吉野千明(小泉今日子)は、JMTテレビでドラマのプロデュースを手がける45歳の独身女性。千明は、がむしゃらに仕事をしていくつかのドラマを世に送り出し、プライベートでは人並み以上に恋愛もしてきた。しかし最近、いつまでも現場にいられると思うな、と上司から釘を刺され、今度作るドラマが最後の作品になりそうだった。恋愛も随分ご無沙汰で、いまや女友だちとの話題は、専ら健康や老後のことばかりだった。
長倉和平(中井貴一)は、鎌倉市役所の観光推進課で課長を務める50歳の独身男性。和平は、両親を早くに亡くしたため、4人の弟妹の親代わりを務めてきた。現在は、双子の弟妹、真平(坂口憲二)と万理子(内田有紀)、死別した妻との間に生まれた11歳になる娘・えりな(白本彩奈)と暮らしている。真平は、自宅の1階を改装したカフェの店長。万理子は、繊細な心の持ち主ゆえ、何をやっても長続きしないフリーターだ。長女の典子(飯島直子)は、高校時代の体育教師・水谷広行(浅野和之)と結婚して家を出たものの、毎日のように実家に入り浸っていた。
千明は、美人脚本家として人気の栗山ハルカ(益若つばさ)と組んで連続ドラマを作るよう命じられる。だが、締め切りを守らない上に全く面白くない本を書いてきたハルカに激しくダメ出しをしているうちに、めまいや吐き気など、更年期特有の症状に襲われた千明は、病院に運ばれてしまう。同い年の独身仲間、荒木啓子(森口博子)と水野祥子(渡辺真起子)は、退院した千明をねぎらった。入院した夜、家族がいないことをしみじみと感じた千明は、以前、啓子たちと冗談半分で話していた、鎌倉の古民家で一緒に暮らす、というアイデアを実行しようと言い出す。
あくる日、千明は、事前に調べておいた情報をもとに、鎌倉を訪れる。写真を撮ったりしながら散策を楽しみ、目的の古民家にたどりついた千明は、売りに出されているその家の隣家が古民家を改装したカフェだと知る。そこは、真平が店長をしている店『ながくら』だった。
同じころ、和平は、クレーマー・一条(織本順吉)の対応をしていた。今度のクレームは、勝手に他人の家を覗いたり写真を撮ったりしている女がいる、というものだった。和平は、撮影の自粛を呼びかける立て看板を作って一条の家を訪れた。そのとき一条は、携帯電話のカメラで撮影したという証拠写真を和平に見せた。
さわやかで自由奔放な雰囲気を持つ真平にときめきながら『ながくら』を後にした千明は、海岸に立ち寄る。そこで千明は、部下たちと海岸を掃除していた和平と出会うが…。
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