各話あらすじ
第1話 2020年7月17日「夫婦の絆」
首都圏の民間総合病院に勤める内科医の千晶(貫地谷しほり)は、先輩医師の陽子(内田有紀)らと日々診療に追われている。ある日、がんの疑いがある患者・典子(宮崎美子)が夫の宏明(佐野史郎)と来院。千晶に何かとクレームをつける‘モンスターペイシェント’の宏明に典子は気をもんでいるが、何も言えずにいた。そんな中、千晶の元に怪しげな患者・座間(田中哲司)が現れる。
第2話 2020年7月24日「命の重さ」
脳腫瘍で入院している少女・美和(新津ちせ)に出会った千晶(貫地谷しほり)は、回復の見込みがない美和に何かと心を寄せるようになる。そんな中、自殺未遂を繰り返している若い女性・祥子(小島藤子)が病院に運ばれてくる。生い立ちが原因で世をはかなむ祥子は、入院中に美和と知り合う。祥子は生きたくても思い通りにならない美和の境遇を知り、複雑な思いを抱く。
第3話 2020年7月31日「愛の力」
ある日、千晶(貫地谷しほり)は、落し物の保険証を拾う。それは、知り合いの男性の物だったが、受け取りに現れたのは、女性!?トランスジェンダーの香織(戸塚純貴)は、胃潰瘍を患い千晶の病院に入院する。心と見た目は女性の香織の入院生活は何かと不自由だったが、千晶は、そんな香織に寄り添う。やがて香織と恋人の間に亀裂があることを知る。香織は、恋人に、いわゆる「普通の」結婚をして欲しいと身を引いたのだった。
第4話 2020年8月7日「心と体」
その日、千晶(貫地谷しほり)の元を訪れたのは、便秘に悩む女性・広瀬真弓(中島ひろ子)であった。彼女は常にイライラし、いわゆるモンスターペイシェントであった。挙句、座間(田中哲司)と結託して、千晶を困らせる。ある日、真弓が救急車で運ばれ、入院をするという事態が起きる。便意が高じて、イレウスを発症していていたのだった。心を開かない真弓に、愚直に寄り添う千晶だったが…。
第5話 2020年8月15日「去りゆくものへ」
介護士の瀬戸翔太(笠松将)は、千晶と、昼食の「煮卵おにぎり」を取り合う仲。ある日、瀬戸は、自身が介護を担当している認知症患者の西園寺光隆(竜雷太)とトラブルとなる。瀬戸は、裕福ではあるが家族から見放されている西園寺が、認知症の影響で暴力的な態度をとるのがいたたまれなくなり、西園寺に対して暴言を吐いてしまったのだ。病院内ではそれが大きな問題となり、瀬戸は辞職を決意する。千晶は引き止めるが、瀬戸の意思は揺るがない。
第6話 2020年8月22日「新しい風」
ある日、千晶(貫地谷しほり)のもとに、乳児を抱えた母親・岩見春菜(朝倉あき)が、ワクチン接種のために訪れる。ちょっとした行き違いから、千晶が誤ったワクチンを打とうとしたとクレームをつける春菜。その様子から、千晶は、春菜が育児ノイローゼに陥っているのではないかと疑う。数日後、千晶は春菜に呼び出される。ファミレスで働くある女性を殴ってくれと言うのだ。その場は事なきを得るが、どうやら、春菜の夫はその女性と浮気をしているらしい。幼い子を抱えて夫は浮気。千晶は春菜が追い詰められていることを知る。「そんな時は、立ち止まって自分の気持ちを確かめてみるの」千晶は、自分の母親・祐子(朝加真由美)から教えられた言葉を、春菜に伝える。
第7話 2020年8月29日「母子の事情」
千晶(貫地谷しほり)のもとを、「息子の薬をくれ」という年配の女性・遠山秋絵(松金よね子)が訪れる。無診察診療はできないと千晶は当然断った。ある日、秋絵が手の怪我で佐々井記念病院に運ばれてくる。どうやら、秋絵の息子は引きこもりで、手の怪我も息子の仕業らしい。しかし、秋絵は息子をかばって本当のことを言わない。
第8話 2020年9月4日「志をつないで」
信頼する先輩医師の陽子(内田有紀)が亡くなった。抱えていた医療訴訟がうまく運ばず、絶望したからに思えた。しかし、悲しみに打ちひしがれる千晶(貫地谷しほり)には、一つの疑問があった。「なぜ、人柄も良く責任感の強い陽子がこの選択をしてしまったのか?」陽子の両親や夫と会い、陽子の人となりに触れてゆく中で、千晶は、陽子が自らの保険金を患者遺族に渡すつもりでいたことを知る。
第9話 2020年9月11日「それぞれの矜持」
病院の経営方針を巡り、院長の佐々井(石黒賢)と事務長の高峰(升毅)が対立する中、千晶(貫地谷しほり)の同僚医師・金田(浅香航大)が患者に刺され重傷を負う事件が発生する。一方、座間(田中哲司)の行動が気になった千晶は、自宅を訪れる。座間が貧困生活の中、寝たきりの母・幸子(藤夏子)を介護していることを知った千晶は、助けになりたいと座間に申し出るが…。
最終話 2020年9月18日「私の願い」
院長・佐々井(石黒賢)の下、改革が進む病院にまたもや現れた座間(田中哲司)は、ロビーで歌った後、「やっと終わる」とつぶやいて出て行く。千晶(貫地谷しほり)が追った直後、認知症の患者・知恵子(鷲尾真知子)が運転する車が暴走し、突っ込んできた。千晶は難を逃れるが、衝突された座間は意識不明の重体となる。一方で、実家の診療所を継ごうか迷っている千晶は、家族と改めて対話することに。やがて、意識を取り戻した座間と対面した千晶は、座間が自分に付きまとっていた本当の理由と、彼の苦悩を知る。
原作概要
『ディア・ペイシェント』は、南杏子による長編推理小説。幻冬舎より書き下ろしで2018年1月25日に刊行、『ディア・ペイシェント 絆のカルテ』(ディア・ペイシェント きずなのカルテ)と改題し幻冬舎文庫より2020年1月24日に文庫化された。患者と医師の信頼関係を題材に、「モンスターペイシェント」と称されるクレーマー患者との関わりの中で1人の若き女性医師の成長をミステリタッチで描く。
ドラマ概要
貫地谷しほり主演で南杏子の小説をドラマ化。現代日本の医療界の現実をえぐりながら、医師たちの栄光と挫折、喜びと悲しみをつづるヒューマンサスペンス。最悪のモンスター患者に目を付けられ、苦しめられることになる主人公の内科医・真野千晶を貫地谷が演じる。
そのほか、信頼のおける先輩内科医・浜口陽子を内田有紀、“最凶のモンスター・ペイシェント”座間敦司を田中哲司、毒舌が災いして訴訟を抱える同僚医師・金田直樹を浅香航大が演じるなど、個性豊かな俳優陣が集結。患者と真剣に向き合う医師たちの姿を、時にサスペンスを交えて描くハートフルストーリー。
ストーリー
病院を「サービス業」と捉え、「患者様プライオリティー」を掲げる佐々井記念病院の医師たちは、さまざまな問題を抱えていた。内科医の真野千晶(貫地谷しほり)は、執拗(しつよう)に嫌がらせを繰り返す“モンスター・ペイシェント”の座間敦司(田中哲司)に付きまとわれており、内科医の先輩・浜口陽子(内田有紀)は大きな医療訴訟を抱え悩んでいた。
さらに、同僚医師の金田直樹(浅香航大)も、患者とは一定の距離を取りつつうまく立ち振る舞っていたかに見えたが、刺傷沙汰に巻き込まれてしまう。
キャスト
真野千晶(まの ちあき)(佐々井記念病院勤務の内科医) - 貫地谷しほり
佐々井記念病院の内科医。大学病院を辞めて「患者を大事にする」と評判だったことから入職するが、病院の意向に振り回され、納得のいかない“3分診療”を行うジレンマを抱えている。聴診や触診から病人特有の気配を感じ取ることに長け、医師としての直観力に優れている。
浜口陽子(はまぐち ようこ)(佐々井記念病院勤務の内科医) - 内田有紀
勤続4年になる佐々井記念病院の内科医。明るく快活でサバサバした性格。患者に振り回されがちな後輩の千晶に的確なアドバイスをする頼れる存在。夫は細胞免疫学教室の研究員で、現在、海外研修でアメリカにいる。5年前、青森の病院で行った処置で医療事故を起こし、遺族から訴訟を起こされている。
座間敦司(ざま あつし)(モンスターペイシェント) - 田中哲司
千晶の前に現れたモンスター患者。薬の再処方から要求をエスカレートさせ、千晶を困らせ恐怖に陥れる。千晶のプライベート情報を知っているなど、気味の悪い存在。仕事を辞めて、脳梗塞の後遺症で寝たきりの母を介護しており、自身も糖尿病や腰痛、狭心症などを治療中。
金田直樹(かねだ なおき)(佐々井記念病院勤務の内科医) - 浅香航大
佐々井記念病院の内科医。千晶の同僚。通称・カネゴン。インターンを終えて勤務。病院の方針にも臆せず異を唱える。医師としての腕はいいが、口が災いして患者から恨まれることも多く、訴訟を三つ抱えている。毒舌とは裏腹に男性的な魅力もあり、女性患者から思いを寄せられることも。
真野万里(まの まり)(千晶の妹) - 高梨臨
千晶の妹。山梨にある父の診療所で医療事務の手伝いをしている。両親と同居し、認知症を患う母の面倒を見ていたが、母が施設に入り父が引退を考えだしたことから、千晶に診療所を継ぐよう迫る。都会で働く姉が自慢で尊重したい思いもあるが嫉妬心も併せ持ち、姉と自分を比べて落ち込むこともある。
沼田晋也(ぬまた しんや)(佐々井記念病院の事務局主任) - 浜野謙太
吉良大輔(きら だいすけ)(ロシア格闘技・システマの講師)- 永井大
浅沼知恵子(あさぬま ちえこ)(モンスターペイシェント) - 鷲尾真知子
高峰修治(たかみね しゅうじ)(佐々井記念病院の事務長) - 升毅
西園寺光隆(さいおんじ みつたか)(認知症患者) - 竜雷太
佐々井宗一郎(ささい そういちろう)(佐々井記念病院の医院長) - 石黒賢
真野佑子(まの ゆうこ)(千晶の母) - 朝加真由美
蓮見勇夫(はすみ いさお)(佐々井記念病院の警備員) - 平田満
真野徹(まの とおる)(千晶の父、真野診療所所長) - 伊武雅刀
千晶の父。東京の大学病院で出世コースを歩んでいたが、論文を書くばかりの生活に疲れ、山梨で診療所を開業し移住。妻の認知症の悪化に伴い、一緒に過ごす時間を作ろうと考えている。千晶に病院を継ぐことを無理強いするつもりはない。患者と医者の関係、人間の生死など大切なことを千晶に伝えていく。
スタッフ
原作 - 南杏子『ディア・ペイシェント』
脚本 - 荒井修子
音楽 - 兼松衆
制作統括 - 真鍋斎(NHKエンタープライズ)、橋練(NHK)
演出 - 西谷真一、福井充広、武田祐輔
番組公式サイト
ディア・ペイシェント - Wikipedia