一人娘の秀子(川島鈴遥)と、その同級生・中里春子(杉山優奈)を殺害した罪で、一審で死刑判決を受けた清水熱子(若村麻由美)が、第二審公判のため、東京拘置所へ輸送された。早速、熱子に接見した佐原(田村正和)は、富田(松尾敏伸)が入手した河辺忠一(菅田俊)の写真を見せる。河辺は、熱子が幼い頃に母親のゆめ子(若村麻由美・二役)と一緒に見たという“火の記憶”に出てくる可能性のある刑事だ。懸命に記憶をたどる熱子。確かに記憶の中の男に似ているような気がするが、この男が母と父を殺したのかもしれないと言うと、その場で気を失ってしまう。
なぜ刑事である河辺が熱子の家族と接点を持つようになったのか、30年近い昔の出来事を明らかにしようと、鶴岡(近藤芳正)の協力を得て、調査を進める佐原。そんな中、春子の遺族が佐原を訪ねてくる。もし熱子が無罪にでもなったら首を吊って死ぬという彼らの訴えに、佐原は返す言葉もない。
その後、熱子は徐々に過去の記憶を取り戻し、母に関することで、誰にも話していないという秘密を佐原に打ち明ける。それは、母が河辺に抱かれるのを目撃したことだった。さらに、熱子がその情事を目撃した翌日、父親の直一(伊東孝明)が帰宅したが、すぐにまたいなくなったという。その夜、熱子は火の景色を見ていた。
そんな中、佐原に熱子の弁護を依頼してきた遠藤政子(岩崎ひろみ)が、秀子の父親である酒井秀夫(草野康太)に殴られて怪我をしてしまう。警察を辞職した遠藤は、熱子に会ってあげて欲しいと頼みに行っていたのだ。だが、公判が始まると、酒井は検察側の証人として出廷。自分は熱子と数回お茶を飲んだことがあるだけで何の関係もない。熱子は嘘つきで、情事のときに火が見えると言ったのを聞いたことがあり、事件のときに火の景色が見えたというのは嘘だと思うと証言。それを聞いた熱子の精神は極限状態となり、審理は中断してしまう。
同じ頃、鶴岡の調査で、熱子の火の記憶が、石灰殻を捨てたボタ山が自然発火して燃えている景色だとわかる。さらに、直一と河辺の接点も判明。河辺は、窃盗団のリーダーだった直一の張込みをしていた刑事だったのだ。当時、直一の仲間だった渡辺(桜木健一)に辿り着いた佐原は、4年前に直一(伊東四朗)が渡辺を訪ねてきたことを知る。直一が神戸の靴工場で靴職人をしていたと聞いた佐原は、神戸中の靴工場を探し歩くが、ようやく見つけ出した直一は、重病で入院していた…。
再び公判の日。熱子の精神状態は元には戻らず、「私が秀子を殺しました。もうダメ…どうでもいい」と発言すると、立っていることさえ、ままならなくなってしまう。そんな熱子に、ボタ山の映像を見せる佐原。とそのとき、純子(真矢みき)と鶴子(相武紗季)に支えられた直一が傍聴席に入ってきた。その様子を確認した佐原は、調べ上げた熱子の火の記憶とは何なのか語り始める。
熱子が4歳の時、窃盗団事件の捜査に当たっていた刑事の河辺は、主犯である直一の張込みをするため、清水家にやってきた。ゆめ子は悩んだ末、河辺の弱みを握るため、自分の体を投げ出す。翌日、帰宅した直一は、河辺の姿が無いことに気づき、妻と刑事の間に何かがあったと感じ、絶望して家を出て行く。直一が汽車に揺られている頃、ゆめ子は夫とボタ山で会う約束をしたと嘘をついて、河辺をボタ山に誘い出したのだ。夫を逃がすためだった。だから、熱子にその場所に行ったことを口止めしたのだが、母親が父親を裏切ったと勘違いしていた熱子は、母親を憎悪し、他人を信じられず、自分は誰からも愛されない人間だと思い込むようになってしまった…。
と、佐原の話を聞いていた直一が精いっぱいの力で立ち上がり、熱子に「殺したりできひんやろ!」と声をかける。それを聞いた熱子は、傍聴席にいる春子の遺族に向かって、「春子ちゃんは私が殺しました。本当に申し訳ありません」と土下座をすると、「秀子も私が殺したと言ったら…死刑になれるかしら」と続ける。佐原に正直に話すよう諭された熱子は、秀子が「ママは汚い、大嫌い」と自分の手を振り払い、川に落ちてしまったことを思い出した…! あまりのショックに、「これは自分のせいではなく、自分と父を裏切った母のせいだ」そう思った熱子の脳裏に、最も忌まわしい記憶である火の記憶がよみがえったのだと語る佐原。そして、熱子に歩み寄ると「人は死んでも魂は生き続ける。だから秀子ちゃんは、永遠に君と一緒に生き続けている」と語りかける。
その後も審議が行われた結果、二審では懲役20年の判決が下る。検察は控訴せず、判決はそのまま確定、熱子は服役した。
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