キャッチコピーは「語れない過去があります。捨てられない想いがあります」。
原作
芭子&綾香シリーズ(はこアンドあやかシリーズ)は、乃南アサによる日本の小説のシリーズ。
前科持ちという、人には言えぬ過去を持つ2人の女が、東京の下町・谷中でひっそりと暮らし始める物語。
いつか陽のあたる場所で
単行本:新潮社、2007年8月22日発売、ISBN 978-4-10-371008-0
文庫本:新潮文庫、2010年2月1日発売、ISBN 978-4-10-142549-8
すれ違う背中を
単行本:新潮社、2010年4月22日発売、ISBN 978-4-10-371011-0
文庫本:新潮文庫、2012年12月1日発売、ISBN 978-4-10-142551-1
概要
乃南アサの小説を原作とする、人生につまづき、罪を犯した刑務所帰りの2人の女性の深い友情物語。愛した男のために犯罪に手を染めた女を上戸彩が、息子の命を守るために夫を殺めた女を飯島直子が演じる。刑務所で知り合い、深い絆で結ばれた2人。家族に見捨てられ、過去を隠しながらも、お互いに励ましあい下町・谷中で懸命に生きようとする。不器用で危なっかしく、それでいて人間くさい。2人から湧き上がる真実の感情が、心に響くドラマとなっている。
ストーリー
本気で恋をしたホストに貢ぐために、昏睡強盗を犯してしまった小森谷芭子(上戸彩)は、懲役7年の実刑判決を受ける。服役した刑務所で、家庭内暴力から息子を守るために夫を殺した江口綾香(飯島直子)と知り合う。芭子が出所したときに出迎えてくれたのは、家族ではなく、先に服役を終えた綾香だけだった。家族に見捨てられ、過去を抱え込みながらも、深い絆で結ばれた2人は下町・谷中で寄り添うように新しい人生を歩み始める。
出演
主要人物
小森谷 芭子 (29) - 上戸彩(幼少期:三本采香)
由緒ある銘菓店の家に育ち、エスカレータ式で中学校から大学まで進学できる私立学校に入学するが、大学在学中に犯罪を犯してしまい、7年間刑務所に服役する。
刑期を終えた後は台東区谷中の祖母の家で暮らし始める。
江口 綾香 (39) - 飯島直子
旧姓:大芝。度重なる夫のDVに耐え兼ねて、幼い息子の朋樹を守るために夫を絞殺する。
刑務所内で知り合った芭子の良き相談相手になり、将来はパン屋を開業することを目標に「沢田ベーカリー」で働いている。
芭子の周辺人物
岩瀬 圭太 (28) - 斎藤工
コンビニ店員。激しい雨が降る中で傘がなく困っていた芭子に声を掛ける。プロの大道芸人を目指して谷中銀座商店街の路上でパフォーマンスをしていた。
小森谷 尚之(こもりや たかゆき)(25) - 大東駿介
芭子の弟。幸せな結婚生活を望み、婚約者の家族に姉が犯罪者だという事実を知られないように分籍届を出して欲しいと芭子に頼み込む。
小森谷 香織 - 鹿沼憂妃
尚之の妻。旧姓:仁科。
高木 聖大 - 福徳秀介(ジャルジャル)
谷中3丁目交番勤務の警察官。芭子の祖母には大変世話になったと話す。芭子が自分に気があると思い込んでいる。
結城 美穂 - 高畠華澄
コンビニ店員。岩瀬の同僚。
今枝 修 - 近藤芳正(第3 - 4話)
按摩・マッサージ「にじいろ治療院」院長。仕事の面接に来た芭子を採用する。
片山 祥子 - 阿南敦子
ペットショップ「Puppy Katayama」店主。店で飼われているミニチュアダックスがきっかけで、新しい仕事を探していた芭子を雇うことになる。
大石 セツ (70) - 松金よね子
芭子の家の向かいに暮らしている住人。芭子は海外留学を終えて、日本に帰国後、祖母が住んでいた家に暮らし始めたと聞かされていた。
大石 重雄 (72) - 竜雷太
セツの夫。住民のゴミ出しなどマナーや風紀を厳しく指導する。
小森谷 雪江 (51) - 藤田朋子
妙子の妹。美容院「studio Teo」の美容師。
小森谷 妙子 (52) - 浅野温子
芭子の母。菓匠「小森屋」社長。脳梗塞で他界した夫から老舗の和菓子屋を引き継ぐ。
綾香の周辺人物
沢田 功一 - 阿南健治
「沢田ベーカリー」店主。将来、自分のパンを作りたいという目標がある綾香に見込みを感じて雇う。
沢田 律子 - 藤吉久美子
功一の妻。業務中に失敗が多い綾香に厳しい言葉を浴びせることもなく、暖かく見守っている。
田村 省吾 - 少路勇介
「沢田ベーカリー」パン職人。ベーカリーオーブンを壊したり何かと失敗が多い綾香に辟易として、早く辞めて欲しいと思っている。
江口 朋樹 - 藤本哉汰(幼少期:浜田神楽)
綾香の息子。
琴美 - 中島ひろ子(第8 - 9話)
綾香の妹。文彦の娘。結婚後、実家を離れる。
大芝 文彦 (65) - 前田吟
綾香の父親。富山の漁師。1人の力で2人の娘を育てる。
飯倉 幸子 (71) - 江波杏子
綾香がボランティアスタッフとして働く老人ホーム「ひいらぎの丘」入居者。綾香を見ているだけで腹が立つと、彼女に対して嫌悪感を示す。
三上 チヨ - 草村礼子
「ひいらぎの丘」入居者。認知症を患っており、芭子を娘の恵理だと思い込み声を掛ける。娘の結婚に反対してから絶縁状態が続いている。
その他
第1話
亮 - 松下洸平
ホストクラブ「Velvet Rose」ホスト。言葉巧みに芭子に近づき騙す。
第2話
野川 まゆみ - 臼田あさ美
大学時代のゼミで芭子と知り合う。夫・正也(米村亮太朗)から理不尽な理由で暴力を振るわれている。7歳の息子・悠太(黒井信孝)がいる。
第4話
倉本 豪介 - 安田顕
綾香の高校時代の同級生。富山出身。神戸に旅行に来ていた綾香と再会する。
第6話
佐伯 浩太郎 - 長谷川朝晴
佐伯建築事務所建築家。妻を7年前に亡くしてから、子育てや家事を1人でこなしてきた。綾香の事が気になり、毎日のように愛犬のソラを連れて沢田ベーカリーにハムぱんを買いに行っている。
佐伯 優奈 - 久家心
浩太郎の娘。綾香のことを父親から事前に聞かされていた。
千里 - 春木みさよ
飯倉の娘。姉が夫のDVで死亡した原因は母親にあるとして、母を憎み、未だに許せずにいる。
服部 香江子 - 坂井真紀(第7話)
窃盗の罪で綾香たちと同じ刑務所に服役していた。出所後もスリを繰り返し、財布をすろうとしていたところを綾香に止められ、前科持ちであることをたてに金を融通するよう綾香を脅す。
第8話
組合長 - 黒部進
文彦が所属する漁協の組合長。
第9話
柏田 - 木野花
綾香の息子・朋樹が暮らす児童養護施設「よつば児童学園」園長。
スタッフ
原作 - 乃南アサ『いつか陽のあたる場所で』『すれ違う背中を』(新潮社)
脚本 - 高橋麻紀、鈴木裕那
音楽 - 澤野弘之、和田貴史、とくさしけんご
演出 - 渋谷未来、山内宗信、岡嶋純一
脚本協力 - 鈴木裕那
法務考証 - 北村亮典
刑務考証 - 坂本敏夫
医療指導 - 吉川喜美枝
製パン指導 - 坂本りか
洋裁指導 - 大島裕見子
富山ことば指導 - 石坂直美
ジャグリング指導 - もんたくん
マジック指導 - 丸山ユウコ、Hi2
擬闘 - 佐々木修平
制作統括 - 銭谷雅義、近見哲平
制作著作 - NHK、テレパック
主題歌 - 松任谷由実「Early Springtime」(EMIミュージック・ジャパン)
各話あらすじ(2013.1.8 - 2013.3.12)全10話 平均視聴率 9.51%
第1話 2013年1月8日「前科ある二人」
芭子(上戸彩)が7年の刑期を終え出所すると、刑務所で友情を結び、3カ月前に出所した綾香(飯島直子)が出迎える。芭子は実家に帰れず、亡くなった祖母の谷中にある家に住むことになっており、綾香はその近所に家を借りたという。活気ある商店街を楽しそうに歩く綾香とは対照的に、芭子は人混みにおびえる。綾香は、普通に暮らせばいいと芭子を励ます。芭子はホストクラブに通う金欲しさに、出会い系サイトで知り合った男を睡眠薬で眠らせて金を盗んだ昏睡(こんすい)強盗罪で服役したのだった。大学生の時に逮捕され、世間知らずなまま出所してきた芭子は、絶えず罪の記憶にさいなまれていた。一方、綾香はパン店で働いていたが、ミスを繰り返していた。だが、芭子の前では明るく振る舞い、料理を作ったり買い物に連れ出したりする。ある夜、芭子の元に弟・尚之(大東駿介)が訪ねて来る。
第2話 2013年1月15日「強くなりたい」
芭子(上戸彩)は、同窓生のまゆみ(臼田あさ美)と再会。綾香(飯島直子)は、まゆみが家庭内暴力(DV)の被害者だと見抜き、力になりたいと、まゆみ親子を芭子の家に誘うが、前科があることを知られたくない芭子は気が進まない。そんな芭子に綾香は、自分の罪の核心を明かす。綾香も夫のDVに苦しんできたが、暴力が息子に向けられるようになり、それだけは耐えられずに夫を殺害したという。芭子は、いつも明るく振る舞う綾香の心の闇を初めて知る。
第3話 2013年1月22日「一番会いたい人」
芭子(上戸彩)と綾香(飯島直子)は、パフォーマーの岩瀬(斎藤工)に老人ホームの慰問を依頼し、快諾される。岩瀬のショーは好評を得るが、芭子は認知症の老婦人チエ(草村礼子)に娘と勘違いされる。芭子は、娘と絶縁状態にあるというチエの、娘を思う気持ちに心を打たれる。谷中に帰ってきた芭子は大石(竜雷太)から、仕事で近所を訪れた母・妙子(浅野温子)にたまたま会ったという話を聞き、母に会いたい思いを抑えられなくなる。そして、意を決して会いに行く。
第4話 2013年1月29日「故郷からの伝言」
芭子(上戸彩)と綾香(飯島直子)は、商店街の福引に当たり、神戸旅行へ出掛ける。そこで偶然、綾香の高校時代の友人・倉本(安田顕)と再会する。倉本は綾香の事件を知っていた。事件の後、綾香の家族は厳しい現実に耐えているという。芭子は岩瀬(斎藤工)に電話をし、もう会えないと伝える。芭子はやっとのことでマッサージ治療院に就職する。しかし、院長(近藤芳正)からセクハラを受けてしまう。綾香から辞めるべきだと諭され、芭子は再び院長にまみえる。
第5話 2013年2月5日「弟に贈る言葉」
綾香(飯島直子)の出所後、初めて綾香の父・文彦(前田吟)が上京してくるが、綾香はうまく気持ちを伝えられない。また、芭子(上戸彩)は、弟・尚之(大東駿介)の結婚式が迫り、気持ちを伝えるべきか迷う。文彦が帰ることになり、綾香に見送りを頼まれた芭子。出掛けようとすると岩瀬(斎藤工)から電話があり、二人は会ってプレゼントをし合う。一方、綾香はボランティア先で知り合った幸子(江波杏子)に諭され、列車に乗ろうとする父の元へ駆け付け、つらい気持ちをぶつける。「どんなに離れていても家族は家族」という文彦の言葉に励まされた芭子は、弟に気持ちを伝えたいと思うのだった。
第6話 2013年2月12日「幸福になる資格」
芭子(上戸彩)は、大道芸大会に出場する岩瀬(斎藤工)を見に行くが、輝いている岩瀬と自分は釣り合わないと落ち込み、逃げ帰ってしまう。綾香(飯島直子)が働くパン店には、綾香を目当てに佐伯(長谷川朝晴)という男性が通ってくるようになる。妻を亡くした佐伯には、9歳の娘がいた。そんな折、綾香は、家庭内暴力(DV)で亡くなった娘のことで悩み苦しむ幸子(江波杏子)に、自分もDVを受けていたことを打ち明ける。その場に居合わせて話を聞いた佐伯は、結婚を前提に交際を申し込むが、綾香は「私には人を幸福にする資格がない」と断る。一方、岩瀬に本当のことを隠し続けている芭子は、過去を告白しようと決意する。
第7話 2013年2月19日「闇からの訪問者」
芭子(上戸彩)は、岩瀬(斎藤工)に前科のことを告白しようと決心する。一方、綾香(飯島直子)は東京・谷中で偶然、すりの常習犯・香江子(坂井真紀)と出会う。かつて、芭子と綾香は香江子と同じ刑務所にいたのだった。そのころ、芭子の家に弟・尚之(大東駿介)が訪ねて来ていた。結婚式の写真を渡しに来ただけだと言われるが、芭子は心底うれしかった。そんなうれしさもつかの間、香江子が綾香の職場とアパートを探し当て、金を出さなければ二人の過去を明かすと恐喝してくる。綾香のアパートに駆け付けた芭子は「人生をやり直したいと二人で精いっぱい生きている。どうかそっとしておいて」と、香江子に懇願する。
第8話 2013年2月26日「また会う日まで」
綾香(飯島直子)の父・文彦(前田吟)が海難事故に遭い、意識不明との知らせが入る。自分が犯した罪のため、故郷に帰りづらい綾香だったが、芭子(上戸彩)は「私も一緒に行くから」と綾香に帰郷を決意させる。綾香は妹・琴美(中島ひろ子)と久しぶりに再会し、故郷に残された家族の苦しみを聞く。一方、芭子の過去を知った大石(竜雷太)は芭子の母・妙子(浅野温子)を訪ねる。そして、岩瀬(斎藤工)は芭子との関係に悩んでいたが、決意を固めて芭子と向き合う。
第9話 2013年3月5日「名乗れない母親」
綾香(飯島直子)は息子の朋樹(藤本哉汰)が児童養護施設にいることを知る。息子と会う資格がないという綾香を芭子(上戸彩)は真心を込めて説得し、一緒に施設を訪ねる。園長(木野花)の計らいで、綾香はパンをプレゼントに来たボランティアということで朋樹と再会する。芭子の弟・尚之(大東駿介)は妻・香織(鹿沼憂妃)に芭子のことを告白。将来一緒に店を開こうという夢を、芭子は綾香に語る。
最終話 2013年3月12日「約束のゆくえ」
綾香(飯島直子)は、東京・谷中を去る前に妙子(浅野温子)を訪ね、母を愛する芭子(上戸彩)の気持ちを語る。綾香を見送った妙子は、苦悩のあまり心臓発作で倒れるが、見舞いに行けない芭子はつらい。妙子がひそかに芭子の作るペット服を購入していたと知った芭子が家に帰ると、妙子がたたずんでいた。月日がたったある日、高木巡査(福徳秀介)が、神戸のパン店紹介の記事に綾香が載っていると駆け込んでくる。神戸に駆け付けた芭子は綾香を見つけ、二人で店を開こうと提案する。
各話視聴率
番組公式サイト
(芭子&綾香シリーズ - Wikipedia)
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