原作概要
『中年スーパーマン左江内氏』(ちゅうねんスーパーマンさえないし)は藤子・F・不二雄のSF漫画で、『漫画アクション』(双葉社)に1977年9月15日号から1978年10月26日号に掲載された。全14話。
ドラマ概要
藤子・F・不二雄が唯一連載した大人のヒーロー漫画をドラマ化。主演を堤真一が務め、脚本・演出は「勇者ヨシヒコ」シリーズ(テレビ東京ほか)などを手掛けた福田雄一が担当する。
堤が演じるのは、建設会社で中間管理職として働く気弱なサラリーマン・左江内(さえない)。ドラマでは、左江内が怪しい老人(笹野高史)から無理やり“スーパースーツ”を譲り受け、恐妻の円子(小泉今日子)、思春期の2人の子供との家族の問題と世界平和の間で板挟みになるさまがコミカルに描かれる。
ストーリー
建設会社に勤める万年係長の左江内(堤真一)は、ある日、謎の老人(笹野高史)からスーパーヒーローになれるという“スーパースーツ”を無理やり押し付けられる。だがそのスーツは、事件を察知すると仕事中でも左江内を出動させる上に、スーツを着ている時の出来事は人々の記憶に残らないという特性を持っていた。
いくら頑張っても“鬼嫁”の円子(小泉今日子)ら家族や周囲から見直されることはないという理不尽に耐えながら、気が優しい左江内は、町の平和を守るために奔走していく。
キャスト
左江内家
左江内 英雄〈52〉
演 - 堤真一
できれば責任を背負わないで済ませたいと考えている主人公でツッコミ担当。こんにゃくが大の苦手。栃木県出身。スーパーマンの重責も辛いので事あるごとに返したがっているが、困っている人を放って置けない部分もある。家での私生活は、妻には尻に敷かれ、子供にもあまり良く扱われていないが、本人は妻も子供も愛している。基本的に常識人であるが、マイペースでスーパーマンの力を通勤や部屋の掃除などに便利に使っていることもある。左江内の超人としての活躍は忘却光線で忘れさせる為、それ自体が「無かったこと」になっているが、時々オフにすることもできる。第7話ではスーパーマンをやめたい一心で池杉に託したが、彼がスーパースーツを紛失してしまったことにより、スーパースーツで強化した強盗相手にスーツ無しで戦い、内に秘めた責任感と根性を発揮した。
左江内 円子〈50〉
演 - 小泉今日子
左江内の妻。男勝りな口調で左江内に無茶を平然と頼むなどわがままで子供っぽく、身勝手な俗に言う鬼嫁。容姿は美人で小柄。また、左江内の浮気などという事は考えたくもないことであり、本当は左江内を愛していることが伺える。不器用で素直になれないだけであり、左江内の話を聞いてあげたり、一度は拒んだ保護者同伴の遠足に参加したり、左江内が部長に就任したと勘違いして彼を悩ませていたがすかさずフォローしたり、時には家事もすることもあるため根は優しい。左江内曰く、1日に15時間は寝ており、どこでも寝られる体質で7話ではヨガをしながら寝た姿に左江内を驚かせた。また、最終回では左江内を守るため、バスジャックに蹴りを入れるなど大胆な一面も見せた。
左江内 はね子〈16〉
演 - 島崎遥香
左江内の長女で、アイドル志望で少々わがままな少女。父親を軽く扱っているが、第1話で強盗犯から自分を犠牲にして自らを救おうとした左江内に死んで欲しくないと本音で語った(ただし、左江内の忘却光線でそれは忘れている)。優しい一面もあり、困っている左江内にお金を貸したり、不器用な両親に気を使って左江内の変わりにレストランの席取りを引き受けたりなど手助けすることもある。
左江内 もや夫〈8〉
演 - 横山歩
左江内の長男で、自分が悪くても認めたがらない小学生男子。自分を運んで空を飛ぶ左江内をドラえもんと称した(ただし忘却光線でその件は忘れている)。父に対して口は悪く生意気だが、ヒーローショーに特別出演した左江内を応援したり、左江内が全く帰ってこないことに不安を感じるなど、父のことは決して心底嫌っているわけではない。
警察
小池 郁男〈39〉
演 - ムロツヨシ
藤子不二雄作品では多々登場するキャラクター。スーパーマンの左江内の活躍で解決した事件現場に、何故か必ず駆けつける運がいい刑事。事件解決後に左江内の忘却光線でその活躍は忘れ去られ、その際小池が勝手に自分が片付けた事にしてしまうので、発生した事件は小池の手柄になる。それがあまりに連続するので、自分は無意識のうちに事件を解決する能力があると勘違いしている。ラーメンが好物で、出前のものを食べながら登場する事もある。ポーズを決める際にトレンチコートの裾を無駄に捲りあげる癖がある。
刈野 助造〈29〉
演 - 中村倫也
小池の部下。小池とは仲が良く、小池が忘却光線の後に説明している「事件を解決した過程」を素直に感心している。
フジコ建設営業3課
英雄の勤務先。
簑島 光男〈55〉
演 - 高橋克実
左江内の上司。池杉と仲がよくお調子者。頭が薄く光り輝いている。
池杉 照士〈27〉
演 - 賀来賢人
左江内の部下で独特な口調で話す。キザな性格でややチャラ男気味。根は臆病で第4話では自分が失敗した仕事を引き継いだ左江内が成功させそうなところを妨害し、第7話では酔った勢いで左江内からスーパーマンの仕事を引き受けるが、恐怖感が拭えず、挙句他人にスーツを盗まれた事を左江内に言い出せずにいた(この一件は忘却光線で忘れている)。ただし、妨害した件を良心の呵責で左江内に詫びたり、小心者だが憎めない男。みちると交際しており第6話でデートをしていた。
蒲田 みちる〈24〉
演 - 早見あかり
左江内の部下だが、彼に対して少しドライである。サバサバした性格の女性。第6話で池杉と交際していた事が明らかになった。時には上司である光男に対して辛辣なことを言うことも多々ある。
下山 えり〈26〉
演 - 富山えり子
その他
米倉 / キャプテンマン
演 - 佐藤二朗
左江内に何かと接触する神出鬼没の人物で、登場するごとに職業が異なる。滑舌がかなり悪く、顔が大きい。忘却光線と同様の効果がある能力を持っているのか左江内は彼と会ったことを忘れている。
第1話はカラオケ店員、第2話はバッティングセンターの店員、第3話はインターネットカフェの店員、第4話は回転寿司の板前、第5話は占い師。第6話はヒーローショーの演出家。第7話は新聞の古い号外を配るバイト。第8話は居酒屋の店員。第9話は万年係長。
その正体はキャプテンマンという名のヒーローで、スーツのモデルはパーマンに近い。左江内に会う度に記憶を消していた。
演じている佐藤は左江内相手に毎回アドリブでの掛け合いを繰り広げており、出演者が素で思わず笑ってしまうことも度々ある。
謎の老人
演 - 笹野高史
左江内にスーパーマンになるスーツを手渡す老人。たまに英雄の様子を見に来るようで、第4話では原作者が一緒だと言う事で一度だけ(しかも1回しか使えない)コピーロボットを左江内に与え、第6話では爆弾のある場所を教えてくれた。第7話では弱めのスペアスーツと見せかけたスキーウェアを左江内に渡した。
木手〈50〉
演 - 福島マリコ
円子のママ友。
吉村 さやか〈16〉
演 - 金澤美穂
はね子と同じ学校の同級生。
佐野 サブロー〈16〉
演 - 犬飼貴丈
はね子と同じ学校の同級生。
ゲスト
第1話
強盗
演 - 塚本高史(友情出演)
第2話
新聞配達人
演 ‐ ラバーガール
茂
演 ‐ 織本順吉
智恵子
演 ‐ 佐々木すみ江
あきら
演 ‐ 五十嵐陽向
もや夫のクラスメートの男子児童で、歌が下手なことを理由に合唱の練習をサボっていた。
第3話
真中 ありさ
演 - 浜辺美波
アイドルグループ「ルージュパンク」の不動のセンター。性格の表裏が激しい。
はね子のオーディションをプッシュしてもいいと左江内に後押しする。
飛び降り学生
演 - 戸塚純貴
マネージャー
演 - 郭智博
ありさの事務所社長
演 - 大河内浩
ありさの母
演 ‐ 村岡希美
第5話
藤崎
演 - 本田翼
総務課に勤務する女性社員で、左江内の後輩。
実家の豆腐屋が悪徳金融会社から借りた借金を返済するために左江内を始めとするあらゆる者から金を騙し取っていた。後にそれを知った左江内は悪徳金融会社を壊滅したことで解放され、謝罪した。
第7話
高萩 省吾
演 - 間宮祥太朗
池杉が置いて行ったスーパースーツを悪用して銀行強盗を働く。彼が何故スーパースーツを使いこなせるようになったのかは不明。
第8話
笹原 桃子
演 - 永野芽郁
栃木県で会社に勤めつつスーパーウーマンを受け持つOL。左江内同様、先代の老婆からスーパースーツを受け継いだ。
事故現場で偶然会った同じスーパーマン仲間の左江内と意気投合する。メンヘラ気味でスーパーウーマンであることや恋愛などで悩みを抱え、自殺を試みたが左江内に何度も止められる。後日、立ち直った事を知らせに東京の左江内に会いに行き、左江内が一人で支えきれない鉄塔が落下しそうなのを支えて彼を救った。
左江内 春子
演 - 立石涼子
左江内の母。栃木県在住。円子は彼女の前では「夫の言う事を聞く妻」を演じていたが、気が強い円子が優しさだけが取り柄で頼りない英雄を上手く夫としてたてている事を見抜いていた。
左江内 茂雄〈80〉
演 - 平泉成
左江内の父。栃木県在住。
真紀子
演 ‐ 阿南敦子
左江内の妹。
第9話
フジコ建設社長
演 ‐ 風間杜夫
フジコ建設社長夫人
演 ‐ 石野真子
島
演 ‐ 宅麻伸(友情出演)
強盗
演 ‐ やべきょうすけ
第10話
バスジャック犯
演 - 菅田将暉
円子と木手が乗る観光バスをジャックした若者。ただ円子に圧されたりして、やや気が弱い。正体はゲームが買えなくてムシャクシャしていたところを米倉(キャプテンマン)に操られて犯行に及んだ男でもある。しかしながら結局犯行自体が忘却光線で「なかったこと」になり、念願のゲームも左江内の配慮で手に入れ(左江内が「ホトケ電気」で米倉が変装した電気屋からもらったもの)、自分が犯行に及んだ理由も分からないまま逃走していった。
スタッフ
原作 - 藤子・F・不二雄『中年スーパーマン左江内氏』(双葉社・中央公論新社・小学館刊)
脚本・演出 - 福田雄一
音楽 - 瀬川英史
EDロールダンス振り付け - 楢木和也
法律監修 - 池村聡
警察監修 - 古谷謙一
スーパー服制作 - JAP工房
アクション監督 - 田渕景也・難波一宏(スタントチームGocoo)
技術協力 - NiTRo、キアロスクーロ撮影事務所、ファーストショット
照明協力 - オフィス・ドゥーイング
美術協力 - 日テレアート
VFX - khaki
ドローン撮影 - 東通クリエイティブ・ビジョン
ポスプロ - レスパスビジョン
協力プロデューサー - 次屋尚
チーフプロデューサー - 伊藤響
プロデューサー - 高明希、柳内久仁子
制作協力 - AX-ON
製作著作 - 日本テレビ
主題歌 - 三代目J Soul Brothers「Happy?」(rhythm zone)
各話あらすじ(2017.1.14 - 2017.3.18)全10話 平均視聴率 9.54%
第1話 2017年1月14日「藤子F原作サエないヒーロー悪に強いが妻に弱い」※初回15分拡大(21:00〜22:09)
建設会社の万年係長で恐妻家の左江内(堤真一)は、鬼嫁・円子(小泉今日子)、思春期でプチ反抗期の長女・はね子(島崎遥香)、小生意気な長男・もや夫(横山歩)の4人家族。小心者で頼りなく、会社でも家庭でも期待されていない左江内だが、ある日、怪しげな老人(笹野高史)から、スーパーヒーローになれるスーパースーツを無理やり託される。そして、助けを求める人がいれば、たとえ仕事中でも出動する羽目になってしまう。
第2話 2017年1月21日「サエないヒーローでも息子のピンチを救えるのか!?」
スーパーヒーローを渋々続ける左江内(堤真一)は、再会した例の老人(笹野高史)にスーツを返そうとする。しかし、仕事に遅れそうになり、ついスーツの威力に頼ってしまう。そんな左江内と部下の蒲田(早見あかり)は、たまたま入ったもんじゃ焼き店の店主・茂(織本順吉)から「店を閉めてマンションを建てたい」と相談される。一方、もや夫(横山歩)が合唱コンクールの指揮者に選ばれ、円子(小泉今日子)は大喜びするが…。
第3話 2017年1月28日「ヒーローがなんてったってアイドルのマネジャー!?」
左江内(堤真一)は、娘のはね子(島崎遥香)が人気アイドルグループ「ルージュパンク」のオーディションを受けると知る。後日、左江内は広報部の助っ人として、CM撮影の現場に駆り出されるが、出演する‘4代目マイホームガール’はルージュパンクのセンター・ありさ(浜辺美波)だった。左江内が建設会社の営業係長と知ったありさは横柄な態度を取るが、はね子の件を聞いて、最終審査でプッシュしてもいいと言いだす。
第4話 2017年2月4日「仕事か遠足か?夫婦愛を試されるサエないヒーロー」
左江内(堤真一)は上司の簑島(高橋克実)から、明後日に迫った3社競合のプレゼンを押し付けられる。蒲田(早見あかり)ら部下に昇格のチャンスだと乗せられ、やる気になった左江内は、設計課の諸星(尾上寛之)らと準備を始める。ところが、保護者同伴のもや夫(横山歩)の遠足が同日と判明。円子(小泉今日子)から、仕事を休んでも行くよう命じられ、困り果てた左江内は例の老人(笹野高史)にコピーロボットが欲しいと頼むが…。
第5話 2017年2月11日「不倫!?家庭崩壊の危機に顔面蒼白のヒーロー」
左江内(堤真一)は上司の簑島(高橋克実)から相談を受ける。総務部の藤崎(本田翼)と居酒屋で飲んだ簑島は、気が付くとホテルで一人寝ていて、店を出た後の記憶がない。その後、藤崎から「不倫をばらされたくなければ」と金を要求されているという。左江内にとって藤崎は総務部時代の後輩だ。説得を頼まれた左江内が居酒屋に誘ったところ、藤崎は簑島を許すという。ところが、左江内が目覚めると、そこはホテルの一室で…。
第6話 2017年2月18日「ムロツヨシ大活躍!?爆弾を見つけ出せ!」
刑事の小池(ムロツヨシ)はここ数カ月、無意識のうちに事件を解決しては、警視総監賞を幾つも手にしている。実のところ、左江内(堤真一)の手柄なのだが、それを知る者はいない。休日、家族とテーマパークを訪れた左江内は、危険信号を察知して事務所へ。そこにいたのは小池と刈野(中村倫也)で、園内に爆弾が仕掛けられたという。正体を明かした左江内は、家族を帰したら、すぐに戻って捜査に協力することを約束するが…。
第7話 2017年2月25日「ヒーローが銀行強盗に!?悪用されたスーパースーツ」
スーパーヒーローの自覚が出てきた左江内(堤真一)は、海外のテロのニュースを見て「何もできなかった」と罪悪感を感じる。部下の池杉(賀来賢人)と酒を飲んで、正体を明かした左江内は、スーパーヒーローとしての悩みを話し、後継者に名乗りを上げた池杉にスーツを託した。本気にしていなかった池杉は、翌日、スーツが本物だと知って驚く。直後、SOS信号を聞いた池杉は、左江内に促されて出動することになる。
第8話 2017年3月4日「鬼嫁が良妻に!?悩めるスーパーウーマンが人生相談」
左江内(堤真一)は、父・茂雄(平泉成)の誕生日を祝うため、1泊で栃木の実家に帰省。左江内の妹・真紀子(阿南敦子)夫婦もやって来る。ブランドバッグの購入を同行の条件にした円子(小泉今日子)は、茂雄と春子(立石涼子)夫婦の前では完璧な‘良妻’を演じ、はね子(島崎遥香)ともや夫(横山歩)も協力する。その夜、SOSを感知した左江内は逃走する強盗を追跡。追い付いた現場で‘スーパーウーマン’の桃子(永野芽郁)と遭遇する。
第9話 2017年3月11日「社長・風間杜夫登場で大波乱の予感?!」
課長の簑島(高橋克実)が部長昇進の内示を受ける。順当なら、係長の左江内(堤真一)が次期課長のはずだが、新課長には元2課の係長(宅麻伸)が就任した。帰宅すると、既に簑島の妻と電話で話した円子(小泉今日子)が、左江内も昇進したと早合点。左江内は否定しそびれ、自己嫌悪に陥る。そんな中、SOSを受けた左江内は、ピストルを手にした強盗から豪邸の主人を救出する。その相手は偶然にも、勤務先の社長(風間杜夫)で…。
最終話 2017年3月18日「ヒーロー放棄で絶体絶命!?夫婦愛の奇跡!!」
もや夫(横山歩)が欲しがっているゲームソフトの発売日と、接待ゴルフが重なり、ソフトを買いそこなった左江内(堤真一)は、ゴルフから戻って捜し回る。その最中のSOSに一瞬、ためらった結果、男の子がベランダから転落してしまった。限界を感じた左江内は、謎の老人(笹野高史)にスーツを返却しようと決意する。責任から解放され、翌朝、気持ちも軽く出社した左江内だが自分の席にはある人物が座っていて…。
各話視聴率
番組公式サイト
中年スーパーマン左江内氏 - Wikipedia