概要
奇才・遊川和彦が脚本を手掛ける、特別養子縁組制度をテーマにした意欲作。主人公のピアニスト・梅田美奈を尾野真千子、その夫・信次を江口洋介が演じる。
題材となる特別養子縁組は日本で唯一、血のつながらない他人同士が本当の家族として認められる実在の戸籍制度。対象となる子供の年齢は6歳までで、親になることを望む夫婦には6カ月以上に及ぶ試験期間が課せられ、さまざまな条件を審査される。
ドラマでは、尾野と江口演じる夫婦が、同制度を利用して実の親に捨てられた男の子の親になることを決断し、“本当の家族”になろうと奮闘する6カ月の物語を、時にシビアに、時にコミカルに描いていく。
ストーリー
挫折続きのピアニスト・梅田美奈(尾野真千子)と、自他ともに認めるお人好し・信次(江口洋介)は結婚して10年になる夫婦だが、ある理由から子供がいない。そんな2人が、実の親に捨てられた素性の分からない男の子の親になることを運命と位置付け、特別養子縁組制度の利用を試みる。
だが、6カ月というタイムリミットが設けられた試験期間や、裁判による審議などの条件は、まるで「本当の親子になるためのテスト」のよう。美奈と信次は、思いがけない出来事に直面して初めて見えてきたパートナーの本音や自らの欲求に戸惑い、翻ろうされていく。
キャスト
梅田 美奈(うめだ みな)〈35〉
演 - 尾野真千子(幼少期:井上琳水)
世界的に有名な指揮者を父に持つピアニスト。25歳で信次と結婚。プロのピアニストとして認められるまで子どもは作らないと決め、自宅で子ども向けのピアノ教室を細々と開きながら国際コンクールでの入賞を目指している。10代の頃から挑戦を続け、35歳の今、戦績は49連敗。夢はかなわず、子どもも生まず、思いに任せない日々にも人前では笑顔で踏ん張っている。だが、その笑顔も子どもには通じず、苦手意識があることはいなめない。日常で溜まったうっぷんは一人自宅の便器に向かい絶叫して発散。レモネード作りが得意。
梅田 信次(うめだ しんじ)〈45〉
演 - 江口洋介
美奈の夫。近所の不動産管理会社勤務。まれに見るお人好しで損することもしょっちゅうだが、性格を改めようという気はない。また、すべての出会いや出来事には意味があると考えるたちで、時刻や車のナンバーでゲンを担ぐことが大好き。父は他界。年老いた母は施設に入居。なにかと厄介ごとを持ち込んでくる妹弟がいるが大きな問題とは思っていない。美奈と美奈のピアノを心から愛し、結婚10年を迎えた今も愛情表現をためらわない。近所の富士丸不動産に勤務している。
梅田 一(うめだ はじめ) / 黒川 ひかり〈5〉
演 - 横山歩
近所のアパートで暮していたが、親に育児放棄をされ、美奈の家に忍び込み、美奈と出会う。先述の育児放棄もあって、完全に心を閉ざし、言葉を発することができなかったが、信次と美奈の愛情を受け、二人を「お父さん」「お母さん」と呼び、言葉も話し始め、幼稚園にも通うようになった。ピアノの才能がある。本名など詳しい情報は不明となっており、信次がつけた「一」という名前を使用していたが、第6話のエンディングで本名が「ひかり」であることが明かされた。
美奈と信次の親族
梅田 巧(うめだ たくみ)〈37〉
演 - 速水もこみち
信次の弟。優男で母性本能をくすぐるタイプ。定職に就かずフラフラし、常に女性関係のトラブルに巻き込まれているどうしようもないダメ人間だが、どこか愛嬌があり憎めない。結婚や家族制度に意味がないと考えており、生涯結婚しないと決めている。母親のいる老人ホームに勤める介護士を妊娠させてしまう。
梅田 志乃
演 - 浅茅陽子
信次、春代、巧の母。介護付有料老人ホーム「サニーロット南多摩」631号室の入所者。
不破 太一
演 - 夙川アトム
春代の夫。
不破 明日香
演 - 平澤宏々路
春代の1人娘。
不破 春代(ふわ はるよ)〈40〉
演 - 坂井真紀
信次の妹。8歳の娘に過干渉な母親。夫への興味はとうにない。おしゃべりで人に取り付くのがうまく、美奈にも母の見舞いをしばしば代行させている。親子は同じDNAを持っているからこそ愛せるという持論を展開し、血のつながらない子どもを養子にしようとする美奈に自尊心とおごりをチラつかせる。娘の明日香のことは誰よりも自分がわかっていると自負していたが、自分が原因で明日香が学校で虐められていたことには気づいていなかった。
追川 真美(おいかわ まさよし)〈70〉
演 - 藤竜也
美奈の父。世界的に有名な指揮者。音楽に向かう愛情は常軌を逸していて、家族を顧みず社会常識は欠如。娘の美奈とも親子とは思えぬ距離を置き、信次のことは名前すら覚えていない。幼いころの美奈にとっては音楽が唯一、そんな父と自分を結びつけるものだった。その呪縛は今も美奈を苦しめている。一にピアノの才能があることを早くから見抜いていた。
その他
日陰 蘭
演 - 根本りつ子
真美の経理。支配人。
新井
演 - 岡本玲(第4話 - )
「サニーロット南多摩」の介護士。
吉井
演 - 山崎樹範
警察官。階級は巡査。
片島 典子
演 - 鈴木麻衣花
堂本の部下。
布川 直行
演 - 横田大明
指揮者、真美の弟子。
黒川 月子(くろかわ つきこ)
演 - 富田靖子(第6話 - )
一の祖母と名乗る女性。出生届も所持しており、子供の速やかな引き取りを要求する。娘の育児放棄を「知らなかった」として問題視しておらず、また、梅田家を「一を育てるのには相応しくない場所」と批判したり、一を長野に連れていく際に「梅田家の二人は一を嫌っている」という嘘を吹き込む等、傲慢な物言いをする。
黒川 泉(くろかわ いずみ)
演 - 志田未来(第7話 - )
一の実の母親で、月子の娘。長野県にある「長野黒川病院」の精神神経科に入院していたが、第8話で退院する。
一に虐待や育児放棄を行い、一が周囲に対して心を閉ざす原因を作った。
堂本 真知(どうもと まち)〈57〉
演 - 余貴美子
児童福祉司の資格を持つ児童相談所のベテラン職員。梅田夫妻に、男の子を養子にできるかどうか審判を下す重要人物。何を考えているのか心の在りどころがわからない不気味さを漂わせているが、すべての言動の裏には彼女なりの意図が存在している。
スタッフ
脚本 - 遊川和彦
監督 - 片山修、日暮謙、伊藤彰記
音楽 - 平井真美子
ゼネラルプロデューサー - 黒田徹也(テレビ朝日)
プロデューサー - 山田兼司(テレビ朝日)、太田雅晴(5年D組)
制作協力 - 5年D組
制作著作 - テレビ朝日
主題歌 - 槇原敬之「理由」(Buppuレーベル)
使用楽曲
モーツァルト - ピアノソナタ第11番 イ長調 K.331 第1楽章
サン・サーンス - 動物の謝肉祭 第13曲「白鳥」
各話あらすじ(2016.7.14 - 2016.9.15)全9話 平均視聴率 9.86%
第1話 2016年7月14日「夫婦は捨てられた子の本当の家族になろうと思った」※初回15分拡大(21:00〜22:09)
美奈(尾野真千子)は自宅でピアノ教室を開きながら、国際コンクール入賞を目指している。夢の実現まで子どもはつくらないと決め、夫・信次(江口洋介)の理解も得ていた。ある日、美奈がピアノの練習中、汚れた男の子が庭に侵入する。無表情で何も話さぬ男の子は、その後、親から虐待を受けていたと分かる。親の姿も長らく確認されていないため、児童相談所職員・真知(余貴美子)は、養護施設入所を決定。数日後、その子が再び庭に現れ…。
第2話 2016年7月21日「あなたの手は、離さない」」
男の子との出会いから3カ月が経過。その間、特別養子縁組を希望する信次(江口洋介)と美奈(尾野真千子)は、里親の資格を得るための研修を受け、児童相談所の真知(余貴美子)による面接に臨んだ。2人は自分の家族について質問され、信次は美奈の母親の死因などをこの場で初めて知ることになる。さらに、子どもが暮らすのに適しているかを調べるため、真知が家庭訪問に現れる。一方、男の子は相変わらず、誰にも懐こうせず…。
第3話 2016年7月28日「あなたの、あいを、ためします」
信次(江口洋介)と美奈(尾野真千子)が、男の子(横山歩)を引き取る日がやって来た。戸籍上正式な親子になれるかは、今後の裁判所の判断だ。そして3日目。聞いていた‘試し行動’が始まる。それは過食や偏食、飲食物のまき散らし、殴ったりかんだりなどの行動で、児童福祉司・真知(余貴美子)によると、里親が受け入れてくれるかどうかを試さずにはいられないのだという。美奈たちは、気が済むまでやらせるよう言われていて…。
第4話 2016年8月4日「5才の産声初めてしゃべった日」
愛情を確認する‘試し行動’に続いて、男の子(横山歩)に‘赤ちゃん返り’が始まった。抱っこを要求し、美奈(尾野真千子)から1秒たりとも離れない。真知(余貴美子)は信次(江口洋介)に、実の親にそうしてもらえなかった反動であり、赤ちゃんのように扱えば、やがて満足して終わると説明する。美奈はトイレでも1人になれず、疲れ果てる。ところが、男の子はピアノの椅子に座るのは嫌がらず、美奈と一緒に鍵盤をたたき始める。
第5話 2016年8月11日「生まれて初めて書いた手紙」
美奈(尾野真千子)はハジメ(横山歩)のことを思うあまり、ああしろこうしろと口うるさく、逆に信次(江口洋介)は甘やかし気味だ。ある日、ピアノのレッスンに乱入したハジメが、生徒を椅子から突き飛ばし、自分のノートや筆箱を庭に放り投げる騒ぎを起こす。美奈はハジメをたたこうとして寸前で思いとどまるが、どう接するのが正しいのか分からない。真知(余貴美子)はそんな2人に、親からどのような愛情を受けて育ったのかと尋ねる。
第6話 2016年8月18日「実母の影」
美奈(尾野真千子)と信次(江口洋介)は、ハジメ(横山歩)を幼稚園に通わせる。そんな中、ハジメが遊戯会の練習中に他の子を押し倒してしまった。マリ先生(大西礼芳)によると、いじめを止めようとしてもみ合いになったらしい。信次は先方に謝罪の電話をするが、納得できないハジメから、同じことがあったらどうすればいいかと尋ねられ、2人は言葉に詰まる。真知(余貴美子)に相談した美奈は、虐待された子はいじめに対する怒りが強く、見て見ぬふりを強要すればトラブルを起こしかねないと聞かされる。
第7話 2016年8月25日「実母の正体」
美奈(尾野真千子)と信次(江口洋介)は真知(余貴美子)の訪問を受け、ハジメ(横山歩)の実母が名乗り出て息子を返してほしいと訴えていると聞いて、耳を疑う。しかも、実母の母・月子(富田靖子)が乗り込んできて、即刻連れて帰ると言い出した。月子はとりあえず引き上げるが、ハジメは次の措置が決まるまで児童相談所預かりに。ハジメは「すぐ迎えに行く」と話す美奈たちにけなげに振る舞い、夫婦は自分たちの力のなさを痛感する。
※2016年9月1日は「2018FIFAワールドカップロシア アジア地区最終予選 日本×UAE」(19:00 〜 21:35)が放送のため、休止。
第8話 2016年9月8日「本当の親子になるために」
美奈(尾野真千子)と信次(江口洋介)は、実母・泉(志田未来)の元に引き取られたハジメ(横山歩)のことが諦めきれない。しかし、真知(余貴美子)によると、家裁に自分たちの方が養育にふさわしいと「監護者指定」を申し立てることはできるが、それが通るのは奇跡に近いという。2人はハジメに会おうと長野へ。入院中の泉がいない自宅でハジメと再会を果たすが、帰宅した泉の母・月子(富田靖子)に誘拐だと通報されてしまう。
最終話 2016年9月15日「2人の母本当の親は、誰?」
美奈(尾野真千子)と信次(江口洋介)は、ハジメ(横山歩)を取り戻すため、「監護者指定」を家裁に申し立てるが、却下される。一方、真知(余貴美子)は、ハジメの暮らしぶりを見るため、長野の黒川家へ。ところが、実母・泉(志田未来)とハジメには、いまだ会話もスキンシップもないことが分かる。美奈たちが帰京した真知にハジメの様子を聞いていると、泉の母・月子(富田靖子)から、泉が遺書を残していなくなったという連絡が入る。
各話視聴率
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