木下圭介(豊川悦司)とひとり娘の美雨(芦田愛菜)は、東京の下町にある小さな金属加工工場『中村産業』の離れでつつましやかに暮らしている。圭介の妻・妙子は、8年前、美雨の命と引きかえにこの世を去っていた。当時、大手建設会社に勤務していた圭介は、妙子の分も美雨のことを愛して育てていこうと決心し、会社を辞めて中村産業に転職していた。
朝、いつものように慌ただしく美雨を小学校に送り出した圭介は、彼女が授業で使う縄跳びを玄関に忘れていったことに気づき、学校まで届ける。圭介は、明日遠足にでかける美雨に新しい水筒を買ってやる約束をしていた。中村産業社長の中村富美夫(蟹江敬三)や妻の千恵子(丘みつ子)、後輩工員の勝田秋生(三浦翔平)らは、過保護すぎる、と圭介をからかったりしながらも、この父娘を温かく見守っていた。
そんな折、思わぬ事態が起きる。先輩工員の宗田清(でんでん)に頼まれた秋生が工場内の荷物を動かしたところ、バランスが崩れて荷物が落下し、すぐ側で別の作業をしていた圭介の頭に当たってしまったのだ。意識を失った圭介は病院に運ばれる。幸いすぐに意識を取り戻した圭介は、念のためにCTスキャン検査を受けて、その日は帰宅する。 学校帰りにバレエ教室に行っている美雨は、頭に包帯を巻いて迎えに来た圭介に驚く。心配する美雨に、圭介は、隠し事をしないというふたりの間の約束事の話をして安心させた。
帰り道、圭介と美雨は夕食の買い物に行く。だが圭介は、いざ買い物をしようとするとつい数分前まで話していた食材を思い出せなかった。
あくる朝、圭介は、お絵かき遠足に行く美雨の弁当を用意し忘れ、慌てて作り始める。圭介が約束していた水筒も買い忘れていることを知った美雨は、ふてくされていた。その姿を見ていた圭介は、商店街まで買いに走り、まだ閉まっている金物店に無理を聞いてもらって水筒を購入する。
新しい水筒を手に喜々として遠足に出かけた美雨は、バスの中で友だちの新井小太郎(高木星来)から“口裂けオヤジ”の都市伝説を聞く。ふたりは、自由時間を使って、その口裂けオヤジを探しに行くが…。
工場で仕事をしていた圭介は、時おり物忘れをしていたが、一時的なものだったためさほど気に留めずにいた。そんな中、圭介は工場を覗きこんでいる女性の姿に気づく。それは、富美夫の娘で、結婚して家を出た西脇アカネ(中谷美紀)だった。アカネは、帰ってきた理由も言わずに、結婚前まで自分が使っていた部屋に持ってきた荷物を運び込む。
別の日、野球指導を終えた圭介は、先日受けた検査の結果を聞くために病院へ足を運ぶ。外科ではなく神経内科に案内されたことを不思議に思う圭介に、医師の古賀豊(安田顕)が告げた診断結果は、「若年性アルツハイマー病」だった・・・。
第2話 2012年7月8日「記憶を失うとき一番大切な人を傷つける」
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