最終回2時間スペシャル第20話「サザンカの咲く頃」
プログラマーの瀬沼優(山崎勝之)がビルから転落死、他殺の可能性が浮上する。しかし、その証拠となる足痕や現場写真が鑑識の部屋から消失。何者かが奪い去った可能性もあるが、警察関係者の仕業か?
小野田(岸部一徳)のかつての部下で公安幹部の嶋村(宮内敦士)が心臓発作で急死する。不振を抱く小野田は何気に右京(水谷豊)に捜査を依頼。右京と薫(寺脇康文)は、第一発見者の警官の証言で嶋村がサザンカを手に死んでいたことを知る。何か意味があるのだろうか?
右京らは嶋村の部屋を調べるが、そこで盗聴器と小型カメラ、さらに押収したMOディスクから発信機を発見する。何者かが右京らの行動を逐次マークしているらしい。誰が…?
防衛省の使途不明金問題を審議する国会をTVで見ていた右京と薫は、防衛省幹部の佐々木(五王四郎)の部下の中に瀬沼の会社で見かけた女性(横山めぐみ)を発見する。確かプログラム開発をしている瀬沼の双子の弟・翔(山崎勝之=二役)と何事か話し合っていたが、翔は仕事の依頼は民間のみと言っていたはず…。
その佐々木が答弁中に突然倒れ、そのまま死亡してしまう。毒物は発見されず、病死として処理されるが、右京の調べで嶋村が生前、死んだ瀬沼優と接触していたことがわかる。嶋村なら鑑識から証拠を盗むことも可能だ。嶋村と佐々木、2つの病死につながりがあるのだろうか?
嶋村と佐々木の病死は10年前、小野田が公安部長をしていたころの毒殺事件と酷似している。右京と薫は改めて小野田から話を聞く。
当時、小野田の部下だった嶋村はラジオの国際放送で放送されていた乱数を解読。その結果、国際輸送会社の社員、大手通信メーカーの営業マン、パラボラアンテナを作っていた町工場の職人という3人の名前が浮かび上がるが、その3人が病死に見せかけ、次々と毒殺されたという。が、結局事件は迷宮入りしていた。
小野田の自宅に嶋村から鑑識の部屋からなくなった証拠品が送り届けられた。やはり生前に嶋村が盗んでいたらしい。それらを持ち帰る右京らは何者かに襲われて…。
なんとか追手から逃れた右京と薫は、返却された証拠品に紛れて入っていたフラッシュメモリーを調べる。が、不可解なプログラミング言語が並ぶだけ。右京らは米沢(六角精児)にメモリーを託す。
嶋村が返してきた証拠品を本当に狙っていたのは公安である可能性が高くなった。右京らは小野田の仲介で公安の幹部と面会するが、埒が明かない。そんな中、右京らは前夜自分たちを襲った男(畠中洋)を発見。さっそく自供を迫るが、男は顔色一つ変えず否定する。どうやら事件には公安の何者かが絡んでいる可能性が高い。そして右京は…。
ついに翔が兄・優の殺害を自供した。動機はプログラムの権利争い。が、そのプログラムの顧客に関してはかたくなに口を閉ざす。右京らは翔と話していた防衛省の女性・塔子から話を聞くが国家機密と言うだけでやはりプログラムの詳細については話そうとしない。
翔の身柄が突如公安に移され、捜査一課が事件の担当から外されてしまった。小野田の情報で右京らを襲った公安の男・南と塔子らがキャリア組の同期であることがわかり、右京は塔子らが瀬沼兄弟に衛星プログラムを非公式に依頼、プログラムが完成するまで翔を守ったのではないかと推理する。が、塔子らはあっさりと否定。なおも追及しようとする右京らにたまき(高樹沙耶)、美和子(鈴木砂羽)を隠し撮りした写真を突きつける。
仕方なくその場を去る右京と薫。しかし、その夜、薫が何者かに拉致されてしまった。
犯人は言うまでもなく、塔子、南のグループ。薫は命を奪われそうになるが、そこへ右京が駆けつけた。実は薫には発信機がつけてあり、わざと拉致されたのだった。
すっかり観念した塔子らは、自分たち官僚の連係のまずさで10年前、3人の日本人を殺害した国際スパイを取り逃がしたことを悔やみ日本版CIA創設を決意。その切り札となる衛星プログラムの開発を瀬沼兄弟に依頼していたという。しかし、その開発費を処理していた使途不明金が問題となり、佐々木は計画を白日のもとにさらけ出そうとしたらしい。塔子らは佐々木殺害を決意、が、嶋村も佐々木殺害に反対したため、殺してしまったという。テロリストから日本を守るため、日本の将来のため、とはいえ、人を殺していいはずがない。怒り心頭の右京は3人に言い放つ。
「今、テロリストはあなたたちだ!」。
瀬沼翔は逮捕され、捜査一課が取り調べを。が、動機はプログラムの権利争いのまま。塔子ら3人は小野田の命令で身柄を奪われてしまったという。さっそく抗議する右京と薫だが、岩佐警察庁長官(夏八木勲)の命令で3人による殺人事件は闇に葬られることになるとか。怒る右京と薫に小野田は珍しく強い調子で、これ以上この件に関わったら懲戒免職だと告げる。そんな小野田の様子に疑問を抱いた右京。納得がいかないと怒りをぶちまける薫に、警察をクビになって欲しいと言う。しかもクビになるのは薫だけ…。その思惑とは?
美和子は薫の話をもとに塔子らの犯罪を暴く記事を書くが、新聞社はガセだと受け取ってくれない。が、警察上層部は薫を職務規定違反で懲戒免職にする。しかし、薫は地方公務員に認められている人事に対し不服申し立てができる、という権利を行使。人事院で身柄を預かると小野田がやって来る。薫の訴えを受けて公開口頭審理が行われるが、それはいわば公開裁判。薫はその場で今回の塔子らの事件をしゃべってしまうかもしれない、と揺さぶりをかける。右京がクビになれ、と言った真意は実はそこにあった…。
人事院での公開審理で事件が明らかになれば、岩佐が守ってきた塔子らもさらし者になる。小野田はその事実を武器に岩佐を退任に追い込む。
制服警官の敬礼に見送られ警察庁を去る岩佐。そんな岩佐に小野田は「一度顔を見たいとおっしゃっていたので…」と右京と薫を紹介する。
「そうか、君らか…」と挨拶する2人を見る岩佐。「君らしい餞別だ」と去る後姿には、無念さがにじんでいた。
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