2014年07月07日

HERO(第1期)各話あらすじ

各話あらすじ(2001.1.8 - 2001.3.19)全11話 平均視聴率 34.3%(特別編は除外)

第1話 2001年1月8日「最悪の出会い」 視聴率 33.4%
 東京地検城西支部の検事たちは、刑事部部長 牛丸豊(角野卓造)の指揮で、海王建設と岬代議士(清水省吾)の黒い癒着事件の強制捜査に踏み切った。「午前八時着手」。牛丸の命令に、検事、事務官たちは、報道陣が詰めかける建設会社本社や岬宅での家宅捜索を開始。岬代議士の身柄確保を手際よく進めていった。岬は、雨宮舞子(松たか子)中村美鈴(大塚寧々)に両側をガードされ、車の中に。

 一方海王建設本社では、芝山豊(阿部寛)、末次隆之(小日向文世)、遠藤賢司(八嶋智人)が証拠品を押収していた。  こうした間も、検事、事務官たちの関心は、この度青森から赴任してくる新任検事のこと。どんな奴が来るのだろう・・・。上昇志向の強い舞子は自ら担当事務官に立候補する。

 果たして翌朝、ラフな格好の久利生が登頂してきた。 みずから担当事務官になるとは言ったものの舞子は、久利生の格好に、そのうえ、いわば中卒で、司法試験を取り、検事になった彼の経歴を聞いて唖然とする。

   久利生は下着泥棒を担当。「犯行時間、家でテレビを見ていた。ビデオも撮った」と主張する被疑者。久利生は、犯人が逃走途中に自転車を乗り捨てた現場や、被疑者宅を再検分したり、被害者の女性達を呼んで事情を聞いたり。こんな小さな事件に、執拗に取り組む久利生の行動に牛丸も警察の領分を侵すなと注意をする。舞子は担当を外して欲しいと頼むが、他に久利生の担当をする事務官はいない。他の検事や事務官も久利生公平の行動が理解できない。しかし次席検事の鍋島利光(児玉清)だけは久利生に期待を寄せているようだが・・・。

 そんな折、久利生は、舞子をヨットハーバーに連れていく。岬代議士は、家族とクルーザーで写した写真を基にアリバイを主張していた。その写真を見ていた久利生は、確認の為にヨットハーバーに舞子を連れていったのだった。そして、そのアリバイを主張する写真が、不可解であることに気づく久利生だったが・・。


第2話 2001年1月15日「帰れないふたり」 視聴率 32.7%
 「検事は悪者で、弁護士は人権を守る正義の味方」。東京地検城西支部では、検事の芝山(阿部寛)や美鈴(大塚寧々)、事務官の遠藤(八嶋智人)らが、そんな話をしていた。江上(勝村政信)の部屋から被疑者の女性が泣いて訴えているのが聞こえ、芝山らは、なにかむなしくなるのだった。

 舞子(松たか子)は江上からK1に誘われるが「恋人ではないことを確認しておきたい」と一応、釘を刺すのだった。  舞子が、久利生(木村拓哉)の部屋に入っていくと、久利生は通販で買った腹筋トレーニングマシンで、トレーニング中。そんな姿に舞子は「ン!もう」とウンザリ。

 その久利生の前に連れてこられたのは、すれ違った男性に、いきなり十発も殴られたという高井戸謙介(大柴邦彦)21歳。顔は青あざだらけ。殴ってきた男は、謙介が身をかわしたはずみに、階段を転落、死亡してしまった。傷害致死罪などが想定されるが、謙介は「正当防衛」を主張していた 。

 謙介と一緒にいた二人の友人から聴取した警察の調書は、謙介の主張を裏付けていた。久利生が、謙介の取り調べを始めるとほぼ同時に、謙介の身柄引き取りに、大物弁護士の坂ノ上(神山繁)が牛丸(角野卓造る)を訪ねてきた。坂ノ上は、代議士である謙介の父親の顧問弁護士でもあり、鍋島次席(児玉清)の友人でもあった。牛丸は、恐縮しきりだが、久利生は、謙介の完全黙秘から、何かを感じ、街に飛び出していった。慌てる舞子。牛丸に、「ついて行け」と命じられ、舞子は久利生を追った。

 久利生が本来処理する仕事を回され、それぞれ予定があった芝山や江上、美鈴や遠藤は、渋々と処理し始める。

 久利生は、正当防衛を裏付けた証言をする謙介の友人に会った。さらに、殴った男の務めていた和菓子店にも現れた。黙々調査する久利生。

 日も暮れ「迷惑な奴」と芝山たちは思うが、納得するまで久利生は捜査を止めようとしない。手を大切にする菓子職人が、いきなり人を殴るか?K1選手でもないのに、十発も連続して殴れるか?。久利生の中で疑問が広がる・・・・。


第3話 2001年1月22日「恋という名の犯罪」 視聴率 30.8%
 行きつけのバーで、江上(勝村政信)と舞子(松たか子)が話しているそばで、久利生(木村拓哉)は、テレビを見ていた。すると、店の隅のテーブルで男女が言い争う声。ふと見ると、女性から別れ話を持ち出されたらしい男性が逆上、次第に暴れ出し、近くにあったステーキナイフを手にして女性に切りかかろうとしていた。久利生が男性に飛びかかり、事態を治めた。

 翌日、久利生の前に引き出された加害者の男性・宮川雅史(宮迫博之)はシュンとしておとなしい。「なんであんなことを」という久利生に、料理を作ってくれ、そのうえ「生まれ変わっても一緒になろうね」と その女に言われたと情けなく話す。

 一方被害者の女性・島野紗江子(森口瑤子)は料理研究家として最近注目されていた。久利生には「彼への気持ちがさめたんです」とそっけなく話した。取り調べが終わり、久利生の部屋から出てきた紗江子の美貌やスタイルに事務官の遠藤(八嶋智人)や末次(小日向文世)はうっとり。そのうえ、美鈴(大塚寧々 )が不格好にむいたリンゴを見つけた紗江子が鮮やかにリンゴをむき、「さすが」と感心する。舞子も仕事に打ち込みたいという紗江子を尊敬のまなざしで見る。

 ところが、紗江子の身辺を調べると、結婚詐欺で複数訴えられていた。宮川同様、料理を作ってくれ「生まれ変わっても一緒になろうね」と同じ殺し文句を紗江子は男たちに話していた。

 結婚詐欺は、男女の気持ちが底流にあり、犯意の立証が難しいのが常識。それを理解している久利生は難しい事件の前に消極的。反対に舞子は「リングに上がる前、引き下がるK1選手」ときっぱり。

 久利生は、宮川をたきつけ、詐欺の被害届をださせるのだった。訴状を手に久利生は紗江子のキッチンスタジオに向かうのだった・・・。


第4話 2001年1月29日「彼に教わったこと」 視聴率 30.7%
 条件の良い弁護士転身を希望する芝山(阿部寛)が大手弁護士事務所から、打診を受けているとき、舞子(松たか子)は江上(勝村政信)らとともにストーカーに殺害された若い女性の解剖に立ち会っていた。真剣な眼差しの舞子だが、江上は時折、もどしそうになる。

 容疑者の小山田秀二(北山雅康)は腰を強打し動けないことから入院中だった。刑事の壇原段(宇梶剛士)は早く身柄を逮捕したかったが、江上は凶器の鋭利な刃物が見つかっていないことや、小山田が「被害者の部屋の前を通りかかったら、突然ドアが開き、抱きつかれた」、「隣の姉の部屋に行くところだった。やってない」と供述したことから、逮捕を見送ることにした。

 ところが、その小山田が病院から抜け出し逃げ出した。警察は抗議の文書が届き、牛丸部長(角野卓造)は自分も「責任を取らされる」とハラハラ。江上は、容疑者が逃げたことで「やはり犯人だったか」と自己嫌悪にも陥ってシュンとしていた。「検察の判断ミスか」「検察と警察の対立激化」などマスコミにも取り上げられる中、検事たちは、逃げた男が犯人なのか、別に犯人がいるのか、捜査に乗り出す。

 現場はマンションの三階。美鈴(大塚寧々)は舞子とともに、凶器を探すが見つからない。芝山は犯行の再現に取り組む。そんな検事たちの様子に「捜査ごっこ」と現場の刑事たちは馬鹿にした様子。

 久利生(木村拓哉)は、ストーカー殺人の現場近くにあるレストランで無銭飲食して捕まった男を取り調べていた。一日粘り、五十食以上食べた男に久利生は「よく食べるわ」とウンザリ気味。

 そんな中、友人宅に隠れていた小山田が捕まる。「犯行を自供した模様」とテレビニュースは伝え、ストーカー殺人の事件現場のマンションに住む小山田の姉 美奈子(森下涼子)が責任を感じ、自殺を図る。ちょうどその時、久利生や舞子がマンションに来ており、助けることができた。再度現場を確かめる久利生は・・・・。


第5話 2001年2月5日「二人きりの夜」 視聴率 34.9%
 不倫がもとで、検察職員が地方に飛ばされるという話で、城西支部はもちきり。美鈴(大塚寧々)の挑発に乗せられ、舞子(松たか子)は「大人の恋愛しています。相手には妻子があり・・・・・」と不倫交際宣言。事務官たちは「エッ!」とびっくり。舞子のことが好きな江上(勝村政信)はショック。牛丸部長(角野卓造)も部下の不倫は一大事とハラハラ。

 久利生(木村拓哉)と舞子が担当することになったのは、不倫関係の清算を妻と愛人を交え話し合っているうち、激昂して妻を切りつけた夫、矢口徹(小原雅人)の傷害事件だった。愛人の朝美(桜井幸子)も切りつけたのは矢口と証言していたが、被疑者の矢口は「二人はウソをついている。俺じゃない」と言い張るのだった。

 愛している男の弁護をしない朝美は何かヘン。直感した久利生は朝美に会いに行くことにする。舞子も渋々ついて行く。  朝美は千葉で旅館をやっている実家に帰っていた。久利生が、事件の経過を確認すると、朝美は調書の証言を繰り返すばかり。久利生は、朝美の持っている財布を偶然見て、何かおかしいと感じる。そして東京に帰らず、この旅館に泊まって一晩ねばると言い出す。舞子は、牛丸部長に呼ばれていることもあり、東京に帰ろうとする。が、「部長には不倫相手のことを聞かれるぞ」と久利生に言われ、舞子も仕方なく泊まることにする。  果たして久利生は朝美から新事実を引き出すことができるのか?


第6話 2001年2月12日「彼女の一番大切なモノ」 視聴率 36.1%
 深夜閑散とする東京地検城西支部。一人テレビを見ていた舞子(松たか子)は、通販番組を見て、思わず注文してしまった。通販にハマっている久利生(木村拓哉)を小馬鹿にしていた舞子だが、誰にも内緒で購入し、大切に持っていた。  久利生は、非番の警察官をチョットしたトラブルで刺殺してしまった被疑者を取り調べていた。

 いつものバーで、久利生が、他の客とダーツで遊んでいると舞子がやってきた。久利生と一緒にいた客真壁哲也(村井克行)は、スーツを颯爽と着こなすビジネスマン。真壁に誘われて、舞子はクラブに付いていく。カタブツの舞子が、ナンパについていくなんてと久利生も内心驚き。

 舞子と真壁がいい雰囲気で話していると、そのクラブに男たちが乱入。「皆、動くな!」と客に命令口調で指示し始めた。実は、この店は賭博容疑で摘発されたのだった。その混乱の中、舞子は買ったばかりの通販商品をバッグから落としてしまった。探す間もなく警察に同行された舞子。やっと事情聴取が終わると深夜。久利生が舞子をもらい下げに来てくれた。

 翌日、舞子は牛丸(角野卓造)に呼ばれ雷を落とされる。「賭博の現場にいるなんて」と牛丸はカンカン。そんなことより、舞子は通販で買った物がどこへ行ったか心配だった。舞子は警察署に行き、押収品リストを見せろと要求したり、摘発を受けたクラブに忍び込もうとする。事務官たちは、そんな舞子を見て「もしや、何かヤバイことでも?」と勘ぐり出す。そんな話を聞くにつけ牛丸は自分の「出世に響く」と胃がきりきりするのだった。

 久利生は、警察官殺しで新たに逮捕された太田川晋平(升毅)の取り調べを始めた。先に久利生が調べた男は、借金のため太田川の身代わりになったらしい。太田川は犯行時間に九州の温泉にいたとアリバイを主張。旅館も男の話を裏付ける証言をしていた。久利生はアリバイ崩しの捜査を始めた。押収したマッチの中に、賭博容疑で摘発されたクラブのマッチがあった。久利生は舞子とともにそのクラブへ向かう。


第7話 2001年2月19日「君に会えてよかった」 視聴率 34.5%
 末次(小日向文世)、遠藤(八嶋智人)、舞子(松たか子)ら事務官たちは、様々な仕事を検事たちに申しつけられ、日ごろの不満がたまっいる。「俺たちになんでも押しつけやがって」など、こぼす末次や遠藤だが、舞子は牛丸(角野卓造)が張り出した副検事任用試験の張り紙を見て、チャンスが来たと燃えるのだった。

 しかし、試験は事務官経験十年以上が暗黙の条件。舞子は、なんとか受験させてもらおうと、牛丸に頼みこむ。  城西支部に新しい事務官、正木(金田昭夫)がやってきた。正木は舞子とともに、久利生公平(木村拓哉)、美鈴(大塚寧々)の担当をすることになった。しかし正木はもうすぐ事務官を辞めてクレープ屋を始めようと計画していた。奴隷のような仕事はやっていられないと末次、遠藤も共鳴。一緒にやろうと話が盛り上がる。

 久利生は、痴漢事件の捜査をしていた。被疑者は大手貿易会社の専務の綿貫(寺田農)。綿貫は痴漢の常習容疑がかかっていいた。しかし綿貫は会社での自分の立場を盾にし、毎日車で通勤しているからと容疑を否定。名誉毀損、誤認逮捕で訴えると久利生に毒づくのだった。すべて、弁護士に指導されてのことだった。

 久利生が、執拗に捜査を進めようとすると、弁護士の神林(石丸兼二郎)は「起訴するなら、被害者の女性の過去を持ち出す」と脅してきた。

 被害者の女性、智美(松永玲子)は実は綿貫の会社の社員。しかし事件後不当に解雇されていた。そのうえ、智美が過去に不倫問題があった事実を裁判で持ち出すと脅かしてきたのだ。婚約者もでき、間もなく結婚する予定の智美。智美のことを考えると下手な動きはできない。汚いやり方に舞子は憤る。何かを思案する様子の久利生。そんな二人を見ている正木。

 久利生は、綿貫の運転手に、舞子は、綿貫の秘書にアタックするが、二人とも専務と口裏を合わせていて、壁は厚い。果たして智美を傷つけることなく、綿貫を起訴に持ち込めるのか?


第8話 2001年2月26日「過去を知る女」 視聴率 36.8%
 痴漢事件公判で、女性弁護士・巽江里子(飯島直子)に反論され、美鈴(大塚寧々)はぶ然として、城西支部に戻ってきた。その頃、久利生(木村拓哉)は、牛丸(角野卓造)から医療過誤事件を担当するよう命じられていた。医療過誤は立証が難しく検事たちは嫌っていた。

 城西支部に颯爽と現れた江里子は久利生と親しい様子。周囲の芝山(阿部寛)、江上(勝村政信)、そして舞子(松たか子)は2人の仲を詮索し始める。

 江里子に入れ知恵されたためか、被疑者の医師は一転否認に転じる。勾留すべきか、久利生が迷っていると、江里子が起訴か不起訴かと迫ってくる。そんな江里子に舞子は、「久利生検事はえん罪を作らないためにも、調べをきっちりします」ときっぱり言うのだった。

 久利生は、舞子とともに手術後死亡した被害者の家族に会い、続いて病院に出向いた。田所理事長(田山涼成)、笹本院長(津山應志)にも会うが、明らかに口裏合わせしていた。

 さらに久利生は、事件直後に病院を辞めた準看護婦がいることを突き止め、会いに行く。その準看護婦・淳子(木内晶子)は待遇の良い病院に勤めていた。これも、江里子の策らしい。事件の日のことについて語ろうとしない淳子だったが、久利生と舞子の懸命な説得でやっと重い口を開き「医療過誤があった」と証言した。医師を起訴した久利生。江里子も負けてはならじと、一層策を巡らし始める。

 いよいよ公判初日、証言に立った淳子は久利生の質問に、証言を一転させた。目が点の久利生、一方、江里子はニンマリほくそ笑むのだった。


第9話 2001年3月5日「俺がずっとそばにいる」 視聴率 34.4%
 出勤途中に石膏像が落ちるというハプニングに見回れた舞子(松たか子)、しかし彼女の話に全く関心が無い芝山(阿部寛)、美鈴(大塚寧々)ら検事、事務官たち。  しばらくして、宅配のピザが届けられた。「だれが頼んだのかしら」と、舞子が代金を払おうとすると、ピサの箱から突然モクモク煙が上がりだし、煙に紛れ配達人が棒状の物を振り回し、暴れ出した。男はすぐ逃げていったが、警察が現場検証に来るなど地検支部は、大混乱。

 久利生公平(木村拓哉)は、犯人が「カチカチ」という音をさせて逃げていったのが妙に気になっていた。舞子は、男の指先に緑の塗料がついていたのを覚えていた。久利生は「SMOKY」と書かれたピザ箱のデザインから、犯人像を推理し始める。

 牛丸(角野卓造)は「検察を襲うことは、法秩序に対する挑戦」と、記者会見で怒りを露わにする。その一方で、安全のため、単独行動はせず、一緒に行動するよう検事達に指示する。自分が狙われているかもしれないと疑心暗鬼になる城西支部の面々。

 眼鏡を壊してしまった舞子は、久利生と共に眼鏡店へ。「こっちが似 合う」「イヤ、かちっとしたものがいい」など、二人が眼鏡を選んでいると、久利生は舞子のバッグに、不審な箱を見つけた。耳を当てると、カチカチという音。危険と思った久利生は、人通りの少ない路地に箱を持っていく。案の定その箱はボンと爆発した。舞子は大怪我したかもしれない。久利生は一人で家に帰すのは危険と、自分の部屋に誘う。動揺して眠れない舞子を励ます久利生。さらに彼は犯人像を推理していた。そして、あることを思いつき、担当の高梨刑事(高橋克実)に指示すると、ピザ箱のデザインとよく似た特徴ある文字をいたずら描きしていた男、市村(相島一之)が捕まった。支部に来たピザ配達人はこの男と舞子も証言、証拠品も出てきて、牛丸らもホッと安堵の息。

 なぜ舞子を狙ったのかと、久利生が市村に問いただすが、市村は雨宮のことを知らない様子。ハッとする久利生だった・・・。


第10話 2001年3月12日「別れの予感」 視聴率 35.1%
 久利生(木村拓哉)は、人気女性キャスターを襲ったとして逮捕され、傷害罪で送検されてきた古田(高橋一生)を取り調べていた。「どうなんですか?」という舞子の質問にわずかにうなずく古田。久利生は取り調べ中、古田が小刻みにふるえているのを見逃さなかった。古田は「そんなことしてない」と小さく話した。自供から一転否認へ。久利生と舞子の捜査が始まった。

 被害者の女性キャスター榎本由起(羽田美智子)に会うと、自分を襲ったのは古田に間違いないという。古田は以前、不法投棄しようとしたところを由起に取材され、それが古田の動機と見られていた。しかし、久利生は証拠不十分を理由に古田を不起訴にした。

 しぶしぶ古田を留置所から出す矢口刑事(梅沢富美男)たち。この不起訴処分を不服として、由起は検察審査会に審査の申し立てをし、久利生は審査会に臨むことになった。会場を出てくると、二人は報道陣にもみくちゃにされる始末。検察への風当たりが強くなっているのだ。

 そのころ、テレビ局の由起のもとに脅迫状が届いていた。急遽、記者会見を開いた由起は「番組への挑戦であり、ヒーローを気取る検察官に失望」と手厳しい。

 その夜由起は再び何者かに襲われた。服装、特徴なども一致、同じ犯人とみられ、矢口刑事が古田の自宅を訪ねると行方不明。警察は「不起訴にするからだ」と久利生に反発を強める。

 さらに久利生に逮捕歴があったことが明るみになり、マスコミ、警察からもバッシングを受ける久利生。一向に久利生は気にしてなさそうだが、舞子は心配していた。

 古田はどこに行ったのだろうと考えていた久利生のもとへ古田から電話が入った。「検事さん、僕は本当にやっていないんだよ・・・」  電話口からパトカーのサイレンが聞こえ、電話は切れた・・・。追いつめられた古田は?そして窮地に立たされている久利生は?


最終話 2001年3月19日「最後の事件」 視聴率 36.8%
 キャスター暴行事件で、結果的に世間を騒がした久利生(木村拓哉)に対するバッシングが高まった。鍋島次席(児玉清)と牛丸(角野卓造)は、久利生自信は間違ったことはしていないと、高検検事を説得するが、やはり何らかの処分をしなければならない状況が生まれていた。検察上層部は久利生を転勤させる決定を下す。

 久利生と舞子(松たか子)は、サッカースタジアムで警備員が刺殺された事件の現場検証、関係者の事情聴取をしていた。被害者は同僚たちから良くは思われてなかったらしいが、久利生には刺される理由がわからなかった。そこに被害者の息子・良太(今野雅人)が現れる。母親もすでに無くなっており、独りぼっちになった良太の気持ちを考えてしまう久利生。

 転勤を命じられた久利生は、そんなことを気にかける様子もなく、取り調べを進める。警備員刺殺事件の被疑者は逮捕されているが、完全黙秘。動機もはっきりしない。そんな時、東京地検特捜部の検事城島和生(篠井英介)、庄野怜治(小木茂光)がやってくる。被疑者を優先して調べると言い出す特捜の検事たち。「なんで殺人事件に特捜が介入してくるのか?」と疑問を持つ久利生。エリート意識丸出しの彼らに、城西支部の面々も苦々しく思う。  良太が城西支部にやってきた。行くところがない良太だが、腕白ぶりを発揮。芝山(阿部寛)、江上(勝村政信)、美鈴(大塚寧々)らは振り回される。そんな良太のためにも、事実を明らかにしなければならないと強く思う久利生。

 特捜が乗り込んできたことで、一致団結する城西支部のメンバーは、久利生を応援しようと、警備員刺殺事件の捜査や、特捜が追う事件の中身を明らかにしようとと動き出す。そして久利生と舞子の必死の捜査で、この刺殺事件には、大物政治家がからんでいることが明らかになる。



特別編 2006年7月3日「今夜復活!!美しい海の町の怪事件に伝説の検事が挑む」 視聴率 30.9%
 鴨井産業の発展に支えられ、海が綺麗なところが特徴の山口県虹ヶ浦。そんな平和な町に殺人事件が発生、石垣島から札幌を経て虹ヶ浦支部に赴任した久利生は犯人と間違えられ留置所に入れられるという災難に遭ってしまう。まもなく虹ヶ浦支部に殺人事件の犯人逮捕の知らせが届く。

 だが被疑者として逮捕されたのは町一番の人格者として知られる鴨井産業専務・滝田明彦。滝田の逮捕に衝撃を受ける虹ヶ浦支部の面々の嘘であってほしいと願う気持ちも空しく滝田は罪を認める。だが滝田の供述に不可解な点を感じた久利生は鴨井産業の家宅捜索に踏み切ることに。

 久利生のやり方に戸惑い、虹ヶ浦の住民の反感と敵意を受けながら捜査を進める虹ヶ浦支部の面々。そして捜査の範囲は東京にも広がり、やがて久利生達は滝田が隠し通そうとした真実に辿り着く…。



第1期
キャスト
主要人物
久利生 公平(くりゅう - )〈27〉
演 - 木村拓哉
ラフなジーンズにダウンジャケット姿の型破りな検察官(検事)で、秋霜烈日章(本来はスーツの襟元に着ける)は、普段はジーンズのポケットにしまい、検察官の身分を示す際(事情聴取や容疑者に処分を言い渡すなど)にだけ、ポケットから出して提示する。独身。
最終学歴は中卒。高校中退後、大検を経て司法試験に合格、希望通り検事に任官した。

最初の任地である青森地検から、代議士の汚職事件で沸く東京地検城西支部に異動。10話で外見や言動、過去の逮捕歴などがマスコミで非難報道され、最終話で那覇地検石垣支部に左遷された(ドラマノベライズ版では小笠原支部。表向きは、報道とは関係ない人事異動)。特別編では、札幌地検を経て山口地検虹ヶ浦支部へと異動し、再び東京地検城西支部へ戻る。

雨宮 舞子〈24〉
演 - 松たか子
中村検事の担当事務官。1976年10月15日生まれ、独身。異動してきた久利生の担当も自ら志願して掛持ちすることになる(日々中村からは「二股」と揶揄されている)。

自立したキャリア・ウーマンに憧れ、検察庁の内部試験による検事(副検事から検事となる道)を目指している(が、それを江上に相談したために恋愛感情と勘違いされ、牛丸部長と検察上層部へ接待したことで不倫疑惑を持たれるなど、散々な目に遭っている)。

当初は有能なやり手と想像していた久利生に対し、中卒というだけで能力に疑問を持つなど、社会的地位や世間体に重きを置く傾向にあったが、久利生と数々の事件に携わっていくうちに男性として意識するようになる。

検察・事務官
中村 美鈴〈30〉
演 - 大塚寧々
日々「被疑者をいじめること」にやりがいを見出している女性検事。独身。担当事務官の雨宮とは対照的で、大人の女性の色気が抜群な色白美人。普段は猫を被っているが、性格はキツい上に毒舌。雨宮に仕事を押し付けて帰宅する。実は同僚の芝山検事と不倫中。末次事務官からは好意を抱かれているが、本人は「セクハラで訴えてやる」と発言している。赴任当初から久利生には好意的で、彼に想いを寄せている雨宮の気持ちにも気が付いていた。

芝山 貢〈36〉
演 - 阿部寛
主任検事。担当事務官は遠藤賢司。妻は良子(奥貫薫)。実は密かにタレント弁護士への転身を考えている(だが、第4話で大手弁護士事務所からヘッドハンティングの話を持ちかけられるが、最終的に検事続行を決意して断る)。ストレス解消の矛先は遠藤である(デコピンや暴言などを浴びせる)。

遠藤 賢司〈25〉
演 - 八嶋智人
独身。芝山検事の担当事務官。検察内部の情報(主にゴシップネタ)に詳しく、芝山には情報屋のように思われている(が、非常に口が軽い)。いい加減な性格な上に、適当発言連発で始末が悪い。検察の人間とは思えないチャラチャラした軽率な言動も見せる。かなり目立ちたがり屋。豪快に笑う。比較的久利生には好意的に接している(が、内心では「いずれ飛ばされて辞めさせられる」と思っている)。


江上 達夫〈32〉
演 - 勝村政信
東大卒業のエリート検事(その功績からフランス大使館でのパーティ招待状を得ているほど)。独身。担当事務官は末次隆之。本人は「エース」と呼ばれるのを気に入っているが、周りから上手く操られている場合が多い。少々プライドが高い上に人遣いが荒い。普段は年上の末次をさん付けで呼んでいるが、イライラすると呼び捨てして八つ当たりする(一方で末次からは影で「世間知らずな坊ちゃん」と揶揄されている)。

雨宮に好意を抱いており、彼女を自分に振り向かせようと様々な作戦を実行するが、ことごどく失敗している(おかげで未だに雨宮のメアドすら入手できていない)。


末次 隆之〈40〉
演 - 小日向文世
江上検事の担当事務官。バツ1。牛丸部長曰く「若い人には無い味がある」ベテラン事務官。中村検事に好意を寄せているようだが、当の本人からは「セクハラで訴えてやろうかしら」と言われ、完全拒否されている。普段は温厚だが、江上の機嫌次第で理不尽な内容や分量の仕事を突然言いつけられるため、時にはイラついて陰で「江上」と呼び捨てしている。

牛丸 豊〈50〉
演 - 角野卓造
検事及び城西支部検事部長。久利生らの直属の上司。元々個性豊かで曲者揃いの城西支部にあって、異色検事の久利生まで加わったことにより、常に胃腸薬を手放せないでいる。

鍋島 利光〈61〉
演 - 児玉清
東京地検の次席検事。久利生が検事を目指すきっかけとなった沼田検事と同期で、久利生の東京地検異動に関与したと思われる台詞があるが、明確では無い。なぜか久利生に大幅な信頼を寄せている。
マスコミ報道によって異動が決まった久利生を、最後まで庇おうとしていた。
城西支部の検事たちを、いつも暖かい目で見守っている。

その他
バーテンダー
演 - 田中要次
城西支部の検事・事務官達が行きつけのバー「St.George's Tavern」のバーテンダー。どんな注文(たとえそれが寿司やお好み焼きでも)を受けようとも「あるよ」の台詞でお馴染み。バーのテレビにはいつも通販番組が流れており、彼自身も通販好きな様子(手が空いている時にはテレビを眺めている)。
同一人物かどうかは不明なものの特別編にも(虹ヶ浦にある居酒屋の店員として)登場し、お決まりの「あるよ」以外にも「ないよ!」という台詞まで発しているが、そのメニューは「焼おにぎり」である。なお、鍋島次席検事とは古くからの知り合いのようである。

井戸 秀二
演 - 正名僕蔵
何となく頼りなさげな城西支部の守衛。作中で寝ているシーンが多く、勤務中に欠伸をしたりもする。城西支部襲撃事件ではピザ店員に扮装した犯人を確認もせずに通してしまい、制止も確保も出来ずに逃走を許すという大失態を仕出かす。しかし、夜遅くまで判例を調べる久利生が仕事に集中できるようにと後片付けを手伝ったりするなど、決して根は悪くはない。

大塚
演 - おかやまはじめ
第1話で久利生が担当した下着泥棒の事件に登場した人の良い巡査。久利生のおかげで(本人曰く)「初めて犯人を逮捕」することとなったため、以降「久利生さん」と呼び慕っている。その後の回にもたびたび登場し、久利生の部屋に泊まった雨宮の警護のため、一晩中ドアの外で立哨したことも。

通販番組のナレーション
声 - 矢沢亮介、阪井あかね
久利生や「St.George's Tavern」のバーテンダーが良く見ている通販番組の吹き替えナレーター。

スタッフ
脚本 - 大竹研(1)、福田靖(2〜4・6・7・9・11)、秦建日子(5)、田辺満(8・10)
演出 - 鈴木雅之(1・2・4・7・9・11)、平野眞(3・5)、澤田鎌作(6・10)、加門幾生(8)
プロデュース - 石原隆、和田行
協力プロデュース - 東海林秀文
企画協力 - 樹林伸
音楽 - 服部隆之
プロデュース補 - 榊原妙子、牧野正
演出補 - 加門幾生(1〜6・9・10)、長瀬国博(7〜11)、本間美由紀、洞功二、金成国
スケジュール - 梅沢利之
制作担当 - 青木啓二
制作主任 - 堺光範、中保眞典、松本幹之、稲葉裕紀、信平隆行、難波杏里
制作デスク - 市場美枝
記録 - 戸国歩(1・2・4・7・9・11)、河野ひでみ(3・5・8・11)、山田佳子(6・10・11)
編成 - 長部聡介
広報 - 大貫伊都子
技術プロデューサー - 佐々木俊幸
TD/撮影 - 増井初明
撮影 - 大石弘宜
スタジオカメラ - 篠田忠史、浅野仙夫、船橋正成、磯貝喜作
CA - 岩瀬寛
照明 - 田頭祐介
照明助手 - 保坂裕之、堀越路博、海老原靖人、堀川由美、荒川光代
音声 - 島田隆雄
音声助手 - 渡部満裕、池谷鉄兵
映像 - 桜庭武志
録画 - 今村信男
編集 - 田口拓也
編集助手 - 浅沼美奈子
ライン編集 - 大方泉
ライン編集助手 - 杉山英希
選曲 - 藤村義孝
音響効果 - 泉清二
MA - 古跡奈歩
技術プロデュース補 - 友部節子
技術デスク - 長谷川美和
スタジオ営業担当 - 中村彰
CG - 西村了
CG編集 - 青山洋詠(5)
美術プロデューサー - 柴田慎一郎
デザイン - 荒川淳彦
美術進行 - 森田誠之
大道具製作 - 吉野宏昭
大道具操作 - 竹田勝美
建具 - 阿久津正己
装飾 - 田原真二、福留克年
持道具 - 岩本美徳
衣裳 - 片岡英樹、宇高さおり
スタイリスト - 堀井香苗、塚田亜矢子、税田裕子、棚橋公子、岡島千景、城寶昭子、ICHIKO、坂本久仁子
メイク - 内野晶子、岡やす子、西巻千代江
視覚効果 - 高橋信一
電飾 - 井野岡利保
アクリル装飾 - 青木順一
生花装飾 - 相原るみ子
植木装飾 - 原利安
タイトル - 山形憲一

主題歌
宇多田ヒカル『Can You Keep A Secret?』(レギュラーシリーズのみ使用)


キャスト(特別編)
久利生 公平
演 - 木村拓哉
今回11年ぶりに殺人事件が起こった山口県のある町で真相を突き止める。

津軽 保
演 - 堤真一
虹ヶ浦支部での久利生の担当事務官(久利生が赴任以前は、りり子の担当事務官)。仕事は正確にこなすが、無気力で無愛想なため、周囲からは「変わり者」と噂されている。久利生と共に行動していくことで色々と振り回されながらも理解を深めていく。
毎日同じ服装であるにも関わらず清潔感が漂うため、久利生から不審に思われるが、真相は「同じスーツを5枚ぐらい持っているから」らしい。

泉谷 りり子
演 - 綾瀬はるか
東京へ強い憧れを持っている新米検事。子供の頃は悪を倒すヒロインものが大好きで、正義感も強かったため検事の道へ。東京での仕事経験のある久利生に興味を抱き、尊敬の眼差しを向けている(当初久利生のラフな服装を見て、憧れの強さ故に「クール・ビズ」とズレた解釈をしている程)。
田舎での仕事を嫌っており「東京でカッコよく仕事をしたい」と思っていたが、久利生と関わることで自らの考え方を変えていく。
久利生からは「根性と向上心はある」と評価されているが、かなりの天然娘。

小森 拓郎
演 - ベンガル
虹ヶ浦支部の事務官。良くも悪くもマイペースな平和主義者。
滝田送検後は、どこの店にデリバリーを注文しても「虹ヶ浦支部」の名前を出した途端に断られしまうため、かなり落ち込んでしまう。

村上 健太郎
演 - 鈴木浩介
りり子の担当事務官。饒舌で皮肉屋。おもにりり子のツッコミ役。当初は東京からやって来た久利生に対して皮肉ばかり言って馬鹿にしていたが、彼に関わっていくうちに事務官としての誇りを取り戻していく。
虹ヶ浦支部総出で滝田の証言を裏付ける証拠品探しをしている最中には海に数回落ちた。

寺本 篤史
演 - 鈴木拓(ドランクドラゴン)
警官。死体の発見者。久利生にニワトリを2羽同時に掴むやり方を教える。

嶋村 めぐみ
演 - 根岸季衣
養鶏場を営む女性。鶏冠で鶏の見分けがつく。鶏泥棒に鶏を盗まれた。

大藪 正博
演 - 石橋蓮司
地元選出の代議士花岡の秘書。

巽 江里子
演 - 飯島直子
久利生の司法修習生時代の友人で弁護士。久利生に頼まれ、東京へ捜査へ向かったりり子の案内役を任される。久利生と雨宮のその後を気にしている。

矢島
演 - 六平直政
虹ヶ浦警察署の刑事。久利生逮捕の際に陣頭指揮を執っていた。

居酒屋の店主
演 - 村松利史
虹ヶ浦支部の面々行きつけの居酒屋の店主。虹ヶ浦支部の面々にも好意的に接していたが滝田送検後は一変して敵意を表すようになる。

秋月 伶子
演 - 吉野公佳
鴨井産業社長の不倫相手。

鴨井 正樹
演 - 利重剛
鴨井産業の先代社長の息子で現鴨井産業の社長。先代社長や専務の滝田と違って苦労知らずな面があり、いまだガードが甘いところがある。

三ノ宮 隆史
演 - 坂田聡
殺人事件の被害者。職業はフリーター。警備員のアルバイトなどもしているが、「緑川祐司」名義で週刊誌などのフリーライターとして活動している。

実話パラダイスの関係者
演 - 大高洋夫
殺人事件で殺された三ノ宮が持っていた緑川の名刺に記されていた雑誌社の編集者。緑川の消息を求めて東京に捜査にきたりり子に、三ノ宮と緑川が同一人物だと教える。

鶏泥棒
演 - 佐藤二朗
鶏泥棒の常連として度々送検されている模様。鶏を2羽ではなく1羽しか盗んでいないと主張する。

西山 吾一
演 - 塩見三省
虹ヶ浦支部の支部長。虹ヶ浦支部の責任者。小森と同じく平和主義者で、物事が穏便に済むようにと願ってやまない。
実は「家族は彼に冷たく当たる」らしい。

古越 ひろ子
演 - 手塚理美
釣り宿の女将。滝田とは小学校からの同級生。

滝田 明彦
演 - 中井貴一
鴨井産業の専務。1962年4月5日生まれ。妻を10年前に癌で亡くしている。母子家庭に育ち、交通事故に遭い働けなくなった母親を雇ってくれた鴨井産業先代社長に恩義を感じ、鴨井産業に忠誠を尽くすようになる。謙虚な性格で、虹ヶ浦の住人から多大な人望を集める人格者だが殺人事件の容疑者として送検される。

雨宮 舞子
演 - 松たか子

中村 美鈴
演 - 大塚寧々

芝山 貢
演 - 阿部寛

江上 達夫
演 - 勝村政信

末次 隆之
演 - 小日向文世

遠藤 賢司
演 - 八嶋智人

牛丸 豊
演 - 角野卓造
5年前、久利生の同僚だった東京地検城西支部の検事と事務官の面々。

鍋島 利光
演 - 児玉清
東京地検次席検事。特捜の花岡の贈収賄疑惑に対する捜査失敗が話題となる中、久利生を城西支部に呼び戻すことを決断する。

井戸 秀二
演 - 正名僕蔵
城西支部の庁舎守衛。居眠り癖は連続ドラマ版のときと変わらず。

居酒屋の店員
演 - 田中要次
バー「St.George's Tavern」のバーテンダーと瓜二つの店員。久利生はバーテンダーの双子の兄弟だと思っている。

通販番組のナレーション
声 - 佐藤アサト・山岸功・茂呂田かおる
通販番組の吹き替えナレーター。

スタッフ(特別編)
脚本 - 福田靖
音楽 - 服部隆之
企画 - 石原隆、和田行
プロデュース - 鈴木吉弘、牧野正
協力プロデュース - 菊地裕幸
演出 - 澤田鎌作
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2011年12月27日

逃亡者 おりん 各話あらすじ

逃亡者 おりん(2006.10.20 - 2007.3.23)全21話

第一話 哀しみの母子草(※) 2006年10月20日 10.3%
徳川家九代将軍・家重の時代。暗殺組織「手鎖人」の一員として生きるおりんは、ある日自分が頭主・植村道悦の野望の手先だったと気づく。そして、死産だったはずの我が子が生きていると知った時、再会を果たすため“逃亡者(のがれもの)”となる決意をする。道悦の放つ刺客に追われながら、おりんの修羅の旅が始まった…。

九代将軍・徳川家重(小林 隆)は、幼い頃から影で愚鈍と囁かれ、側用人・大岡忠光(あおい輝彦)だけが彼の意思を理解していた。文武両道に優れていた弟の田安宗武(倉田てつを)はそんな兄を嫌い、密かに将軍の座を狙っていた。

八代将軍・吉宗の死後、植村道悦(榎木孝明)は散り散りになっていた元お庭番たちを秘かに集め、冷徹な暗殺集団「手鎖人」を作った。彼らの目的は、将軍・家重の命を守ること。元お庭番頭領だった古坂平九郎(大出俊)の娘・おりん(青山倫子)は、無実の罪で殺害された父の遺志を継ぎ、手鎖人として道悦の命に従っていた。
江戸城では、榊原内膳、堀田備前守の連続する暗殺事件が噂となっていた。謎の御家人・倉沢弥十郎(宅麻 伸)は、暗殺事件の背後に潜むおりんの不審な影に気づき始める。

ある日、おりんは道悦の命に従い、向島へ向かう。おりんを迎えたのは、かつてお庭番だった老爺・宇吉(左とん平)と幼い娘・お鶴。おりんはその日から、お鶴の母親として暮らすよう命じられる。始めはおりんに警戒していたお鶴だったが、次第に二人は心を通わせていく。しかし、お鶴は次の仕事に利用される道具だった。おりんは父・平九郎が殺された後、道悦の子どもを身籠るが、死産だったことを思い出す。手鎖人という悲しい運命を背負ってしまった人生にやりきれない思いを抱くおりん。

御公儀御用達の薬種問屋「三河堂」の隠居・仙右衛門(小林稔侍)は、お鶴の良き遊び相手。おりんも仙右衛門を父親のように感じるようになる。しかし仙右衛門は、吉宗の命を奪った毒薬を南蛮から調達した人物だった。仙右衛門暗殺の指示がおりんに下る。
そんな折、道悦の屋敷を訪ねた宇吉は、道悦が留守だと知りながら、こっそり庭から座敷に忍び込む。そして、吉宗の肖像が描かれた掛け軸を手に取った…。

一方、町に出ていたおりんは、大岡を乗せた駕籠が供侍たちを従えて民衆の前を通るのを目にする。突然、数人の百姓たちが竹に挟んだ訴状を掲げ、乗り物の前に飛び出す。駕籠の戸が開き、大岡が顔を見せた瞬間、町人の格好をした手鎖人・不動の合図で百姓たちが大岡に襲い掛かる。

何故、手鎖人が家重を守る立場の大岡を狙うのか…おりんは疑問を抱く。
江戸城では、幕府を狙う忍びの組織に対して、警戒が高まる。一命を取り留めた大岡は、総力を上げて犯人を捜すよう家臣たちに命じる。実はその裏には、道悦と田安宗武との策略が隠されていた…。

ついに仙右衛門を始末しなくてはならない夜、おりんは自分の任務に対する疑問を宇吉にぶつける。そして、自分が道悦の野望のために今まで利用され、しかも死産だったはずの我が子が宇吉によって生かされ、紀州根来で暮らしていることを知る。おりんは「お咲」と名づけられた我が子と再会するため、“逃亡者(のがれもの)”となることを決意する。
そのころ道悦は、床の間にあった吉宗の肖像画の掛け軸に隠された密書が盗まれているのに気づく。宇吉が訪ねて来たことを知った道悦は、おりんの裏切りによるものだと睨み、大岡襲撃の罪を着せて、おりん暗殺を目論む。やがて、道悦の放った刺客たちが、次々とおりんに斬りかかる!


第二話 哀しみの上意討ち 2006年10月27日 10.0%
紀州根来を目指し、小田原の街道を進んでいたおりん(青山倫子)は、突然、手鎖人の金剛(キラーカン)に襲われる。脇腹を斬られるが、必死に応戦し、金剛の眼を攻撃して逃げ去る。
やがて箱根の関所に辿り着くが、通り抜けるための手形がない。しかも、大岡襲撃の罪と仙右衛門殺害の罪で、“尋ね者”として自分の人相書が貼ってある。おりんはひとまず関所通過を見送ることに。

次第に雲行きが怪しくなり、寂れた小屋で脇腹の傷の手当をしていたおりんの元へ、雨宿りをしようと二人の武士、稲葉総十郎(大高洋夫)と大貫八兵衛(野中 イサオ)が立ち寄る。乱暴しようと襲い掛かった二人を、おりんは隠し持っていた小刀で抵抗。大貫の顔に傷を負わせ、小屋を飛び出す。しかし、二人に崖ぶちまで追い詰められたおりんは、足を踏み外し、崖下の渓流に転落してしまう。

翌朝おりんが目を覚ますと、傷を手当てされ、布団に寝かされていた。河原で倒れているところを漆器細工職人・望月佐平次(石橋 保)に助けられたのだった。熱でふらつきながらも旅を急ごうとするおりんを、佐平次と妻・綾乃(麻乃 佳世)はゆっくりしていった方が良いと優しく諭す。

一方、金剛はおりんを追って、箱根の関所に到達していた。おりんが関所に姿を現していないことを知った金剛は、おりんがきっとまだ箱根の山中のどこかにいると睨む。
その頃、自分の作った漆器を問屋に売りに出かけていた佐平次は、帰り道に人混みの中で稲葉総十郎の姿を目撃する。思わず物陰に身を潜めた佐平次は、木賃宿に入っていく稲葉の後をつける。稲葉と大貫は、藩主の意に背いて藩を逐電した佐平次夫婦を探していたのだった…。


第三話 哀しみの乙女恋唄 2006年11月3日 7.0%
旅を急ぐおりん(青山倫子)を追って、道悦(榎木 孝明)の放った手鎖人たちが容赦なく襲い掛かってくる。おりんは何とか逃げ切り、命からがら一軒の農家に辿り着く。
そこの住人・藤七(長門 勇)は、かつておりんの父・古坂平九郎の仲間で、現在は陰密宿となっている百姓家で孫娘のお初(岡 あゆみ)と暮らしていた。宇吉からおりんの事情を知らされていた藤七は、おりんを匿う。藤七は何も知らないお初に、おりんのことを「宇吉の孫だ」と紹介する。

一方、手鎖人の源太夫(菅田 俊)と貞次郎(藤重 政孝)は、血眼でおりんを捜していた。この土地の元締め・久兵衛に近づいて取引を持ちかけ、彼の舎弟の茂平(松田 悟志)らも協力することに。

そんなある日、お初は自分が身籠っていることをおりんに明かす。父親は茂平だった。地道に働かない茂平を嫌う藤七は激怒し、茂平に会うことを禁止する。
しかし茂平を心から慕うお初は、黙って家を飛び出し、茂平に会いに行く。お初は生まれてくる子どものためにも、茂平に百姓になって働いて欲しいと告げるが、茂平はおりんを捕えて一攫千金を狙うことしか頭にない。

二人が会っているのを目撃した貞次郎は、家に帰るお初の後をつけ、藤七の家でおりんを発見。茂平に一芝居打たせ、お初を利用しておりんを連れ出そうと企むが…。


第四話 哀紡ぐ女の里 2006年11月10日 7.5%
山道を急ぐおりん(青山 倫子)は、傷だらけの若い娘・舞衣(吉野 紗香)が、毛皮を纏った野盗3人(寅吉、与兵衛、茂十)に追われているのを目撃する。おりんに気づいた野盗らは、おりんにも攻撃を仕掛けてくるが、あっという間に蹴散らされて逃げ出して行く。

 舞衣は、織物を生産する“千寿の里”の住人だった。彼女を襲ったのは、男衆が出稼ぎで不在の里を狙う野盗・熊蔵(三夏 紳)の子分たち。彼らの狙いは、織物と女たちだった。おりんは傷ついた舞衣を背負って里に行き、住人・お藤(彩輝 なお)の計らいで、ひとまず里に身を寄せることに。

 一方、道悦(榎木 孝明)と早瀬(藤堂 新二)は、熊蔵の一味から、千寿の里におりんが隠れているという情報を得、熊蔵らを里に送り込む。
突然の襲撃に女たちは逃げ惑うが、おりんが素早く反撃。その強さにたじろいだ熊蔵らは、踵を返して逃げ出す。
 熊蔵一行が山道を逃げていると、突然目の前に弥十郎(宅麻 伸)が姿を現す。弥十郎は熊蔵に協力するふりをし、彼らの砦に潜入。彼らの本当の狙いが織物ではなく、千寿の里の裏山に眠る財宝であることを知る。
 その頃、千寿の里では、熊蔵から里を守るため、人質を差し出そうと話し合いが進んでいた。これ以上抵抗を続けていると、出稼ぎに行っている夫や子どもたちにも危険が及んでしまう…。舞衣は自分が犠牲になると名乗り出るが、お藤はおりんに白羽の矢を立てる…。


第五話 母が守った花嫁御寮 2006年11月17日 8.5%
おりん(青山 倫子)は疲れた身体を癒そうと宿を探すが、女1人では断られるばかり。その時、親切な家族に声を掛けられ、相部屋にしてもらえることに。しかし深夜、彼らはおりんに襲い掛かる。彼らは手鎖人・梵天たちだった。足を斬られたおりんは、命からがら逃げ出す。
 またもや暗殺に失敗したという知らせに、道悦(榎木 孝明)は苛立つ。容赦なく梵天を斬り捨て、鷹男(伊藤 高)と朧におりん暗殺を命ずる。

 一方、荒れ寺の境内で身体を休めていたおりんの前に、若い侍・溝口多聞(本宮 泰風)が現れる。警戒したおりんは、多聞が腰の刀に触れるやいなや、素早く鎖で彼の腕を斬りつける。驚いた多聞は、踵を返して走り去る。

 その頃、近くの山林では、若い女ばかりを狙った連続殺人事件が起きていた。事件を追う役人の前田信吾(西村 和彦)は、ある夜、足を引きずりながら宿を探すおりんに目を留める。「物騒な事件に巻き込まれないよう、早く立ち去れ」と忠告するが、おりんは激しい眩暈に襲われ、倒れてしまう。

 おりんが目を覚ますと、そこは信吾の家だった。信吾の母・照枝(宮園 純子)は、信吾の亡き妹・小雪とおりんを重ね合わせ、手厚く看病する。

 翌朝、旅に発とうとするおりんに、照枝はまだ縫いかけの白無垢を見せる。そして、小雪に着せようと思っていた白無垢に、一度だけ袖を通して欲しいと頼む。照枝の思いに心を打たれたおりんは、縫い上がるまで家にいることにする。

 一方、信吾は江戸から届いた人相書きを目にし、愕然とする。照枝を傷つけたくない信吾は、ひとまず何も知らないふりを装うが…。


第六話 雨の親子情話 2006年12月1日 5.7%
掛川付近の野原で、おりん(青山 倫子)は柄の悪い2人組みの男から逃げる飯盛女・お美津(高松 あい)を見かける。助けを求めてきたお美津を庇い、おりんは男たちを追い払う。
 お美津は父親が亡くなったと知り、売られた飯盛旅籠から無断で故郷に戻る途中だった。しかし、実家に戻ったお美津を見た母は、生活のために飯盛旅籠に戻るよう頼む。泣きながら家を飛び出すお美津に、おりんはなす術もない。

そこへ、品のよさそうな本陣(幕府御用達の旅籠)の主・樋口清兵衛(山田 明郷)と、老番頭の佐平が通りかかる。清兵衛はお美津の境遇に同情し、自分の旅籠で働けるように、飯盛の主に話をつける。清兵衛の旅籠で女中として働けることになったお美津は大喜び。

しかし、お美津には一つ心残りがあった。飯盛旅籠からの脱走に協力させた新八(渋江 譲二)を、その場に置いて出てきてしまったことだった。彼は今頃ひどい目に遭っているかもしれない…。話を聞いたおりんは、深夜こっそり、新八の働く問屋場の天井裏に忍び込む。そして、彼が1人になったところを見計らい、お美津が無事に暮らしていることを知らせる。おりんはお美津に会うよう勧めるが、新八はもはや身分の違う自分とは釣り合わないと告げて立ち去る。

翌日、「夜鴉の吉三(近藤 弐吉)」と呼ばれる盗人が清兵衛のもとを訪ねてくる。2人の話を盗み聞きしていたおりんは、清兵衛にただならぬ過去が隠されていることを知る…。


第七話 忍び草 2006年12月8日 8.8%
おりん(青山倫子)が逃亡を続ける中、植村道悦(榎木孝明)は尾張・徳川宗勝と将軍の座をめぐる密談を交わしていた。道悦は宗勝に、おりんが天下を揺るがす密書を持って逃げているとの情報を伝え、宗勝にその密書を手に入れさせようと仕向ける。しかも、尾張には土居下同心という藩主直参の陰密組織があった。道悦は、その土居下同心とおりんに殺し合いをさせ、最後にその密書を奪うよう、手鎖人・毘沙門(高杉勇次)に命じる。

その頃、おりんは浜松城下で賞金狙いの男たちに追われていた。そこへ、藩士・村上平蔵(伊吹吾郎)が通りかかり、見事な尾張柳生流の剣さばきで渡世人たちを斬り捨てていく。命を救われたおりんは、平蔵の家に身を隠す。
おりんは平蔵の母・楓(辻沢杏子)と息子・和馬に温かく迎えられ、一晩世話になることに。

一方、江戸では、大目付の有馬佐渡守が手鎖人・弁天によって殺害されていた…。
翌日、旅立つおりんを和馬が城下外れまで送ることに。楽しく談笑しながら歩く2人に、突然役人たちが追って来る。和馬の身を案じ、1人逃げ去るおりん。

やがて、おりんは離れ離れになっていた宇吉(左とん平)とお鶴と再会。和馬とも合流するが、役人たちで溢れた町を行くのは困難。ひとまず平蔵の家に戻ることにするが…。


第八話 裏切り者の掟 2006年12月15日 9.4%
手鎖人・無双らの襲撃から逃れたおりん(青山倫子)は、森の中の間道に迷い込む。
道悦(榎木孝明)が仕組んだ道だとも知らず、無我夢中で歩き続ける。
かつて手鎖人として生き、逃亡を図った鬼丸(永澤俊矢)は、死にかけたところをお花(宇津井香織)に救われ、今では百姓となって彼女と3人の子どもたちと共に幸せな生活を送っていた。

ある日、不穏な空気を感じた鬼丸は、沢を越えて森に向かう。すると、歩いてくるおりんと遭遇。突然の再会に2人は警戒し、睨み合うが、すぐに互いが逃れ者だと理解する。鬼丸はかつて任務中に起きたある事件がきっかけで、血を見ると怯えるようになっていた。いまだ心の傷に苦しむ鬼丸を、切なく見つめるおりん。

そんなある日、1人で河原へ魚を釣りに行った息子・三吉が家に戻って来ない。心配して探しに出た鬼丸は、河原で道悦と再会。道悦はかつて鬼丸が使っていた刀を手渡し、「子どもを返して欲しかったら、おりんを殺せ」と鬼丸に命じる。もう人殺しはしないと決めた鬼丸は、刀を土に埋め、必死に三吉を探し続けるが…。


第九話 激闘!御三家の陰謀(※) 2006年12月22日 7.6%
中山道三大難所のひとつ、木曽川の渡し場に着いたおりん(青山倫子)は、雨で足止めをくらい、川沿いの旅籠に泊まることに。その夜、狭い一室で客たちが雑魚寝していると、突然、黒瀬村若衆・栄次、美濃吉、三平が飛び込んできて、発砲する。3人は客たちを人質にとり、旅籠に立てこもる。

3人の目的は、尾張藩家老・桧垣将監(亀石征一郎)に木曽川の氾濫の元となる不正な伐採をやめさせること。彼らは旅籠の女将・お粂を桧垣の屋敷に行かせるが、桧垣は相手にもせずに追い返す。

お粂が戻ってくると、3人は客たちを殺そうとするが、客の中の1人、大河内逸馬(若林久弥)が止めに入る。同じく桧垣の不正に気づいていた逸馬は、3人に同情し、追っ手が来る前にここから逃げるように諭す。
旅籠を出たおりんと逸馬は、途中まで一緒に歩く。別れ際、逸馬は名を名乗り、道中何かあったら、尾張藩郡奉行の屋敷を訪ねるようにおりんに告げる。おりんは、「大河内」という名に聞き覚えがあるような気がした…。

やがて、林道を歩いていた逸馬は、草むらに栄次、美濃吉、三平が斬殺されているのを発見する。驚いて立ち止まると、そこに桧垣の腹心・鬼塚(宮内敦士)が現れる。鬼塚は、逸馬が桧垣の不正を江戸へ密告しに行くことを察し、家来たちを率いて逸馬の命を狙う。素早く応戦する逸馬だったが、一瞬の隙をつかれ、斬殺される。留めを刺したのは、道悦(榎木孝明)だった。逸馬の持っていた書状を読んだ道悦は、桧垣の屋敷に行き、不正を内密にする代わりにおりん殺しに協力してほしいと話を持ちかける。

一方、草薙新八、近藤安兵衛、宇都宮多聞ら、若い尾張藩士たちは、逸馬殺害の仇討ちをしようと、桧垣に怒りを向けていた。しかし、逸馬の父・大河内静秋(田村亮)は、軽率な行為を起こさぬようにと彼らを諭す。そこへ、おりんが大河内家を訪れ、逸馬の殺され方は道悦の仕業の可能性が高いことを告げる。おりんは大河内の好意で、一晩泊めてもらうことに。

翌朝、桧垣を囲み、大河内ら尾張藩の重臣たちが名古屋城に登城。そこへ田沼意次が現れ、来春にも将軍・家重(小林隆)が参上する旨を彼らに伝える。これは尾張藩の財政を圧迫させる狙いが隠されていた。大河内はすでに苦しい藩の現状を伝えるが、田沼は耳を貸さない。さらに、田沼は罪人であるおりんを捕らえ、引き渡すよう桧垣らに依頼する。

その頃、大河内の屋敷を出たおりんは、番人の立つ大木戸を前に、一芝居打って通り抜けようと狙っていた。しかし、旅籠にいた客・中川に偶然再会してしまい、役人に気づかれてしまう。おりんは素早く身を翻し、姿を眩ます。
おりんを逃がしたことを知った桧垣は、ある人物と手を結び、さらなる秘策を企てる…。


第十話 初恋は刀に散った 2007年1月5日 4.7%
おりん(青山倫子)海沿いの林の中で、幼い少女・お菊と出会う。高熱で苦しげなおりんを心配するお菊。その時、突然手鎖人・才蔵(村井克行)と乙音(矢松亜由美)が襲い掛かってくる。おりんは小太刀で応戦するが、さらに現れた手鎖人・木猿がお菊を人質にとる。おりんは瞬時に木猿に銀鎖を投げつけ、お菊を奪って走り去る。

 やっとの思いで粗末な漁師小屋に逃げ込んだおりんは、離れようとしないお菊を諭し、家に帰す。そして、じっと悪寒に耐えていると、そこへ才蔵が現れる。おりんは身構えるが、才蔵はただ薬を置いて立ち去る。

 その夜、才蔵と乙音は、年老いた盲目の手鎖人の頭・幻魔(佐川満男)に、計画が失敗したことを告げる。才蔵は幻魔におりんが逃れ者になった訳を訊ねるが、幻魔は詳しく話そうとしない。才蔵は幼少の頃から共に修行したおりんのことが気に掛かっていた。才蔵が去った後、幻魔は乙音に才蔵を見張るよう命じる。

 翌日、おりんが目覚めると、そこはお菊の父・友吉(高城薫)の家だった。旅を急ぐおりんは家を出ようとするが、お菊の母・お玉に(田村まどか)止められ、暫く休んでいくことに。そこへ、薬売りに姿を変えた才蔵が訪ねて来る。おりんのために薬を調合しながら、おりんに逃れ者になった理由を聞く才蔵。

 影で一部始終を見ていた乙音は、浜で遊んでいたお菊に近づく。やがて、それに気づいたおりんは浜に走っていくが、たちまち数人の手鎖人に囲まれる…。


第十一話 裏切りに哭いた愛 2007年1月12日 8.7%
おりん(青山倫子)は桑名に向かう最終の乗合船に乗ろうとするが、船頭に満員だと断られる。しかし、先に乗っていた客の1人、桑名藩筆頭家老佐久間内膳の娘・奈津(小田茜)がおりんを庇い、おりんは船に乗れることに。奈津は父親の使いで、熱田の宮にお神酒の奉納に行った帰りだった。そして、思いを寄せている者へお多福の根付をお土産として買ってきたという奈津の幸せそうな笑顔を、おりんは微笑ましく見つめる。

そんな中、おりんは乗客の中に、手鎖人の藤次とその仲間が紛れていることに気づく。おりんは何気なく藤次らに近づき、一瞬の隙に足に潜ませていた短剣で胸を突き刺す。夕方、桑名の船着場に到着すると、おりんは客たちに気づかれぬよう足早に立ち去る。

 その夜、おりんが桑名の城下町を歩いていると、「秦野屋」と書かれた店から、背中を斬られた男がフラフラと出てきて、おりんの目の前に倒れこむ。店の裏手にまわってみると無数の死体があり、そこから覆面をした男(大内)が走り去る。おりんが男を追いかけようとすると、額に黒子のある男・五兵衛(薗田正美)が現れ、おりんを犯人だと勘違いし、斬りかかる。おりんは難なく五兵衛に当て身をくらわせ、気絶させる。

 その頃、佐久間内膳(原田清人)の屋敷では、佐久間が家来の筧喬之助(夏原遼)から、秦野屋の事件を聞かされていた。次席家老・脇田外記(杜澤たいぶん)の仕業に違いないと睨む佐久間。一方、脇田は、配下の侍・大内から、五兵衛を取り逃がしたとの報告を受けていた。五兵衛が持っている書き付けを狙う脇田は、早く五兵衛を見つけ出すよう、大内に命じる。そこへ、手鎖人の刺客・百舌と小平太が現れ、脇田におりん探しに協力するよう、話を持ち掛ける。

 翌朝、佐久間は喬之助に五兵衛を探すよう言い残し、城へ向かうが…。


第十二話 母子・涙の仇討ち 2007年1月19日 9.1%
おりん(青山倫子)は山道で、武家の妻らしき女・柴田茜(平淑恵)と、その息子・新之助(佐藤晴彦)に出会う。脇腹を押さえて苦しそうな茜。新之助は、近くの村まで手を貸して欲しいと、おりんに頼む。そこへ突然、3人の野盗が現れ、おりんたちに襲い掛かる。新之助が応戦するが、おりんは正体がばれるのを恐れ、手が出せない。しかし、肩を斬られた新之助を見て、おりんが小太刀に手を掛けた瞬間、林道から謎の男・佐介が現れ、おりんたちを逃がして野盗に斬りかかる。

 おりん、茜、新之助は、山奥の村長の家に辿り着く。村長の与平(うえだ峻)と孫娘のお民(河野由佳)は、茜の病状に驚き、離れに住む医師・清庵(高橋長英)を呼ぶ。茜は清庵を見て、一瞬動揺するが、清庵は冷静に治療を施す。茜と新之助は、亡き父を殺した男を捜していた。探るような目つきで清庵を見つめる新之助。しかし、清庵はお民に、おりんや新之助の傷も手当てをするように指示する。

 手当てを受けて眠っていた茜は、目をつぶったまま切なげに「清十郎さま…」とつぶやき、手を伸ばす。その手を優しく受け止める清庵を見た新之助は、彼が父を殺した秋山清十郎であることを悟る。新之助は父の仇を取ることを誓うが…。


第十三話 伊賀・道悦の野望 2007年1月26日 8.2%
おりん(青山倫子)は手鎖人の多聞天の襲撃から逃れ、伊賀の里に足を踏み入れる。林の茂みに潜む忍びの存在に気づかぬまま、懸命に先を急ぐ。

 一方、おりんを探す多聞天(寺尾繁輝)のもとに道悦(榎木孝明)が姿を現し、伊賀の結界を破れば命を狙われることを伝える。そこへ、伊賀のお屋形・藤森長門(長門裕之)の使いが現れ、道悦を藤森の屋敷に連れて行く。

 おりんは、多聞天の刀に塗られていたとみられる痺れ薬のせいで、体に力が入らない。渓流の岩場に倒れこみ、意識を失ってしまう。その時、忍びの者・左源太(北原雅樹)が歩み寄り、おりんの胸元に姉様人形を見つける。何か思い当たった様子の左源太は、おりんを里の隠れ家で休ませることに。

 藤森の屋敷を訪れた道悦は、藤村に伊賀の結界を破ろうとした理由を尋ねられる。道悦
は自らの野望を明かし、伊賀の忍者も自分の配下にと考えていることを告げる。そうはさせまいとする藤森の合図で、道悦は命を狙われるが、素早く忍者を蹴散らし、瞬時に姿を消す。

 その頃、左源太と仲間の蜻蛉(大竹一重)は、眠り続けるおりんを見つめながら、この女が宇吉(左とん平)の話していたおりんだと確信する。

 そんな中、里を守ろうとする藤村と道悦との争いは激しさを増していき…。


第十四話 弥十郎悲しき再会 2007年2月2日 8.8%
未だおりん(青山倫子)を仕留められず、道悦(榎木 孝明)の怒りは頂点に達していた。道悦は手鎖人・烏丸(ブルート一生)らに、命をかけておりんを捕らえるよう厳しく命ずる。

 その頃、おりんはある山中の朽ちかけた社殿で、痛めた足の手当てをしていた。するとそこへ、百姓風の老婆・新田梅(水野久美)と甥の多吉(石沢 徹)が雨宿りをしようと入って来る。お梅は一人で旅するおりんを案じ、雨が止んだら一緒に自分の村へ行き、そこで養生するよう勧める。おりんは戸惑うが、お梅の強引だが温かい人柄に触れ、付いて行くことに。

 一方、弥十郎(宅麻 伸)もおりんの行方を追っていた。渓流沿いの道を歩いていると、突然女の悲鳴が聞こえる。声の方へ近づいてみると、武家の3人の男たちに、旅姿の女と幼い男の子が追われていた。親子が斬られそうになる瞬間、弥十郎が立ちはだかり、あっという間に3人を蹴散らす。

 逃げていた親子は、若狭の国小浜藩組頭・矢田重之進の妾とその息子だった。跡継ぎのいない矢田家の後継者争いに一方的に巻き込まれ、矢田家の親戚・及川達之介(前田耕陽)らに命を狙われていたのだった。お志乃(長谷川真弓)の素性を知った弥十郎は、故郷の村まで送ってやることに。

 やがて、おりんはお梅らに連れられ、のどかな農村に辿り着く。親切な村人たちに囲まれ、束の間の休息に浸るおりんだったが…。


第十五話 涙の姉弟酒場 2007年2月9日 8.4%
丸一日何も食べていないおりん(青山倫子)の体力は限界に達していた。それでも道悦(榎木孝明)の追っ手は容赦なくおりんに攻撃を繰り返す。

 名張の脇街道でめしや『たぬき』を営む女主人・おせん(有森也実)は、怠け者で賭け事ばかりする弟・為吉(佐藤亮太)に手を焼いていた。ある日、為吉は道端で倒れている男の懐から財布を盗み、何食わぬ顔でおせんの店へ戻る。しかし、それがおせんにばれてしまい、二人は財布を取り合う。その瞬間、財布に挟んであった紙片が床に落ちる。
ちょうどそこへ、地廻りの吉次(工藤堅太郎)が為吉の盗みを見抜き、店にやって来る。「それは捨ててあったものだ」と必死に為吉を庇うおせんの姿に、吉次は諦めて帰って行く。為吉は床に落ちた紙片をおせんに気づかれないように拾い、そっと懐に忍ばせる。

 そんな折、おせんは為吉が早く一人前になるよう道端の地蔵に祈るが、飛び出してきた男に供え物を盗まれる。そこへおりんが現れ、男を追いかけ、盗んだ物を取り上げる。

 おせんはお礼に、飢餓状態だったおりんを店に連れて行き、食事をご馳走する。おりんはおせんの好意で、一晩泊めてもらうことに。

 その夜、為吉は昼間盗んだ財布に挟んであった紙の文面を目にする。それはおりんの人相書だった。他人の空似だろうと気にも留めないおせんと為吉だったが、翌日、手鎖人の鉄鬼(城春樹)と六道(加藤久雅)がおせんの元にやって来る…。


第十六話 闇を裂く柳生の剣 2007年2月16日 8.5%
道悦(榎木孝明)の動きを不快に思う田安宗武(倉田てつを)と老中・森川土佐守(田中健)は、彼が狙う密書を先に手に入れ、鼻を明かしてやろうと企む。田安らは、兵法の名門・柳生家に協力させることに。

 依頼を受けた柳生藩・総目付の柳生陣十郎(伊吹剛)は、配下の者たちを集め、すぐにおりん(青山倫子)を捜すよう命じる。そして、手柄を立てた者には、身分に関わらず取立てがあることを告げる。
それを聞いていた配下の坂本平八(遠藤憲一)は、城下に木戸を設けて八方塞がりにする“八門遁甲の陣”を陣十郎に提案する。

 やがて平八の作戦が功を奏し、柳生藩の城下町に迷い込んだおりんは、瞬く間に柳生藩に囲まれてしまう。おりんは必死に応戦するが、次第に追い詰められる。その時、手突矢を放って道悦が姿を現す。密書を渡すまいとする道悦は手鎖人たちを率いて柳生らに襲い掛かる。平八は自ら道悦に斬りかかり、2人は激しく戦う。

 その隙に逃げ出したおりんは、とある村に辿り着く。小川に流れる水を夢中で飲み、横になるおりん。その時、近くで野良仕事をしていた百姓女がおりんに近づく。その女は、かつておりんが殺したように見せかけて逃がしてやった元手鎖人・お駒(今村雅美)だった。偶然の再会を喜び合う2人。

 おりんはお駒が今は武士の嫁になり、貧乏ながら幸せに暮らしていることを知り、心から喜ぶ。おりんはお駒を争いに巻き込んでしまうことを恐れ、すぐに旅立とうとするが、お駒はささやかな恩返しをしたいとおりんを引き止める。

 しかしその夜、おりんはお駒の夫が平八であると気づく。お駒も平八がおりんを狙っていることを聞き、何とか止めさせようとするが…。


第十七話 母娘哀しき大和路 2007年2月23日 8.5%
植村道悦(榎木孝明)が放った手鎖人から逃げるおりん(青山倫子)は、通りかかった茶店に潜り込み、裏手から逃げようとするが、見つかってしまう。その時、茶汲み娘が手鎖人の集団に目潰し粉を投げつけ、行商人らしき男たちが彼らを斬り倒す。呆気にとられて立ち尽くすおりんに、走り寄る仁兵衛(和崎俊哉)、お篠、剣吉、辰次。彼らは根来の里の衆で、宇吉(左とん平)からの知らせを受け、おりんを迎えに来たのだった。

おりんの行方が気になって後をつけていた弥十郎(宅麻伸)もそこへ合流し、また追っ手が来る前に、一刻も早く根来の里に急ぐようおりんに忠告する。しかし、仁兵衛らは何故か戸惑いの表情を見せる。

おりんらは仁兵衛を先頭に根来の里を目指し歩き出すが、途中で弥十郎は道が違うことに気づく。しかしおりんは自分の娘を育ててくれた根来衆を信じ、ひたすら仁兵衛に付いて歩き続ける。

その頃、大和郡山城では、城代家老・脇坂大膳(河原崎建三)が道悦からおりん捕獲の命を受けていた。脇坂は植村家の家来という身分を隠し、密かに藩に潜り込んでいたのだった。道悦はおりんが持っている密書を大岡忠光(あおい輝彦)や根来の衆に決して渡さないよう脇坂にきつく命ずる。

一方、おりん一行は船着場に到着する。仁兵衛はおりんに、舟で川を下り、どこか別の土地へ行って欲しいと告げる。彼らは、数日前に手鎖人の破道(大島宇三郎)と邪道から「おりんを匿うと里を消す」と脅迫されていたのだった。まだ見ぬ娘にどうしても会いたいと願うおりんだったが…。


第十八話 争奪!姉様人形 2007年3月2日 6.8%
 紀州にさしかかったおりん(青山倫子)。根来まであと少しという所で、またしても道悦(榎木孝明)の放った手鎖人たちがおりんを狙う。おりんは素早い反応で彼らをかわし、逃げ去る。

 一方、森の中を歩く弥十郎(宅麻伸)も手鎖人・火鬼(岡元次郎)と水鬼(縄田雄哉)に襲われる。2人から同時に攻撃された弥十郎だが、危機一髪というところでおりんに助けられる。しかしそこへ道悦が姿を現し、おりんを攻撃。おりんは弥十郎とともに何とか道悦を振り切り、走り去る。そこへ佐介がやって来るが、手鎖人・風鬼(棚橋幸代)に捕まってしまう。

やがて、崩れかけた炭焼き小屋に逃げ込んだおりんと弥十郎。おりんに肩の傷を手当てされた弥十郎は、痛みに耐えかねて意識を失ってしまう。
やがて目を覚ました弥十郎に、おりんは何故今まで自分を助けて来たのか訊ねる。彼は、ただおりんの旅の行方を見届けたかっただけだと言う。おりんは弥十郎に、自分は道悦の狙う密書など持っていないことを明かし、逃れ者となったいきさつを話し始める…。


第十九話 母と呼べぬ子・根来前篇 2007年3月9日 9.0%
おりん(青山 倫子)は手鎖人たちからの攻撃を避けながら、ようやくお咲(八木 優希)の住む紀州根来に辿り着く。

その頃、倉沢弥十郎(宅麻 伸)は和歌山藩付家老安藤帯刀の屋敷を訪れていた。密書を持つおりんと植村道悦(榎木 孝明)の両人を討とうと目論む安藤(安井 昌二)に対し、弥十郎は道悦一人だけで十分だと反論。しかし弥十郎が去った後、安藤はおりんと道悦を互いに殺し合わせるよう、目付の加納半蔵(中野 剛)に言いつける。
根来の里は、和歌山藩から大御所吉宗公を毒殺した古坂平九郎縁の謀反者の里と謗られ、他の村々よりも厳しい年貢の取立てを強いられ、疲弊していた。

そんな中、里に入ったおりんは、お鶴(遠藤 由実)と再会。お鶴とお咲は平九郎の姉の娘・桔梗(遠野 凪子)のもとで暮らしていた。おりんはついにお咲との再会を果たす。しかし、怪訝な表情で自分を見つめるお咲に、おりんは自分が本当の母親だとは名乗れない。お咲は桔梗のことを本当の母親だと思って育っていたのだった。そこへ、お鶴が宇吉から預かったという風車をおりんに手渡す。この風車は何を意味しているのか…。

その夜、おりんは意を決し、お咲に自分が産みの母親だと告白する。驚いて泣き出すお咲に、おりんはショックを隠し切れない。やがて、お咲が眠った後、おりんは桔梗に、このままお咲を育ててほしいと頼む。
翌朝、桔梗の家に手鎖人たちが襲いかかる。おりんは桔梗たちを逃がし、単身手鎖人に立ち向かう…。


第二十話 運命の対決・根来後篇 2007年3月16日 8.1%
将軍・徳川家重(小林隆)は田安宗武(倉田てつを)を登城させ、家臣らの前で、今後は自分が政治を仕切る旨を宣言。突然の家重の豹変ぶりに唖然とする大岡(あおい輝彦)、森川(田中健)、田沼(井澤健)ら幕閣達。

 一方、龍厳寺に身を寄せていたおりん(青山倫子)は無辺老師(津嘉山正種)から、道悦(榎木孝明)が無事であること、そして弥十郎(宅麻伸)は未だ消息が分からないことを知らされる。道悦を討ち倒す覚悟を決めたおりんは、悲しみを振り切り、娘のお咲(八木優希)の今後を無辺老師に託す。

翌朝、旅立ったおりんの前に道悦が姿を現す。おりんは小太刀で猛然と道悦に斬りかかるが、道悦の鋭い反撃に倒れこむ。そして、道悦がおりんに刀を振りかざしたその時、おりんに向かってお咲が走り寄って来る。おりんを「おっ母さん」と呼ぶお咲を見た道悦は、その子が自分の娘だと悟り、微かに動揺する。おりんはその隙に斬りかかるが、道悦は素早く身を翻し、姿を消す。

桔梗(遠野凪子)のもとにお咲を連れて戻ったおりんは、無辺老師に道悦との闘いの一部始終を話す。無辺老師は、和歌山藩付家老の安藤帯刀(安井昌二)の動きに気をつけるよう、おりんに告げる。

その頃、安藤帯刀は城で加納半蔵(中野 剛)から道悦がおりんとの闘いの最中に姿を消したとの報告を受けていた。不適な笑みを浮かべる安藤の思惑とは…。
やがて、おりんは道悦に再び闘いを挑むため、彼が身を潜める荒れ寺に向かう…。


最終話 江戸城大乱!明かされる陰謀(※) 2007年3月23日 10.1%
おりん(青山倫子)は我が子・お咲(八木優希)に会うことができたものの、これまで無残に死んでいった者達と父・古坂平九郎(大出俊)の無念を晴らすため、再び旅立った。
やがて宇吉(左とん平)とともに母・如春尼(梶芽衣子)が住む鎌倉の琳香院を訪れるが、母は3日前に江戸に旅立った後だった。そこへ突然、甲賀者の鵜飼孫六(川野太郎)が手裏剣を投げつけてやって来る。母が狙われていることを察したおりんは、すぐに江戸へ向かうことに。

一方、田安宗武(倉田てつを)の屋敷では、八代将軍・吉宗が大岡(あおい輝彦)の陰謀で暗殺されたとの噂が囁かれていた。それを耳にしたおりんは、事の真相を探ろうと、大岡と田沼(井澤健)が密会している屋敷に潜入。するとそこには母・如春尼の寺を襲撃した孫六の姿があった。
そんな中、吉宗の法事が執り行われ、お幸の方に付き添って如春尼も吉宗が眠る上野寛永寺を訪れる。一行が山門を通っていると、忍者姿の男たちが矢を放ち、如春尼らを襲撃。如春尼は肩を負傷したお幸の方(野田よし子)を庇い、逃げようとするが、激しい攻撃で行く手を阻まれる。するとそこへおりんが現れ、2人を逃がす。懸命に闘うおりんを気にかけながらも、立ち去る如春尼。

おりんが孫六と対峙する中、姿を現した倉沢弥十郎(宅麻伸)は、おりんにこの場から早く立ち去り、根来に帰らせようとするが、おりんは父の敵を討ちたいと告げる。すると弥十郎は、自分も吉宗暗殺の真相を探っていることを明かす…。

その頃、江戸城ではお幸の方を襲った首謀者が誰なのか、憶測が広がっていた。森川(田中健)に疑われた大岡は逆上。謹慎を命じられた森川は、評定所で裁かれ、やがて死に追いやられる。
そんな折、城に手鎖人らしき者が忍び込んだという情報が入る…。


(※)は2時間に拡大しての放送。
平均視聴率 8.27%(数字は関東地区・ビデオリサーチ調べ)


逃亡者 おりん (2008年)
第一週 紅蓮の巻 2008年9月19日 20:00 - 21:48 7.1%


第二週 烈火の巻 2008年9月26日 19:00 - 20:48 6.2%


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2010年10月14日

嬢王 第12話(最終話)

慎一に背中を刺された達也は、静香のマンションで知り合いの医師に応急処置を受ける。しかし、スキャンダルでR−1が台無しになることを恐れて病院に行こうとしない。激痛に耐え続けた達也は、高熱で意識を失ってしまう。
病室で付き添う彩に、達也は「俺の人生を賭けた夢、R−1に早く行け!」と送り出す。

ついにR−1は亜莉沙と彩の頂上決戦となった。最終日、2人の売上は同額。そこへ達也が現れ、「客への思い、キャストとしての信念をアピールするファイナルファイトを行う」と2人に告げる。

果たして勝利を手にするのは!?


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嬢王 第11話

麗華に1対1のトーナメント勝負で勝った彩は、今度は真帆と対戦することになった。真帆は慎一、麗華、メグと手を組み、彩を潰そうと企んでいた。

達也はレジェンドプロ会長の中坊に5億円の出資を依頼する。R−1の規模をさらに拡大し、日本一のキャバ嬢を決めるQ−1を立ち上げる考えを明かした。中坊は達也のようなパートナーが欲しかったと喜び、出資を約束する。

そんなある日、出勤途中の彩は待ち伏せしていた麗華とメグに襲われる。気絶していた彩が目を覚ますとそこはマンションの一室。両手首がベッドに縛られている。横には真帆、そして慎一の姿が!!


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嬢王 第10話

R−1も終わりに近づき、麗華は1対1の売り上げトーナメント勝負を達也に提案する。麗華の指名した相手は彩。負けたほうはR−1から降りなくてはならない。彩は勝負を受けると宣言した。

麗華はマクラ攻撃で客を掴み始める。真帆は彩にも、フリでいいからマクラ営業をするように勧めるが、彩は納得できない。

麗華は常連の小原に連日つきっきり。色仕掛けで気を引き、次々に水割りを飲ませる作戦だ。小原の部下・石川にも飲めない酒を無理やり飲ませようとするが、石川はすでにフラフラ状態。亜莉沙と彩が間に入るが、麗華の勢いは止まらない。彩は石川を庇って大量に酒を飲み、皆の前で潰れてしまう…。


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嬢王 第9話

彩は尾崎にアフターに誘ってくれるように頼み、最後に2人だけの時間を過ごした。尾崎は彩を騙すために近づいたことを謝る。「君とはもっと違うかたちで出会いたかった」という尾崎の言葉に目を潤ませる彩。

R−1も8週目を過ぎたある日、クラブ・ピアノに3人のレースクイーンがやって来る。メグは3人を自分のヘルプに入れ、彩の常連客を次々に奪ってしまう。

そんな中、メグの客・戸田がメグを喜ばそうと好物を持って来店するが、指名客が増ええたメグの応対は冷たい。傷ついた戸田を優しく慰める彩。そんな彩を見ていた他の客たちは、次第に彩を指名するようになり…。


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嬢王 第8話

尾崎は50億円で、クラブ・ピアノのサービスを含めた店全部とR−1の企画全てを買い取りたいと達也に申し出た。尾崎は慎一と組んで店を乗っ取り、達也をレジェンドプロの後継ぎ候補から消そうと企んでいたのだ。そして契約書には、彩をR−1の嬢王にすることが交換条件になっていた。 

達也は中坊に直接会い、店はどうしても譲れないと伝える。部屋の外で話を聞いていた彩は、達也の仕事に対するプライドと強い信念に感動し、思わず部屋に飛び込んで一緒に頭を下げる。

数日後、尾崎と慎一が達也に会いにピアノに来店する…。


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嬢王 第7話

彩と真帆は仕事帰りに、偶然ホテルのエレベーターに麗華と尾崎が乗り込むのを目撃してしまう。ショックを隠せない彩。  

一方、ホテルのスィートルームでは、麗華が尾崎に迫っていた。「店に来たのは中坊慎一の差し金でしょ!」と詰め寄る麗華。その時尾崎の携帯が鳴る。真帆からだった。
尾崎は急いで彩のもとに向かう。尾崎は、麗華に無理に誘われたことを説明して謝る。「一緒に夢をかなえよう」という尾崎の言葉に胸を熱くする彩。

そんな中、達也ら経営陣の間では尾崎の正体が明らかになっていて…。


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嬢王 第6話

彩はR−1で勝ち抜くため、伝説の女・真帆と手を組むことになった。真帆は彩に「男と女の駆け引きの勝ち方を教えてあげる」と言い、客の西田を誘惑する一部始終をホテルのクローゼットの中から覗かせた。彩は、裸の男女を目の前にしてショックを受けつつも、真帆への尊敬の思いを一層強くする。

R−1も5週目となり、トップは依然として亜莉沙。彩は10位。

そんな中、西田に連れられ、投資会社社長の尾崎が来店する。隣に座った彩を気に入った様子の尾崎。真帆は彩に尾崎と付き合うように勧める。彩も尾崎の誠実な対応に惹かれていくが…。


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嬢王 第5話

達也から「お母さんが倒れた」と知らせを受けた彩は、慌てて病院に駆けつける。美津子は濃い化粧姿の彩を見て、思わず背を向ける。「両親を助けるために始めたキャバ嬢だったはずなのに・・・」と落ち込む彩。

華やかなR−1の裏側では、彩に対するイジメが激しさを増していた。その様子をじっと見つめ、彩をかばう真帆。

しかし真帆の正体を知る達也は彩を呼び出し、「弱いやつは淘汰される世界だ。利用されないように自分の力で勝負しろ」と厳しく忠告する。

その夜、静香の家に泊まれなくなった彩は、真帆の部屋で一晩を過ごすことに・・・。


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嬢王 第4話

 彩はホテルの部屋で大神に犯されそうになるが、危ういところで意識を取り戻す。大神を信じていた彩はショックを受け、泣きながら部屋を飛び出してしまう。心配してホテルの外で待っていた達也は、傷ついた彩を優しく抱きしめる。

いよいよR−1グランプリが始まった。

素人っぽく目立たない彩とは対照的に、亜莉沙の人気はダントツ。彩はライバルたちの気合いに唖然としながらも、丁寧な接客を続けていく。

一週目が終わり順位表を見ると、彩はなんと2位。亜莉沙は彩を潰そうと、「彩はマクラ営業をしている」と噂を流す。そんな中、伝説の女と呼ばれる銀座トップホステス・橘真帆が現れる。


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嬢王 第3話

初々しさと純真さが受け、彩は指名を増やしていった。亜莉沙の客・大神昌志も、彩の元へ通うようになった。機嫌を損ねた亜莉沙は、エッチな客をあてがって彩をいじめる。

達也は「来週の売上げbPの者を、R-1の出場者とする」と宣言していた。残り1日になって1位は亜莉沙、2位はなんと彩。大神は彩の売上げを伸ばしてあげようと、高価なシャンパンタワーをオーダーした。

彩と亜莉沙の、熾烈な戦いの行方は!? それを冷静に観察していた達也は、ある決断を…。


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嬢王 第2話

クラブ「ピアノ」は、移店してきた亜莉沙の客で埋め尽くされていた。
「1日体験入店で場内指名を10本取る」という条件は、彩にとってほぼ不可能に思われた。
しかし性格のよい彩は、亜莉沙の客にも丁寧な接客を続ける。

そこに彩のボーイフレンド・直樹が、偶然来店した。
キャバ嬢になった彩の姿に、激怒する直樹。
彩を指名して直樹は説得にかかるが、彼女の決意は固かった。結局、別れを告げて直樹は去ってしまう。

彩はショックを受けるが、席に戻って笑顔で接客を続けた。 彩は結局、場内指名を恋と引き換えの1本しか取れなかった。「R-1は諦めろ」と言い放つ達也。

しかし翌日、彩に会いたいという客で店内は満席になった。


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嬢王 第1話

「R-1」とは六本木ナンバーワンのキャバクラ嬢、すなわち“嬢王”を決める賞金5千万円のグランプリ。

清楚なお嬢様風の女子大生・藤崎彩は、大学を中退してR-1への参戦を決意する。
中小企業を営む父親が、1億5千万円の負債を抱えて自殺未遂を図ったためだった。

クラブ「ピアノ」のオーナーで、R-1主催者の西崎達也が、彩の面接をした。素人である彩が入店する条件は、1日体験入店で場内指名を10本取ること。
ブラウスを脱ぎ、彩は華やかなドレスに着替える。
親友のキャバクラ嬢・静香に教えられながら、彩は体験入店に臨む。

ところが当日、歌舞伎町からキャバクラ嬢・二階堂亜莉沙が「ピアノ」に移店して来た。
店は亜莉沙を指名する客埋め尽くされていった。


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2010年10月12日

相棒 Season6 第19話(最終話)

2008年3月19日(水)8:00〜9:54pm
最終回2時間スペシャル「黙示録」

 死刑囚の錦貴文(久松信美)が獄中で死亡した。右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は病死であることを証明するための解剖に立ち合うが、右京は貴文の刑が19年間も執行されなかったことに疑問を抱く。

 25年前、解雇されたことを恨み、元上司の妻を包丁で刺すと家に火を放ち娘をも殺害した貴文。無罪を主張したが、いくつかの証拠が決め手となり死刑が確定していた。

 しかし、一方で貴文を無罪と信じる弁護士・茂手木(ベンガル)は再審を請求していたが棄却されていた。

 右京は当時の裁判官の生き残り、あの三雲判事(石橋凌)から事情を聞くが、三雲は正式な捜査でなければ、と多くを語ろうとしない。

 そんな折り、貴文の事件を担当していた黒木警部補(成瀬正孝)が何者かに殺害された。 

 刑が執行されなかった理由にこだわる右京に、小野田(岸部一徳)はそれとなく黒木殺害事件の捜査を促す。

 右京は小野田の勧めに従い、法務大臣を辞任したあとシスターに転身したゆり江(かとうかず子)に会いに行く。法務大臣時代は死刑執行命令書にサイン、その度に懺悔に言っていたというゆり江。しかし、あるとき貴文の教誨師をしていた神父から、無実を叫ぶ貴文に死を受け入れる心の教えをした、と告白されたという。神父は不適当だった、と教誨師を辞任。ゆり江も貴文の再審請求が棄却されてから、死刑執行命令書にサインできなくなり大臣を辞任した。

「誰だってそんなものにサインしたくない」。

 ゆり江は大臣時代の苦悩を右京に打ち明ける。

 黒木警部補に続き、貴文の母娘放火殺人事件を担当していた緑川検事(遠藤たつお)の他殺体が発見された。警視庁は合同捜査本部を立ち上げ本格的な捜査に乗り出すが、右京と薫は黒木と緑川に恨みを抱く貴文の父・文忠(林隆三)から話を聞く。

 アリバイはない、と言い切る文忠は証拠の矛盾を無視した裁判所への怒りを露にする。貴文の死刑が確定した年に妻を自殺で失った文忠。その怒りももっともだが…。犯人に感謝しているとさえ言い放つ文忠に捜査本部も疑惑の目を。右京も文忠を容疑者というが、薫はどうしても納得できない。

 右京と薫は茂手木を訪ね、文忠が言う証拠の矛盾について説明を受ける。決め手となった血液掌紋の指紋は不明確、靴痕にしてもスニーカーの量産品だけに貴文のものと決めつけるのはおかしい。茂手木は怒りを露にするが、逆に貴文は再審請求がダメになり達観するようになったという。自分は前世で悪い行いをした、だから現世で処刑されるのだ、と笑顔さえ浮かべていた貴文。茂手木の再審請求も最後まで拒み続けていたという。

 黒木警部補が殺害された当日、25年前の母娘放火殺人事件の関係者の指紋と何者かの指紋の照合を依頼していたことがわかった。が、誰の指紋と一致したのか?伊丹(川原和久)は文忠の指紋ではないか、と推理するが…。

 三雲判事が貴文の死刑が確定した年に離婚していた。貴文の死刑を待ち続けていた被害者の元恋人・飯田(ひかる一平)、妻を亡くした文忠、さらに茂手木、ゆり江、三雲…。25年前の事件はさまざまな人たちの人生を狂わせてきたようだ。
 
 文忠が東京地裁に緑川検事を訪ねていた可能性が高くなった。黒木警部補は25年前の事件の真犯人を突き止め、緑川検事に話した。そして殺害された…。右京は飛躍ともとれる推理をする。

 貴文が25年前の事件で現金を盗んでいたことがわかった。ということは、犯人の手元には今の札とは違うデザインの旧札があるはず。生活安全課の古物担当だった黒木はその旧札を売りに来る人間をマークしていたに違いない。そして、その人間の指紋を25年前の事件の関係者と照合させて…。

 さらに右京はゆり江から国も貴文が冤罪ではないか、という疑いを抱いていた事実を知らされる。だから刑が執行されなかったのか。さすがの右京も衝撃を受けて…。

 薫の追及に文忠が緑川検事を訪ねていたことを認めた。先に黒木警部補が大切な話があるとやってきたが、怒りが込み上げ追い返したという文忠。しかし、気になって改めて面会しに行ったが、黒木、緑川の姿に怒りが抑えられなくなり、そのまま会わずに帰ってしまったという。そんな文忠に2人の殺害容疑がかからぬよう、三雲が地裁の来訪記録を破棄したらしい。

 右京はそんな三雲に令状をとって欲しいと請求する。

「25年前の真犯人がわかりました」。

 右京の言葉に三雲の表情も一気に凍りつく。

 右京と薫は伊丹らと令状を手に飯田の自宅へ。捜索の結果、旧札の札束が多数発見される。指紋を調べれば飯田が犯人であることは明らかになる。そんな右京の言葉に飯田は犯行を自供、しかし事件は時効だと開き直る。

 が、今度は黒木が持ち出した25年前の飯田の指紋シートが発見された。指紋から真相をつかんだ黒木と緑川を殺害したのは、やはり飯田…。伊丹らは悔しげに自供する飯田を逮捕。右京はそんな飯田に事件の関係者が味わってきた苦しみを伝える。

 そして右京と薫は文忠をとともに三雲のもとへ。改めて無罪の息子を死刑囚にされ、妻を失った怒りをぶつける文忠。しかし、三雲もその苦しみを忘れぬよう判決文を常に持ち歩いていた。

「三雲さん、私はあなたを許します」。

 忠文の言葉に三雲はただただ涙を流して…。

 その三雲判事が裁判官を辞めることになった。つまり、かつて裁判員制度を止めるため、一人の人間を殺してしまった責任を、右京は三雲にとらせる形となったわけだ。

「残酷なことをするねえ」。

 そういう小野田に対して薫は右京を庇う発言をするが、実は三雲は右京が頼んだ令状のため、裁判官を辞めさせられるのだという。

「杉下の正義は時に暴走するよ」。

 小野田の言葉に言い返せない薫。

 そんな薫はつとめて明るく右京に語りかけるのだった。

「ラーメン食いません?」。


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相棒 Season6 第18話

2008年3月12日(水)9:00〜9:54pm
第18話「白い声」

右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は、調布のマンションでの殺人事件への捜査協力を求めるビラを手に入れる。が、調べてみたものの、警視庁のデータベースにそんな事件は存在しない。ビラを配っていた男性=中津留(山本亘)によると、娘の順子がマンションの自室でストーカーに殺害されたのだと言う。しかし、所轄署の熊沢刑事(上杉祥三)の判断は急性心不全による病死だった。それで警視庁のデータベースになかったらしい。

現場のマンションの部屋を調べた右京と薫は、タンスの下に隠れた円状のシミを発見する。さっそく鑑識に検査を依頼すると、青酸ソーダとオレンジジュースの成分が検出される。何者かがオレンジジュースに青酸ソーダを混入、順子に飲ませた可能性が高い。さらに部屋のドアから何者かの耳の紋=耳紋が発見された。どうやら犯人が耳をそばだて部屋の中をうかがっていたらしい。

 右京と薫は内村(片桐竜次)から捜査を中止するよう命じられるが、薫は病で倒れた中津留に右京と2人で必ず犯人を捕まえると誓う。

犯人はどのようにして順子に青酸ソーダ入りのジュースを飲ませたのか。右京と薫は順子のバッグを手に1日の行動を辿る。彼女が日常利用していたバスに乗ると、右京はこっそりバッグの中のペットボトルを入れ替え、カギを抜き取る。つまり毒入りのジュースをバッグに入れ、抜き取ったカギで型を取り合鍵を作ることも可能なわけだ。
バスが城南大学の理工学部の前で停まることがわかった。そこなら実験用の青酸ソーダもある。薫は城南大学の学生がバスの中で順子に片思い、何かの理由で殺害にいたったのではないかと推理する。

右京らはバスを降りると、その大学の助手・三田村(西川忠志)に青酸ソーダの盗難、紛失などなかったか確認するが、しっかり管理ができているらしくそんな事実はないという。やはり学生を犯人とするには無理があるのか…。

心臓を患っていた中津留が急死した。絶対安静という医師の指示を無視してビラを配り、順子のマンション前で倒れたらしい。そんな中津留の死に疑問を抱いた右京は解剖を依頼。さらに中津留がかつて勤めていた工場に出向いていた事実をつかむ。中津留が工場から青酸ソーダを盗み出し、どうやら自殺したらしい。つまり中津留は自らの死で自殺や他殺が病死で処理されることを証明したわけだった。そんな事実を突きつけられた熊沢だが、あくまでも順子は病死だと言い張る。

順子の不審死が東京23区内での出来事なら、遺体は解剖され正確な死因が特定できたはず。犯人はその事実を知っており、あえて調布市で順子を殺害したのでは?もしそうなら警察の判断ミスを予想していたことになる。さらに他にも同じような手口で何者かを殺害している可能性も…。右京らは毒殺の疑いがある過去の変死者を調べ直し、順子が死ぬ1ヶ月前に城南大学の教授が急性心不全で死亡していた事実をつかむ。

 助手の三田村が実験で使用する量より2g多く青酸ソーダを入手していた事実をつかんだ右京と薫は、三田村に教授と順子殺害の自供を迫る。しかし、三田村は頑として否定。ドアの耳紋が自分と一致しても証拠にはならない、と言い張るが、右京らが指摘する前に「オレンジジュースに毒など入れない」と口走ってしまう。なぜ順子が飲んだジュースがオレンジとわかっていたのか?右京に指摘された三田村はすべてを自供する。

 右京らから報告を受けた熊沢は、自殺する直前に中津留から手紙を受け取っていたことを明らかにする。

「あなたたちには、順子の声が聞こえませんか。焼かれて、真っ白い灰になった順子が、悔しい、悔しいと叫んでるのが聞こえませんか…」。

 手紙につづられた中津留の悲痛な叫びに、右京と薫は改めて無念さをかみ締めるのだった。


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相棒 Season6 第17話

2008年3月5日(水)9:00〜9:54pm
第17話「新・Wの悲喜劇」

 美和子(鈴木砂羽)がスキーで足を負傷、動けなくなってしまった。さぞや不便をしているのではないか、と右京(水谷豊)とたまき(高樹沙耶)は料理を持って亀山家を訪ねる。

 マンションの前で薫(寺脇康文)と出会った右京とたまきは、亀山家の一つ上の階に住む主婦・白鳥寿々美(中島知子)を紹介される。どうやら薫は寿々美にも右京のことをしゃべっているらしい。それぞれの部屋へ向かう途中、4人の話題は犯罪の検挙率に。およそ30%という低さに驚く寿々美。が、右京は殺人事件については約96%で、人殺しはほぼ間違いなく捕まっているとクギを刺すように付け加える。

 ほどなく亀山家には角田課長(山西惇)も見舞いに訪れ、部屋は一気ににぎやかに。

 やがて夜も更け、白鳥家にも夫の晋三(徳井優)が帰宅する。いつものように食事をして風呂に入る晋三。が、突然風呂場の明かりが消えてしまった。停電かと思われたそのとき、寿々美が細かく砕いたドライアイスを浴槽へ、そのままドアを閉めてしまう。

 しばらくしてドアを開けると、二酸化炭素中毒で意識を失った晋三の姿が。寿々美は晋三を浴槽に入れると、ドライアイスで冷えたお湯を沸騰させて…。

 救急車の音に驚いた右京と薫が白鳥家へ向かうと、晋三が風呂で大やけどを負ったという、戸締まりもせずに病院へ行った寿々美の部屋で留守番をすることにした右京と薫。何気なく部屋の様子を見回すと、風呂場から続く足跡が。どうやら寿々美のものらしいが、辿っていっても部屋の電話機へと続いていない。携帯にも119番への発信はなく、寿々美はどうやって通報したのか? 不自然な状況に右京らは、寿々美に疑惑を抱く。

 右京と薫は病院へ行くと、治療中の夫を待つ寿々美に質問を。首まで熱湯につかっていた夫を助けるため、水を入れ、湯があふれたことを確認、足跡が残った理由もわかった。ということは、あの足跡が寿々美のものである可能性が高い。どこから寿々美は119番通報したのか、という右京らの質問に寿々美はしどろもどろに。ここで右京は夫がゆで上がったのを確認してから119番へ通報、そのあと浴槽に水を入れるなどの工作をしたのでは、と自らの推理をぶつける。これなら寿々美の不自然な動きも理解できる。

 しかし、寿々美はあくまでもシラを切り続けて…。

 寿々美の夫・晋三が死亡した。告別式の日、右京らはドライアイスを寿々美の部屋の冷蔵庫から発見。そのドライアイスを湯船にぶち込み、夫の意識を失わせたという殺害方法を明らかにする。遺体を解剖に回すと迫る右京に進退窮まった寿々美。いよいよ自白か、と思われたそのとき、寿々美の目が覚めた。夫の帰宅を待つうちに居眠りをしてしまったらしい。

 その夫の帰宅を知らせるチャイムにドアを開けると、突然男が襲いかかってきた。悲鳴をあげて逃げ回る寿々美。偶然やってきた右京と薫になんとか救われる寿々美。そこへ夫の晋三が帰宅した。

 しかし、カギを忘れたという晋三はチャイムも鳴らさずに部屋へ入ってきた。普通ならチャイムを鳴らし、カギが開いていることで異変を感じ取るのではないか。右京がそんな疑惑を口にし、やがて暴漢が薫に捕まったことがわかると晋三の一気に動揺し始めた。

 実は暴漢は晋三がインターネットを通じて依頼したのだった。が、晋三は寿々美に殺意を感じ、先手を打った正当防衛だと言い張る。

 やがて防毒マスクやドライアイスが見つかり、右京は寿々美が夫に殺意を抱いていたことを確認する。

「今夜はどうか、ご自分の幸運に感謝を。実行に移すチャンスに恵まれなかったことを」。

 右京の言葉に寿々美は思わず涙を流すのだった。


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相棒 Season6 第16話

2008年2月20日(水)9:00〜9:54pm
第16話「悪女の証明」

 外務省の外交費不正流用が明るみになる中、外務省職員の草葉(奥田達士)がビルの非常階段から転落死した。草葉は15時に現場ビルで何者かと待ち合わせをしていたらしい。さらに不正流用問題で矢面に立たされている山浦事務次官(堀内正美)の子飼いの部下であることがわかった。

 右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は山浦から話を聞くが、山浦は外交費の不正流用などない、と強く言い切る。その言葉は、衆議院議員の雛子(木村佳乃)への非難ともとれるのだが…。

 もともと雛子と山浦は激しく対立していたが、今回の不正流用問題を追及していたのは雛子ではなく、雛子とは同じ超党派の政策集団に所属する野党議員だったはず。なぜ山浦は雛子を非難するようなことを言ったのだろうか?

 事件当日、現場近くのホテルで雛子らが集会を開いていたことが判明した。集会会場から現場まで15分もあれば往復できる。とはいえ、事件当時、雛子は講演の真っ最中だった。

 右京らは雛子に事情を聞きに行くが、雛子は自らのアリバイを主張。事件とは無関係とやんわりと突き放す。

 草場が外交費流用問題の内部告発者である可能性が出てきた。とすれば、雛子が草場から情報を入手、野党議員に流し追及させていたとも考えられる。右京は雛子の事件当日の講演テープを聴き、講演がテープであることを確認。雛子のアリバイを崩す。

 しかし、転落現場を改めて検証した右京と薫は、ホテルの13階にある雛子の控室から現場が丸見えであることをつかむ。右京は自らの推理に誤りがあることに気付き…。

 雛子の指紋が現場から発見された金属片に残された部分指紋と一致した。勢いづく伊丹(川原和久)ら捜査一課だったが、どうやら角田課長(山西惇)から右京らの推理を聞き捜査していたらしい。

 特命係あてに謎の差出人から山浦と記者の倫恵(山口香緒里)がデートする写真が送られてきた。どうやら2人は親密な関係だったらしい。さらに事件当日、倫恵が雛子にペンを貸している写真も。

 右京はビデオから事件発生直前まで山浦が現場ビルにいたことを確認。さらに薫を通じて美和子(鈴木砂羽)から倫恵が雛子の講演が始まるやいなや、席を立っていたことを確認する。

 倫恵から取材を受けている雛子を訪ねた右京と薫は、事件当日雛子が控室で草場から情報を受け取る予定だったことを指摘。その草場が自分に情報提供者になるよう近づいた倫恵が、隣のビルで山浦と一緒にいるところを目撃。倫恵が二重スパイであると悟ったのだと推理を披露する。動揺した草場は倫恵に詰め寄るが、もみ合ううちに草場が転落して…、というのが事件の真相だった。雛子の指紋が残っていた金属片も倫恵のペンのクリップ部分であることが判明。倫恵もすべてを認める。

 しかし、報道は山浦と草場、倫恵との三角関係が動機、とだけ伝えた。雛子は草場から情報提供の依頼があったが会えなかった、と巧みに事件から逃れる。実は右京らが事件を解決するヒントとなった写真も、雛子が政治記者の鹿手袋に撮らせたものだった。

 それとなくそんな雛子のやり方を察知した右京は、雛子に諭すような言葉を投げ掛ける。

「片山雛子という人間は身の回りで事件が起きるたびに、それを逆手に取り、まるで糧にするかのように大きくなっていく人間だということです」。

 雛子は右京の言葉に「ほめ言葉と受け取る」と答えると、怜悧な視線で見返すのだった。


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相棒 Season6 第15話

2008年2月13日(水)9:00〜9:54pm
第15話「20世紀からの復讐」

 ダンボール箱に仕掛けた爆弾を遠隔操作で爆発させる連続爆弾事件が発生。その犯人が今度はコンビニに置かれたダンボール箱に爆弾を仕掛けた!

 犯人はコンビニ店員の佐藤(近藤公園)に電話をかけ、客を人質にとるよう指示。偶然居合わせた薫(寺脇康文)も人質となってしまう。

 現場に駆けつけた右京(水谷豊)は、鑑識の米沢(六角精児)から、犯人は半径1km圏内でしか操作できない受信機を使用していることを知らされる。ということは、犯人はコンビニから半径1km以内にいるということか。

 
が、犯人の携帯の電波を辿ると9km離れた場所を移動していることがわかった。さらにこれまでの爆破は人気のない場所だったのに対して、今回犯人は他人と接触する危険を冒している。右京は犯人の行動に疑問を抱き…。

 佐藤の妻・美登里(吉村涼)が現場へやってきた。佐藤と別居を決意、家を出ようとした矢先の事件だったという。その佐藤が犯人と交渉、自分以外の人質を解放することになった。

 しかし、刑事としての責任を感じる薫は佐藤とともに店内に残るという。それは困る、と佐藤と押し問答をしていると、薫の携帯が鳴った。なんと電話の主は本物の爆弾魔。男は薫に自分が誰かわかるか、と問い掛ける。どうやらこれまでの爆破も薫と関係があるらしい。

 突然のことにうろたえる薫。困惑していると、新たなヒントだと今度はバイクが爆破された。伊丹(川原和久)らが追っていた犯人の携帯の電波も消えた。店内の様子がわからない右京らは、複数犯の可能性すら考え始めるが…。

 実はコンビニの爆弾事件は妻を引き止めたいがための佐藤の自作自演だった。こっそりと爆弾魔に告白する佐藤だったが、爆弾魔はお構いなし。焦る薫に自分を思い出せ、と迫る。

 薫から連絡を受けた右京は爆破が起きた3箇所から薫の捜査一課時代の事件に関連があるのでは、と推理。捜査一課は薫が担当した過去の事件を洗う一方、薫も懸命に記憶を辿る。

 爆破されたバイクの車種を聞いた薫が、伊丹と犯人追跡のためバイクを借りていた事件を思い出した。爆弾魔の正体はそのバイクの持ち主・坂崎(本田大輔)。薫に人生をボロボロにされた、と復讐しに来たという。

 坂崎は身体に爆弾を巻き付け、なんと美和子(鈴木砂羽)を人質にコンビニに姿を現す。

 8年前、薫が借りた坂崎のバイクには彼女に手渡すはずの指輪があったという。その日、ミレニアムのカウントダウンをしながら渡す計画が台無しに。彼女とうまくいかなかった坂崎は以来、何一ついいことがなかったという。それもすべては薫がバイクを奪ったせい…。

 怒りも露に坂崎がスイッチを押そうとしたその時、佐藤の妻・美登里が現れた。実は坂崎が指輪を渡そうとしていた相手とは、当時独身だった美登里だった。美登里も母親が病気でミレニアムの会場へは行けなかった、けっして坂崎から逃げたわけではない、と告白。思わぬ事実に脱力した坂崎はあっさり薫らに逮捕される。

 佐藤の自作自演も明らかになったが、美登里はそんな佐藤の愛情を改めて確認。すべては丸く収まったが、実は美登里の告白は右京が考えたウソ。坂崎も薫もみごとにだまされていたのだった。

 連行される佐藤に付き添う美登里を見送りながら、2人の行く末を心配する薫。そんな薫に右京は太鼓判を押す。

「思いはありながら、すれ違うのもまた夫婦ではないでしょうか。きっとやり直せると思いますよ」。


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相棒 Season6 第14話

2008年2月6日(水)9:00〜9:54pm
第14話「琥珀色の殺人」

 有名なウイスキー評論家の勝谷(伊藤高)が何者かに殺害された。現場には「PAIRTICHE(パーチー)」「1970」という高級スコッチが残され、勝谷がそのスコッチをオンザロックで飲んだらしいことがわかる。しかし、このスコッチに氷を入れてはせっかくのシェリーの香りが台無しだ。勝谷ほどウイスキーに精通した人間がそんな飲み方をするだろうか。ということは、ウイスキーに疎い犯人が偽装工作を行った?

 しかし、同時にウイスキーに詳しい犯人が、わざと疎い人間であるかのように装った可能性もある。右京(水谷豊)は不審を抱くが、薫(寺脇康文)は氷を入れたのは勝谷の趣味かも、と疑問を。そこで右京らは勝谷のなじみの店で勝谷の酒の飲み方を調べることにする。

 そんな勝谷の行きつけの店を調べていた右京らは、三好(蟹江敬三)がバーテンダーとして働く店を発見する。かつてオリジナルカクテルを強引に商品化しようとしたオーナーを殺害、右京らによって逮捕された男だ(season1「殺しのカクテル」)。 どうやら出所して再びバーテンダーとして働いているらしい。

 三好によると、服役中にシガーバーを経営する英(田山涼成)から声をかけられ、再びバーテンダーとして店を任されるようになったという。が、苦い思い出があるカクテルはどうやら作らないらしい。そんな三好は現場にあった「パーチー」のボトルとグラスの写真を見て、勝谷がこんな飲み方をするのはおかしい、と即座に意見を言う。が、三好はなぜこの写真が勝谷の自宅とわかったのか。右京はふと疑問を口にすると、三好も微かに動揺する。

 右京らはシガーバーを経営する英を訪ね、今度は勝谷の部屋にあった葉巻の道具などについて聞く。勝谷のパンチカッターで英に葉巻をカットしてもらうが、英もパンチカッターは使ったことがないとか。

「勝谷さんの見よう見まねで…」。

 カットしてもらった葉巻と高級なスコッチを味わう右京と薫。しばし最高のひとときに酔いしれて…。

 美和子(鈴木砂羽)が死んだ勝谷の代わりに雑誌の原稿を書くことになった。担当の編集者から右京と薫は、勝谷が人を殺したバーテンダーを糾弾する記事を書こうとしていたことを知らされる。どうやら三好のことらしい。が、勝谷が殺された自宅の部屋にはそんな原稿はなかった。まさか三好が勝谷を殺害、原稿が世に出る前に持ち去ったのでは…。

 右京らは三好に調べ上げた事実を突きつけ自供を迫るが、三好はあくまでも認めようとしない。仕方なく昨日、英の店で飲んだスコッチを飲むことにする。と、薫が昨日のものと味が違うことに気付く。同じ銘柄なのになぜ…。薫の反応に右京は三好が味が変わらないようボトルに窒素を注入していることを確認。現場に残されていた「パーチー」を調べさせ、ボトルに窒素が入っていることをつかむ。

 窒素入りのボトルの事実を突きつけられた三好はついに犯行を認める。が、そこに英がやってくると三好を庇う。実は犯人は三好の過去を隠そうとした英、それを知った三好は現場を偽装しただけだった。パンチカッターで葉巻を切ってもらったり、英との会話で右京も当初から英に疑惑を抱いていた。

 すべてが明らかになった今、右京はカクテルを作ることを避けようとする三好を責める。

「どんな過去であっても、記憶しておくことから全てが始まるのではないか、と」。

 そんな右京の言葉についに三好は心を許す。リクエストに応え、得意のカクテル、ホームスイートホームを作る三好。家に帰れない客を帰すためのカクテル…。

「どなた様もいつか必ず、帰れますように」。

 そんな言葉とともに、右京らはゆっくりと三好のカクテルを味わうのだった。


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相棒 Season6 第13話

2008年1月30日(水)9:00〜9:54pm
第13話「マリリンを探せ」

 薫(寺脇康文)と親しいゲイバーのママ・ヒロコ(深沢敦)の愛犬マリリンがいなくなってしまった。ヒロコに泣きつかれた薫は、公園で一緒にマリリンを探すが、偶然そこで福光(近藤大介)の刺殺体を発見してしまう。携帯電話が奪われており、これまで2件発生していた携帯電話だけを奪っていく殺人犯と同一人物による犯行の可能性が高い。

 翌日には稲垣(北村栄基)という男が自宅マンションから転落死。近くから例の殺人事件の被害者のものと思われる携帯電話が発見され、犯人らしい人物から「俺を探しても無駄だ」と電話が入る。

 携帯電話を奪う殺人犯による4回目の犯行か!?警視庁は捜査本部を設置、稲垣と最後に連絡をとった友人の沖田(河相我聞)から事情を聞くが、沖田はアリバイを主張する。

 それにしても3件目まで無言だった犯人が、なぜ4件目になって電話などかけてきたのか?疑問を抱く右京(水谷豊)はマリリンがかつて麻薬探知犬だったことを突き止める。公園で殺された福光にマリリンはじゃれつくことがあったというが、実は福光が持っていた麻薬に反応していたのではないか?薫(寺脇康文)は福光を殺害した犯人が麻薬を持ち去り、マリリンは犯人が手にした麻薬を追って行方不明になったのでは、と推理。右京と薫はマリリンを探しに、とりあえずは沖田のアパートへ向かう。

 マリリンは沖田の隣室に住む住人によって保護されていた。やはり福光を殺害した沖田が麻薬を手に入れて…。しかし、右京はマリリンの行動に1日以上の空白があることに疑問を抱く。その間マリリンはどこにいたのだろうか?

 福光が麻薬の売人だったことが判明。稲垣以外の2人の被害者も麻薬と関係していたことがわかった。稲垣のマンションを改めて調べた右京らは、同じマンションに住む女子大生が麻薬が原因で自殺していたことを知る。

 しかし、稲垣と麻薬の関係が見えてこない。右京らが沖田から話を聞いていると、沖田の妹が麻薬が原因で自殺していた事実をつかんだ伊丹(川原和久)らが沖田を拘束。麻薬に対して恨みを抱く沖田の復讐ではないか、と詰め寄るが、沖田のアリバイが成立してしまう。

 麻薬に関する犯歴者のデータから右京はバイク事故で死亡した諏訪山(粟島瑞丸)という男をピックアップする。諏訪山が事故死した現場は福光が殺された公園のすぐ近く、稲垣が転落死したマンションからも近い。しかも、諏訪山は女子大生が飛び降り自殺した日と同じ日に事故死していた。偶然にしてはあまりにも出来過ぎている。

 右京と薫は沖田に、殺人犯は稲垣で沖田は稲垣の犯行であることを隠すため麻薬を持ち帰った、と推理をぶつけ自供を迫る。つまりマリリンは福光殺害の現場から稲垣のマンションへ、そして沖田のアパートへと移動していたのだ。

最初は否認していた沖田だったが、被害者の爪に犯人の皮膚が検出されたことを聞き、自供を始める。様子がおかしい稲垣を尾行し、福光殺害の現場を見たという沖田。その沖田が問いただすと、稲垣は恋人でもあった沖田の妹に麻薬を与えた諏訪山と偶然再会。後を追い事故死した諏訪山の携帯から麻薬の売人などを突き止めたという。麻薬に関係する人間を殺し続けていた稲垣を止めたものの、結局は自殺に追い込んでしまったと自嘲する沖田。あいつが殺人鬼になるのも止められなかった、という沖田に右京はやさしく語りかけた。

「少なくとも最後の瞬間、彼は殺人鬼から一人の人間に戻った。そう信じませんか?」。


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相棒 Season6 第12話

2008年1月23日(水)9:00〜9:54pm
第12話「狙われた女」

護送車襲撃は元・城代金融の向島(正城慎太郎)が幸子(鈴木杏樹)への復讐のため仕掛けた罠だった。右京(水谷豊)らは向島らのアジトを探し出そうとするが、幸子は春麗(MEGUMI)の機転で向島らのもとを脱出。奪った拳銃を手に2人で逃亡を続ける。

捜査一課もアジトを発見、向島らを拘束するが、その連絡を受けた右京はふと疑問を口にする。資金力のない向島に今回のような事件を起こせるとは思えない。もしかして向島らを操る黒幕が別にいるのでは…。右京らは戸崎刑務官(久世星佳)をそれとなく締め上げ、犯人と通じていたことを引き出すと、彼女がゴッドという黒幕の命令で動いていたことを知る。ゴッドとは何者か?右京らは取調べ中の向島を締め上げるが、向島もそれが何者で目的が何かはわからないという。ただ、幸子は好きにしていい、もう一人、春麗はビルから放り出せと言われていたらしい。

どうやらゴッドの狙いは春麗のようだ。右京らは角田課長(山西惇)に春麗の身元を調べるよう依頼。なぜ春麗が狙われるのか、そして誰が春麗を狙っているのか、突き止めようとする。

なんとか脱出に成功した幸子と春麗だが、今回の脱獄劇に父親が関係していなかったことがわかり大ショック。台湾に帰れなくなった、と銃を自らのこめかみに突き立てる。あわてた幸子はそんな春麗を人は生まれ変わることができる、と懸命に説得。なんとか思いとどまらせる。

春麗が麻薬取り引きの噂があるIT企業シーネットと関係していたことがわかった。その疑惑に関わっていた人間は皆不審な死を遂げている。ということは春麗も口封じのため…。ゴッドの正体はそのシーネットの経営陣である可能性が高い。
が、シーネットの経営陣が黒幕としても、これほどの罠を思いつくとは思えない。監察官の大河内(神保悟志)が捜査を担当するようになっていたことを考えると、どうやら警察内部の人間が絡んでいる可能性が高い。

そのころ幸子と春麗の前に刑事が現れた。素直に拘束される2人だったが、春麗は刑事たちの顔を思い出すと顔色を変える。そんな春麗に「やっぱり覚えてやがった」とはき捨てる刑事たちは、幸子と春麗をどこかへと連れ去ってしまう。

大河内から捜査を引き継いだ右京らは悪徳刑事を追うが、その手がかりとなるデータは消されていた。捜査本部にもゴッドの一味がいるらしい。手をこまねいていた右京らのもとに、なんとか刑事たちから逃れた幸子から連絡が入った。春麗はシーネットの社長と刑事たちが麻薬の取り引きをしているところを偶然目撃していた。だから狙われているのは自分だけ、幸子に逃げろという春麗だが、幸子は「自分はついている女だから」とあくまでも一緒に逃げ切ろうとする。
が、春麗の咳を聞きつけた刑事たちはついに幸子らを追い詰めた。引き金を引こうとしたそのとき、右京らが飛び掛り幸子らの救出に成功する。

黒幕の石田署長(潮哲也)も逮捕、複雑な事件は無事解決した。刑務所へと戻ることになった幸子と春麗。春麗は父親が東京の中華料理店で真面目に働いていることを初めて聞かされる。そんな父の夢はいつか自分の店を出して娘と一緒にやることだとか。
思わず涙する春麗に右京はやさしく微笑みかけた。

「人は誰でも生まれ変われるようですよ」。


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相棒 Season6 第11話

2008年1月16日(水)9:00〜9:54pm
第11話「ついている女」

 かつて右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)に殺人未遂で逮捕された“ついてない女”幸子(鈴木杏樹)が刑務所から脱獄した。すっかり更生した幸子は、あと1年半で出所したら服飾の仕事がしたいと右京らに手紙を送ってきていたのに。健康診断で異状が見つかった幸子は春麗(MEGUMI)という囚人と医療刑務所に送られることになったが、その途中、春麗の仲間らしき男たちが護送車を急襲。実は幸子は春麗脱獄に巻き込まれただけだった。

 が、幸子も春麗らとグルかもしれない。捜査一課は検問を張り巡らすが、右京はあえて幹線道路を避け、裏道に検問を集中させるよう提案。中園警視正(小野了)も賭けとも言える右京の提案に「自分が決めたこと」と言い訳しつつ従う。

 そんな右京の勘がズバリ当たった。護送車を捨てた幸子らが乗ったワゴン車が検問の前までやってきたのだ。一気に緊張する車内。しかし、石田署長(潮哲也)の「もし裏目に出たら…」という忠告に恐れをなした中園は検問の配置を元に戻してしまう。寸前で検問を免れ歓声をあげる春麗ら。

「あんたがついてるんだよ」。

 肩を落とす幸子に春麗は声をかける。

 検問での逮捕に失敗した右京らは、乗り捨てられた護送車を調査。大量の血が発見されるが、幸子のものだろうか。右京は鑑識の米沢(六角精児)できるだけ採取するよう依頼する。

 一方、幸子はスキを見て自らの血で書いたメモをケガをして人質となっている女性刑務官の戸崎(久世星佳)に預けると、交番の前で車外へと放り出す。さっそく巡査に保護される戸崎。春麗らは車を急発進させ、現場から逃げ去る。

 春麗の父・周文健(谷本一)は台湾マフィアのボスだった。獄中から父へ「逃がして欲しい」手紙を書き、今回の逃亡劇を用意してもらったという春麗。このまま父のいる台湾へ帰るという。

 が、捜査一課の調べで春麗の父が1カ月前から日本にいることが判明した。さっそく周の勤務先へと向かう伊丹(川原和久)。

 しかし、右京は獄中の春麗のもとに4日前に届いた周の手紙は台湾の消印になっていることに気付く。ということは、1カ月前から日本にいる周が書いたものではない。さらに米沢が集めた幸子の血液から幸子が健康体であることがわかる。

 これらの事実から刑務所内部の人間が幸子の血液検査を改ざん、幸子は計画的に護送車に乗せられた可能性が高い、と推理する右京。ということは、犯人の狙いは春麗ではなく幸子だったのか?

 そのころ保護された戸崎刑務官は護衛する巡査らの目を盗むと、幸子から渡されたメモをこっそりと捨て去り…。

 幸子が狙いだとしたら犯人は…。右京は幸子に撃たれた上、城代金融を壊滅させられた向島(正城慎太郎)が黒幕ではないか、とにらむ。護送車を襲った男たちの一人が、城代金融の取立てをやっていたことも判明。やはり犯人は向島、狙いは幸子への復讐だった…!

 そのころ、とある廃ビルへと連れて来られた幸子は向島と思わぬ再会を果たしていた。銃をつきつけられ、言葉も出ない幸子。

 右京らは向島らのアジトへ急行するのだが…。


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相棒 Season6 第10話

2008年1月1日(火)9:00〜11:30pm
開局50周年記念 元日スペシャル
「寝台特急カシオペア殺人事件!上野〜札幌1200kmを走る豪華密室!犯人はこの中にいる!!」

 左翼過激派・新井田(川本淳市)が爆弾マニア・塚原(崔哲浩)とのアミューズメントパークでの取引に失敗。爆弾が爆発する事件が発生した。その取引で塚原に渡るはずの金を奪った根元(柏原収史)を、右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は札幌まで護送することになる。根元は公判中の事件の重要証人だった。

 豪華寝台特急カシオペアに乗り込んだ右京らは、一人旅の公江(長山藍子)、人気モデルのライナ(松永京子)と友人の国子(平岩紙)、どこかギクシャクした感のある安藤(永島敏行)と妻の仁奈子(山本みどり)、息子・博貴(浅利陽介)の一家、増田という男(木下政治)と無愛想な男(森本亮治)、津島(江原修)と名乗るクラブ経営者らと出会う。津島はライナらに「切手もあるので部屋へ」と誘うなど、なにやら複雑な人間模様を見せ始める。

 根元は札幌を拠点とする暴力団の拳銃密売の現場を偶然務めていたホテルで目撃。その証言をするために北海道警に護送されることになったのだった。食堂車で安藤と息子の博貴が言い合う場面を目撃してしまった右京。どうやら家族には無関心だった父に、高校を退学になった博貴はすっかり失望しているらしい。

 事件を目撃した状況を思い出し、寝つけない根元。何かに脅えているようだ。

 そんな折りクラブ経営者・津島の他殺体が自室で発見された。身分を明かした右京と薫は乗客を部屋へと帰らせ現場を確保。捜査を開始する。

 右京は鑑識の米沢(六角精児)に電話で死亡推定時刻の算出方法を教えてもらい、犯行時刻を午後11時半から深夜0時と特定。列車が盛岡を出たのが11時 17分でそれ以降はどこにも停車していない。ということは、犯人は列車内にいることになる。次の停車は4時18分の函館。4時間弱の間に犯人を特定すれば、逮捕も可能だ。列車という密室だけに犯人にも逃げ場はない。

 右京は津島の部屋で食堂車で見かけた手帳がなくなっていることに気付く。どうやら犯人が持ち去ったらしい。状況を整理し、右京と薫、そして根元は犯人ではないことを確認。残るは公江、安藤一家、ライナと国子、など9人の乗客だけとなる。ということは、その9人の中に津島を殺害した犯人がいることになる…。

 9人の乗客から事情を聞いた右京と薫は、増田と名乗る男の連れが俳優の羽鳥だとわかる。羽鳥はライナとお忍びで旅行。犯行があったころは空き部屋で密会していたという。その空き部屋を調べた右京らは、盗撮用のビデオカメラを発見。どうやら羽鳥らを撮影しようと仕掛けたらしいが、手帳を隠そうと部屋にやってきた犯人によって映像は消去されたらしい。公江から青森駅で列車が停車、進行方向を変えることを知らされた右京は、青森でゴミが降ろされることを確認、ゴミ袋から津島の手帳を発見する。

 乗客たちを集めた右京は自らの推理を説明。津島が切手と呼ばれるLSDをしみ込ませたペーパーアシッドを売っていたこと、そしてその顧客が誰であるかを隠すため、犯人は手帳を持ち去ったと言う。ということは、津島を以前から知っていた人間が怪しい。食堂車で津島は安藤の息子を博貴と名指ししていたが…。

 しどろもどろになる博貴の前で、父・安藤が犯行を自供した。すべては右京の推理どおり、薬に手を出した息子を守ろうと津島と直談判した安藤はもみ合いとなった際、偶然津島を刺殺してしまったという。

 公江が青森停車を教えてくれたから事件も解決できた。礼を言う右京に公江は身の上話を始める。30年以上前に夫となるはずの恋人を事故で失い、その命日が1月2日だということを告白する公江。指輪一つ買ってもらえなかったが、33年前に彼が死んでから自分の時計は止まったままだという。まるで持ち上げても持ち上げても転がり落ちる、シシュポスの岩のように、どこにも行けない…。そんな公江の悲しい思い出に静かに耳を傾ける右京。列車は札幌へと近づいていた…。

 列車は札幌に到着、根元を北海道警に預けた右京らだったが、大河内からもう一つ爆弾があった可能性が出てきた、という連絡を受ける。北海道警で塚原が映る取引現場での映像を確認した右京らは、確かに爆弾らしい包みを塚原が持っていたことを確認する。やはりあの爆発事件の夜、もう一つ別の爆弾の取引が行われていたらしい。いったい誰と…。

 そのころ根元が北海道警から姿を消した。なぜ逃走する必要が?

 根元が目撃した人物はある大物だった。だから護送に2人も刑事をつけたのだが、何やら脅えていたのも大物と関係する人物から脅されていたかららしい。右京はカシオペア号に刑事が使う隠語を理解した男がいたことを思い出した。どうやらその男、藤井(平賀雅臣)という刑事が大物と通じていたに違いない。右京らは根元の自宅を訪ね、連れ去られたことを確認。藤井に拉致されていた根元を救出することに成功する。

 そのとき塚原からもう一つの爆弾を買った人間が、公江であることがわかった。公江が大切に抱えていたカメラケースには爆弾が入っていたのだ。つまり彼女はそれとなく右京に列車が青森で停車することを教え、犯人逮捕に協力。犯人が捕まらないまま、持ち物検査をされては爆弾の存在がバレてしまうからだった。

 右京らは公江が行くといっていたホテルへ急行。そこでホテル王と呼ばれる仲瀬(黒部進)に爆弾を手錠で結びつけた公江を見つける。公江が失った恋人は学生運動が活発だったころ、仲瀬に脅され爆弾を作らされていた。その作業中に爆弾が爆発、恋人は死に公江もお腹にいた子供を流産してしまった。が、仲瀬はなんの罪にも問われず生き抜くと、現在のような地位に。公江は塚原の爆弾で復讐しようとしていたのだった。

 すべてを察した右京らはわずかなスキを突いて公江から起爆スイッチを取り上げることに成功。公江もそれ以上の抵抗はせず逮捕される。

 根元が目撃した大物は仲瀬だった。仲瀬の逮捕を知った右京は、公江の恋人の遺品から黒焦げになったロケットを探し出し公江に手渡す。これが指輪の代わりだったのかも。ロケットを開けると、輪のように動く星の美しいリングの写真が。

「星たちはこうして動き続けている。あなた中の時計を、また動かす時が来たのではありませんか」。

 右京の穏やかな言葉にうっすらと涙を浮かべてうなずく公江だった。


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相棒 Season6 第9話

2007年12月19日(水)9:00〜9:54pm
第9話「編集された殺人」

 スナックのアルバイト店員・陽子(村井美樹)の他殺体が発見された。彼女のアルバイト先のスナック『椿』でも店主の友章(桐本琢也)が殺され、妻の美穂(寺田千穂)が犯行を自供。しかし、裁判になると美穂は自白を翻し、無罪を主張していた。

 事件当時の記事では、友章の死亡時刻に美穂が父親の博(小沢象)と電話で話していたことがアリバイになると思われたが、携帯電話だったためアリバイにはならなかった。仮に美穂が犯人なら夫の遺体を前に電話をしていたことになる。そんな状況で何を話していたのか?

 引っかかるものを感じた右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は博から事情を聞くが、娘の無実を信じる博は警察の捜査を批判。さらに裁判で検察側に有利な証言をしたという陽子のことも非難する。博によると、検察官は陽子の証言映像を裁判で流したらしい。取調べの一部可視化によるものだ。

 右京らは美穂の弁護士であるかおり(松下由樹)と再会、検察が提出した陽子の証言映像を見せてもらう。確かに陽子は煙草を吸いながら美穂に不利な証言をしている。が、かおりによると、陽子は弁護側の証人としても出廷する予定だった。陽子はかおりに「ママの容疑を晴らすために検察に行く」と言っていたらしい。そんな話を聞いた右京は、映像が編集されたものではないか、と疑いを抱く。

 右京らは検察官の鍋島(石橋保)から話を聞くが、鍋島は編集ではなく抜粋で、違法ではない、と言い張る。確かに鍋島の言う通り、検察に不利な証言をカットしても罪を問われるものではない。が、右京は証言する陽子の動きに不審を抱く。煙草を吸いながら、なぜか手元のバッグに視線を落とし、バッグに向かって話すようにしている。ボイスレコーダーでも仕込んでいたのでないか? が、米沢(六角精児)は所持品の中にそんなものはなかったという。

 陽子の殺害場所がスナックであることが判明した。さらに米沢の機転で陽子が証言を自らの携帯電話に録音していたこともわかる。その録音で陽子は美穂は犯人ではない、と言い切っている。やはり鍋島が映像を編集していたのだ。右京らは改めて鍋島に録音を聞かせるが、違法に取得した証拠に法的な証拠能力はない、と言い放つ。

 かおりに相談してもやはり鍋島が提出した証言映像をひっくり返すことは不可能だ。右京は捜査一課に頼み、陽子の証言映像を任意提出させるが、やはり美穂に有利な証言をしている映像はカットされている。しかし、右京は陽子が使っていたライターをスナックのライターと決めつけた芹沢(山中崇史)の言葉に反応して…。映像からはスナックのライターとは確認できないのに、なぜ?

 かおりが美穂に聞いたところによると、スナックのライターはサンプルの一本だけしか存在しなかったことが判明した。ところが、陽子を証言映像でしか見たことがないという博は、スナックのライターで煙草を吸っていたと言っていた。なぜ映像では見えないライターをスナックのライターと決めつけたのか?右京らの追及に、博は映像を見た夜に陽子と会い、思わず殺害してしまったことを告白する。しかし、陽子は美穂を犯人とは思っていなかった。そんな事実を知った博は打ちのめされる。

 では、なぜ陽子がスナックのサンプルのライターを持っていたのか。それは納品された日、つまり友章が殺された日に陽子が店に行っていたから。ということは、陽子は事件の第一発見者ということになるが、彼女はそんな証言をしていない。動機はどうあれ、友章を殺したのは陽子である、と右京は断言する。

 証言映像の都合のいい部分だけを裁判で公開し、博を殺人者にしてしまった罪は重い。右京と薫は友章殺しの真犯人を明らかにしつつ、鍋島を責める。

 美穂の起訴を取り下げることが決定した。かおりは美穂の名誉回復のための訴えを起すという。とはいえ、その戦いはイバラの道だろう。右京と薫はそれを覚悟で戦いを挑むかおりの背中を黙って見送っていた。


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相棒 Season6 第8話

2007年12月12日(水)9:00〜9:54pm
第8話「正義の翼」

 大内機械工業に、同社の敷地に爆弾を仕掛けた、爆発されたくなければ20億円を用意しろ、という脅迫電話が入った。犯人の予告通り“デモンストレーション”として備品倉庫が爆破され、清掃係の女性が重傷を負う。

 犯人は「正義の名のもとに大内機械工業に罰を与える」といった声明文をマスコミに送付。同社の大内社長(藤堂新二)はかなりのワンマンと評判なだけに敵も多い。それにしても「正義」とは何なのか?右京(水谷豊)は首をかしげる。

 犯人は大内のもとに送り付けたパソコンにメールを送る形で、20億円の受け渡しなどを指示。しかも内蔵カメラで大内らの行動を監視しているらしい。さらに犯人は5億円をすべてダイヤに換えるよう要求。米沢(六角精児)からその情報を聞いた右京は、ダイヤの受け渡し方法について、ある可能性を思いつく。

 犯人は大内に、パソコンとダイヤを持ってとある駅前へ行けと指示。刑事たちが見守る中、やがて届いた犯人からの指示は、警察の人間を入れることなく、一人で近くのビルの屋上へ行け、というもの。伊丹(川原和久)らも手が出せず、ビルへ入る大内を見送るしかない。右京と薫は隣のビルへと駆け込む。

 屋上へ到着した大内だが、そこには数羽の伝書鳩が。犯人は伝書鳩につけられた袋にダイヤを詰め込み、空へ放つよう指示してきた。驚きながらもやむなく指示に従う大内。刑事たちも放たれた鳩をただ見送るしかなかった。

飛び立つ鳩をビデオカメラに収めた右京と薫は、映像を伝書鳩の愛好家に見てもらい、その鳩が「中野五三八号」という種類であることを突き止める。

「中野五三八号」系の鳩を飼っているという大学の名誉教授・脇田(大滝秀治)から話を聞くが、今となっては誰に雛を分けたかも覚えていないという。

 右京はデモンストレーションで爆破された部屋が、当時ミーティングが行われていた会議室と離れていたことに疑問を抱く。犯人は誰も傷つかない部屋を選んで爆破したのではないか、ということは内部の犯行か?ミーティングを招集したれい子(小西美帆)に話を聞くが、もちろん鳩を飼っている知り合いなどいないと否定されて…。

 亡くなった大内機械工業の先代社長・大内直輔は地雷処理ロボットの開発に取り組んでおり、れい子らはその遺志を継いで研究を続けていたらしい。しかし、下請け会社の社長の話によると、二代目の大内になってそのプロジェクトも中止が決定したとか。
「中野五三八号」が実は軍鳩で、育てたのは当時少年だった大内直輔だったことがわかる。さらに特命係に犯人に奪われたはずのダイヤがそっくり戻ってきた。犯人の目的とは…。

 薫はれい子にダイヤが戻ってきたことを告げて反応をうかがう。そのころ右京は脇田教授と会い、「中野五三八号」が直輔と脇田が2人で育てた鳩だったことを明らかにする。同様しながらも事件との関わりを否定する脇田。れい子が開発していた地雷処理ロボット「S82」を支援していたはずだが、それでも脇田は何も語ろうとはせず…。

 犯人はやはりれい子だった。会社から奪った20億円で中止になる研究を続けようとしたのだ。そのために鳩を貸して欲しいと脇田教授に協力を依頼したが、脇田は拒否。仕方なく脇田の留守中に鳩を持ち出し、まんまと計画を成功させたが、脇田は奪ったダイヤを特命係に送り返していた。

 右京らに証拠を突きつけられ犯行を認めたれい子だが、地雷をなくしたいと続けてきた研究が中止になるのは許せない、自分は間違っていないと言い放つ。が、彼女の計画のおかげで一人の女性が重傷を負ったのも事実。右京は「地雷を作った人と変わらない」と諭す。

「S82」は昭和82年、つまり平成19年のことだという脇田。軍国少年だった直輔と脇田だが、戦争で心に深い傷を負った直輔は地雷処理ロボットをひたすら研究し続けていたという。直輔にとって昭和は、戦後は終わっていなかったのだ。右京と薫はそんな脇田の話を噛みしめながら、遠くなった昭和に思いをはせるのだった。


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相棒 Season6 第7話

2007年12月5日(水)9:00〜9:54pm
第7話「空中の楼閣」

 美和子(鈴木砂羽)の初めての単行本を担当していた編集者の勝村(大鷹明良)が何者かに殺害された。勝村の指先が赤く汚れているが、美和子によると原稿の書き込みに赤ペンのインクが付いたのでは、という。

 勝村の同僚よると、勝村は人気作家の庄司タケル(村上淳)ともめていたという。庄司は勝村の胸ぐらをつかみ、「殺すぞ」とまで言ったとか。庄司の担当編集者の日高(吉見一豊)は、勝村は自分が認めない相手には誰彼かまわず食ってかかっていたという。庄司とのケンカも勝村の悪態が原因ではないか。日高は庄司が怒るのも無理はないと庇う。

 庄司が作家になる前、キャバクラのボーイをしていたころに傷害で逮捕されていたことがわかった。右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)は庄司から話を聞くことに。

 高層マンションの最上階に住み、世の中を見下すのはいいもんだ、とうそぶく庄司。事件当夜は恋人と六本木で飲んでいたというが、あっさりとアリバイは崩れてしまう。

 勝村の死で美和子の初の単行本も中止に。これで有名なエリセ化粧品が工場から有害物質を捨てていた、というルポも日の目を見なくなってしまう。「花の里」で右京らが残念がっていると、たまき(高樹沙耶)がタケルの「ビター・ラブ」を読んだと本を取り出した。目を引く装丁だが、美和子の単行本も同じ装丁家が担当する予定だったという。

 その装丁家なら、勝村と庄司が揉めていた原因を知っているかもしれない。右京らは装丁家の安藤(菊池健一郎)から話を聞く。作品の冒頭部分を取り上げながら美和子の作品を褒める安藤。その安藤によると、庄司は「ビター・ラブ」の映画化の邪魔をする勝村に怒りを露にしていたという。なぜ勝村は庄司の小説の映画化を妨害したのだろうか?

「ビター・ラブ」の主人公が使っていたエリセ化粧品のマスカラが大ヒット商品になっていることがわかった。おかげでエリセ化粧品は映画のスポンサーとなったが、勝村が準備していた美和子の本には、エリセ化粧品の安全管理体制に疑問を投げ掛ける内容がある。そこで庄司は勝村に発刊を思いとどまるよう忠告したという。

 勝村殺害の動機も十分、さらに事件当夜、勝村と言い争っているところを目撃されていた庄司は容疑者として拘束される。庄司は犯行を否定、さらに美和子の作品を「誰も読みやしない」と非難する。怒った薫は勝村のデスクに残っていたという美和子の原稿を突きつけ、読んでみろと迫るが、そのとき右京が自分が読んだ原稿とは違うことに気がつく。

 美和子に確かめると原稿は7回書き直していたが、装丁家の安藤が暗誦した冒頭部分が書かれたのは、勝村が殺される直前に書かれた原稿だけ。ということは、安藤は勝村が殺される直前に勝村と会い、美和子の原稿を目にしていたことになる。

 右京らの追及に安藤は犯行を自供。表紙のデザインを勝手に変えられるなど、いつまでも自分を認めてくれない勝村に怒りを感じての犯行だった。

「ビター・ラブ」映画化発表会見の当日、右京らは庄司に美和子の原稿を読ませる。たちまち顔色を変える庄司。実は庄司は少年時代、エリセ化粧品が垂れ流していた有害物質に苦しめられていた。

 怒りも露に「映画化は白紙」と席を立つ庄司をテレビで見守った右京と薫。その心はささやかな喜びに満たされていた。


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相棒 Season6 第6話

2007年11月28日(水)9:00〜9:54pm
第6話「この胸の高鳴りを」

 人気ロックバンドのリーダー・丹野(松田悟志)がギターの第5弦で絞殺された。バンドのマネージャーの三原(猪野学)から、丹野が最近夏生(前田亜季)という女子大生と付き合っていたことを聞いた右京と薫はその夏生を訪ねるが、彼女は5弦を取り出しあっさりと犯行を自供する。

 女好きの丹野に自分は遊ばれていただけ…。思わずカッとなって丹野を殺害したという夏生だが、部屋の鍵を閉めて帰ったり、凶器の弦をきれいにふき取るなど衝動殺人にしては冷静過ぎる。しかも丹野は婚約指輪を用意するほど、夏生を真剣に想っていたらしい。

 美和子(鈴木砂羽)から丹野が所属していたアマチュアバンドのメンバーが謎の死を遂げていることを知った右京らは、死亡したメンバーの福地(玉有洋一郎)の自宅へ。そこで右京は丹野が作ったという彼のバンドのヒット曲「この胸の高鳴りを」の楽譜を発見する。福地の恋人・可奈子(大谷允保)によると、あの曲は丹野が売り込みに行くと言いながら自分のものにしてメジャーデビューしてしまったという。福地が死んだのも丹野の裏切りがショックだったから。可奈子は右京らに激しい怒りを露にする。

 福地が死後、その遺志に従い心臓を提供していたことをつかんだ右京は、その移植を受けた人間が実は夏生だったことを突き止める。

 実は可奈子も福地の心臓が夏生に移植されたことを知っていた。福地のことが忘れられない可奈子は、同級生を装い夏生に近づき、その思いを慰めていた。が、その夏生がこともあろうに丹野と付き合い始めてしまった。可奈子は丹野が曲を盗んだこと、それが原因で死んだ福地の心臓が夏生に移植されたことなどを暴露、丹野と別れるよう説得したという。しかし、夏生は聞き入れなかった…。

 夏生は直接、丹野に確かめたが、丹野はあっさり曲を盗んだことなどを認めたという。あまりのショックに夏生の心臓は鋼のように高鳴った。その鼓動が夏生の丹野への想いだったのか、福地の恨みだったのか。夏生はその鼓動の意味を確かめに丹野を訪ね、そこで丹野を殺害したという。

 夏生の証言が信じられない右京らは、事務所の社長から丹野らの曲はすべてマネージャーの三原が書いていたことを突き止める。右京らは三原を丹野の自宅へ呼び出し、巧みにワナをかけると犯行を自供させる。夏生に言われ、自分は偽物だとすべてを明らかにする、と決意した丹野。それではすべてが失われてしまう。焦った三原は丹野を止めようと、思わず手をかけてしまったという。

 夏生は可奈子が犯人だと思い、必死で庇っていただけだった。自分が可奈子の忠告を聞かなかったからこんなことに、という夏生。丹野から真実を告げられたときの鼓動の意味も今もわからず、丹野への想いも今となっては…と迷いを告白する。

 そんな夏生に右京はやさしく声をかけた。
「彼に勇気を与えたのはあなたの愛だと思います。あなたの心は、誰のものでもありません」と。


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相棒 Season6 第5話

2007年11月21日(水)9:30〜10:24pm
第5話「裸婦は語る」

 画家の立花(長谷川初範)のアトリエで、絵のモデルの妙子(秋山実希)の遺体が発見された。階段から転落死したようだが、立花は部屋で絵を描いていたので気づかなかったと言う。が、妙子には階段から落ちただけでは出来るはずがない傷が。右京(水谷豊)は、階段から落ちた妙子が階段下に置かれた甲冑を倒し、その甲冑の盾によってついた傷だと推理する。甲冑が倒れたのなら、その音で妙子が階段から落ちたことがわかったはず。薫(寺脇康文)による実験でそれが証明された立花は、証言を翻し、モデル料のことが原因でもみ合いになり、妙子が足を踏み外したのだと主張する。

 あくまでも事故死と言い張る立花だが、過失致死で逮捕状が出され、身柄が拘束される。妙子のシステム手帳を調べた右京は、妙子が立花から100万円ものモデル料を受け取っていたことを知る。それほどの額を受け取っていながらもめたというのは不自然だ。右京が改めて立花を追及すると、実は妙子と付き合っており、立花が別れ話を切り出したことでもみ合いになったという。さらに倒れた甲冑を元に戻すときに手袋をしていたことを確認した右京は、一人立花のアトリエを捜索。洗濯機の中から黒いシャツと手袋を発見する。

 妙子が死んだ直後、立花が妻の光恵(日向明子)に電話を入れていることがわかった。その光恵によると5年前にアトリエから絵が盗まれる事件があったという。右京らは立花と懇意にしている編集者と、2人が打ち合わせでよく使っている喫茶店で会い、盗難事件について聞く。と、その喫茶店で最近、絵が盗まれていたことがわかった。

 盗まれた絵は裸婦像…。引っかかるものを感じた右京は、立花が盗まれた絵を喫茶店で確認しながらわざと編集者に見せないような行動をとっていたこと、さらに携帯に残されていたメールから妙子が死の直前まで一人でアトリエにいたことをつかむ。一人でいたということは、立花の証言と食い違うことになる。

 右京と薫は捜査一課の協力を得て立花と実況見分を行う。実は喫茶店から絵を盗んだのは立花。5年前に盗まれた自分の作品だったからだ。そして犯行後、帰宅すると妙子が死んでおり、自らの犯行を隠ぺいするため、甲冑を直し言い訳を考えたのでは、と追及する。

 初めは否認していた立花だったが、喫茶店に落ちていたシャツのボタンを示され、すべてを自供する。しかし、立花が犯した犯罪はそれだけではなかった。立花が危険を犯してまで盗んだ絵のモデル、梅野正美(石井里弥)は半年前、白骨死体で発見されていた。胸の痣を描いたと立花を責め、完成した裸婦画を傷つけようとした正美。そんな彼女を止めようともみ合いになった立花は、偶然彼女をナイフで刺して殺害してしまっていた。

 すべてを告白した立花は自嘲気味に笑った。

「皮肉なもんじゃないか。その絵がやっと手元に戻ってきたと思ったら、今度は自分の人生を失ってしまった…」。

 希代の画家は捜査一課に伴われ、アトリエを後にした。


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相棒 Season6 第4話

2007年11月14日(水)9:30〜10:24pm
第4話「TAXI」

 タクシー運転手の八嶋(斎藤歩)がおびただしい血痕を残したまま、タクシーから姿を消した。どうやら何者かに殺害されたらしい。酔っ払って路上で寝ていたところを薫(寺脇康文)に助けられた丸田(大河内浩)が容疑者として拘束される。丸田は行きつけのバーで酒を飲んだ後、八嶋が運転するタクシーで帰宅したらしい。

 右京(水谷豊)と薫は、丸田がホステスの美紀(遠山景織子)からストーカー被害の相談を持ちかけられていたことをつかむ。タコグラフから八嶋の行動を探ると、八嶋が美紀の尾行していたことがわかる。ということは、八嶋がストーカー? 美紀が丸田に頼んでストーカーの八嶋を殺害させた可能性もある。

 しかし、美紀はそんな右京の推理を一笑に付すと、今もストーカーに悩まされているという。が、ストーカーからかかってくる電話に悩まされているはずなのに、着信相手を確認せずに電話に出ていた。右京らは美紀のウソを暴くため、彼女をストーカーからガードするフリを。

 美紀に見送られ店を出ようとした右京は、ふとストーカーが撮影したという美紀と丸田の2ショット写真に疑問を抱く。その写真が店の前の郵便受けに仕掛けられたカメラで撮影されていたのだ。なぜストーカーはそんなに手の込んだマネを…。

 実は写真は丸田が撮影したもの。自分が盗撮写真に写っていれば、ストーカーと疑われるはずがない。ストーカーの丸田がアリバイ作りのために撮影したものだった。

 丸田がストーカーなら、美紀は八嶋に頼み丸田の行為をやめさせようとしたのか。となると、美紀は事前に丸田がストーカーであることを知っていなければならないのだが…。

 丸田は以前、美紀の娘に鉢植えをプレゼント。ブラインドを開けて日に当てるように話したが、美紀の部屋にブラインドがあるのは美紀の部屋に入った者でなければわからない。美紀はそこで丸田をストーカーと判断したという。

 ショックを受けた美紀は、偶然乗り合わせたタクシーで八嶋に相談。美紀に同情した八嶋は、丸田に薬を飲ませ自分の車に乗せるよう指示したという。そして丸田のストーカー行為をやめさせようとした八嶋が逆に殺された?

 そんな折り八嶋の部屋に進入した暴力団員が逮捕される。男は数日前から八嶋の行方を追っていたとか。八嶋を殺した真犯人か?

 右京は八嶋の部屋の冷蔵庫から八嶋の血液が発見されていたことに反応した。

 右京と薫は八嶋が潜んでいたホテルへ押しかける。実は八嶋は暴力団の金を偶然手に入れ、金を返せと迫る暴力団から逃れるため偽装殺人を実行したのだった。八嶋が美紀の娘のために折ってやった帆かけ船、その紙がホテルのパンフレットだったことで右京らに知られるところになってしまった。

 大金を手にしたことでかつての会社社長の夢を再び追いかけてしまったと自嘲気味に話す八嶋。

「夢から目を覚ますときが来たようです」。

 右京はそんな八嶋を静かに諭すのだった。


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