木曜時代劇25年度新シリーズ(新作としての)第一弾作品となっている。
概要
江戸本郷を舞台に、恋人に会いたい一心で放火事件を起こしてしまい処させられた八百屋お七の悲しい恋物語を題材にジェームス三木が脚本を手がける。
お七の放火事件については様々な諸説があるが、本作では恋人、吉三を救うためにお七自ら罪人となるという設定で描かれる。
ヒロイン・お七を演じる前田敦子はNHKドラマ初主演、時代劇初主演。
ストーリー
徳川5代将軍・綱吉の治世に大火で焼け出された八百屋の娘・お七(前田敦子)は、店と住まいが建て直されるまで預けられた寺で小姓の吉三(池松壮亮)と出会い、切ない恋心に身を焦がす。やがて八百屋が再建され、実家に戻ったお七だったが、父・喜兵衛(中村雅俊)は働き者の手代・勘蔵(平岡祐太)を婿に迎えようとする。すでに心の中に吉三がいるお七は、どうしても結婚を承知しない。そんな娘を心配する両親は、祝言を急ごうとする。
キャスト
玉森裕太/河村恭之助役
歌舞伎の名門木嶋屋の御曹司。杏星学園高校2年。家柄と端麗な容姿で人気を誇るが、本人は全くやる気がない。歌舞伎を愛するあやめに恋をし、一弥をライバルとして意識することで芸の道にまい進する。
中山優馬/澤山一弥役
一般家庭の出身だが轟屋に入門し、美貌と才能から歌舞伎役者として頭角を現す。小学校の同級生だったあやめに勧められて歌舞伎の道を志す。あやめとは両思いだが、後継ぎがいない師匠の娘・優奈から思いを寄せられ、心が揺れる。
川島海荷/千葉あやめ役
杏星学園高校2年。恭之助のクラスメイトで、一弥とは小学校の同級生。バイトに明け暮れる貧乏生活だが、やりくりしたお金で大好きな歌舞伎を観劇している。一弥に思いを寄せる、真っすぐで一途な女の子。
松村北斗/澤山梢平役
一般家庭の生まれで、養成所出身の役者。野心家で役を手に入れるためには手段を選ばない。後継ぎのいない轟屋の娘・優奈に近づく。
ジェシー/坂本春彦役
杏星学園高校2年。恭之助の同級生で、一番の理解者だと思っている。
山本耕史/佐賀田完二郎役
恭之助と一弥の兄貴分的な歌舞伎役者。勉強会を主宰し、2人に的確な助言をくれる。
高嶋政宏/大岩松吉役
歌舞伎界の重鎮。若手の育成に力を入れ、御曹司が相手でも容赦しない鬼師匠。
榎木孝明/澤山咲五朗役
歌舞伎の大名跡・轟屋の当主。娘の優奈がいるが、男子の後継ぎがいない。
江波杏子/三田シズ役
河村家の家政婦。世左衛門が本音を打ち明けられる唯一の相手。
岸谷五朗/河村世左衛門役
歌舞伎の名門・木嶋屋の当主。恭之助の父であり師匠。息子を一切ほめないが、誰よりも才能を信じている。
スタッフ
制作統括:小松昌代、原林麻奈
脚本:ジェームス三木
演出:岡崎栄、岡田健、土井祥平
音楽:渡辺俊幸
主題歌:LUHICA 「手鎖の月」
各話あらすじ(2013.9.19 - 2013.11.21)全10話 平均視聴率 4.50%
第1話 2013年9月19日「なれそめ」 視聴率 5.8%
5代将軍綱吉が就任したばかりの延宝9年2月、江戸・本郷丸山で起きた火事は駒込まで燃え広がり、追分片町の裕福な八百屋「八百源」も類焼した。14歳の一人娘・お七(前田敦子)は店の手代・勘蔵(平岡祐太)らと逃げる途中、ならず者に蹴られてけがをしてしまう。大乗寺に逃げたお七は、店と住まいが建て直されるまで寺に預けられることに。お七は寺で、焼け出されて身寄りのない子どもたちの世話をしながら暮らすことになるが、やがて寺小姓の吉三郎(池松壮亮)を見初め、切ない恋心に身を焦がす。
第2話 2013年9月26日「しのぶれど」 視聴率 5.0%
いちずなお七(前田敦子)の気持ちを吉三郎(池松壮亮)も知り、自分もお七がいとおしいと気付く。だが、かなわぬ恋と思う吉三郎は、学問に身をささげると、お七に告げる。八百源が再建され、お七は追分片町に戻った。父・喜兵衛(中村雅俊)は働き手の手代・勘蔵(平岡祐太)を見込み、婿に迎えようとした。しかし、お七はどうしてもうんと言わない。喜兵衛と妻・お房(竹下景子)は、思い人の吉三郎を遠ざけようとする。
第3話 2013年10月3日「雨宿り」 視聴率 4.0%
吉三(池松壮亮)を待ち、けがをしたお七(前田敦子)。喜兵衛(中村雅俊)はあいびきを疑い、お七を叱る。お七が間違いを犯さぬよう、吉三は松尾芭蕉に預けられるが、ある理由から戻り、寺の裏山の小屋で寝泊まりするように。寺の子どもたちに会いに来たお七はそれを知り、裏山に急ぐ。雨が降り出す中、再会したお七と吉三は小屋の中へ。お七のことばかり考え、学問も手につかないと吐露する吉三に、お七は自らの願いを訴える。
第4話 2013年10月10日「夢枕」 視聴率 5.6%
お七(前田敦子)との婚礼は師走と決められ、手代の勘蔵(平岡祐太)は番頭になる。だが、お七は吉三郎(池松壮亮)が夢に出てきて、思いを断ち切れず苦しむ。そんな中、同心・青田(高橋和也)が喜兵衛(中村雅俊)を訪ね、喜兵衛が愛人のお露(麻生祐未)に産ませた隠し子が何者かにさらわれ、200両の身代金を要求されたと知らせる。勘蔵のもたらした情報から、下手人が捕まり、6歳になる菊丸(笹岡サスケ)は無事に保護されたが、お房(竹下景子)やお七ばかりか、世間の知るところとなる。
第5話 2013年10月17日「冬の蛍」 視聴率 3.6%
隠し子がいたことが知れ、家を飛び出した喜兵衛(中村雅俊)を捜して、お七(前田敦子)は勘蔵(平岡祐太)を伴い、お露(麻生祐未)を訪ねる。そこで見せた勘蔵の振る舞いに、お七は違う一面を見た気がした。そしてお七は、大乗寺の住職(田山涼成)から吉三郎(池松壮亮)の縁談もまとまったと聞き、たまらず家を抜け出し、吉三郎に会いに行く。縁談は断ったという吉三郎とお七が、ひそかに互いの気持ちを確かめたその時、夜空に火の手があがる。
第6話 2013年10月24日「口封じ」 視聴率 3.2%
強風にあおられ広がる火の手の中を、お七(前田敦子)と吉三郎(池松壮亮)は懸命に逃げる。翌日、南町奉行所では、大円寺の付近で不審な人影を見たとの投げ文があり、探索が始まる。同心の青田(高橋和也)は、大円寺の裏山で見つかったという焼け焦げた頭巾を持って「八百源」を訪ねる。それは、お七のものだった。お七と吉三郎の密会を知った喜兵衛(中村雅俊)は、口封じに走る。そんな中、吉三郎が火付けの疑いで奉行所に捕らわれる。
第7話 2013年10月31日「道連れ」 視聴率 3.5%
奉行所の詮議に、吉三郎(池松壮亮)は大火の夜、一人でいたと答える。だが、火付けはしていないと主張する吉三郎は激しく責められる。お七(前田敦子)は、吉三郎の無実を証明できるのは自分しかいないと訴えるが、喜兵衛(中村雅俊)とお房(竹下景子)に諭され、外出を止められる。しかし、気晴らしにと梅見に出掛けた隙に奉行所に駆け込み、吉三郎は自分と一緒だったと訴える。そんなお七を前に吉三郎は、確かに一人だったと言い切り、悲痛なお七は家に帰される。
第8話 2013年11月7日「合わせ鏡」 視聴率 4.2%
お七(前田敦子)は火付けの罪人として吉三(池松壮亮)を陥れたのは勘蔵(平岡祐太)だったと知り、苦しんだ末にある決心をする。やがて、八百源に与力、同心らが押し寄せ、お七を出せという。お七が南町奉行所に書面を持って名乗り出たのだ。驚いて問いただす喜兵衛(中村雅俊)とお房(竹下景子)を前にお七は手をつき、ご心配なくと一言残して、覚悟の面持ちで奉行所へと向かう。お七は白州で、大円寺に火を付けたのは自分だと申し出る。
第9話 2013年11月14日「恋の罪」 視聴率 4.1%
お七(前田敦子)は奉行所の仮監獄で吉三郎(池松壮亮)を思う。勘蔵(平岡祐太)は、真の火付け犯は自分だと奉行所に駆け込むが、3人目の証言者は邪魔だと、大老・堀田(中山城治)は言い捨てる。そして、吉三郎は江戸所払いの仕置きを言い渡され、放免となる。大火の時、お七は15歳だった。15歳であれば死罪は免れる。しかし、お七は16歳の大人であると白州で言い切る。「私は恋をしておりました」。だから大人だと厳然と答える。この時、お七の火あぶりが確定する。
最終話 2013年11月21日「蝶々」ラテ欄「私は死なない永遠を誓う」 視聴率 6.0%
奉行所の計らいにより、捕らえられたお七(前田敦子)に、喜兵衛(中村雅俊)とお房(竹下景子)の面会が許される。差し入れに吉三(池松壮亮)との思い出の帯をせがんだお七は、父と母の前で親不孝をわびながら、それでも誰よりも幸せだったと涙する。両親との今生の別れを済ませたお七は、その帯を締めて刑場に向かう。処刑の前、いっとき小屋に置かれたお七の元に、末期の水を持った僧侶が訪ねてくる。それは恋焦がれた吉三だった。
番組公式サイト
(あさきゆめみし 〜八百屋お七異聞 - Wikipedia)