財政難に苦しみ、隣市との合併計画が進められている町・由芽市。かつて“歌のまち”として栄えたこの町も、いまでは工場の閉鎖が相次ぎ、市の中心部もシャッター商店街と化していた。
由芽市出身の倉坂澪(天海祐希)は、人気劇団のミュージカルスターとして活躍後、単身ニューヨークに渡り、ブロードウェイを目指した。だが、本場のショービジネスの世界ではなかなかチャンスにも恵まれず、ついにエージェントのピート佐藤(草刈正雄)から、次のオーディション予定はない、と言い渡されてしまう。
そんな折、澪は、高校時代の恩師・森香奈絵(久野綾希子)から招待を受ける。市民センターの館長である香奈絵は、音楽教師時代、市の象徴である音楽堂を活動拠点とするママさんコーラスグループ『シャンソンズ』を立ち上げ、全国コンクール5連覇の偉業も成し遂げていた。澪は、大きな舞台の誘いだと思い、期待に胸を膨らませて帰国する。
同じころ、合併を推進する由芽市の市長・井坂清忠(岸部一徳)は、音楽堂を取り壊して県内最大のゴミ処理場を建設しようとしていた。だが、井坂市長の娘で、シャンソンズの中心メンバーでもあった井坂忠子(石田ゆり子)はその計画に反発。市の職員でもある婿養子の夫・哲郎(小泉孝太郎)の反対をよそに、香奈絵とともにシャンソンズを復活させようと決意する。
香奈絵のもとを訪れた澪は、3ヵ月後の復活公演を目指すシャンソンズのコーチ役を頼まれる。香奈絵から借金をしていた澪は、やむを得ず香奈絵の依頼を引き受けた。だが、10年前は40人もいたメンバーも、現在は忠子のほか、値切りの女帝と呼ばれる4人の子持ち主婦・馬場みぞれ(大島蓉子)、パチンコに入り浸っているお調子者の専業主婦・皆川玉子(菊地美香)のふたりだけ。そこで玉子は、ブロードウェイのスターがコーチを務めることをアピールしたメンバー募集のチラシを制作した。
オーディションにやってきたのは、引っ込み思案ゆえに就活も53連敗中の大学生・野々村まひる(大島優子)や、美貌の市役所受付嬢・桜井玲奈(片瀬那奈)、キャバクラで働く元レディースのシングルマザー・羽田南(福原美穂)、乾一希(玉山鉄二)とともに閉鎖寸前の工場で働いているフェミニンな男性・高垣忍(千葉雄大)ら、まったくの素人たちだった。
まひるの提案で、安見市で活動する合唱団の公開練習を見に行ったシャンソンズのメンバーは、そのレベルの違いに打ちのめされ、すっかりやる気を失う。その姿を見て怒りを覚えた澪は、音楽堂や合併の話はどうでもいいが戦いもしないで逃げるのは大嫌いだ、と言い放つ。 特訓を開始した澪は、メンバーに『風になりたい』の楽譜を渡した。歌は日々の生活に浸透させることが大事――澪の言葉を受け、メンバーたちは普段の生活でも歌うようになっていった。
そんな矢先、澪のもとに、エージェントから契約打ち切りの連絡が入り、居候している熊園桜(濱田マリ)の店には、ニューヨークのアパートメントにあった荷物が送りつけられてくる。失意の澪は、大切に使っていたシューズを橋の上から投げ捨て…。
練習中、澪は、まひるに手厳しい言葉を浴びせたことが原因で、忠子と衝突する。澪は、そんな忠子たちに、無名のコーラス隊とスポットを浴びるスターとを隔てる線――コーラスラインの話をする。自分がもし悔しい思いをしたら、死に物狂いでその線を越えようとする、というのだ。
香奈絵のもとを訪れた澪は、コーチを辞めると告げる。すると香奈絵は、20年前、澪がこの町を出るときに歌ってくれた『あの鐘を鳴らすのはあなた』を口ずさんだ。「私には、あの歌があなたの未来に見えた」。香奈絵は、そう澪に告げた。
香奈絵のもとを後にした澪は、誰もいない練習室で歌っているまひるの姿に気づく。その姿を見つめていた澪は、まひるの指導を始めた。変わりたいのならその気持ちを爆発させろ、という澪の言葉に背中を押されて、ついに大きな声を出すことができるまひる。澪は、まひると抱き合って喜んだが、次の瞬間、慌てて突き放した。まひるは、そんな澪に、歌が好きだからもっと練習して上手くなりたい、コーラスラインを越えたい、と必死に訴えた。
澪は、荷物をまとめて町を出ようとした。その際、ふと音楽堂に立ち寄った澪は、何もないステージの上で『あの鐘を鳴らすのはあなた』を歌い出し…。
シャンソンズのメンバーは、忠子を中心に練習を始めようとしていた。そこに現れた澪は、引き続きコーチを務めることを宣言し、この救いようのない状況下で奇跡を起こすことができる唯一の方法――ショークワイアをやろうと言い出す。
第2話「新しい私へ!浪漫飛行」 2012年4月19日
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