篠川栞子(剛力彩芽)は太宰治の『晩年』を抱えたまま、病院の屋上で笠井菊哉(田中圭)と対峙していた。駆けつけた五浦大輔(AKIRA)が割って入ろうとするが、笠井の手にはハサミが握られていて身動きがとれない。半年前、文学館で『晩年』と対面して以来、再会できる日を夢見てきた、と言う笠井は、『晩年』を手に入れるためならどんな犠牲を払っても構わない、栞子にも自分と同じものを感じる、と言った。
すると、栞子が自分は笠井とは違う、自分には古書よりも大事なことがある、だから、もう終わりにしようと言うと、ライターを取り出し『晩年』に火を点けた。燃え上がる『晩年』を栞子は屋上から放った。笠井は、それを拾おうとして駆け寄り大輔に取り押さえられる。
後日、大輔と接見した笠井は、『晩年』は祖父が事情により手放したもので、以来、本を取り戻すことが使命だと感じるようになっていたと説明。本を燃やした栞子を痛烈に批判した。
その後、大輔は栞子に、燃やした『晩年』は偽物だろうと聞く。本物そっくりに細工した『晩年』を燃やすところを笠井に見せ、あきらめさせようとしたのではないか、と。栞子は大輔をもだましていたことを認め謝った。なぜ自分に相談してくれなかったのか、と怒る大輔に、栞子は、本を読まない大輔に自分の気持ちはわからないかもしれないと思った、と明かした。
数日後、「ビブリア古書堂」に買い取り希望の須崎(井浦新)がやってくる。須崎は足塚不二雄の『UTOPIA 最後の世界大戦』の買い取り価格を聞いた。鶴書房版の初版でしかも美本だと言う須崎。栞子は、現物を見た上だが、100万円単位になるのではと返答。すると、須崎は車を移動してくると店を出ていき、その後、何時間経っても戻ってこなかった。
栞子と大輔は買い取り表の書きかけの住所を頼りに須崎を訪ねた。ふたりを部屋に入れた須崎は、古書漫画のコレクションを見せ、先日亡くなった父(でんでん)が熱烈な藤子不二雄のファンでコレクターだったと明かした。さらに、それらを言い値で構わないから「ビブリア古書堂」に譲りたい、それが自分の初恋の人である栞子の母・智恵子(安田成美)への気持ちだからと言う。しかし、一冊だけ売れない本があると差し出したのが『UTOPIA 最後の世界大戦』だった。それを手にした栞子は、はさまれた値札に「ビブリア古書堂」、「2000円」と書かれていたことに驚く。須崎は、それは父が「ビブリア古書堂」で買ったものだと話した。栞子は、コレクションを買い取らせてもらうと言うと、須崎宅を後にした。
「ビブリア古書堂」に戻った栞子は、「2000円」の値札を見て、古書に精通する智恵子が『UTOPIA』を2000円で売ることはありえない。これは憶測だが、と言うと話し始めた――。20数年前、『UTOPIA』が東京の書店で売られていると知った須崎の父親は一目見たくて上京したが、魔が差して『UTOPIA』を万引きしてしまう。帰宅後、罪の意識にさいなまれた父親は、本を押し入れの段ボールに入れて隠した。しかし後日、別の本を売りに行くことになったとき、事情を知らない須崎少年(土師野隆之介)が段ボールを取り出し、上に本を重ねてしまった。「ビブリア古書堂」で、智恵子が段ボールの底にあった『UTOPIA』を取り出したのを見て驚いた父親は、それを奪うと買い取り希望の本を残して店を飛び出した。
ところが、その後、智恵子が須崎宅を来訪。須崎少年を外に出させると父親に『UTOPIA』のことを黙っている代わりにコレクションの一部を渡せ、と迫った。すぐには了承しなかった父親のため、智恵子は「2000円」の値札を渡したのだ。そうすることで、父親とは違う第三者がこの本を売った、という証明となる。そういう架空の第三者のことを民法上「善意の第三者」というのだ、と栞子は大輔に説明した。そして、自分の母はそういうことをする人間なんだ、と言った。
その後、栞子は10年前から智恵子が行方不明だと明かす。突然の告白に大輔が言葉を失っていると、もうあきらめている、と笑顔を見せた。そして、先日の自分の大輔に対する態度を謝罪し、これからは大輔を信じると言った。大輔は、自分は栞子にとって一番大切な本のことをわかろうとしていなかった、今後は自分も本が読めるように努力する、と言った。それを聞いた栞子は、大輔が本を読めるようになったら自分も嬉しいと言い、ふたりは微笑み合い…。
第1話 2013年1月14日「偽のサインと古書に秘められた謎」
第2話 2013年1月21日「なぜ犯人は一冊だけ本を盗んだのか」
第3話 2013年1月28日「本日のお客様は脱走犯!?」
第4話 2013年2月4日「鍵のかかった部屋から盗まれた本」
第5話 2013年2月11日「今回は、結末が2つです」
第6話 2013年2月18日「脅されているんです、異常な男から」
第8話 2013年3月4日「真犯人はビブリアにいる」
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