そこへ藻奈美が帰ってきた。“藻奈美”として生きる覚悟をしたとはいえ、その魂は直子のままだ。突然自宅まで訪ねてきた多恵子の姿を見た直子は、彼女が平介に気があるのではないかと勘繰る。そんな直子に、平介はなぜ自分には黙って医学部を志望したのか問い質した。すると「藻奈美としての人生は、自分自身の足で歩いてみたい。自立した女になりたい」と、専業主婦として生きてきた直子のものとは思えぬ言葉が返ってきた。しかも、直子は夜中まで勉強すると言い、これからは藻奈美の部屋で寝ると言い出すではないか。直子は一体どこへ行ってしまったのだろう…。平介はショックのあまり呆然としてしまう。
そんなある日、直子は藻奈美の親友・由梨絵(林丹丹)から、相馬春樹(竜星涼)の子を妊娠したかもしれないと打ち明けられた。
そのころ、平介はバス事故を起こした運転手・梶川幸広(吹越満)の妻・征子(堀内敬子)のもとを訪れていた。自分でもなぜここに来たのか、平介には分からなかった。そんな平介を征子は思いがけず明るく迎え、以前渡した梶川の通帳とサワダミカコの連絡先のメモを返してほしいと申し出た。平介に頼らず、自分から梶川が亡くなったことをサワダミカコに伝えなければ、何も終わらないような気がする――征子はそう言って笑った。その表情は心なしか悲しげだった…。
その夜、直子は平介が梶川幸広の通帳を隠し持っているのを発見した。それが征子から受け取ったものだと知った直子は、いまだに征子と会って事故の原因を突き止めようとしている平介に激怒。直子には、示談も納骨もして“既に終わったこと”に固執し続ける平介の心理が理解できなかったのだ。しかし、平介はそんな直子に対して声を荒げた。
「俺はまだ何も納得できないよ。俺たち夫婦の歴史をそんな風に簡単に封印なんかできないよ!」
「お父さん…」――驚いた直子が咄嗟に発した言葉に、平介はさらに取り乱した。「お父さんなんて呼ぶな! 俺は直子のお父さんなんかじゃない」
割り切りのいい直子を責め立てる平介。その言葉に今度は直子が激昂した。「私がどんな思いで吹っ切ったと思ってるの!?」
その時、平介の携帯電話が鳴った。それは征子の娘・逸美(日向ななみ)からの電話だった――。
「お母さんは死にました」
秘密 TOPへ 各話視聴率へ
2010年秋ドラマ(10-12月)TOPへ
タグ:秘密