そんな中、満(ARATA)の初公判が始まる。満は自分の両親を殺した男性の殺害は認めたものの、その娘の殺害については過失致死を主張する。事件当日、男性が無理やり娘を気絶させて連れ去ったことを娘の祖母が証言し、世論は少しずつ満に同情的な方向へ流れ始めていた。
翌日、笹野が突然、再審請求を出す。自らの罪を受け入れたかに思われていた笹野の突然の行動に、直樹らは衝撃を受ける。そこには、ある理由が隠されていた。
弁護士の村雨(谷川昭一朗)も娘のついては過失致死を訴える。殺害された娘・有歌の祖母も「田尻は死刑になればよかった。殺されて当然の男だ」とインタビューに答えたことで世論は満に同情的になる。そんな中、麻美は村雨に質問する。「あなたが渡瀬満の弁護を引き受けたのは罪滅ぼしですか?」実は村雨は田尻が満の両親を殺害した裁判で、田尻を死刑ではなく有期刑に処した弁護士だったのだ。村雨は満を救うことが自分の使命だと思っていると告白する。
時を同じくして、死刑囚の笹野が再審請求をしたいと言い出す。再審請求中は死刑は執行されない。刑務官の里中(戸田昌弘)は笹野が死刑をまぬがれようとしていると怒りに震え、笹野が大事にしていた花瓶を割ってしまう。そんな里中を抑えにいった直樹はそこで笹野が3人の中学生を殺害した経緯を知ることに・・・。
笹野の息子の自殺は中学生3人からのイジメが原因だったが全く認められず、学校も取り合ってくれなかった。それでもイジメによる自殺だと主張する笹野に世間は非難の目を向け、笹野は離婚し、仕事も失った。そんな時、3人がまた別の中学生をイジメているのを目撃した笹野は、3人が息子を自殺に追い込んだ話をしているのを聞く。怒りが抑えきれず笹野は、3人をバットで撲殺してしまったのだった。
いわば仇討ちともいえるこの殺人。笹野は、渡瀬満の事件を知り、自分のしたことが本当に悪いことだったのか今一度問うてみたくなったという。
さらに、まもなく息子の命日で、命日には刑務官の若林(塩見三省)が息子の墓に花を添えにいって、その花を1輪持ってきてくれる。それが嬉しいのだという話をきいた直樹は笹野に同情的になってしまう…。一方、それを聞いた麻美は苦言を呈す。どんな理由はあってもその人は3人の子供を殺した殺人犯なのだと…。
その頃、渡瀬満の公判は佳境を迎えていた。1年間の逃亡生活中に渡瀬満が何をしていたのか、村雨は満の両手首の傷を証拠とし、彼が自殺しようとしていたことを証明する。これで渡瀬満の情状酌量は決定的になる。
そんな中、直樹の笹野への同情的な姿勢を目撃した若林は、命日の日、直樹を笹野の息子の墓へ誘う。するとそこにはある夫婦の姿が…。
墓から戻った2人は笹野に花を1輪渡してやる。笹野は「及川先生も私の気持ちをわかってくれたんですね。」と喜ぶが、若林はそこで初めて真実を告げる。
笹野の息子の墓に毎年命日に花を供えにきていたのは若林ではなく、笹野の息子をイジメた末、笹野に殺された少年の両親だったのだ。「何年たっても息子のイジメのせいで、笹野の息子が亡くなったことへの申し訳なさは消えない。それと同時に息子を殺した笹野への憎しみも…。だからこのことを笹野に知られるのは悔しい…笹野には言わないでくれ」とその両親は言った。
笹野は被害者遺族が自分の息子の墓に花を供えてくれていたことに驚くと同時に、自分がただ憎み続けるばかりだったことを思い知り、ただただ泣き崩れる…。
数日後、笹野は再審請求を取り下げる。
笹野のようなおとなしい男が再審請求をしたのは、死刑というものが人の判断を狂わせるということなのか…、復讐の連鎖を断ち切るためにも死刑は必要なのか…直樹の心は揺れる。
そんな中、渡瀬満が公判で今までの証言を翻す。
自分は今まで嘘をついていた・・・、田尻の娘がいることを知っていて2人を切り殺したというのだ…。
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