原作では、30代女性に対する嫉妬や年齢への差別を扱っていたが、ドラマでは「若くて美しい新入社員」への差別やいじめをテーマに描かれる。
原作
『エイジハラスメント』は、内館牧子の小説。2008年7月23日に幻冬舎から単行本が刊行された。2015年6月15日には幻冬舎文庫版が発売された。
概要
内館牧子の同名小説を基に、武井咲扮するヒロイン・吉井英美里が、会社内のエイジハラスメント(年齢差別)に敢然と立ち向かう姿を描く社会派ヒューマンドラマ。
ストーリー
一流商社に就職した新入社員・吉井英美里(武井咲)は、能力と向上心にもあふれていたが、会社が英美里に求めたのは若さと美しさだけ。“女性活用”は口先だけの総務部に配属されたことで、彼女の持つもの全てがハラスメントの対象となってしまう。また、笑顔を見せるだけで男性社員からチヤホヤされる英美里は、あっという間に年上の女性社員の嫉妬の対象に。
あらゆる煮え湯を飲まされ、耐え忍ぶ日々を送る英美里だったが、ついに限界の時が訪れ、会社の旧態依然とした体質に反旗を翻すことを決意する。そして、理路整然と年齢差別やいじめに立ち向かい、やがては“総務の女王”と噂されるほど自由闊達に働き始める。
キャスト
吉井 英美里(よしい えみり)〈22〉
演 - 武井咲
総合商社・帝都物産の新入社員。アメリカでMBAを取るのを夢見て東京の大学で学んでいたが、実家の事業が失敗し夢を断念。会社役員を目指して駆け込み入社したが、希望していた繊維部門の配属は叶わず、総務部へ配属される。
正義感が強く真面目で言われた仕事は問題なくこなす一方で、実家の借金返済のための節約で同僚女子社員たちとのランチや会合はすべて断り、月500円のコーヒー代を出すのを拒否するなどの振る舞いから、女性社員達からは陰口を叩かれている。
若く容姿端麗なことから男性社員たちからの人気は高いが、能力ではなく見た目しか求められず、まっとうな仕事を与えてもらえない「エイジハラスメント」に苦しみながらも、持ち前の正義感と行動力で積極的に問題を解決しようとする。その一方で、頼まれた仕事を「簡単だから」という理由で上司に任せようとする、部署内の問題を、直属の上司ではなく仲の良い他部署の課長に相談するなど、年齢の若さと社会経験の少なさから来る浅慮な行動も見られ、繊維部の社員が企画部へ異動となった一件で権藤に直談判するも「思い上がりが過ぎる」と罵倒された末に聞き入れてもらえないなど、相手から大きな痛手を受けることもある。
「部下思い」で有名な権藤の本性を知ったことに失望し、街を彷徨っていたところに偶然保科と遭遇し、なし崩し的に肉体関係を結んだことで彼への思慕を強め、結婚願望を抱くようになるが、中里の暴露で大沢との関係を知ることになる。さらに保科が別の若い女性へ乗り換えたことで、保科の本性を知ってしまう。
理不尽なことを何よりも嫌う強い正義感の持ち主であり、相手に構わず自分の正義を貫き通す強い信念の持ち主。決めぜりふは「テメェ、五寸釘ぶちこむぞ!」。
大沢 百合子(おおさわ ゆりこ)〈40〉
演 - 稲森いずみ
英美里の上司の総務課長。入社以来繊維部門に所属し、結婚・出産・仕事・育児を両立させてきたエリート女性社員であったが、突然総務部へと異動になったことに内心大きなショックを受けている。
大学准教授の夫と8歳の娘の3人家族で幸せな家庭環境にあるが、繊維二課長の保科と長年不倫を続けている。
入社間もない立場にもかかわらず自分の正義を貫こうとする英美里に手を焼く一方、英美里の若さと美しさに強い嫉妬心を抱いている。更に保科まで英美里に惹かれ始めていることに焦りを感じ、一時は英美里の仕事を全て取り上げてすべて他の社員に割り振るなどの嫌がらせを行うようになる。
しかしその後、保科が英美里との交際を自分より優先し続けたことで結局は保科との関係を清算。その直後に中里に不倫の事実を公然と暴露されるも、物的証拠がなかったことから、逆に中里を嘘を広めたハラスメント加害者として糾弾、以降は英美里とも徐々に
融和の兆しを見せ、ハラスメントに対しても自分なりの方法で向き合うようになる。
井川 優(いがわ まさる)〈25〉
演 - 瀬戸康史
総務部。入社3年目。元カノがかなりの年上女性だったことから、年上の女性社員に受けがよく可愛がられている。表向きは分け隔てなく接する好青年だが、本性は強かで計算高く、その裏では平本と一緒に同僚や上司の陰口を叩いている。しかし、ある一件がきかっけとなって、女子社員への陰口が明るみに出てしまい、英美里に一喝された。
佐田 航一(さだ こういち)〈35〉
演 - 要潤
総務課長代理の男性社員。共働きの妻と2人の子持ちで、子育て優先のため欠勤・遅刻・早退することが多く、同期から出世コースから取り残されている。
一時期、権藤たちの勧めもあって、ロンドンへの異動を命じられるも、妻の出産と新たに生まれる子供の養育を優先したいという思いが強く、結局断っている。更にその後1年の育児休暇を申請し、大沢や高山からの猛反対の末に受理はされたものの、まともな仕事は与えられなくなっている。保科とは同期。
平本 大輔(ひらもと だいすけ)〈36〉
演 - 大倉孝二
スポーツ枠で入社した元駅伝選手。スポーツ畑出身から上下関係を重んじるにある反面、非常に弱気な言動が多い。「すいません」が口癖のため、女性社員たちからは「すいちゃん」と呼ばれている。井川と同様、普段の気弱な言動とは裏腹に、他の社員についての陰口を叩く一面も見られる。
高橋 心音(たかはし ここね)〈26〉
演 - 内藤理沙
舌足らずな口調が特徴の女性社員。他の女子社員とともに、英美里の陰口を叩く場面が多く、英美里を「嫌われバイキン」と呼んでいる。
野田 ミカ(のだ みか)〈29〉
演 - 原幹恵
結婚願望が強い女性社員。他の女子社員と共に、英美里の陰口を叩く場面が多い。
医大生の恋人と結婚することになり、恋人から大金を要求されたことでキャバクラでアルバイトをしていたところを偶然に高山に見つかってしまう。事情を話すも副業禁止の就業規則を破ることは出来ないと言われたため、逆に高山から大金を巻き上げるためにセクシャルハラスメントを捏造しようとするが、英美里に非難を受けたのみならず、大沢から当の交際相手が身元を詐称した結婚詐欺師である事実を突き付けられてしまう。
阿部 真理亜(あべ まりあ)〈52〉
演 - 宮地雅子
総務課派遣社員。他の女子社員とともに、英美里の陰口を叩く場面が多い。中里の暴露を信じるが、逆に仕事と家庭と不倫を完璧にこなしていた大沢に羨望を抱く。
伊倉 正雄(いくら まさお)〈54〉
演 - 杉本哲太
総務課主任を務める男性社員。高卒入社の上、病気がちで長欠が多かったことから出世コースから外れている。総務部長の高山からはストレスのはけ口としていつもつらく当たられており、「サンドバッグ伊倉」とあだ名されるほどだが、歯向かうことなく常に笑ってやり過ごしている。
穏やかな性格と、上司に苦労しているという同じ立場から、たびたび英美里の相談相手になることがある。
浅野 誠(あさの まこと)〈49〉
演 - 吹越満
総務部次長。高山の腰巾着的存在で、愚痴っぽく嫌味な性格から、周囲から反感を買われている。大っぴらなパワハラ・セクハラ・モラハラも酷く、高山からも「ハラスメント野郎」と呼ばれたほど。ある人事で百合子に先を越されかけたことへの嫉妬心から、彼女が業務で集めていた個人情報データを漏洩し、彼女の出世のチャンスを奪う。不祥事の発覚後は島根支社へと左遷される。
吉井 高男(よしい たかお)〈56〉
演 - 浅野和之
英美里の父親。理不尽な状況にも笑い飛ばす明るく芯の強い性格。現在は英美里の地元の北海道に居住している。かつては都内の会社勤めであったが、女性社員へのねぎらいで行った些細な言動について社員たちから嘘のセクシャルハラスメントの告発を受け、退職に追い込まれた過去を持つ。その後は帰郷し、居酒屋を開くも、経営の失敗により閉店に追われている。
英美里の口癖である「テメェ、五寸釘ぶちこむぞ!」は、元々は高男が自分の不幸を笑い飛ばす時に使っていたセリフである。
中里 桂子(なかざと けいこ)〈47〉
演 - 麻生祐未
総務課に勤務するベテラン一般職の女性社員。独身。ファッションや美容には常に気を遣っているが、他の女子社員からは年齢のことで陰口を叩かれている。
大沢とはプライベートで食事に行くなど表向きは仲が良いが、本心では嫌っている。自ら行動を起こすことは少なく傍観者的な立ち場であったが、保科と英美里の密会や保科と大沢の不倫現場を立て続けに目撃し、双方の秘密を握りながら場をかき回すことに楽しみを覚えるようになる。やがて、井川の女性社員に対する陰口の一件で英美里が激怒したのを機に、英美里を痛罵した上保科をめぐる恋愛沙汰を暴露するが、物的証拠が無かったことから大沢から一喝されてしまう。
高山 徹太郎(たかやま てつたろう)〈52〉
演 - 竹中直人
総務部長。自身の出世を何よりも重んじ、男尊女卑主義で女性差別的意識を持っているが、腰巾着の浅野とは異なり、自らの立場からの転落を恐れその思想を表に出すことはない。ことパワハラ、セクハラ、モラハラなどには常に神経を使っており、出世コース上にいるストレスが強く、伊倉がサンドバッグ役にされている。
当初は自分なりの正義を押し通す英美里を疎んじていたが、徐々に上司としての自覚を自分なりに持つようになる。
権藤 進(ごんどう すすむ)〈62〉
演 - 風間杜夫
総務担当役員で常務取締役。長きにわたる海外勤務の持ち主で、鷹揚な振る舞いと女性社員を積極的に登用する人事方針を打ち立てた功績から、部下や女性社員からの人気が高く、人望の厚さから次期社長候補とされている。
実際は、女性社員たちが産休や育児のための早退で仕事が続かないことに辟易しており、女性を活躍させるための路線企画はあくまで自分の名声向上のための上辺だけのものとなっている。また、本心では部下を自分の地位向上のための使い捨ての道具同然と考え、男尊女卑的感情を抱いている。自らの名声にこだわるあまりに、相手からの心象や評価のために見栄を張り、保身に走ることも多く、人の評価に関係なく地道に努力を重ねる行為を「真面目な若者にありがちな未熟な考え」として忌み嫌っている。
自身の名声向上のために、百合子を自身のプロジェクトに登用するも、情報漏洩が発覚すると原因を究明しようとせず、すぐさま彼女に見切りをつける。しかし、最後には自分の出世のために女性社員を利用する姿勢を、百合子や英美里に糾弾されることになった。
保科 晶彦(ほしな あきひこ)〈35〉
演 - 小泉孝太郎
繊維二課の課長。結婚願望はないが女好きで、女性の心理に長けている。女性には「若さ」を一番に求めており、内心では女性差別思想を持っているが、それを決して表に出すことはない。
大沢と長年不倫を続けていたが、自分の信念を貫く年若い英美里へと徐々に意識を移すようになり、やがて肉体関係を持ち、仕事帰りに食事へ誘うなど、徐々に親交を深めていく。しかし、自分の性癖には逆らえず、今度は英美里よりさらに年の若い未成年の女性へと乗り換える。
ゲスト
第2話
吉井 高男(英美里の父) - 浅野和之
第3話
山川 壮太郎(繊維一課の課長) - 高杉亘
結城 健(英美里と平本の同期) - 鈴木勝大
第4話
小田 みどり(繊維一課の新任課長) - 森口瑤子
菊池 あけみ(繊維一課の一般職OL) - 櫻井淳子
戸田 加奈子(繊維一課の一般職OL) - 松本若菜
スタッフ
原作 - 内館牧子『エイジハラスメント』(幻冬舎)
脚本 - 内館牧子
ゼネラルプロデューサー - 内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー - 中川慎子(テレビ朝日)、浅井千瑞(MMJ)、神通勉(MMJ)
演出 - 田村直己(テレビ朝日)
制作 - テレビ朝日・MMJ
主題歌 - 花岡なつみ「夏の罪」
各話あらすじ(2015.7.9 - 2015.9.10)全9話 平均視聴率 8.83%
第1話 2015年7月9日「五寸釘ぶちこむぞ!!パワハラ上司vs総務の女王」
商社に入社した英美里(武井咲)は希望とは異なる総務部に配属される。そこは部長の高山(竹中直人)を中心にパワハラなどが横行する旧体質の職場で、英美里は雑用ばかりの仕事に不満を抱きつつも、真面目に取り組んでいた。その一方、英美里は若さと美貌から、男性社員たちには特別扱いされ、女性社員たちには嫉妬される‘エイジハラスメント’を受ける。課長の百合子(稲森いずみ)は英美里に、周りに合わせるよう忠告する。
第2話 2015年7月16日「OL大奥の洗礼!やられたらやり返す!!
退職を決意した英美里(武井咲)だが、父・高男(浅野和之)が一流商社に勤める娘を誇りに思っていると知り、総務課員として頑張ることに。そんな英美里に、百合子(稲森いずみ)は「社員家族夏祭り」の雑務を担当するよう命じる。だが、最初から準備をしてきたミカ(原幹恵)らは不満顔。そして当日、英美里は繊維二課・増田(高橋光臣)の失礼な発言にも笑顔をつくるが、その様子を増田の妻・ひとみ(村岡希美)が見詰めていた。
第3話 2015年7月23日「横領パワハラ上司に五寸釘ぶち込むぞ!!」
雑用で繊維一課を訪れた英美里(武井咲)は、平本(大倉孝二)から大学の先輩だという一課長・山川(高杉亘)を紹介される。総務の仕事をばかにする山川に不快感を抱く英美里。山川は、保科(小泉孝太郎)の仕事の横取りが成功すれば繊維部門に引き抜くからと平本にささやき、自分の尻ぬぐいをさせていた。そんな中、山川のパワハラを目の当たりにした英美里は、それに耐えかねて退職を決意した同期・結城(鈴木勝大)に同情する。
第4話 2015年7月30日「お局VSキャリア!!女たちの仁義なき戦い」
英美里(武井咲)は常務・権藤(風間杜夫)の肝いりで設置された「ひとまず総務」のリーダーになる。そして早速、新課長・みどり(森口瑤子)の着任手続きのため繊維一課へ。みどりは着任早々、全員に給料分働いてもらうと言い、あけみら一般職の反感を買っていた。伊倉(杉本哲太)から一般職と総合職の仲が悪い理由を聞き、驚く英美里。そんな中、あけみらがみどりのパワハラやモラハラを「ひとまず総務」に訴えてくる。
第5話 2015年8月6日「左遷人事と闘うOL私、会社訴えます!!」
百合子(稲森いずみ)は英美里(武井咲)と保科(小泉孝太郎)の接近が気になって仕方がない。一方の英美里はパソコンが苦手な高山(竹中直人)から雑務を押し付けられ不満顔。そんな折、鉄鋼材料課の上田(大東駿介)から課長・小森(光石研)のエイジハラスメントに困っていると相談を受けた英美里らは、時代遅れの‘昭和オヤジ’への憤りに共感する。だが、小森から事情を聞いた英美里は、彼の言動が上田を育てるためだったと知る。
※2015年8月13日は「トリハダ(秘)スクープ映像100科ジテン 3時間スペシャル」(19:00 〜 21:48)が放送のため、休止。
第6話 2015年8月20日「お局は見た!略奪愛リベンジが始まる!!」
保科(小泉孝太郎)に励まされた英美里(武井咲)は笑みが止まらない。一方、権藤(風間杜夫)が佐田(要潤)を「欧州帝都物産ロンドン本社」の部長に推薦すると言い出す。部下の出世は自分の手柄だと喜ぶ高山(竹中直人)。だが、百合子(稲森いずみ)は、育児のため休むことも多い‘イクメン’の佐田が応じるか心配する。そんな中、保科から週末デートに誘われ有頂天の英美里の前に、上京した高男(浅野和之)と愛子(増子倭文江)が現れる。
第7話 2015年8月27日「男を賭けて最強パワハラ女上司と戦う!!」
保科(小泉孝太郎)と英美里(武井咲)の関係に対する疑いを強めた百合子(稲森いずみ)は、英美里の仕事を次々と取り上げる。なぜ百合子が怒っているのか思い当たらない英美里は落ち込む。一方、年上の女性社員を尊重し‘総務の王子様’ともてはやされる井川(瀬戸康史)だが、その態度は建前に過ぎなかった。そんな中、権藤(風間杜夫)が推進する女性登用プロジェクトのリーダーの座を狙う浅野(吹越満)は、井川の案を横取りする。
第8話 2015年9月3日「三百万セクハラ疑惑最後の敵は18歳…!!」
英美里(武井咲)と百合子(稲森いずみ)が保科(小泉孝太郎)を取り合う三角関係だという噂が広まった。英美里は百合子から、保科が元恋人だと説明されるが、動揺を隠せない。そんな中、心臓外科医と年内に結婚すると突然発表したミカ(原幹恵)は、心音(内藤理沙)たちに冷たくされても気にせず幸せに浸り、英美里にも結婚を勧める。その一方、ミカは実は医大生というその婚約者が医者になれるよう、資金集めに必死になっていた。
最終話 2015年9月10日「不祥事を暴け!!最後の敵はパワハラ役員」
保科(小泉孝太郎)が18歳のモデル・レナ(松井愛莉)と食事をする姿を目撃した英美里(武井咲)は若いうちに結婚したいと百合子(稲森いずみ)らに話す。そんな中、権藤(風間杜夫)が女性登用推進部を立ち上げる。高山(竹中直人)から新部長に推薦したと聞かされた浅野(吹越満)は有頂天。やがて新たな人事が発表され、桂子(麻生祐未)らが登用される。女性だから得をしたと井川(瀬戸康史)らに言われ、英美里は居たたまれない。
各話視聴率
番組公式サイト
(エイジハラスメント - Wikipedia)
タグ:エイジハラスメント