇作家の武(中丸新将)が自室で何者かに殺されたという。

 死因はナイフで刺されたことによる失血死。出前の寿司桶を下げに来たときに武の遺体を発見した寿司屋の話では、出前の寿司を届けたのは午後3時ごろ。そのときには部屋に武はいたという。死亡推定時刻が午後3時から4時の間ということは、届けられた寿司を食べた後に殺されたことになる。しかし、右京は湯飲みが使われていないことに疑問を抱く。武は寿司を食べたというのにお茶を飲まなかったのだろうか。そのとき、突然耳をつんざくような工事の音が・・・。下の部屋がリフォームをしているらしい。

 川島に話を聞いた右京らは、武は殺される直前、川島と電話で話していたことを知らされる。電話で武はセリフを勝手に変えるななみに怒りを露にしていたという。
「今度セリフをいじったら、殺してやる」。

 武はこんなことまで言っていたらしい。
 右京らは付き人に弁当の寿司の文句を言っているななみの部屋へ。嫌いなサバが入っているのが気に入らないらしい。だが付き人によると、前日はそのサバを食べていたというが・・・。そんなやりとりを聞きながら、右京は武との不仲について質問する。ななみは自分を疑うのか、と気色ばむが、武が殺されたころはリハーサルの真っ最中。劇場がから片道1時間はかかる武のマンションへ行けるはずがない。右京らの説明にホッと胸をなで下ろしたななみは、改めて武の書いたセリフを批判する。

 事件のあったころ、武の部屋の周辺にいたのは寿司屋のみ。一課では寿司屋が犯人と捜査を進めるが、鑑識の米沢(六角精児)は武の胃からウニとアワビが検出されなかったと報告する。特上の寿司にウニとアワビがなかったとは考えづらい。右京は不審を抱きながらも、米沢にサバが検出されたことを確認する。

 右京らはななみを改めて訪ねると、事件当日スタッフに用意された弁当の寿司をいつ食べたのか質問する。確か付き人がサバを食べた、といっていた代物だ。すると、ななみは芝居の一幕と二幕の間の30分の休憩に一人で食べたという。ということは、その30分間はななみにもアリバイはないことになる。が、30分で武のマンションには行けないはずだが・・・。

 右京と薫は弁当の寿司と特上の寿司を前に、何が入っているかを比べることに。その結果、特上にはウニとアワビが余計に入っていることがわかった。武の胃から検出されなかったウニとアワビだ。これは一体何を意味するのか? そして右京は、武が本当にマンションの自室にいたのかと疑問を口にする。

 そして、寿司屋から改めて事情を聞いた2人は意外な事実を知らされて・・・。


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相棒 Season3 第16話

かつて薫が面倒をみた栄一が爆弾を身にまとい現金輸送車を襲撃!?
爆弾で男を操り、銀行を襲わせる新手の強盗事件が続発。
栄一の疑いを晴らすため、捜査に乗り出した右京と薫は・・・!?

2005年3月2日(水)
第16話 「人間爆弾」

 右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)が捜査一課の伊丹(川原和久)に呼び出された。爆弾を武器に現金輸送車を襲った犯人が2人を指名したらしい。というのも、犯人はかつて薫が面倒をみてやった栄一(マギー)。借金の取り立て屋という危ない仕事から足を洗い、彼女と結婚。北海道で幸せに暮らしているはずの彼がなぜ? そんな疑問を抱く薫に栄一は、何者かに爆弾を身体につけられ現金輸送車を襲わなければ爆発させる、と脅されたのだという。どうやら真犯人はそんな栄一をCCDカメラで見張っているらしく下手な動きをすると爆弾が爆発しかねない。

 薫は爆弾処理班から「背後からなら接近できるかも」という意見を聞き、右京らの静止を振り切り処理班とともに栄一の背後へ。懸命に爆弾が入ったベストをカッターで切り裂き、なんとか栄一と現金を守り抜く。

 解放された栄一は、東京で地元の名産を使ったイベントをやるために上京。同僚とデパートを回って契約をまとめた後、一旦別れて別行動になった途端、何者かにスタンガンで襲われたという。そして気が付いたら爆弾付きのベストを着せられていて・・・。

 伊丹らは栄一の前科を持ち出し、自作自演ではないかと疑いを・・・。しかし、右京も薫も、そして駆けつけた栄一の同僚・塩塚(菅原大吉)も「馬鹿馬鹿しい」と笑い飛ばす。

 なんとか解放された栄一は子供ができたと薫に報告。その子の名前を薫の字をとって薫子にしたとか。そう言われた薫もまんざらではない。幸せそうな栄一を見る限り、やはり彼が犯人とは思えないが・・・。

 CCDカメラの電波は遠くへは飛ばせないことから、犯人が現場近くにいた可能性は高い。右京らは鑑識の米沢(六角精児)に現場写真を改めてチェックする。すると、栄一が以前取り立てをしたことがある女性を写真から見つけて・・・。

 右京らはさっそくその女性・ミオ(三鴨絵里子)から話を聞くが、栄一のことは未だに恨んではいるものの、たまたま通り掛かっただけだという。

 そんな折り、第二の爆弾強盗事件が発生した。今回、爆弾を付けられたのは長橋(山崎大輔)という広告代理店の部長。長橋は犯人の要求どおりに銀行から金を奪うと、とあるビルへ入り、やはり犯人の言うままに階段を使って屋上へ。そしてビルの裏にある駐車場へと金が入ったカバンを投げると、ヘルメットをかぶった男がカバンを奪ってバイクで逃走していき・・・。

 栄一と長橋は見ず知らずの他人。やはり犯人は無差別に男を選んでいるように見えたが、右京は犯人が長橋をエレベーターではなく階段で屋上へ向わせ、なおかつあざ笑う言動をしていることに着目。犯人は長橋に対して恨みを、と考える。

 そして、改めて長橋の周辺を洗い始めると・・・。


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相棒 Season3 第15話

ピアニストを殺害した調律師。
右京らの巧みな捜査に追いつめられた彼は・・・。

2005年2月23日(水)
第15話 「殺しのピアノ」

 深夜のコンサートホール。調律師の幸田(吹越満)が、舞台の上で有名ピアニストの柴(京晋佑)をチューニングハンマーで殺害した。ピアノに散った血痕を拭き取り、守衛が居眠りする守衛室を避け、エントランスから外へ出ると遺体を柴の自宅近くへと運び・・・。

 翌朝、柴の遺体が自宅近くの崖下から発見された。別居中の妻・悦子(矢代朝子)の話によると、柴が深夜に散歩することはよくあること。事件当夜も深夜1時に柴の携帯から電話があったという。

 崖からの転落死かと思われたが、珍しい凶器による傷が発見されたことから他殺と断定。捜査会議では柴が携帯電話をかけたことが話題に出るが、その携帯電話が見つからないらしい。と、そこまで話が及ぶと、右京(水谷豊)は部屋を出て・・・。

 右京は事件現場へ行ったに違いない。薫(寺脇康文)がコンサートホールへ行くと、ちょうど柴の代役が決まったところ。その準備に追われ支配人の岩槻(大林丈史)から相手にしてもらえない。その岩槻が幸田にピアノの調律を改めて指示していたその時、ステージからピアノの音が。右京だった。

 新たな奏者のためにピアノ調律し直すという幸田に、見学したいという右京だが、須お越しの雑音でも気になるからと断られる。そんな右京に対して幸田は、事件当夜コンサートホールにいたが、朝の4時まで一人で柴用に調律していたという。明らかに幸田を疑っている右京に、薫はホールを出てから確かめると、なぜ朝の4時に調律が終わってから今まで帰らずにいたのか。まるで代役が決まり、調律し直すことがわかっていたかのように・・・、と疑問を口にする。

 岩槻によると、幸田に調律を任せたのは柴ではなく、岩槻だという。業界では腕がいいと有名な幸田を岩槻はホールの専属チューナーに招いていた。

 一人調律を始めている幸田の前に現れた右京は、興味深そうに幸田の仕事ぶりを見学すると、矢継ぎ早に質問を浴びせる。が、すべて調律に関するものばかり。そんな右京のノラリクラリとする質問に苛立ちを覚えた幸田は、次第に追いつめられていく。

 別れ際、どうしてもピアノが弾きたい、という右京は、幸田に事情を話しピアノを弾かせてもらうことに。が、幸田は右京の演奏を半ば強引にやめさせる。鍵盤側面の木目に血痕が残っていたのを見つけたためだ。幸田のあまりの剣幕に驚く薫と岩槻。右京は仕方なく薫とともにホールを出るが、実は血痕があることは知っていた。すべては幸田の動揺を誘うためで・・・。

 一人になった幸田は懸命に血痕を拭き取ると、いよいよ調律を始める。が、そこへ薫が現れると、何をするでもなく客席を歩き回り始めた。目的も聞いても答えない薫に苛立ちを募らせる幸田。ふと見ると、客席に携帯電話がある。きっとなくなったという柴の携帯電話だ。あれがここにあることがわかっては自分が犯人だとわかってしまう。幸田は薫に悟られないように携帯に近づくと、なんとか先に確保することに成功する。と、そこへ右京が現れると、なんと自分の携帯電話を探していたという。仕方なく隠していた携帯電話を差し出す幸田。試されていることを知り、唇をかむ。

 仕掛けた罠に幸田がかかったことに喜ぶ右京と薫。鑑識の米沢(六角精児)を呼び寄せるとルミノール反応を調べ、一気に自供へと追い込もうとするが・・・。


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相棒 Season3 第14話

名門女子高の生徒が殺人事件の容疑者に!?
謎のメモをもとに学園に隠された秘密に迫る右京と薫だが…。

2005年2月16日(水)
第14話 「薔薇と口紅」

 薫(寺脇康文)が、偶然とある健康ランドで覚せい剤取引の現場をおさえた。とはいうものの、手柄は生活安全部の角田課長(山西惇)へ。腐る薫が例によって右京(水谷豊)からイヤミ半分たしなめられていると、鑑識の米沢(六画精児)がやってきた。なにやら川から男のくせに真っ赤な口紅を塗った水死体が発見されたという。興味を抱いた右京と薫は、鑑識課で詳しい話を聞くことに。

 遺体の身元は江川(近藤公園)という住所不定、無職の男。後頭部に傷はあったが、肺から淡水プランクトンが検出されたことから死因は水死で間違いないらしい。それにしてもなぜ化粧をしていたのか。遺体の内ポケットから「口紅三本、ファンデーション四箱」と書かれた紙片が発見されていたが、それを手にした右京は紙片に聖ジュリア女学院の校章の透かしがあることを発見して…。

 さっそく右京と薫は、名門として有名な聖ジュリア女学院の校長・綾子(涼風真世)と面会する。綾子は紙片を確認、同校の生徒手帳であることを認めるが、「人の命を奪うような生徒は断じて存在しません」と言い放つ。そんな綾子の強い意志に、右京は綾子の祖父でシェークスピアの研究家でもあった創立者・龍ケ崎善造が提唱した創立精神を口にする。善造を記念して同校では創立記念日にシェークスピアの戯曲を必ず上演しているという。そんな右京の造詣の深さに感激した綾子は、喜んで綾子の父が作ったというバラ園を案内する。右京はそこで綾子の父が創立50周年に植えたという記念樹への綾子の深い愛情を知る。

 遺体が発見された地点は、満潮時には東京湾の海水が上がってくることがわかった。死亡推定時刻はちょうど満潮時。なのになぜ淡水プランクトンしか検出されなかったのか。右京らが改めて疑問を感じていると、野田(小路勇介)という男が容疑者として逮捕された。捜査一課では、野田が江川から借りた300万円の返済を迫られ殺した、と見ているらしいが、右京は無職の江川が300万円という大金を貸した事実に疑問を抱く。

 江川がつけていた口紅が演劇用の化粧品であることが判明した。前回、聖ジュリア女学院を訪ねたとき、偶然演劇部の久美子(水谷妃里)がたばこを吸っていたのを見ていた薫は、同校の演劇部に不審を抱く。同校の演劇部のノートを調べた右京らは、事件前日に「口紅三本、ファンデーション四箱」と書かれているのを発見する。しかも、書かれている文字はあの紙片と同じ筆跡…。

 右京と薫は、落とした生徒手帳を見つけたと久美子から話を聞く。久美子は江川が持っていた紙片の文字は自分のものと認めたが、江川との関係は否定。気づいたときに、そのページだけ何者かに破られていたという。綾子と仲がいい久美子は嫉妬の対象になっているらしい。が、生徒手帳を拾ったというのは右京らのウソ。怒った久美子は今の証言もすべてウソだったと吐き捨てる。

 化粧品のメーカーが演劇ノートにあった注文を受けていないことが判明した。そんな事実を知らされた綾子は久美子が部費を横領していたことを認めるが、久美子も江川と援助交際をしていた事実を告白。しかし、その後の調べで事件に覚せい剤取引が絡んでいる可能性があることがわかり、意外な方向へと展開していく…。


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相棒 Season3 第13話

巡査殺害事件に疑問を抱く右京。
周囲とは裏腹に自殺説を唱えるが、その裏には…!?

2005年2月2日(水)
第13話 「警官殺し」

 勤勉な勤務態度で近隣住民からも信頼を得ていた交番勤務の長谷川巡査(江藤潤)が、トカレフで腹部を撃たれ殉職した。事件を聞いた右京(水谷豊)は、犯人が凶器を現場に残していったことに疑問を抱く。鑑識の米沢(六角精児)よると、トカレフに指紋はなかったとのこと。犯人は手袋をしていたか、指紋を拭き取ったか…。さらに右京は引金に糸くずがついていたことを聞き、疑問を抱き…。

 犯行があったころ、現場近くで前科があり、長谷川に逮捕されたことがある阿部(武野功雄)が目撃されていた。さらに3日前、長谷川は阿部に職務質問していたことも判明。そのとき阿部はなぜか逃亡、梅乃(披岸喜美子)にぶつかり、転倒した梅乃は病院で死亡したらしい。捜査一課では過失致死の疑いで阿部の行方を追う。

 ひとり米沢と事件を調べていた右京は、銃がかなりの至近距離から発射されていた証拠を見せられる。右京はまた何やら考えて…。

 美和子(鈴木砂羽)から阿部が容疑者として浮上していることを聞かされた薫(寺脇康文)は不審を抱く。阿部は確か長谷川の葬儀に顔を出していたが、容疑者が被害者の葬儀に来るだろうか。

 長谷川は威嚇射撃をした銃を手にしたまま死亡、弾丸は地面にめり込んでいたという。米沢から話を聞いた右京はさらに疑問を深める。近くにいた犯人に対し、銃を下に向けて威嚇などするだろうか。

 右京と薫、ともに事件に疑問を抱いた2人は、例によって勝手に捜査に乗り出す。長谷川の上司だった茶畑(山崎清介)によると、名前を名乗らない男から通報があったらしい。また、梅乃が倒されたとき、長谷川は追跡をやめて梅乃を介抱したとか。その後も梅乃にずっと付き添うなど、いかにも住民に慕われた長谷川らしい。目撃者の話によると、長谷川はしきりに梅乃に謝っていたという。

 美和子のもとに梅乃の遺族がやってきた。長谷川が詫びの手紙を添えて通帳と印鑑を送ってきたという。遺族から記事にして欲しいと言われた美和子はまずは薫に報告。なかなかの美談だが、手紙を見た右京は「まるで遺書のようです」と言う。

 阿部が逮捕された。過失致死から長谷川殺しの容疑者として扱われる中、右京らは阿部と接見。阿部は自らを逮捕した長谷川を恨むどころか、その後もまともに扱ってくれたのは長谷川だけ、と絶大な信頼を寄せていた。事件を目撃し、通報してきたのも実は阿部。しかし、阿部が見たときには犯人は長谷川を撃って逃亡したあと、長谷川は苦しみながら銃を地面に撃って倒れたという。

 やはり威嚇射撃ではなかった。右京は再び茶畑を訪ねると、長谷川は自殺だったのでは?と大胆な持論を明らかにする。ならば、その動機は?


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相棒 Season3 第12話

殺害する相手の名前を電話で告げる殺人犯が出現!
手も足も出ない警察は、唯一助かった被害者女性から話を聞こうとするが…。
かつて姉をストーカーに殺され、警察不信に陥った彼女の心は開くのか?

2005年1月26日(水)
第12話 「予告殺人」

 捜査一課の要請を受け、薫(寺脇康文)は犯罪被害者の集いの見学へ。姉をストーカーに殺された愛(一戸奈未)が臨床心理士の堀(樋口浩二)から発言を促されるが、いまだにショックが大きく何も言えない。堀の説明によると、被害を訴えた警察からも相手にされず、殺害されたとき白昼にも関わらず誰も助けようとしなかったとか。会が終了した後、薫は堀に挨拶するが、強烈な嫌味を言われ…。

 ヤマモトヒロミという人間を殺すという予告電話が警察に入った2日後、予告どおり山本弘己(山本東)という男性が殺害された。その前には同様の手口で伊藤洋子という女性が殺されている。このままでは第3、第4の犯行もありえる。イタズラ電話と放っておくわけにはいかなくなった警察は記者会見を開くが、あまりの無策ぶりにマスコミから激しい非難を浴びてしまう。

 その犯人と名乗る男から美和子(鈴木砂羽)を名指しで電話が入った。山本殺害の状況を詳しく話すところをみると、どうやら本物の犯人らしい。そして今度は都内に住むサイトウアイという人間を3日以内に殺すという。「今度は助けられるかな?」と挑戦的な犯人に、美和子は右京(水谷豊)の指示に従いイタズラ電話と区別するためのキーワードを教えろという。そんな美和子に犯人は「キングチャイルド」と名乗るが…。

 さっそく美和子は捜査一課の24時間監視体制のもと、犯人からの電話を待つことに。それにしてもなぜ犯人は美和子を指名してきたのか。これまでの被害者もまったく関わりがないし、「キングチャイルド」という言葉に思い当たることもない。しかし、捜査のきっかけすらつかめない伊丹(川原和久)らは、犯人との接点があるはず、と美和子にここ数カ月の行動を書き出せる。

 深夜1時ごろ、キングチャイルドから美和子に電話が入った。予定より1日早く殺人を実行に移すという。美和子は指示に従い懸命に時間を引き延ばしたおかげで逆探知に成功。発信元とされる都内の公衆電話へと急行するが、すでにキングチャイルドは逃げたあとだった。周囲を捜索したものの、近くでタクシー止まっていただけ。中にいた運転手は仮眠をとっていたため、何も見なかったという。

 翌朝早く、薫がカウンセリングで目にした佐藤愛が何者かに襲われる事件が発生した。幸い怪我だけですんだが、確か美和子は「サイトウアイ」と言っていたはず。絶対「サイトウアイ」と言っていたと言い張る美和子だが、そのときは電話の録音もされておらず証拠はない。落ち込む美和子に右京は、愛を狙う犯人の罠かも、という。

 伊丹らは愛から目撃証言を得ようとするが、カウンセラーの堀は愛と会わそうとしない。薫は花束を手に見舞いかたがた愛から話を聞こうとするが、結局伊丹とケンカになってしまい何もできない。堀は警察からの謝罪もなく、愛が警察に協力できるはずがない、と言い放つ。

 キングチャイルドから電話が入った。「サトウ」と「サイトウ」。聞き間違ったのか、言い違えたのか、美和子は言い争いをするが、突然キレたキングチャイルドは「お前の間違いだ!」と大声を張り上げる。思わず黙ってしまった美和子にキングチャイルドは「タナカクミコ」を殺害すると予告する。右京はそんな2人のやりとりから、キングチャイルドは美和子を陥れるためにわざと「サトウ」を「サイトウ」と言ったのでは、と推理。キングチャイルドは美和子を恨んでいるはずだというか、当の美和子に思い当たることがない。

「タナカクミコ」殺害まで時間がない。愛から花束のお礼メールを受け取っていた薫は、なんとか愛の心を開き、目撃証言を得ようとするが、愛は「みんな思い知ればいいのよ」と冷たく言い放つ。

 このままでは「タナカクミコ」が殺されるのを待つしかない。万策尽きた薫は、改めて愛を訪ね心を開こうとするが…。


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相棒 Season3 第11話

20年前の殺人犯が何者かに殺された!
被害者の両親による復讐殺人か?
自らの汚名を返上するため、右京と薫は真犯人探しに乗り出すが…。

2005年1月19日(水)
第11話 「ありふれた殺人」

 路上で寝ている男を注意した薫(寺脇康文)は、その男から20年前に人を殺した、と突然告白される。小見山(信太昌之)というその男は、20年前、当時高校生だった坪井里子(小林千恵)を殺害。事件は5年前に時効が成立、民事の時効も1カ月前に成立していた。その小見山がなぜ今ごろ自首したのか。右京(水谷豊)や薫に問い詰められた小見山は、誰かに狙われている、というだけで…。

 伊丹(川原和久)ら捜査一課の取り調べに対しても「誰かが自分を殺そうとしている」と脅えるだけで取り付く島がない。が、その一方で遺族に謝罪する気はまったくないらしい。結局、「俺はもう罪人じゃない」とうそぶく小見山は、怒る薫をよそにさっさと署から出て行ってしまう。

 薫は右京に誘われるように20年前の里子殺害事件を改めて調べることに。当時担当だった港(清郷流号)によると、里子に目立ったトラブルがなかったことが逆に捜査を難航させたとか。その港にとっては刑事になるきっかけになった事件だという。

 里子の父・貞一(上田耕一)が特命係にやってきた。里子を殺した犯人を教えて欲しいという。どうやら小見山が自首したという報道を見たらしいが、当然復讐を防ぐため教えるわけにはいかない。里子を殺されたショックに貞一の妻・幸子(吉村実子)は手首を切り自殺未遂までしたという。そんな苦しい胸の内を語る貞一に、同情する薫は唇を噛む。

 小見山が何者かに殺害された。遺体の状況から手口が20年前の里子の殺し方と酷似していることがわかる。ということは、里子の両親が復讐殺人を?だとしたら、どうやって小見山が犯人だったということを知ったのか…。

 小見山が殺される直前、薫が貞一夫婦の自宅を訪ねていたことが判明した。が、さすがに自重した薫は家の前まで行ったものの、貞一らとは会わずに引き返したという。とはいうものの、時間的には薫から小見山の名前を聞いた貞一らが恨みを晴らすことは可能だ。さすがの薫も一言もない。

 小見山殺害が薫の責任ではないことを証明するには、貞一らが犯人でないことを証明するしかない。右京は落ち込む薫を元気付け、小見山を殺害した犯人を探すことに。

 小見山が殺された現場からは2つの他人の指紋が検出されていた。一つは犯人のものに違いないが、もう一つは…。右京らは小見山の隣室に住む鈴木(正名僕蔵)という男の証言で、事件直前小見山が中年の男と言い争っていたことをつかむ。その男が怪しいが…。


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相棒 Season3 第10話

女流作家の夫の自殺に不審な点が!?
右京と薫は作家と女性編集者の関係に疑いを抱き…。

2005年1月12日(水)
第10話 「ゴースト」

 ある日、右京(水谷豊)はふと立ち寄った書店で女性から広い支持を集めている女流作家・沢村映子(筒井真理子)のサイン会に巻き込まれてしまう。丁寧に説明したはずなのに、名前を右京ではなく左京と書かれてしまう。小さく溜息をついていると、映子の担当らしい編集者が何やら話している声が聞こえてくる。

「先生、今日は輝いているわねえ」。
「スポットライトが好きな人だから」。

 輝いている、と言った女性に対し、男性の言葉はどこかトゲがあるように聞こえたが…。
 映子の夫・三原健夫(西ノ園達大)が自殺した。新聞記事を見た右京は健夫がサイン会のときにいた男性だと確認。しかも、そのサイン会で買った本「愛の果て」は恋人に自殺された女性を描いたものだ。

 2日後、とある女性誌に映子の手記が掲載された。右京は健夫の遺書にあった「出逢う」という言葉に目を留める。映子の小説では「出合う」が使われているが、健夫の遺書、そして映子の著書で「第三の女」だけが「出逢う」を使っている。その「第三の女」はまるで違う人物が書いたのでは、と思わせるほど、他の作品に比べ魅力がない。さらに本来なら「召し上がって」と使うはずの敬語も「いただいて」と間違っている。この一致は何を意味するのか…。

 右京は薫(寺脇康文)を伴い、再びファンを装って映子に接近する。そこで右京は思い切って「第三の女」は健夫さんが書いたのでは?と映子に聞く。映子の担当編集者でサイン会のときに健夫と一緒にいた育恵(春木みさよ)はカンカン。映子も軽くあしらいつつ否定するが、右京らにケーキをすすめるとき、「遠慮なくいただいて」という言葉を使う。

 映子が「第三の女」に見られた文法的な間違いを犯した。ということは、「第三の女」を書いたのが映子だったのではないか。右京らは映子のデビュー前の作品を調べ、その中で「出逢う」という言葉が使われていることをつかむ。デビュー前の作品は映子が書いたことは間違いない。映子が書いたのは「第三の女」だけで、それ以外はゴーストライターが書いたのではないか。さらに遺書も映子が…。だとしたら、偽装自殺ということになるが。

右京らは出版社の高木社長(片岡弘貢)から、映子が健夫を見初めて結婚したことを知らされる。ここでも右京は「第三の女」以外はゴーストライターが書いたのでは、とぶつけてみるが、高木は強硬に否定。逆タマに乗った健夫がそんなことをする必要がない、という。また、育恵は映子のデビューから担当編集者として仕事をしてきたが、なぜか「第三の女」のときだけ、映子の指名で健夫が担当になったという。

 右京と薫は今度は刑事として映子と接触。アリバイを聞くなど映子を追いつめるような質問をするが、駆けつけた育恵が懸命に映子を守る。そんな2人の胸には同じようなネックレスが…。
 数日後、右京と薫は書店で映子の本を並べる育恵を訪ね、ゴーストライターが育恵だとズバリ言い切る。否定しようとする育恵だったが、右京に畳み掛けられついには降参。9年前、まだアルバイトだった育恵は高木社長に才能を見出され、見た目のいい映子と組んで小説を書くよう勧められたという。が、処女作の途中からすべてが育恵の文章になり、以降、育恵がゴーストをやるようになったらしい。はた目には不幸な育恵だが、本人は自分の言葉が出版されるだけで幸せだという。

 薫が健夫の遺書も育恵が書いたのでは、と疑問を持ち始めた。だとしたら、「出合う」と書いている育恵が「出逢う」を使うはずがない。が、右京はそのトリックをあっさりと見抜いた。育恵が映子を奪った健夫を殺し、遺書を書いたと推理するが…。


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相棒 Season3 第8話

7年前に失踪、法的に死亡した前社長が誘拐された!
偶然、現場に居合わせた右京と薫は、奇妙な人間関係に巻き込まれ…。

2004年12月15日(水)
第8話 「誘拐協奏曲」

 通販会社のイメージキャラクターが無断で使用されているとの訴えを受け、右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)はその通販会社へ。今井社長(尾藤イサオ)に問題のサイトを見せてもらうと、確かに著作権法違反の疑いがある。被害届など説明しようとすると、秘書の野呂(徳井優)がやってきて、先代の前田社長(渡辺哲)を誘拐した、という電話が入ったという。

 自分たちがいるのだから、と電話をスピーカーに切り替え、右京らも犯人の声を聞くことに。するとボイスチェンジャーで変えられた声が響いてきた。
「前田社長を誘拐した。ビルを見張っている、誰かがビルに入れば警察とみなし人質の命はない。要求は5億円…」。

 法外な身代金に愕然とする今井だが、前田は7年前に失踪。ついさっき法的に死亡が認められ、遺産を妻の房江(深浦加奈子)が相続したという。今日死んだ人間が誘拐された?今井ら幹部はイタズラかも、と疑うが、まだ社内にいた房江は「主人の命を第一に」と特殊班係への通報も拒否。右京もイタズラかどうか判明してからに、という。

 7年前、前田は今井と井勢谷常務(浅野和之)の3人で新しい配送センターの建設候補地へ下見に出かけた帰り、そのまま行方がわからなくなったという。失踪直前に行われた創業記念パーティーの写真を見ながら、右京らは事情を聞くが、今井によると会社も順調。創業者でもある前田はかなりワンマンだったらしく、失踪の原因が会社にあったとは思えないという。前田の失踪後、当時常務だった今井が社長に、当時経理課長の井勢谷が常務に大抜擢されたが、専務の本間(河西健司)は当時と変わらず今も専務だという。そして、秘書の野呂は前田の失踪後、リストラされたところを今井に拾われて入社したらしい。

 現時点で社長が失踪したことで得をしたのは、社長に就任した今井、課長から常務になった井勢谷、そして採用された野呂、ということになる。それにしても失踪といい、誘拐といい、謎だらけだ…。

 犯人から二度目の電話が入り、前田社長が声を聞かせた。これでイタズラでないことが判明。仕方なく5億円を用意することになるが、それだけの融資を受けるには株主の承認が必要になる。しかし、それでは犯人が指定した時間に間に合わない。すったもんだしているところに、タイミング良く犯人から電話が。今井が、銀行から融資を受けなければならないこと、そのために筆頭株主の許可を取らせてほしいこと、を犯人に告げると、意外にも犯人はあっさりOK。それにしてもなぜ犯人は3回目の電話をかけてきたのか。まるでこちらの様子がわかっているような…。そんな右京の言葉に今井らは騒然となる。

 筆頭株主の妙子(牛尾田恭代)がやってきた。妙子は最初「5億もの散財は困る」と渋るが、周囲の説得に渋々承諾。とりあえず自社の役員たちと相談するという。どうやら身代金は用意できそうだ。ホッと胸をなでおろす薫に今井は怒りを爆発させる。実は妙子は前田の愛人。スキャンダルになりかけたところを今井は必死で隠したらしい。それで房江と妙子の間に微妙な空気が流れていたのか…。

 妙子が自社の役員たちの許可をとりつけて戻ってきた。と、そこへ犯人から電話が。なんと犯人は現金5億円をすべて海に捨てろという。なぜ、そんなことを!?


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相棒 Season3 第7話

自分史を書きたいという初老の紳士に付き添う美人図書館司書。
男たちから大金を受け取る彼女に殺人容疑がかかるが…。

2004年12月8日(水)
第7話 「夢を喰う女」

 薫(寺脇康文)が捜査一課の伊丹(川原和久)と三浦(大谷亮介)に呼び出された。元大蔵事務次官を殺した容疑者・知念(飯田孝男)を取り調べて欲しいという。“落とし”の亀山巡査部長、と持ち上げられた薫はすっかりその気に。さっそく知念の前に座り、調書をとり始めるが、知念は事件とは無関係な身の上話を延々と始めて…。

 取調室にやってきた右京(水谷豊)は知念を帰すと、実は知念は自首マニアで単に話をしたいがために来ただけだという。ここで薫は自分が伊丹らにハメられたことを悟って…。

 一流企業常務・八尾(飯塚正臣)の刺殺体が発見された。近くには表紙と中身が真っ白な本が捨てられているなど、先の大蔵事務次官殺しと状況がよく似ている。同一犯による連続殺人の可能性もある。右京と薫は鑑識の米沢(六角精児)からこっそり被害者2人の所持品リストを入手。そこから2人のつながりを洗おうとする。と、中からとある図書館の図書カードが出てきた…。

 図書館を訪ねた右京と薫は、司書のめぐみ(高岡早紀)から2人が自伝を書こうとしていたことを知らされる。めぐみによると、定年後の60代の男性を中心に自分史を執筆、自費出版するケースが増えているという。

 薫は捜査一課の芹沢(山中たかシ)から、被害者2人がともに一千万円近い金を何者かに渡していた、という事実をつかむ。家族も何のために使ったのか見当もつかないという。

 右京が図書館でめぐみを窺っていると、例の知念が現れた。右京が座る席を示して、そこは大滝(伊藤初雄)の席だという。どうやら毎日来る常連の席が決まっているらしい。席を大滝に譲った右京はめぐみが60代の男性と親密そうに話しているのを目撃。めぐみを尾行すると、2人は高級レストランで食事。めぐみは男の話を興味深そうに聞きながらメモをとるなどして…。

 男が大手商社の元常務・清水(浜田晃)であることをつかんだ右京と薫は、身分を装い清水が自分史を出版しようとしている事実を引き出す。知り合いの女性に口述筆記をしてもらっているとか。めぐみに確認すると、清水の自分史作りに協力していることをあっさり認めると、殺された2人の自分史作りにも同様に協力していたという。さらに自費出版の費用などで2人から大金を受け取っていたとも…。

 めぐみが容疑者として急浮上するが、彼女が2人を殺す動機もなければ、事件当日は清水と一緒だったとアリバイも完璧だ。

 捜査が行き詰まりを見せる中、右京はめぐみが大滝や司書仲間の佐伯(大石継太)らからも好意を寄せられていたらしいことを感じ取る。佐伯が清水と話すめぐみを見る目からは嫉妬の色がありありだ。

 そんな折り、知念が血のついたナイフを手に自首してきて…。


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相棒 Season3 第6話

特命係になんと警部補が新たに配属。
事件捜査に憧れ、右京と薫を引っ張りまわすが…。

2004年12月1日(水)
第6話 「第三の男」

 特命係に陣川警部補(原田龍二)が新たに配属された。はりきっているところを見ると、どうやら上司から特命係がどういう部署か知らされていないらしい。右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)から事実を知らされると…。
 その夜、ヤケ酒をあおる陣川は、もともと経理担当だったが、事件捜査がしたいと密かに指名手配犯を追っていたが、その結果2度も誤認逮捕。それが原因で特命係に“島流し”にされたらしい。
 翌日、何事もなかったように陣川は、アベック宝石強盗の手配書を手に登庁してきた。防犯カメラに捕えられた容疑者の女性とよく似た女が、陣川の部屋の向いのマンションに引っ越してきたという。2度も誤認逮捕をしているのにまだ懲りないのか。あきれて物も言えない薫をよそに、陣川は3度目の正直、間違いないと言い張る。

 どうせ他に事件もないし…。右京の一言で3人は陣川の部屋から女性・ハル子(遠藤久美子)の部屋をのぞき見。が、彼女が犯人かどうか見た目だけではわからない。もし犯人なら仲間と連絡を取り合うはずだ。右京はしばらく様子を見ようと提案、本格的な張り込みを始めることになる。
「張り込みか……」。
 決意を新たにする陣川に薫は頭を抱えて…。

 はしゃぐ陣川と不快感を露にする薫、そして冷静な右京と奇妙な3人は張り込みを開始。と、ある夜、ハル子のマンションの入り口付近で無線機を付けた不審な男を発見する。右京が外へ出ると男はすでにいなくなっていたが、沢山の吸殻が。ハル子の動きを見張っていたのだろうか?
 陣川がハル子は犯人ではない、自分の勘違いだ、と言い出した。
「悪いことをする娘には見えません!」。

 やれやれ、今度は余計な思い入れを…。薫があきれていると、ハル子は学校帰りに怪しげな男の高級車に乗り込むとどこかへと消えてしまった。約2時間後、バイト先に現れたハル子だが、男とどこへ行き、何をしていたのかわからない。ひょっとして彼氏か。そんな推測にどこかショックを受けたような陣川を、薫は注意するが、バカにしたような薫の態度に陣川は逆ギレ。ムキになってハル子の指紋を採ろうとする。

 陣川と客を装い居酒屋へ入った薫は、ハル子の前でわざとネコの写真を落とし、拾わせる。これで無事、指紋を採取。作業完了、のはずだったが、ネコの名前を聞くハル子と陣川が受け答えをしてしまい、さらには客にからまれたハル子を陣川が助けるなど、陣川は彼女の印象に残るような行動をとってしまう。そんな陣川の行動に薫の怒りは頂点に。逆に陣川も事件から降りると言い出すが、言い出しっぺの陣川を降ろすわけにはいかない、と薫は強引に引き止める。

 留守中ハル子の部屋を物色する不審な男が現れた。どうやら以前右京がマンション前で見かけた男と同一人物らしい。その日は自転車に乗って逃げた男を取り逃がすが、別の日ハル子が捨てたゴミを拾う男を拘束。男はマンションのオーナーの息子で、合鍵を使い女性の部屋に入っては下着を物色していたという。さらには盗聴、捨てたゴミまで。男の部屋調べると血のついた男物の財布が出てきた。男によると、ハル子の捨てたゴミの中から出てきたという。やはりハル子は犯人だったのか…。ショックを受ける陣川だが、事実は事実は意外な方向へと展開していく。


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相棒 Season3 第4・5話

右京がついに免職!?
そんな右京を気にかけつつ、女優の夫殺しの捜査に乗り出す薫。
やがて事件に興味を持ち始めた右京と再びコンビ捜査に乗り出すが…。

2004年11月10日(水)
第4話 「女優〜前編〜」

 美和子(鈴木砂羽)が出て行き、散らかり放題となった部屋で寝ていた薫(寺脇康文)は、その美和子からの電話で起される。
「右京さん(水谷豊)が免職になっちゃったみたい」。

 一気に眠気が覚めた薫は大河内監察官(神保悟志)のもとへ行き猛抗議。右京を恨んでいた朱雀官房長官は右京らに殺人犯として検挙され失脚したはずだが…。が、大河内によると、朱雀と密接な関係にあった木佐貫主席監察官(陰山泰)のいわば逆恨みで右京は免職に追い込まれたらしい。

 薫は官房長に復帰した小野田(岸部一徳)に泣きつくが、さすがの小野田も頑なな木佐貫を説得できず正式決定を覆すことはできない。が、当の右京はというと、免職決定にもどこ吹く風。「頼んだ覚えはない」という右京に、さすがの小野田も「おまえのためじゃない、亀山くんのため」と反撃する。

 そのころ、薫は所轄管内で発生した強盗殺人事件の捜査に乗り出していた。被害にあったのは有名女優の小峰夕月(羽田美智子)と夫で脚本家の古谷(深水三章)邸。深夜、一人の不審な男が庭にいるのを発見した古谷は警察に通報。が、男は部屋にまで押し入ると夕月に銃を突きつけ金を要求、隙を見て逃げようとした夕月ともみ合いとなったが、そのとき男が発砲した銃の流れ弾があたり古谷が死亡。慌てた男は何も盗らずにそのまま逃亡したという。茫然自失の夕月に薫は古谷との結婚生活について質問するが、実は2人は籍を入れていなかったことが判明する。その後、伊丹憲一(川原和久)ら捜査一課との合同捜査となるが、逃げた犯人の行方はようとしてつかめない。

 それもそのはず、事件は夕月とその恋人であるマネージャーの松永慎二郎(岡田浩暉)が仕掛けた狂言だった。松永が庭をうろつくと、夕月が古谷に報告し警察に通報させると、松永は堂々と古谷の部屋に乗り込み、夕月を人質にとり2人でもみ合うような格好をしながら古谷を打ち抜いたのだった。
「後悔してる?」
「してないさ」

 ホテルの一室で2人は愛を確かめ合い…。

 たまき(高樹沙耶)から右京の居場所を聞いた薫は閉館直後の図書館へ。すると右京がなぜか鑑識課の米沢守(六角精児)といっしょに夕月の事件について書かれている新聞に目を通していた。右京によると、事件に府に落ちない点があるという。なぜ金品を狙った強盗が古谷を殺しただけで逃げたのか。本当に金品が目的ならば、夕月をなおも脅して奪えばいいはず。仮に銃は殺しが目的でなく脅すためだけのものだったとしたら、当時誰もいなかった1階に忍び込み、誰にも見つからないうちに逃走すればいいはずだ。犯人像が絞り込めない、という右京に薫も同調。翌日、早速、海音寺課長(竹中直人)に報告する。

 薫の鋭い指摘を右京の発案と見抜いた海音寺は、免職になった右京を雇い薫とコンビで捜査に当たらせようとする。どうやら右京の類まれな才能と、その右京をサポートする薫の仲を高くかっているらしい。

 内外の批判にさらされながらもこれで堂々と捜査できるようになった右京。薫とともに夕月、松永との対決がいよいよ始まる!



夕月を追い詰める右京と薫だが、肝心なところで息が合わない
捜査一課も取り調べに苦労し、捜査は行き詰まったかに見えるが…

11月24日(水)
第5話 「女優〜後編〜」

 右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は、古谷の自宅2階のトイレの壁に今回の事件と設定がそっくりなストーリー案が書かれているのを発見。偶然とは思えないと夕月(羽田美智子)、松永(岡田浩暉)に話を聞きに行く。2人を犯人とにらむ右京は、今回発見された事実をもとに2人を追い詰めようとするが、逆に夕月から松永と婚約したことを知らされる。夕月が犯人ならあえて婚約を発表するなどと疑われることなどするだろうか。夕月の不敵な挑発に右京も納得せざるを得ない。右京は改めてトイレのメモを見たかと夕月に確認すると、2階のトイレは古谷専用だったため入ったこともないという。

 夕月がトイレに入ったという証拠が見つかれば、夕月を追い詰めることができる。右京と薫は改めてトイレ周辺の捜索を。が、何も見つからずイライラを募らせていると、薫がトイレのスリッパのウラについていた女性のものと思われる髪の毛を発見した。薫のお手柄にさすがの右京も舌を巻くが…。

 夕月から半ば強引に髪の毛をもらい、鑑識で照合させた結果、トイレのスリッパに残っていた髪の毛は夕月のものと判明した。これで夕月はウソをつき、事件前に古谷のアイデアを目にしていた可能性がある。情報を受けた伊丹(川原和久)ら捜査一課は夕月と松永に任意同行を求め、取り調べを開始する。

 しかし、夕月はトイレに入ったことは認めたものの、古谷殺しに関しては全面否認。確かにトイレの壁のメモを見たからといって夕月が殺した証拠になるわけではないが…。

 と、そんな話をしているところへ、鑑識課の米沢(六角精児)がやってきた。米沢は非公式なお話を、と言いつつ、トイレのスリッパについていた髪の毛はねつ造されものではないか、という。現場検証であれだけの証拠を鑑識の人間が見落とすはずがない、というのが彼の主張らしい。ということは…。実はすべては右京の仕業。以前、盗んでおいた夕月の髪の毛をトイレのスリッパにつけ、わざと薫に見つけさせたのだった。お手柄とはしゃいでいた自分がバカみたいだ。薫は右京に怒りをぶつける。

 捜査一課の芹沢(山中たかシ)が取調べ中に松永に馬鹿にされたと怒りを爆発。松永に対し暴力を振るってしまった。たちまちその一件がマスコミに取り上げられ、伊丹らは捜査から外されることに。

 一方、右京に対する怒りが収まらない薫だったが、当の右京はシレッと薫の前に姿を現すと、夕月と古谷の戸籍謄本を請求してほしいという。それが一体、事件とどう関係するのか…?


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相棒 Season3 第1・2・3話

第1話 「双頭の悪魔」 (2004年10月13日)

 薫(寺脇康文)が麹町東署捜査一係へ転属となった。「めでたく現場復帰だ」と喜ぶ薫だが、同棲相手の美和子(鈴木砂羽)はなにやら深刻な話があるらしい。実は美和子は密かに別の男と付き合っていた。薫に言い出そうにもなかなか言葉が出てこない美和子。薫はそんな美和子の心の中を知る由もない。

 その美和子の新たな恋人で院内紙記者・鹿手袋(西村雅彦)は、二世の若手議員・雛子(木村佳乃)をマークしていた。若手だけで自らの会派を立ち上げるなど、政界で話題を振りまく雛子に鹿手袋は機密費にまつわるスキャンダルがあるとにらんでいるらしい。

 首相補佐官の沢村(春田純一)の遺体が、本人の事務所兼自宅から発見された。死の直前、朱雀官房長官(本田博太郎)の携帯に沢村から自殺を予告する電話が入り、現場へ駆けつけたが沢村は延長コードで首を締めた後だったという。

朱雀から現場に呼ばれた首相秘書官の加賀谷(佐戸井けん太)は、そんな説明に動機について思いをめぐらすが、朱雀は首相官邸に盗聴器が仕掛けられた事件に関係があるという。沢村は責任を感じて自ら命を断つに及んだらしい。が、以前、加賀谷らが問い詰めたときはふてぶてしい態度で否定していたが…。

 同じ日、鹿手袋が何者かに刺され、重傷を負う事件が発生した。担当になった薫は鹿手袋が入院する病院へ。看護婦から携帯など鹿手袋の所持品を受け取った薫だが、突然携帯がなり、なんと発信者に美和子の名前が。

ここで初めて美和子が鹿手袋と付き合っていることを知らされた薫。ショックを通り越して、怒りを露にして…。

 すっかりやる気を失った薫は、新たな上司・海音寺(竹中直人)と大喧嘩。「とっとと辞表を出せ!」と怒鳴る海音寺に「辞めりゃいいんでしょ」とタンカを切ってしまう。
大八木秘書官(清水昭博)も沢村の自殺に疑問を禁じえない。秘書官たちと対立しながらも自身満々な態度を崩さなかった沢村が、仮に盗聴器の事件を認めたにしても自殺などするはずがない。が、そんな大八木に加賀谷は「いいじゃありませんか。我々の願いがかなった」と密かにほくそ笑む。

 沢村の一件が自殺で落ち着こうとしていた矢先、前法務大臣の瀬戸内(津川雅彦)が沢村を殺したと自首してきた。が、動機など取調べにも何一つ答えようとしない。そんな取調室に右京(水谷豊)が突然やってきた。
「どうにもあなたと殺人が結びつきません」。

 はたして沢村は本当に自殺だったのか。そして自首してきた瀬戸内の真意とは?さまざまな思惑を秘めた事件に、右京と薫のコンビが動き始める。


10月20日(水)
第2話 「双頭の悪魔II〜堕天使」

前法務大臣・瀬戸内(津川雅彦)自首の目的は、あえて自らが沢村補佐官を殺したと名乗り出ることで警察を動かそうとしたのだった。怒った朱雀官房長官(本田博太郎)は瀬戸内と通じている小野田(岸部一徳)を降格。唯一、右京(水谷豊)は事件の真相を解明しようと動いていたが、その右京にもいつ朱雀の魔の手が伸びるかわからない…。
首相官邸に盗聴器が仕掛けられていた、という事実を確認するため、右京は入院中の鹿手袋(西村雅彦)のもとへ。無作為に盗聴電波を拾ってはストレス解消をしていたという鹿手袋は、たまたま首相官邸の近くで朱雀官房長官の声を拾ってしまったのだという。右京は病院を出るとその足で加賀谷秘書官(佐戸井けん太)、大八木秘書官(清水明博)と会い、真偽を確認する。すると2人はオフレコと断った上で、首相官邸の首相執務室、官房長官執務室、それぞれの秘書官室などに盗聴器が仕掛けられていた事実を認めた。加賀谷らによると犯人は死んだ沢村補佐官で、彼の自殺の動機と考えられているらしい。が、それだけ盗聴器を仕掛けておきながら、なぜ完全秘密会の会議が行われる閣議室に仕掛けなかったのか?右京は疑問を抱く。

薫(寺脇康文)のもとに大河内警務部監察官が現れた。どうやら右京に解雇の危機が迫っているらしい。大河内の助言を聞いた薫は、処分が下される前になんとしても犯人を捕まえようと右京とともに行動することにする。
鹿手袋を刺した容疑者が捕まったが、鹿手袋を脅していた関西なまりの男が犯人ではないことが判明した。どうやら犯人は鹿手袋が日頃から脅されていたことを知っており、その男が疑われるように仕組んだらしい。では、なぜそうまでして鹿手袋は狙われたのか。
鹿手袋は何か重大な秘密を握っているのかもしれない。再び病院を訪れた右京らは、今では薫の同棲相手・美和子(鈴木砂羽)の恋人である鹿手袋から驚くべき事実を聞かされる。はたして彼がつかんでいたスキャンダルとは?


10月27日(水)
第3話 「双頭の悪魔III〜悪徳の連鎖」

 父の地盤を継いだ若手女性議員・雛子(木村佳乃)は、朱雀官房長官(本田博太郎)の愛人で、多額の機密費を手にしていた。そんなスキャンダルを追っていた鹿手袋(西村雅彦)を刺したのは、雛子の秘書・小松原(中村方隆)の息がかかった男だった。事件が公になるのを怖れた小松原は事情聴取の前に自殺。事件は闇へと葬られることになる。

 しかし、鹿手袋を刺した事件と沢村補佐官の事件に関連があるとにらんだ右京( 水谷豊)は、沢村が朱雀官房長官と雛子の関係を知ったがため、自殺を装い殺害されたのでは、と推理。右京の意見に同調した薫( 寺脇康文 )は動機から見て沢村殺しの犯人は朱雀 か雛子、と言うが朱雀 には確固としたアリバイがあり、雛子が一人で沢村を殺せるとは思えない。さらに沢村が無警戒のまま、むざむざと雛子に殺されるとも思えず…。

右京はあえて朱雀に自らの疑問をぶつける。なぜ 朱雀は沢村補佐官から自殺するという電話を受けたとき、すぐに沢村の自宅へ向ったのか。そして、もし沢村が自ら自宅にいると言ったのだとしたら、沢村に死ぬ意思はなく、朱雀に助けを求めただけのはず。なのになぜ密室だったのか…、と。答えに窮した朱雀は「だからなんだ!」と苛立ちを現すが、右京は「矛盾点に合理的な説明がつかない限り、事件は終わらない」と言い放つ。
右京 と薫は 朱雀からの連絡で沢村が死んだ現場へ駆けつけた加賀谷秘書官(佐戸井けん太)に改めて事件の夜のアリバイを確認する。が、説明は曖昧でかなり動揺している。右京は小野田(岸部一徳)にプレッシャーをかけさせ、ついに加賀谷を自供に追い込む。

 加賀谷によれば、直接手を下し沢村を殺したのは、加賀谷と朱雀。が、朱雀にはアリバイがある。右京らはあらためて朱雀の周辺を調べ、沢村殺しの犯人として逮捕しようとするが…。


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2010年10月08日

相棒 Season2 第21話(最終話)

『私刑』 (2004年3月10日放送)

 死刑判決を受けながら脱獄していた薫の友人で、“平成の切り裂きジャック”こと浅倉が、ホームレスとなっているところを拘束された。騒ぎを聞きつけた薫は浅倉と対面するが、まるで薫のことなど記憶にない。心因性の記憶喪失では仕方がない。自らが犯した過去の罪もすべて忘れてしまった浅倉に、薫はやり場のない怒りを抱え込む。

 最高検察庁次長検事の千登勢は、浅倉に対して1日も早い刑の執行をと画策するが、肝心の臼井法務大臣が死刑執行命令にサインしようとしない。苛立つ千登勢は臼井に直談判するが…。

 薫は千登勢の部下で法務省刑事局刑事課長の紘子に間に入ってもらい、なんとか浅倉との面会にこぎつける。が、やはり記憶は戻っておらず、断片的に母親を殺した記憶が顔を覗かすだけ。紘子は右京からの受け売りで提案してきた薫の話を参考に、思い切って催眠療法を試してみることにする。

 その催眠療法の1回目が行われる日の朝、浅倉が自殺体で発見された。紘子は拘置所の刑務主任・中津から、部下の刑務官たちから浅倉が殺されそうになるVTRを見せられる。浅倉が脱獄するときに刑務官を殺したことを根に持っていたらしい。自殺の原因はそんな拘置所の状況にあったのかも。紘子はVTRを千登勢に見せて相談。マスコミへの露出を気にしながら、刑務官たちの処分を検討し始める。

 薫は浅倉が自殺した独房を映したビデオ映像を、拘置所が提出を拒んでいることを聞き出す。何か知られたらまずいことでもあるのか。右京と薫は紘子と会い、ビデオについて質問するが、刑務主任が刑務官らの暴行ビデオを抜き取った際、代わりのテープを入れ忘れたため、肝心のテープがないのだという。テープがない理由はそれでわかった。ならばモニターをリアルタイムで見ていた刑務官は、浅倉の不穏な動きになんら反応しなかったのか。モニターをチェックし駆けつけていれば、自殺も失敗したかもしれないのに。何も答えられない紘子を目の当たりにし、薫も右京と同じ疑念を抱く。浅倉は自殺ではなく、何者かに殺された…!?

 さっそく捜査に乗り出した右京と薫は、拘置所にいる田端。浅倉が死んだと思われる時刻に火災報知器が誤作動していたことを聞き出す。さらに当日の刑務官たちに状況を聞くと、彼らの上司である中津に監視室をカラにしてでも全員で原因を究明せよ、と指示されたという。その間に浅倉が自殺して…。テープを入れ忘れたのが中津なら、原因究明を指示したのも中津。さすがに右京らは中津に不審を抱く。

 右京らは千登勢に浅倉殺害説を直訴、千登勢も独自の調査を約束する。が、千登勢は浅倉が刑務官らに暴行されているビデオを公表。逆に浅倉自殺の印象を強くしてしまう。

 仮に中津が浅倉を殺したとしたら動機は何か。右京らは浅倉が殺害したとされる刑務官殺しの事件に疑問を抱き再捜査を。その結果、やはり中津が事件に絡んでいたことが判明する。右京と薫は思い切って数々の事実を中津に突きつけるが、中津は躍起になって否定。しかし、その中津が死体となって発見された。状況から自殺と断定されるが、残された携帯電話を調べると最後にかけた相手はなんと千登勢で…。

 右京らから中津との関係を追及され、最初はかわした千登勢だったが、右京が「実は遺書が中津の胃の中から発見された」と嘘を。瞬間、事件の真相を紘子に知られ、脅されていたことなどを思い出した千登勢はあっさり中津を使って浅倉を殺したことを自供する。

「すべては憎しみではない。殺人犯として捕まった彼が不憫だったから」

 動機を説明した千登勢は、普段と変わりない堂々とした様子で右京と薫とともに警視庁へと向った。


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相棒 Season2 第20話

『ニ分の一の殺意』 (2004年3月10日放送)

 オカマバーのママ・ヒロコが思いを寄せていた青年実業家・坪井を歩道橋から突き落とした容疑で拘束された。しかし、ヒロコは坪井の後をつけたことは認めたものの、歩道橋から突き落としたのは別の女性だと証言。薫に助けを求める。が、状況的にヒロコは不利。そんな中、右京はヒロコの証言をもとに女性の似顔絵を作らせると、その女性が坪井との間で仕事上のトラブルに巻き込まれていた留奈であることを突き止める。右京らは留奈と会い事情を聞こうとするが、なんと留奈には留美という双子の妹がいることがわかった。

 ヒロコも坪井を突き落としたのは留奈なのか留美なのか区別がつかない。事件発生時、留奈はとある喫茶店にいたとアリバイを主張。しかし、妹の留美も留奈が行っていたという喫茶店に自分も行っていたという。もちろん喫茶店の店員には客が2人のうちのどちらなのか見分けがつくはずがない。

 留奈か、留美か、どちらかが犯人ではあるものの、どちらとも喫茶店にいたと言っている以上、特定することができない。ということは、訴訟も出来ず完全犯罪が成立することになってしまう。さすがの右京も2人の巧妙な“口裏合わせ”に脅威を感じる。

 万策尽きた右京は、現場ではなく喫茶店を訪ね、留奈と留美のどちらがいたのかを証明しようとする。しかし、指紋採取の結果、出てきたのは留奈、留美両方の指紋が。さらに当時の喫茶店の状況を個別に聞くと、それぞれにまったく同じ答えが返ってくる。どうやら口裏合わせも完璧らしい。

右京は強い信念のもと、さまざまな角度から事件を見つめ直すが…。
被害者の坪井の意識が戻った。が、その坪井もどちらが犯人か特定できないという。
「留奈にそんなに恨まれる覚えもない。妹の方とも仕事上で何度か会っていますし…」。
なぜか歯切れの悪い坪井の証言に右京は不審を抱く。

 どんなに似ていても2人が別人であることは間違いない。留美の部屋を調べた右京は、留奈に比べて几帳面な彼女が半透明の傘が並ぶ中に1本だけ透明の傘があることに不審を抱く。

 留美が喫茶店にいたことが証明された。喫茶店で半透明の自分の傘を他の客に持ち去られ、やむなく透明の傘を持って返ってきた留美。傘を間違えて持ち去った客を突き止め、半透明の傘を調べると留美の指紋が検出された…。すべては「几帳面な留美が半透明以外の傘を買うはずがない」という右京の推理のおかげだった。

 事実を突きつけられた留美は言葉を失い、犯行を認めた留奈は妹への憎しみを露骨に現す。なんでもきちんとする妹が憎らしかった、と。

 事件は解決、と思った矢先、留美が坪井を殺そうとする事件が…。実は坪井は留美とも関係を持っており、姉の2人をもてあそんだ坪井への恨みを晴らそうとしていたのだった。坪井の曖昧な証言などから、その事実をつかんでいた右京の機転で、留美は間違いをおかすことなく救われる。署へと連行される留美。その姿を見た留奈の顔には悲しいほほ笑みが。姉の憎しみもようやく消えようとしていた…。


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