第5話「裸婦は語る」
画家の立花(長谷川初範)のアトリエで、絵のモデルの妙子(秋山実希)の遺体が発見された。階段から転落死したようだが、立花は部屋で絵を描いていたので気づかなかったと言う。が、妙子には階段から落ちただけでは出来るはずがない傷が。右京(水谷豊)は、階段から落ちた妙子が階段下に置かれた甲冑を倒し、その甲冑の盾によってついた傷だと推理する。甲冑が倒れたのなら、その音で妙子が階段から落ちたことがわかったはず。薫(寺脇康文)による実験でそれが証明された立花は、証言を翻し、モデル料のことが原因でもみ合いになり、妙子が足を踏み外したのだと主張する。
あくまでも事故死と言い張る立花だが、過失致死で逮捕状が出され、身柄が拘束される。妙子のシステム手帳を調べた右京は、妙子が立花から100万円ものモデル料を受け取っていたことを知る。それほどの額を受け取っていながらもめたというのは不自然だ。右京が改めて立花を追及すると、実は妙子と付き合っており、立花が別れ話を切り出したことでもみ合いになったという。さらに倒れた甲冑を元に戻すときに手袋をしていたことを確認した右京は、一人立花のアトリエを捜索。洗濯機の中から黒いシャツと手袋を発見する。
妙子が死んだ直後、立花が妻の光恵(日向明子)に電話を入れていることがわかった。その光恵によると5年前にアトリエから絵が盗まれる事件があったという。右京らは立花と懇意にしている編集者と、2人が打ち合わせでよく使っている喫茶店で会い、盗難事件について聞く。と、その喫茶店で最近、絵が盗まれていたことがわかった。
盗まれた絵は裸婦像…。引っかかるものを感じた右京は、立花が盗まれた絵を喫茶店で確認しながらわざと編集者に見せないような行動をとっていたこと、さらに携帯に残されていたメールから妙子が死の直前まで一人でアトリエにいたことをつかむ。一人でいたということは、立花の証言と食い違うことになる。
右京と薫は捜査一課の協力を得て立花と実況見分を行う。実は喫茶店から絵を盗んだのは立花。5年前に盗まれた自分の作品だったからだ。そして犯行後、帰宅すると妙子が死んでおり、自らの犯行を隠ぺいするため、甲冑を直し言い訳を考えたのでは、と追及する。
初めは否認していた立花だったが、喫茶店に落ちていたシャツのボタンを示され、すべてを自供する。しかし、立花が犯した犯罪はそれだけではなかった。立花が危険を犯してまで盗んだ絵のモデル、梅野正美(石井里弥)は半年前、白骨死体で発見されていた。胸の痣を描いたと立花を責め、完成した裸婦画を傷つけようとした正美。そんな彼女を止めようともみ合いになった立花は、偶然彼女をナイフで刺して殺害してしまっていた。
すべてを告白した立花は自嘲気味に笑った。
「皮肉なもんじゃないか。その絵がやっと手元に戻ってきたと思ったら、今度は自分の人生を失ってしまった…」。
希代の画家は捜査一課に伴われ、アトリエを後にした。
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