7月24日 23:59〜放送
往診帰り、健太郎(陣内孝則)は、とあるレストランの裏につながれた北海道犬を見かける。元気がない犬の様子が気になり、その場で触診してみると、筋肉のこわばりや舐めた形跡から、かなりのストレスが感じ取れた。
「誰だ、お前を置き去りにした、ひでぇ飼い主は!」。飼い主に注意しようと鼻息荒くする健太郎だったが、現れた飼い主・小泉里奈(雛形あきこ)の美しさに態度を一変、いたってスマートに注意する。「ペットのストレスを甘く見てはいけません。中には心を病んで、生きる気力がなくなるケースもあるんです」。
里奈はフレンチレストランのシェフで、オープンを間近に控え、準備期間中の身だった。聞けば、ワンルームのマンションという大型犬にとって最悪の環境で愛犬・シロを飼い、さらに昼間シロが寂しくならないよう、職場に連れてきていたのが裏目に出た様子。シロは運動不足から下痢や嘔吐止まらないほどストレスを溜めこんでいた。元々は実家の庭付き一軒家で生活していたと聞き、健太郎はシロを元の実家に戻すことを勧めるが、なぜか里奈は難色を示す。「この子の為にもそうしてあげたいんですが……戻れないんです」。どうやら複雑な家族の事情を抱えているようで……。
以来、健太郎はつながれっぱなしのシロが気になって仕方ない。そして以前のシロの生活環境を確認したくなり、つい登録証に書かれた里奈の実家を訪れるのだった。するとそこは予想以上に広い庭付きの豪邸。「こんな広い場所からワンルームに移ったんじゃ、そりゃ運動不足でストレスも溜まるわな」。偶然にも里奈の父親・茂徳(西田健)に出くわすが、威圧感たっぷりの冷徹な茂徳に、とりつくしまもなく門前払いされる。しかし、里奈の実家を見た以上、健太郎はますますシロを元の生活に戻したいと考えるのだった。
「シロは今、苦しんでいます。それを救えるのは、里奈さんだけなんです」――再び里奈を説得する健太郎。シロを戻せない理由は一体何なのか? 健太郎の問いにようやく里奈は口を開く。「私、三年前に、黙って家を飛び出してきたんです」。幼い頃に母親を亡くした里奈は、病院の院長を務める父の言うことをすべて聞いて育った。しかし、父が勧めた医者の男と結婚した時、父と娘の関係は狂い始めたのだ。その男は病院の後継者としてはふさわしかったが、里奈とはズレが生じ、間もなく離婚を余儀なくされた。それからはずっとシロだけを話し相手に引きこもっていたと言う里奈。「このままじゃいけない。そう思って働くことにしたんです。それを父に相談したら……」。好きな料理の道に進みたいと茂徳に話した所、何も答えず立ち去ってしまったと言う。
「昔から気に入らないと徹底的に無視するんです」――それをきっかけに、里奈はシロを連れて家を飛び出し、長い修行の末、最近ようやくレストランからお呼びがかかり、今に至る。「父と私はもう親子じゃないんです」。そう言う里奈の儚げな表情を見て、健太郎は何とか力になりたいと思うのだった。 ――「この柴健太郎、あなたのお力になります!」
早速、シロを動物病院で預かり、さらに父娘の関係性が修復できるよう仲介役を買って出る。いつものようにお人よしな健太郎に養母・英恵(野際陽子)はあきれ顔。
「また余計なことに首ツッコンで。嫌な予感がビンビンしてるわ」
「里奈さんのオヤジさんは、俺と同じ病院の院長だ。人間か動物かの違いはあれど、共に命を扱ういわば同志よ。おまけに同じく一人娘をもつ父親でもある。きちんと腹割って話せば、分かり合えるさ」
しかし、現実はシビアだった。健太郎の計らいにより、父と娘は三年ぶりの再会を果たすものの、茂徳は「何しに来たんだ」と冷たく里奈を突き放す。「お前が面倒見ていた犬だ。私には関係ない」。その態度が理解できない健太郎は、「お父さん!あなたの娘さんですよ!」と、ついに声を荒げる。それでも「私に、娘などいない」と背を向ける茂徳。父娘の溝は思った以上に深く、健太郎はただ立ち尽くすしかなかった――。
「気にしないでください。昔からあんな感じなんです。いつもブスッとして黙って、何考えてるか分からない人でしたから」。その夜、里奈は気持ちを振り切るように柴家で料理を振る舞う。シロの面倒も見てもらったお礼にと、里奈が用意したのは本格フレンチ。普段見慣れない料理に健太郎、養女・日菜子(吉本実憂)、英恵は大喜びし、いつも以上ににぎやかな食卓となる。「なんかいいな、こういう感じ」――家族の掛け合いを前に、気丈にふるまっていた里奈はつい本音をこぼす。「私の家、こんな風に笑いながら食卓を囲んだことなかったから」。健太郎は寂しげな里奈の後ろ姿をそっと見つめるのだった。
帰り際、里奈はフレンチレストランのプレオープンのイベント招待状を健太郎に渡す。「先生のような特別な方に来ていただきたい」。その言葉に、いつものように健太郎の勘違いが加速し始める。
そして、頑固な茂徳の心を開く、とっておきの名案を思い付くのだった。
「明日、娘さんがシェフをしている店がプレオープンなんです。お忙しいとは思いますが、足を運んでいただけないでしょうか」――健太郎は里奈に黙って再び茂徳の元を訪れ、招待状を差し出す。「なぜ獣医の方がここまでするんです? こんな事をして何のメリットがあるんですか?」。そんな茂徳に健太郎は言う。「ペットの病気を治すには家族の問題を解決するのが一番なんです」。健太郎は親子である以上、必ず分かり合えると信じていた。「里奈さんだって、あなたに食べてもらいたいと思っているはずです」。深々と頭を下げる健太郎を前に、またしても無言のままの茂徳。果たして彼に健太郎の想いは届くのか?
そして来たるべきプレオープンの日。客席も埋まり、幸先良いスタートを感じさせる中、健太郎はそわそわと落ち着かない。やがて時間が流れ、残ったお客は健太郎と日菜子だけになるが、「里奈さんのオヤジさんが来るまで帰らない」と粘る健太郎。
「どうしてそんな余計な事をしたんですか?」――健太郎のおせっかいに、ついに里奈は抑え込んでいた感情を露わにする。「あの人は言ったんです! 娘なんて、もういないって! あんな父なら、私だって、もう会いたくありません!」
果たして、里奈の父親は現れるのか!?健太郎の想いは里奈に届くのか!?
第1話 2014年7月3日「陣内孝則が人助け」
第2話 2014年7月10日「愛犬に遺産20億の鬼姑」
第3話 2014年7月17日「奪われた花嫁&花婿!?」
第5話 2014年7月31日「不幸呼ぶ伝説の女教師」
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