ラテ欄「チグハグトリオが挑む、最初の密室事件」
東京総合セキュリティに勤める榎本径(大野智)は、弁護士・青砥純子(戸田恵梨香)に頼まれ、純子の先輩弁護士・芹沢豪(佐藤浩市)とともに密室事件の現場にやってきた。そこは、葬儀会社の社長・大石の遺体が見つかった山荘だった。警察は、山荘が密室だったこと、大石が末期のがんを患っていたことから自殺と断定。しかし、大石の友人・円山と司法書士・日下部(堀部圭亮)は疑念を抱き、芹沢に調査を依頼したのだ。榎本らを山荘に案内した日下部は、遺体を発見した日の状況を説明し始めた。
その日、日下部は、大石の甥で葬儀会社の専務・池端(風間杜夫)と山荘を訪ねた。窓から部屋を覗くと人影が見えたため、窓を破って室内に入ると、大石が部屋のドアを背にして体育座りのような姿勢で死んでいた。遺体は腐敗が進みウジがわいていたという。脚の前には重厚なガラスのテーブルが置かれ、そのテーブルはどっしりとしたソファで固定され、ドアには天井から床まで白幕が張られ、遺体はその上に座っていた。
後日、純子は、芹沢を連れ、榎本の会社を訪ねた。「備品倉庫室」と書かれた部屋にいた榎本は、山荘を再現した模型をふたりに見せた。榎本曰く、窓は施錠され部屋は完全に密室だった。唯一の侵入経路となるのはドアだが、犯人が大石を殺害しドアの前に座らせることはできても、その前に重たいテーブルとソファを移動させ、その後退出することは不可能だと言う。しびれを切らした芹沢は、自殺だと言ってくれ、と懇願するが、榎本はこれまでとは違う次元の発想が必要だとつぶやく。
我々に認識できるもうひとつの次元が存在します・・・もうひとつの次元って?時間だと言われています。
翌日、山荘で偶然再会した榎本と純子は、室内を覗く少年・松田大輝(土師野隆之介)に気づく。大輝は、大石が死亡した日の翌朝、部屋のドアの前に白髪のおじさんが立っていたと証言。「白髪のおじさん」という特徴から、純子はそれが池端だと思い込むが、大輝は自分が見たのは大石だったと話す。警察の検視によれば、大輝が目撃した時間にすでに大石は死亡していた。大輝が見たのは別人だったのか――検証が行き詰ったとき、榎本の前に一匹のハエが飛んできた。それを目で追っていた榎本は、やがて密室は破れた、と言った。
後日、山荘を片付けに向かったという池端を追うようにして、純子らもやってきた。
純子は池端に、自分たちは大石の死因を究明しようとしていると明かすと、池端は先を促す。そこで榎本が話し始めた――。
まず、山荘で後継者問題を考えていた大石のもとに犯人がやってきた。犯人はやがてがんの痛みに襲われた大石に、治療のふりをして致死量のモルヒネを注射、大石を横たえて絶命するのを待った。死亡を確認したら、ドアに白幕を張りテーブルとソファを動かすなど準備をして山荘から退出。12時間が経った頃、再び山荘に戻ってくる。死後半日が経った遺体は異臭を放っていたため、犯人は耐えられずに窓を開けた。このとき、ハエが侵入したと考えられる。その後、死後硬直で硬くなった遺体をドアに立てかけたら、テーブルとソファで足元を固定し、少しだけドアを開け退出したのだ。死後硬直は上肢から緩み関節も曲がるようになるから、遺体は背中のシルクの幕を滑りながらゆっくり座っていった…。
池端は、大石の死後に会社のすべての遺産を相続できるはずだったが、横領が大石にバレ、遺言書が自分に不利に書き換えられたことを知ったため、殺害に及んだのだ。榎本にトリックを明かされても、池端は証拠がないと虚勢を張るが、芹沢がそれを許さなかった。偽造した遺言書の不正を突かれ、池端はついに観念した。
事件が落着したことに純子らが安堵するなか、イヤホンをした榎本はソファに座りどこか一点を見つめ…。
第2話 2012年4月23日「窃盗事件と練炭自殺 今夜も密室事件です」
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