概要
「戦争に負けて、外交で勝った歴史がある」。不屈の精神で戦後日本を復興に導いたリーダー・吉田茂の苦難の舵取りを、俳優・渡辺謙の主演で5話に渡り克明に描いた昭和史ドラマ。
土曜ドラマスペシャル第11作目。戦後の連合国占領期の日本政界を、外務大臣・内閣総理大臣としてリードした吉田茂の視点で描く。また吉田と相対する存在として、GHQ総司令官ダグラス・マッカーサーにも焦点が当てられる。2010年より企画開始し、当初は昭和史を俯瞰した内容のドラマを制作する予定であったが、2011年頃には方針転換し、ほぼ現在の形に固まったという。第一回放送直前の2012年9月8日14時45分には、本作10分間のPR番組「「負けて、勝つ」のすべて」が放送された。
あらすじ
昭和20年8月。マッカーサー元帥(デヴィッド・モース)が厚木飛行場に降り立ち、日本の占領が始まった。元駐英大使の吉田茂(渡辺謙)は、進駐軍の逆鱗に触れた前大臣に代わって外相に就任する。戦時中、反戦主義者として投獄された経歴がプラスに作用して起用されたのだった。吉田は、プライドだけを武器に誰もが恐れた最高実力者マッカーサーと対等に渡り合っていく。その一方で、古くからの友人である元首相・近衛文麿(野村萬斎)は戦犯として追い詰められていた。
出演者
吉田茂 - 渡辺謙
昭和21年から足掛け9年、総理大臣を務める。外交官として、外務次官、駐英大使を歴任。英米との戦争に一貫して反対し、終戦間際には反戦主義者として投獄される。その経歴が戦後になるとプラスに作用し、外務大臣を経て総理大臣に就任することに。占領期の最高権力者マッカーサー元帥と対等に渡り合い、日本を講和・独立に導く。
ダグラス・マッカーサー元帥 - デビッド・モース
連合国軍最高司令官として占領下の日本に君臨する。米国東部の名門出身で並外れて高いプライドを持ち、日本を民主国家に改造すべく、日本政府に様々な「GHQ改革」を命じる。絶大な人気を誇ったが、朝鮮戦争が始まるとトルーマン米大統領と対立して解任される。
小りん - 松雪泰子
芸者出身で、料亭通いを好んだ吉田茂に気に入られる。吉田の妻・雪子の死後、大磯の私邸で身の回りの世話をする。決して表には出ず、正式に後妻にもならず、陰から吉田を支える。
白洲次郎 - 谷原章介
吉田茂の側近。イギリス仕込みの英語と卓越した交渉力で進駐軍と渡り合う。吉田からは身内同然の信頼を得ており、泥をかぶることも辞さず、彼を支え続ける。その一方で、密室政治という批判にもさらされる。講和条約成立後は、引退を勧めたため吉田との間に亀裂が生じてしまう。
吉田健一 - 田中圭
吉田茂の長男。仕事を優先するあまり、家庭を顧みなかった父に反発する。英文の翻訳や評論で身を立てようとするも、収入は安定せず貧乏暮らしを強いられる。総理大臣となった父とは距離を置く。
麻生和子 - 鈴木杏
吉田の三女。機転が利く明るい性格で父から愛され、総理就任後は秘書兼ファーストレディーとして公私ともに支え続ける。麻生グループの後継者、麻生多賀吉と結婚する。
柴田達彦 - 永井大
外務省に入省し敗戦に直面、誇りを忘れアメリカに屈服する日本の現状を肯定できずにいたが、外務大臣、そして総理大臣となった吉田に仕えたことで、その外交手腕を目の当たりにし、深く傾倒する。
日野慶子 - 初音映莉子
鳩山一郎 - 金田明夫
芦田均 - 篠井英介
松本烝治 - 嶋田久作
佐藤栄作 - 高橋和也
池田勇人 - 小市慢太郎
近衛千代子 - 中嶋朋子
広田弘毅 - 佐野史郎
松野鶴平 - 石橋蓮司
服部卓四郎 - 吉田栄作
幣原喜重郎 - 中村敦夫
近衛文麿 - 野村萬斎
牧野伸顕 - 加藤剛
スタッフ
作:坂元裕二
音楽:村松崇継
時代考証:柴田紳一 / 楠綾子
憲法考証:古関彰一
風俗考証:天野隆子
宮中考証:小田部雄次
宮中建築考証:浅羽英男
軍装考証:平山晋
警察予備隊考証:狩野信行
英語台本考証:米倉リエナ
脚本協力:穴吹一朗
撮影協力:茨城県高萩市 / 茨城県常陸太田市 / 栃木県佐野市 / 神奈川県大磯町 / 静岡県沼津市 / 愛知県 / 愛知県名古屋市 / 岐阜県 / 神奈川県 / 深谷フィルムコミッション / 小山町フィルムコミッション / 滋賀ロケーションオフィス / 横浜フィルムコミッション / なごやロケーションナビ / 千葉県立房総のむら / 博物館明治村 / 東京都庭園美術館 / 防衛省 / 一橋大学 / 電気通信大学 / 関西学院大学
英語指導:塩屋孔章
所作指導:西川箕乃助
宮中所作指導:牧野名助
米軍所作指導:トム・ドーラン
京都ことば指導:井上裕季子
広島ことば指導:大村眞利絵
特殊メイク:江川悦子
VFXプロデューサー:結城崇史
制作統括:中村高志
演出:柳川強 / 野田雄介
副音声解説:河本邦弘 / 宗矢樹頼 / 棟方真梨子
主題歌
「この先の道」
歌唱:ジョシュ・グローバン
各話あらすじ 平均視聴率 8.46%
第1話 2012年9月8日「戦後を創った男、吉田茂の激動の日々!アメリカの占領下、GHQと対等に渡り合った誇り高き日本人たち」 視聴率 11.2%
誰もが誇りを失った占領下、ただ一人、最高権力者ダグラス・マッカーサー(デビッド・モース)と対等に渡り合った男がいた。不屈の精神で戦後日本を復興に導いた吉田茂(渡辺謙)の、苦難のかじ取りを克明に描く。脚本・坂元裕二、演出・柳川強、野田雄介。 1945(昭和20)年8月、連合国軍総司令官マッカーサー元帥(モース)が神奈川・厚木飛行場に降り立ち、日本占領が始まった。進駐軍の逆鱗(げきりん)に触れた前任者に代わり、外相に就任したのは吉田(渡辺)。戦時中、反戦主義者として投獄された経歴がプラスに作用した。吉田はプライドだけを武器に、誰もが恐れた最高権力者マッカーサーと対等に渡り合う。だが、その一方で、古くからの友人である元首相・近衛文麿(野村萬斎)は戦犯として追い詰められていく。
第2話 2012年9月15日「戦後をつくった男、吉田茂の激動の日々!GHQの改革で総理候補が消える中、日本の命運を担う人物は?」 視聴率 8.0%
マッカーサー(デビッド・モース)は矢継ぎ早に改革を命じる。公職追放令では大量の閣僚が職を去り、憲法は連合国軍総司令部(GHQ)の手で改正されることに。戦犯裁判が近づく中、吉田茂(渡辺謙)は天皇(大蔵千太郎)を訴追から守るために動く。そして、選挙に勝った鳩山一郎(金田明夫)が総理大臣就任直前に追放となる。日本のかじ取りを託せる人物は、今やただ一人だった。吉田は小りん(松雪泰子)に、かつて広田弘毅(佐野史郎)が総理大臣になった時のいきさつを明かし、決意する。「戦争に負けて、外交で勝つ」の思いを胸に、吉田は総理大臣に就任する。
第3話 2012年9月22日「ゴー ホーム クイックリー」 ラテ欄「吉田茂は政権を追われ、GHQの権力闘争に巻き込まれる…復権をかけたマッカーサーとの対決の結末は?」 視聴率 7.5%
空前のゼネストをマッカーサー(デヴィッド・モース)の指令で回避したものの、人気が急落した吉田(渡辺謙)は政権から追われることに。GHQで実権を握るケーディス大佐はライバルの芦田均(篠井英介)に肩入れをし、私怨を抱く吉田の復権を阻む。だが、吉田の側近・白洲次郎(谷原章介)は再登板に向けてひそかに工作を開始する。そして、世紀の疑獄と呼ばれた「昭電事件」を契機に、芦田政権は自滅。マッカーサーの支持を取り付けることに成功した吉田は政権に復帰し、いよいよ念願の独立回復に狙いを定める。
第4話 2012年9月29日「アジアの防波堤」ラテ欄「吉田茂は早期講和を目指しアメリカに密使を送る…朝鮮戦争の勃発で状況は一変、吉田が下した結論とは?」 視聴率 7.8%
講和・独立のために吉田茂(渡辺謙)は池田勇人(小市慢太郎)を米国に送る。池田は、講和後の米軍駐留を認めるという極秘提案を米国に投げ掛ける。米国政府はダレス(チャールズ・グラバー)を講和の責任者に指定、いよいよ交渉が始まると思った1950(昭和25)年、朝鮮戦争が勃発。マッカーサー(デビッド・モース)は警察予備隊の設置を吉田に要求する。しかし、その構想は服部卓四郎(吉田栄作)ら旧帝国軍人の復活を含んでいたため、吉田は猛反発、再軍備を断固拒否する戦いを始める。
最終話 2012年10月6日「独立への道 」ラテ欄「ワシントンを無視し戦争拡大を図るマッカーサーの末路は?講和条約調印の日、吉田茂の胸中は?」 視聴率 7.8%
再軍備を求めるダレス特使(チャールズ・グラバー)と吉田茂(渡辺謙)との激しい交渉の結果、軽武装、日米安保を土台とした講和路線が決定する。一方、朝鮮戦争で戦線拡大に独走したマッカーサー(デビッド・モース)は大統領との対立を深める。1951(昭和26)年9月8日、サンフランシスコ講和条約締結の日、たった一人で吉田は日米安保条約にサインする。吉田の心中は複雑だった。しかし、帰国した吉田は国民から称賛され、退陣を勧める白洲(谷原章介)の意見にも耳を貸さなくなる。
番組公式サイト
(負けて、勝つ 〜戦後を創った男・吉田茂〜 - Wikipedia)