小泉孝太郎はドラマ化の交渉の際に宮部みゆきによって指名され、主演に起用された。小泉は『コールセンターの恋人』(2009年)以来4年ぶりの連続ドラマ主演で、本作でTBSの連続ドラマ初主演となる。
シリーズ1作目『誰か Somebody』と2作目『名もなき毒』を原作に、前半の第1話から第5話で『誰か―』を、後半の第6話から第11話で『名もなき毒』の物語を展開する2部構成となっており、ヒロイン役も前半は深田恭子、後半は真矢みきへとリレー形式で変更される。(場面の入れ替えはあるものの)内容は原作に沿ったものとなっているが、グループ広報室のメンバーに関して、ドラマのみ登場の同僚編集者・手島雄一郎(てしまゆういちろう)と『名もなき毒』が初出の若手社員の加西や副編集長の谷垣が初登場時点で三郎が配属される前から在籍しているという差異があり、原作では『誰か―』のみに登場するアルバイトの椎名が後半以降も登場する。劇中ではタイトル画面を含め「毒」が落ち染み渡る描写が取り入れられている。
第1話では、直前の19:55 - 20:00に予告番組『もうすぐ名もなき毒』が放送された。
キャッチコピーは「人間の心に巣食う毒―私はその毒に名前をつける。」
概要
ベストセラー作家・宮部みゆき氏の小説「誰かSomebody」と、その続編「名もなき毒」を原作に、家族思いの温和な会社員が“探偵”として活躍する「杉村三郎」シリーズをドラマ化する。小泉孝太郎が演じるのは、妻の父が会長を務める今多コンツェルングループの広報室に勤務する主人公の杉村三郎。義父の依頼に応える中で、ある事件に巻き込まれた杉村は、日常や心の奥底に潜む人間の“毒”や、その連鎖を目の当たりにする。
ストーリー
今多コンツェルン広報室に勤める杉村三郎(小泉孝太郎)は、会長であり、妻の父でもある今多嘉親(平幹二朗)から、自転車によるひき逃げ事件で亡くなった元運転手・梶田信夫(平田満)の半生記を書こうとしている梶田の末娘・梨子(南沢奈央)を手伝ってほしいと依頼される。しかし、本の出版に反対する長女の聡美(深田恭子)からは、「父には暗い過去があり、それを妹に知られたくない」と懇願される。独自に事実を調べ始め、梶田をはねた犯人の目星も立ち始めたころ、杉村や梨子の元に不審な電話がかかってくるようになる。
キャスト
杉村 三郎(今多コンツェルングループ広報室編集者・嘉親の娘婿) - 小泉孝太郎
杉村 菜穂子(三郎の妻・嘉親の娘) - 国仲涼子
椎名 遥(グループ広報室編集アシスタント) - 岡本玲
手島 雄一郎(グループ広報室編集者) - ムロツヨシ
加西 新(グループ広報室編集者) - 森崎ウィン
谷垣 太一(グループ広報室副編集長) - 山崎大輔
園田 瑛子(グループ広報室編集長) - 室井滋
水田(喫茶「睡蓮」マスター) - 本田博太郎
杉村 桃子(三郎・ 菜穂子の娘) - 矢崎由紗
杉村 正子(三郎の母親) - 木野花
遠山(会長の第1秘書) - 佐藤直子
今多 嘉親(今多コンツェルン会長) - 平幹二朗
誰か Somebody(第1 - 5話)
梶田 聡美(信夫・弥生の長女) - 深田恭子(幼少期:平澤宏々路)
梶田 梨子(信夫・弥生の次女) - 南沢奈央
浜田 利和(聡美の婚約者) - 高橋光臣
梶田 弥生(信夫の妻) - 相築あきこ
野瀬 祐子(トモノ玩具元事務員) - 伊藤かずえ
卯月 勝利(城東中央警察署刑事) - 菅原大吉
梶田 信夫(今多嘉親の専属運転手・自転車ひき逃げ事件被害者) - 平田満
杉村 一郎(三郎の兄) - 犬飼若博(第1話)
杉村 麻子(三郎の姉) - 村岡希美(第1話)
杉村 真一(三郎の父親) - 野添義弘(第1・3話)
木内(「遊楽会館」スタッフ) - 長野里美(第1話)
田辺(三郎夫妻に派遣された家政婦) - 三谷悦代(第1・3話)
友野 栄次郎(梶田信夫の全職場「トモノ玩具」元社長) - 織本順吉(第2話)
友野 文子(栄次郎の義娘) - 池谷のぶえ(第2話)
久保(マンション「グレスデンハイツ石川」管理人) - 小宮孝泰(第3話)
工藤(「グレスデンハイツ石川」管理組合理事長) - 日野陽仁(第3 - 4話)
お婆さん - 久松夕子(第2 - 3話)
エプロンさん - 弘中麻紀(第3話)
関口(トモノ玩具元事務職の責任者) - 柳家小さん(第4話)
名もなき毒(第6 - 11話)
古屋 暁子(明俊の娘) - 真矢みき
古屋 美知香(暁子の娘・明俊の孫) - 杉咲花
原田 いずみ(グループ広報室編集アシスタント) - 江口のりこ(第5 - )
秋山 省吾(フリージャーナリスト) - 平山浩行
五味淵 まゆみ(秋山の従妹・グループ広報室編集アシスタント) - 中西美帆(第8 - )
古屋 明俊(連続無差別毒殺事件4人目の被害者) - 森次晃嗣(第5 - )
奈良 和子(明俊の恋人) - 烏丸せつこ
萩原 弘(コンビニ「ララ・パセリ」店長) - 斎藤歩
外立 研治(「ララ・パセリ」店員) - 君嶋麻耶(少年期:城戸恵斗)
萩原社長(弘の父親・萩原運送社長) - でんでん(第8 - )
芦田(警視庁刑事) - 大高洋夫
森川(警視庁刑事) - 井坂俊哉
近藤(所轄刑事) - 松本岳
北見 一郎(探偵・元警察官) - 大杉漣
沼田(いずみの前職場だった編集プロダクション「ハードアクト」社長) - 新井康弘(第6話)
黒井 寛治(今多物流次長) - 矢柴俊博(第6話)
原田 克也(いずみの父親・道友エンジニアリング札幌支社長) - 前田吟(第9話)
橋本(遠山の部下) - 平沼紀久(第9話)
松井(刑事) - 近江谷太朗(第9話)
外立 幸恵(研治の祖母) - 星野晶子(第10話)
スタッフ
原作 - 宮部みゆき『誰か Somebody』『名もなき毒』(文春文庫)
脚本 - 神山由美子
音楽 - 横山克
演出 - 塚原あゆ子、金子文紀、山本剛義、竹村謙太郎
音楽コーディネーター - 溝口大悟
演出補 - 村尾嘉昭
タイトルCG - 岸本威
CG - 田中浩征
スタントコーディネーター - 高槻祐士
法律監修 - 関秀忠
医療監修 - 横井宏和
映像提供 - ブレーントラスト
企画協力 - 河野治彦
制作 - 那須田淳
チーフプロデューサー - 橋本孝
プロデューサー - 鈴木早苗、橘康仁
プロデューサー補 - 吉村剛弘
制作協力 - ドリマックス
製作著作 - TBS
主題歌
近藤晃央「あい」(アリオラジャパン)
各話あらすじ(2013.7.8 - 2013.9.16) 全11話 平均視聴率 9.26%
第1話 2013年7月8日「宮部みゆきミステリー!28年の闇…姉妹の秘密と父の死の謎」
膨大な売り上げを誇るコンツェルングループの広報室に勤める杉村(小泉)は、義父で会長の今多(平幹二朗)から、本社ビルの会長室に呼び出され、今多の個人運転手を務めていた梶田(平田満)の通夜と告別式の列席を依頼される。梶田は自転車にはねられて即死し、自転車に乗った犯人は逃走していた。杉村は葬儀場で、梶田の長女・聡美(深田恭子)と次女・梨子(南沢奈央)に会い「何か力になれることがあれば頼ってほしい」という今多からの言葉を伝える。梶田は、杉村にとっても恩人のような存在だった。8年前、杉村は偶然知り合った菜穂子(国仲涼子)にプロポーズをするまでに至ったが、菜穂子の父親が今多だと知ったのは、その後だった。身内からも反対された結婚だったが、今多に結婚の許しを得た時、杉村に祝福の言葉を掛けてくれたのが梶田だった。杉村は、そんな梶田の娘に恩を返すかのように、調査に乗り出そうとする。しかし、協力的な梨子とは対象的に、聡美は調査に否定的な様子を見せる。そして、杉村と二人きりになった聡美は、自分の身に起こった忌まわしい過去について語りだす。
第2話 2013年7月15日「父は殺された!?28年前の誘拐…姉が見た真実」
事故死した梶田(平田満)の長女・聡美(深田恭子)には、幼いころ誘拐されたという記憶があった。聡美は杉村(小泉孝太郎)に、誘拐犯は「父のせいだ。殺してやる」と口走ったと話す。聡美が誘拐された当時、梶田は、それまでの荒れた暮らしをやめ、玩具会社で一生懸命に働いていたようだ。梶田は、亡くなる少し前に「ちゃんとしておかないとな。おまえが嫁ぐ前に」と意味深長な言葉をつぶやいていた。なぜ梶田は、一人で縁もゆかりもない事故現場となる街へ行ったのか。杉村は、事件の真相を探るため、梶田が勤めていた玩具会社へ向かう。
第3話 2013年7月22日「姉の毒と妹の毒…姿を現した誘拐犯の女!第2の犠牲者が」
聡美(深田恭子)の誘拐の真偽を探る杉村(小泉孝太郎)は、チラシを作り、情報収集のために、聡美の父・梶田(平田満)がひき逃げされた現場付近で配ることにする。そんな時、杉村の身に事件が起こってしまう。杉村の身に起こった事件と梶田の死、二つの事件に関係はあるのか。梶田は一体、誰と会うためにここに来たのか。なぜ、事故に遭ってしまったのか。ひき逃げ事件につながる真実が、徐々に明らかになっていく。
第4話 2013年7月29日「父と母が犯罪者!過去を暴くな…真犯人からの謎の脅迫!」
自転車事故に遭った杉村(小泉孝太郎)は、病院へ搬送される。その途中、杉村の携帯電話に「非通知」と表示された電話がかかってきた。処置を終え、自宅に戻った杉村に、また非通知電話がかかってくるが、無言で切れてしまう。後日、杉村の元に、卯月刑事(菅原大吉)が訪ねて来る。梶田(平田満)をはねた犯人を特定しているという。しかし、その犯人は、聡美(深田恭子)の誘拐事件とは全く関係ない人物だった。ひき逃げ事件の真相が明らかになっているかと思われた一方で、元玩具会社の関口(柳家小さん)という男から連絡が来る。
第5話 2013年8月5日「第1部・最終話〜毒にまみれた衝撃の結末!今夜すべての謎が明らかに!」
杉村(小泉孝太郎)の元にかかってくる「非通知」の電話の相手は、玩具会社で働いていた野瀬(伊藤かずえ)だった。野瀬の口から語られる28年前の真実。そこには、梶田(平田満)が事故現場へ行った謎とともに、聡美(深田恭子)の「誘拐」の真相も語られることになる。事件が解決に向かっているころ、梨子(南沢奈央)は、亡くなった父・梶田の本を完成させるため、父が育った町へ行くことにする。その時、杉村は梨子に対して、ある不信の念を抱き始める。
第6話 2013年8月12日「第2部開幕!謎の無差別連続毒殺事件×恐怖のストーカー」
愛犬の散歩をしていた古屋(森次晃嗣)が、コンビニで買った飲み物を飲んだ途端に突然、泡を吹いて倒れ、そのまま死亡。断続的に起きている連続無差別殺人事件の4人目の犠牲者となってしまった。すぐに娘の暁子(真矢みき)に連絡が入り、警察の事情聴取に付き合うことに。どうやら警察は、暁子を容疑者の一人として疑っているようだった。一方、杉村(小泉孝太郎)の働く広報編集室の一員となった原田(江口のりこ)は、あらゆる「毒」をまき散らし、トラブルばかりを引き起こす問題社員だった。結局、編集長・園田(室井滋)の判断で解雇されてしまう。これに激高した原田は、会長(平幹二朗)の元に訴訟をほのめかす手紙を送り付けてくる。速やかに対処するよう、会長から指示された杉村は、原田の過去を探ろうと、元警察官で探偵の北見(大杉漣)に相談するために出向く。そこで杉村は、古屋の孫・美知香(杉咲花)と出会ってしまう。この出会いにより、杉村は、自分とは全く無関係と思われた連続無差別殺人事件に巻き込まれることになる。
第7話 2013年8月19日「迫り来るストーカー!遺産を巡る二人の女…犯人は娘か愛人か」
祖父・明俊(森次晃嗣)を思う美知香(杉咲花)は、生前の明俊に対する暁子(真矢みき)の態度を責め、二人の関係はぎくしゃくしてしまう。明俊と暁子のいざこざの原因は、和子(烏丸せつこ)という女性の存在だった。一方、シックハウス症候群を気にする菜穂子(国仲涼子)は、家のリフォームを始める。その時、菜穂子の夫・杉村(小泉孝太郎)の携帯電話が鳴るが、嫌がらせのように切れたり、鳴ったりを繰り返す。翌日、解雇になった原田(江口のりこ)から広報室に杉村宛ての電話がかかってくる。
第8話 2013年8月26日「毒をもられた!第5の事件発生…衝撃の被害者は!絞られた3人の容疑者」
祖父・明俊(森次晃嗣)の遺品を探っていた美知香(杉咲花)は偶然、和子(烏丸せつこ)への遺言状を見つけ、「おじいちゃんを殺したのは、お母さんじゃないか」と母・暁子(真矢みき)を疑うことになってしまう。一方、ジャーナリストの秋山(平山浩行)に事件のことを聞き出したい杉村(小泉孝太郎)は、副編集長の谷垣(山崎大輔)から受け取った写真を返すという口実で秋山に会いに行く。気難しい秋山は杉村をむげに扱うが、秋山のいとこ・まゆみ(中西美帆)にたしなめられる。まゆみにアルバイトを紹介するという交換条件で、杉村は秋山から無差別殺人事件の情報を教えてもらうことに。そして、原田(江口のりこ)から新たな嫌がらせを受けた杉村は、入院中の北見(大杉漣)の元を訪れる。
第9話 2013年9月2日「父の告白…ストーカー女の悲劇の過去!愛人の正体!急展開の衝撃ラスト」
杉村(小泉孝太郎)に相談するため、広報室を訪れていた暁子(真矢みき)の娘・美知香(杉咲花)が突然、倒れる。続いて、杉村や園田(室井滋)、谷垣(山崎大輔)ら広報室メンバーも次々と倒れてしまう。外出から戻ってきた手島(ムロツヨシ)が、倒れたみんなの姿を見つけ救急車を呼ぶ。全員が命に別条はなく、捜査の結果、コーヒーに睡眠薬が入れられたと判明し、状況的に原田(江口のりこ)の犯行だと思われた。美知香から和子に会ってみたいと相談された杉村は、再びジャーナリストの秋山(平山浩行)の元を訪ねる。そこで、秋山から和子(烏丸せつこ)について衝撃の過去を聞く。
第10話 2013年9月9日「最終章!真犯人が衝撃の告白!ストーカーの毒牙が杉村家に襲いかかる!」
和子(烏丸せつこ)の飛び降り自殺と、事件に使われたと思われる青酸カリが彼女のバッグから見つかったことにより、明俊(森次晃嗣)殺害の真犯人は和子と決定付けられた。だが、和子の遺書には自分が殺害したとは明確に書かれていなかった。和子の自殺によって、父殺しの容疑が晴れた暁子(真矢みき)は、娘・美知香(杉咲花)との仲を修復しようとする。しかし、和子のことを悪く言う暁子に対して不信感を持った美知香は、家を飛び出してしまう。その後、杉村(小泉孝太郎)家へ保護された美知香のお礼に、暁子は広報室に杉村を訪ねる。その際、古屋家のポストに入っていた「ごめんなさい」と書かれたメモのことに触れ、杉村は明らかに和子の筆跡とは違うメモに引っ掛かりを覚える。メモはコンビニ店員・外立(君嶋麻耶)が書いたものだと思った杉村は、彼に会いに行くことにする。
最終話 2013年9月16日「最終回ストーカーから家族を守れ!杉村の逆襲が今始まる!」
「明俊(森次晃嗣)を殺したのは自分だ」と告白した研治(君嶋麻耶)は、杉村(小泉孝太郎)と秋山(平山浩行)に、事件の裏に隠された悲しい事情を語り始める。一方、毒殺事件が解決に向かう中、杉村の携帯電話に妻・菜穂子(国仲涼子)から着信がある。原田(江口のりこ)が杉村家に押し入ってキッチンに立てこもり、娘・桃子(矢崎由紗)を監禁しているという。秋山や研治と共に駆け付けた杉村は、原田を必死に説得するが、彼女の杉村に対する逆恨みは増幅していく。
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