2011年02月04日

悪党〜重犯罪捜査班 第4話

「少年犯罪被害者の父復讐の銃口」

 横浜の路地裏で男性の刺殺体が発見された。被害者の名は、和田隆俊(宮平安春)。和田は5年前、19歳のときに遊び仲間の北村一平(菅野篤海)と共に、仲間の少年を殺害した過去を持っていたが、最近は更正して度々テレビに覆面で登場し、しおらしく反省を語っていた。5年前、富樫正義(高橋克典)と共に和田と北村を取り調べた柴田安春(鈴木浩介)は、テレビに登場する和田を罵るが、刑事課長の石黒孝雄(梅沢富美男)はそんな柴田を厳しく注意。二人のやり取りが気になった里中啓一郎(小泉孝太郎)が、事件について調べようとした矢先のことだった。

 和田の足取りを調査した里中は、テレビ局の地下駐車場の防犯カメラの映像を入手。そこには、テレビ出演を終えて車に乗り込もうとした和田に、殺害された少年の父・村越健作(斉藤洋介)が刃物を持って襲いかかったところが映っていたのだが、なんとそこには、体を張って村越を止めた富樫の姿も写っていた…。最近、和田がテレビに出演しているのを知った富樫は、村越が復讐するのではないかと考え、それを制止しようと張り込んでいたのだ。

 この件を報告してこなかった富樫を責める里中に、柴田は5年前の事件について語り始める。和田たちは亮介に金を脅し取られたことが発端となってケンカが起き、殺害にいたってしまったと供述したが、亮介の遺体に残された無数の傷と無残な火傷は、複数の人間からリンチを受けたことを物語っていた。しかし、和田は取調べ中に自ら頭を机にぶつけ、富樫に暴力をふるわれたと主張。怒った富樫が和田に拳銃を突きつけたところを弁護士らに目撃され、彼らの自供を鵜呑みにするほかなくなってしまったのだという。

 村越は和田が殺された事件を機に行方がわからなくなっており、逃走しているものと思われた。「明確な殺意を持った村越を野放しにした!」と富樫をする里中。富樫は「復讐を思いとどまってくれると信じていた…」と後悔をにじませ、事件が片付いたらどんな処分でも受けると言い切る。そして、村越に刺された傷の痛みをこらえながら、村越の行方を調べ始めるが、その矢先、石黒が富樫に謹慎を言い渡す。里中は、今回の捜査には富樫が必要だと反論するが、石黒は一切受け入れず、一刻も早く村越を見つけ出して捜査を終わらせるよう言い放つのだった。

 そんな中、更正どころかチンピラになっていた北村の居所がわかった。だが、張り込んでいた山下学(平山浩行)が、息子からかかってきた電話に気を取られている隙に北村は外出。そのまま行方が分からなくなり、翌朝、刺殺体となって発見される。しかも、凶器のナイフからは村越の指紋が検出され、和田殺害に使用されたものと同じだったことも判明。報告を受けた富樫は、やり場のない怒りを堪えることができず…。

 その直後、県警警務部長の前島隆造(村上弘明)から石黒に、富樫を捜査に戻すよう指令が下る。すぐさま、富樫に手錠と警察手帳を渡す里中。富樫は早速、手掛かりを探しに村越の家へと向かう。するとそこに、亮介の親友だった大倉俊哉(武田航平)が訪ねてきた。大倉によると、村越は早く息子のもとに行きたがっていたらしい。「おじさんを死なせないでください。お願いします」と富樫に頭を下げる大倉だったが、富樫は彼のある言葉がひっかかり…。

 その夜、富樫らに呼び出された里中は、村越がすでに殺されているかもしれないという報告を受ける。驚く里中に、大倉の写真を差し出す柴田。富樫は、大倉が捜査関係者しか知らない亮介の死体状況を知っていたことに疑問を抱き、彼を調査。その結果、表向きは真面目な好青年だが、裏では相当あくどいことをしており、和田や北村が出所した直後から、悪徳高利貸しで借金をしていたことが判明する。富樫らは、彼らに金を脅し取られていた大倉が、二人を殺害したのではないか?と推測していた。

 そんな中、大倉をマークしていた飯沼玲子(内山理名)から、彼が動き出したとの連絡が入る。大倉が動くということは、まだ村越は生きている。富樫の読み通り、倉庫に入って行った大倉の前に村越が現れた。「話を聞かせろ」という村越に対し、大倉は鉄パイプを片手に笑顔で近づくと、亮介のリンチに加勢したことを自ら話し出す。だが、大倉が村越に襲いかかろうとしその瞬間、富樫らが姿を現した…。

 やはり和田と北村を殺害したのは大倉だった。大倉が和田を殺害した後、村越は和田殺害の罪を自分が被り、北村も自分が殺害すると大倉に提案。実際に北村と対峙するが、北村は「いちばん悪いのは大倉だ」と発言。その瞬間、二人の様子を見ていた大倉が北村の後頭部を殴打し、村越の手からナイフを奪うと北村の胸に突き刺す。驚く村越に「そういうことだから二人で死んでもらいます。刺し違えて死んだってことで」と言い放ち、襲いかかるが、運よくカップルが近くを通ったため、大倉は逃げ出し、村越は助かった。

 大倉がこの5年間、亮介の親友のふりをして村越を訪ねていたのは、村越を監視するためだった。反省する様子も見せず、いじめられる方が悪いと開き直る大倉。それを聞いた村越は、大倉に襲いかかろうとするが、富樫はそれを制すると、里中が大倉に掛けようとしていた手錠を奪い取り、里中に手錠をかけ、動けないようにしてしまう。そして、取り出した拳銃を大倉に向け、5年前、事件の真相に辿り着けなかったことを村越に詫びる。里中も左手で拳銃を抜き、「銃を捨てなければ撃つ」と富樫に銃口を向けるが、富樫はひるむことなく「おまえに撃てるのか?」と言い放ち、命乞いする大倉に「おまえに死んでもらうしかないんだ」とトリガーにかけた指に力を入れようとする。

 その瞬間、村越が「やめてくれ!」と叫んだ。ここまで生きてこられたのは、自分の気持ちをわかってくれた富樫がいたからだ。亮介のためにも刑事を続けて欲しい。そいつを殺しても亮介は帰って来ない…。その言葉に、富樫は拳銃をしまう。大倉が連行された後、自分の手錠を外した富樫を殴る里中。富樫は一礼し、何も言わずに立ち去っていく。

 その夜、とあるレストランで前島と円卓を囲む富樫の姿があった。「全員死んでくれたら、美談が作れたのに」という前島に、「そんな美談いらねえよ」と言い返す富樫。そして、前島が差し出した札束を受け取ると、食事もせずにその場を後にするのだった…。


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