第14話「琥珀色の殺人」
有名なウイスキー評論家の勝谷(伊藤高)が何者かに殺害された。現場には「PAIRTICHE(パーチー)」「1970」という高級スコッチが残され、勝谷がそのスコッチをオンザロックで飲んだらしいことがわかる。しかし、このスコッチに氷を入れてはせっかくのシェリーの香りが台無しだ。勝谷ほどウイスキーに精通した人間がそんな飲み方をするだろうか。ということは、ウイスキーに疎い犯人が偽装工作を行った?
しかし、同時にウイスキーに詳しい犯人が、わざと疎い人間であるかのように装った可能性もある。右京(水谷豊)は不審を抱くが、薫(寺脇康文)は氷を入れたのは勝谷の趣味かも、と疑問を。そこで右京らは勝谷のなじみの店で勝谷の酒の飲み方を調べることにする。
そんな勝谷の行きつけの店を調べていた右京らは、三好(蟹江敬三)がバーテンダーとして働く店を発見する。かつてオリジナルカクテルを強引に商品化しようとしたオーナーを殺害、右京らによって逮捕された男だ(season1「殺しのカクテル」)。 どうやら出所して再びバーテンダーとして働いているらしい。
三好によると、服役中にシガーバーを経営する英(田山涼成)から声をかけられ、再びバーテンダーとして店を任されるようになったという。が、苦い思い出があるカクテルはどうやら作らないらしい。そんな三好は現場にあった「パーチー」のボトルとグラスの写真を見て、勝谷がこんな飲み方をするのはおかしい、と即座に意見を言う。が、三好はなぜこの写真が勝谷の自宅とわかったのか。右京はふと疑問を口にすると、三好も微かに動揺する。
右京らはシガーバーを経営する英を訪ね、今度は勝谷の部屋にあった葉巻の道具などについて聞く。勝谷のパンチカッターで英に葉巻をカットしてもらうが、英もパンチカッターは使ったことがないとか。
「勝谷さんの見よう見まねで…」。
カットしてもらった葉巻と高級なスコッチを味わう右京と薫。しばし最高のひとときに酔いしれて…。
美和子(鈴木砂羽)が死んだ勝谷の代わりに雑誌の原稿を書くことになった。担当の編集者から右京と薫は、勝谷が人を殺したバーテンダーを糾弾する記事を書こうとしていたことを知らされる。どうやら三好のことらしい。が、勝谷が殺された自宅の部屋にはそんな原稿はなかった。まさか三好が勝谷を殺害、原稿が世に出る前に持ち去ったのでは…。
右京らは三好に調べ上げた事実を突きつけ自供を迫るが、三好はあくまでも認めようとしない。仕方なく昨日、英の店で飲んだスコッチを飲むことにする。と、薫が昨日のものと味が違うことに気付く。同じ銘柄なのになぜ…。薫の反応に右京は三好が味が変わらないようボトルに窒素を注入していることを確認。現場に残されていた「パーチー」を調べさせ、ボトルに窒素が入っていることをつかむ。
窒素入りのボトルの事実を突きつけられた三好はついに犯行を認める。が、そこに英がやってくると三好を庇う。実は犯人は三好の過去を隠そうとした英、それを知った三好は現場を偽装しただけだった。パンチカッターで葉巻を切ってもらったり、英との会話で右京も当初から英に疑惑を抱いていた。
すべてが明らかになった今、右京はカクテルを作ることを避けようとする三好を責める。
「どんな過去であっても、記憶しておくことから全てが始まるのではないか、と」。
そんな右京の言葉についに三好は心を許す。リクエストに応え、得意のカクテル、ホームスイートホームを作る三好。家に帰れない客を帰すためのカクテル…。
「どなた様もいつか必ず、帰れますように」。
そんな言葉とともに、右京らはゆっくりと三好のカクテルを味わうのだった。
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