原作は19世紀のロシア文学を代表する文豪フョードル・ドストエフスキーの最後の長編小説『カラマーゾフの兄弟』。舞台を日本に移し、市原隼人、斎藤工、林遣都が物語の中軸を担う「黒澤家」の三兄弟を演じる。
主演の市原は『WATER BOYS2』以来約8年ぶりのフジテレビでの主演となる。
概要
19世紀のロシアを代表する文豪・ドストエフスキーによる世界的文学作品「カラマーゾフの兄弟」を日本の現代に置き換えて映像化。2004年の「ウォーターボーイズ2」以来、8年半ぶりに同系連続ドラマに主演する市原隼人が、父親殺しの容疑を掛けられた兄弟の次男・黒澤勲役を演じる。
物語全体を三部構成とし、第一部では事件の日に至るまでの三兄弟それぞれの父への“殺意”の芽生えを辿り、第二部では事件当日を、第三部では取り調べから判決までの真相解明を描く。
キャッチコピーは「原作ドストエフスキー。世界的問題作、ドラマ化。」「父親を殺したのは、誰だ。」
ストーリー
ある地方都市で会社を営む黒澤文蔵という男が殺された。文蔵は町の有力者であったものの、周囲の誰もが死を願うほど恨まれていた人物だった。そんな中、事件の容疑者として浮上したのは文蔵の息子である長男・満(斎藤工)、次男・勲(市原隼人)、三男・涼(林遣都)の3人。果たして事件の真相は…。
キャスト
黒澤家
黒澤 勲 (26) - 市原隼人(幼少期:木村聖哉)
黒澤家の次男。エリート弁護士。趣味で猟奇的な小説「汚れた血族」を執筆している。父親の資産を守るためだけに多額の金を出して弁護士にさせたのだと文蔵から言い含められている。高校時代、忌まわしい烏目町を離れ、東京の大学で法律の勉強をするために父親と利息年15%の金銭消費貸借契約書を交わし、弁護士になった暁には文蔵の役に立つことを約束した。
大学在学中に司法試験に合格し大学を3年で卒業後、東京の弁護士事務所に勤める。ある日、家族会議のためにと黒澤家に呼び戻され、文蔵から取引先の杉卓工務店とのトラブルを解決するよう言い渡される。
原作のイヴァン(ワーニャ、理科大出身の知識人)に当たる。
黒澤 満 (29) - 斎藤工(幼少期:中山玲凰 / 少年期:鈴木涼馬)
黒澤家の長男。失業中の遊び人。投資に失敗し多額の借金を背負う。文蔵に遺産の生前贈与を要求し、それが叶ったら黒澤家を離れバーを経営することを目論んでいた。
市長と産廃業者が癒着している現場を写真で押さえてほしいと先輩の平木(演:金子太郎)に依頼されて、金のために引き受ける。その仕事で加奈子が市長の娘であることを知り、偶然を装い接近し、加奈子と同棲するようになる。
バーで知り合った謎の女性・久留美から巧い融資話に乗せられるが、それが文蔵の指示による罠であった。そして、久留美が文蔵の友人であることを知り愕然とする。
原作のドミートリイ(ミーチャ)に当たる。
黒澤 涼 (22) - 林遣都(幼少期:大山蓮斗)
黒澤家の三男。医科大学4回生。園田教授との出会いから精神医学の重要性を知り、精神科医を目指すようになる。
原作のアレクセイ(アリョーシャ、修道僧)に当たる。
黒澤 文蔵 (65) - 吉田鋼太郎
黒澤家の当主。黒澤地所社長。烏目町の資産家。満・勲・涼の父親。感情の起伏が激しく、自分の意にそぐわないことが起きると家族でも関係なく暴力を振るう。
ある日、自宅の寝室で奇妙な置き方をされた他殺体として発見される。
原作のフョードルに当たる。
黒澤 梓
文蔵の先妻。満の母親。外に男性を作って、黒澤家から居なくなる。
原作のアデライーダに当たる。
黒澤 詩織 - 安藤サクラ
文蔵の後妻。勲・涼の母親。20年前に手首を切って自殺を図り、死亡する。
原作のソフィヤに当たる。
末松 進 (21) - 松下洸平
使用人。本名:佐々木純也。黒澤家の食事などの家事全般を担当している。
原作のスメルジャコフに当たる。
小栗 晃一 - 渡辺憲吉
秘書。当主・文蔵に代わって後妻・詩織の墓石を守っている。
原作のグリゴーリイ(老使用人)に当たる。
警察
入江 悟史 - 滝藤賢一
県警刑事部刑事。文蔵が殺害された事件を捜査する。
満・勲・涼を容疑者として執拗に取り調べ、彼らの生い立ちや人間関係から文蔵が殺された経緯を追う。
宮島 - 今村裕次郎(第5話 - )
県警刑事部刑事。入江とともに事件を捜査する。
杉山家
杉山 卓郎 - 水野智則
杉卓工務店社長。黒澤地所からビル新築工事の仕事を請け負ったが、建築途中で事故が起きてしまう。
ビル建築費用の残金を文蔵に請求したが、ビルは完成していない段階でその請求は不当だと言われ、残金を支払ってもらえなかった。
原作のスネギリョフ(元二等大尉)に当たる。
杉山 一郎 - 樋口海斗
卓郎・幸恵の息子。小学児童。同級生からいじめを受けているときに涼に助けてもらう。黒澤地所と杉卓工務店とのトラブルから黒澤家に敵意を持っていたが、やがて涼と心を許し合えるようになる。
原作のイリューシャ(イリューシェチカ、中学生)に当たる。
杉山 幸恵 - 中村真知子(第4話)
卓郎の妻。一郎の母親。病気を患って、園田教授と同じ病院に入院している。
その他
遠藤 加奈子 (26) - 高梨臨
満の彼女。市長の娘。彼の才能なら能力に見合った仕事が必ず見つかると信じて、金品を貢いでいる。満の将来を心配し、大学の友人でもある彼の弟・勲に相談する。
原作のカチェリーナ(カーチャ)に当たる。
吉岡 久留美 - 芳賀優里亜
文蔵の友人。満とバーで知り合い、職業は愛人だと話す。
原作のアグラフェーナ(グルーシェンカ)に当たる。
園田 志朗 - 小野寺昭
医科大学医学部教授。涼の恩師。持病の心臓疾患が悪化し病院に入院する。
精神医学を専門とし、大学内で不登校児を対象に開いている「心のコミュニケーション広場」を涼に見学させ、精神医学の重要性を説く。
原作のゾシマ(修道院の長老)に当たる。
園田 弘子 - 佐藤直子(第4話)
志朗の妻。
丸谷 八重子 - 山野海(第6・9 - 10話)
詩織が自殺する直後まで黒澤家の使用人として従事していた。黒澤地所の事業拡大のために文蔵から取引相手の醜業行為を強要されたことで詩織は段々と心が壊れていき、自殺に至ったと涼に教える。
佐々木 梨沙 - 岩田さゆり(第10話)
純也の母親。文蔵との間に子供を身籠るが認知してもらえず、独りで汐月総合病院で出産し、産後の肥立ちが悪く子供を産んで間もなく死亡する。その後、身寄りが無くなった純也は児童養護施設に預けられる。
スタッフ
原作 - フョードル・ドストエフスキー
参考文献 - 亀山郁夫訳『カラマーゾフの兄弟』(光文社古典新訳文庫)
脚本 - 旺季志ずか、武井彩
音楽 - 羽深由理
演出 - 都築淳一、佐藤源太、村上正典
演出補 - 池辺安智、淵上正人
音楽プロデューサー - 志田博英
スタントコーディネート - 釼持誠
法律監修 - 中島博之
医療監修 - 佐々木理恵
編成企画 - 佐藤未郷
プロデュース - 森安彩(共同テレビ)
プロデューサー補 - 上久保友貴
制作 - フジテレビ
制作著作 - 共同テレビ
各話あらすじ(2013.1.12 - 2013.3.23)全11話 平均視聴率 6.25%
第1話 2013年1月12日「〜汚れた血族〜」ラテ欄「汚れた血族〜衝撃の心理サスペンス開幕」
黒沢家当主の文蔵(吉田鋼太郎)は、町一帯に多くの土地を持ち、不動産業と建設業を営んでいた。町の経済は彼の会社を中心に回っており、町内で文蔵に盾突く者はほとんどいなかったが、彼の自己中心的な取引に恨みを買うことも多かった。その文蔵には3人の息子がいた。前妻との間に生まれた長男・満(斎藤工)、前妻が出て行った後に結婚した詩織(安藤サクラ)との間に生まれた次男・勲(市原隼人)と三男・涼(林遣都)だ。ある日、文蔵が自宅の寝室で殺害されているのが発見される。間もなく、3兄弟は容疑者として連行され、刑事(滝藤賢一)から取り調べを受けることになる。
第2話 2013年1月19日「〜次男・勲 侵された魂〜」ラテ欄「侵された魂」
「家族会議がある」と呼び出され、久しぶりに家に戻った勲(市原隼人)は、相変わらずの父・文蔵(吉田鋼太郎)の横暴ぶりに嫌気が差していた。朝食後、東京に帰ろうとしていた勲は、勤務先の弁護士事務所に、文蔵が勝手に休暇を取る連絡をしたと聞かされる。文蔵は取引のある下請け会社とトラブルになっていて、勲の力を借りようとしていた。文蔵に借金があり、弁護士になったら力になると約束していた勲は、何も反論できない。そんな折、勲は地元の海岸で、兄・満(斎藤工)の恋人である大学の同級生・加奈子(高梨臨)と再会する。
第3話 2013年1月26日「〜長男・満 棄てられた犬〜」ラテ欄「棄てられた犬」
父・文蔵(吉田鋼太郎)のウイスキーを持って2階に上がった満(斎藤工)は、涼(林遣都)の部屋を訪ねる。二人は一緒に飲みながら、母・詩織(安藤サクラ)の思い出話をする。そこへ、涼から頼まれた本を持った勲(市原隼人)が入ってくる。一緒に飲もうという涼の誘いを、勲は一度断るが、満からも「兄弟3人で飲むなんて、めったにないんだから」と言われ、仕方なく一緒に飲むことにする。やがて、満が定職に就いていないという話になり、場が気まずい雰囲気になると、満は氷を取ってくると言って部屋を出る。大広間で容器に氷を入れた満は、ちょうど帰宅した文蔵に出くわす。
第4話 2013年2月2日「〜三男・涼 奪われた我〜」ラテ欄「三男〜奪われた我」
涼(林遣都)は、園田教授(小野寺昭)が不登校の子供たちに自信を取り戻してもらうための活動をしていることを知る。精神医学の重要性を話す園田に感銘を受けた涼は、園田と同じ道を進むことを考える。そんな折、涼は砂浜で一人で遊ぶ一郎(樋口海斗)を見掛ける。以前、いじめられているところを助けた一郎から手をかまれた涼は、少しためらいながらも「一緒に遊ぼう」と声を掛ける。最初はぎこちなかった二人だが、最後には心を許し合う。しかし、涼が送り届けた一郎の自宅は、父・文蔵(吉田鋼太郎)ともめている杉山(水野智則)の家だった。
第5話 2013年2月9日「〜剥がれる仮面〜」ラテ欄「剥がれる仮面〜事件動き出す」
勲(市原隼人)が1階に下りてくると、涼(林遣都)はまだ食卓に着いていなかった。思い詰めていた涼を思い出し、勲は心配になる。そこへ、文蔵(吉田鋼太郎)が悪態をつきながらやって来る。さらに、下請け会社社長の杉山(水野智則)が、慌てた様子で入ってきた。そんな中、恩師の園田(小野寺昭)の死を受け入れられずに途方にくれる涼は、自宅の庭で、杉山の息子・一郎(樋口海斗)を見つける。一方、満(斎藤工)がバーで酒を飲んでいると偶然、久留美(芳賀優里亜)が入ってくる。
第6話 2013年2月16日「〜死を刻む砂音〜」ラテ欄「死を刻む砂音〜遂に事件当日!!」
涼(林遣都)は、2階から下りてくる文蔵(吉田鋼太郎)と久留美(芳賀優里亜)を見掛けるが、文蔵が久留美にキスをしたため、目をそらす。その様子を見ていた勲(市原隼人)は、前日に涼と「世の不条理について」の激論を交わしていて、二人は気まずい雰囲気になる。だが、満(斎藤工)の話になると、どちらにも連絡がないことが分かり、二人は心配になる。その日の午後、勲と文蔵は、下請け会社の件で打ち合わせをする。勲から、裁判所に証拠書類を提出すれば一件落着する、と説明された文蔵は「次の仕事もよろしく」と勲に告げる。この件を片付ければ文蔵から離れられると考えていた勲は、息苦しくなる。
第7話 2013年2月23日「〜黒く潰された空白〜」ラテ欄「黒く潰された空白」
満(斎藤工)は人目を気にしながら、ある道を走っていた。しばらくして、どこかに連絡をする満だが、相手は電話に出ず、すぐに会いたいと留守番電話にメッセージを残す。同日、勲(市原隼人)は東京にいた。弁護士事務所に、明日から出勤する旨を連絡した直後、見知らぬ電話番号から着信が入る。相手は入江(滝藤賢一)だった。入江から、文蔵(吉田鋼太郎)が遺体で発見され、殺害された可能性が高いことを聞かされた勲は、すぐに地元へ戻ることに。一方、涼(林遣都)は遺体の第一発見者として屋敷にいた。
第8話 2013年3月2日「〜断ち切れない鎖〜」ラテ欄「断ち切れない鎖〜嵌められた男」
涼(林遣都)は、文蔵(吉田鋼太郎)の遺体を発見した時の衝撃を思い出して苦悩する。父が死亡したというのに涙が出ない、と告白する涼に、勲(市原隼人)は「自分を責める必要はない」と慰めの言葉を掛ける。一方、加奈子(高梨臨)は自宅で、満(斎藤工)が書いた置き手紙を読み返す。満が文蔵を殺害した容疑で逮捕されて犯行を認めたらしい、と聞いていた加奈子は、その手紙のある文面が気になっていた。そこへ、刑事の入江(滝藤賢一)らがやって来て、加奈子は事情聴取をされる。その後、黒沢邸を訪ねた加奈子は、勲に満の弁護を頼む。刑事事件は専門外だからと話す勲に、加奈子は、以前満との間にあったことを話し始める。
第9話 2013年3月9日「〜引き裂かれた果てに〜」ラテ欄「引き裂かれた果てに〜罪と罰〜」
涼(林遣都)が警察署内で座っていると、手錠を掛けられた満(斎藤工)が刑事の入江(滝藤賢一)らに連れられて部屋から出てくる。その姿にショックを隠せない涼は、満に無実を信じていると声を掛けるが、満は無言のまま立ち去ってしまう。一方、満から父・文蔵(吉田鋼太郎)にそっくりだと罵倒された勲(市原隼人)は、黒沢邸に戻った後、錯乱し、文蔵の肖像画の近くで倒れていた。その夜、満の無実を証明する手掛かりを探していた涼は久留美(芳賀優里亜)から、ある事を聞かされる。
第10話 2013年3月16日「 〜顔の無い仔〜」ラテ欄「顔の無い仔〜ついに真犯人!?」
※「 世界フィギュアスケート選手権2013「男子フリー」 19:00〜21:24」を放送のため、開始時間変更(23:40〜24:25)。
満(斎藤工)との接見を終えた勲(市原隼人)は、警察署の廊下で加奈子(高梨臨)と出くわす。加奈子は以前、勲から「自分の気持ちをもてあそんでいる」と指摘されていた。二人は気まずい雰囲気のまま、当たり障りのない会話をする。勲と別れた加奈子は、満と面会。加奈子との別れを置き手紙で伝えたことを謝罪する満に加奈子は、二人で住む部屋を引き払うことを伝える。黒沢邸に戻った勲は、満との接見で得た情報を整理する。事件当日の内容は、どれも満に不利なものばかりで、満を無罪にするのは困難と思われた。その時、ドアがノックされ、涼(林遣都)が部屋に入ってくる。涼は、八重子(山野海)から聞いた衝撃の新事実を話し始める。
最終話 2013年3月23日「〜真実の色〜」ラテ欄「真実の色」
勲(市原隼人)は、事件当日の行動に不審な点があった使用人・末松(松下洸平)に、父・文蔵(吉田鋼太郎)を殺害したのかと詰め寄る。末松こそが、涼(林遣都)から聞かされていた「もう一人の兄弟」だった。末松は、文蔵は最低な男だと吐き捨て、満(斎藤工)と涼についても否定的に語るが、勲だけは、自分の兄としてふさわしいと話す。さらに、末松は、文蔵との間にあった出来事を告白し始める。一方、警察署に駆け込み、刑事の入江(滝藤賢一)に真犯人の存在を伝えた涼は、入江と共に急いで黒沢邸へ向かう。そんな中、満には、着々と起訴が迫っていた。
各話視聴率
番組公式サイト
(カラマーゾフの兄弟 (テレビドラマ) - Wikipedia)
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