しかし数時間後、そんなありふれた日常が一瞬にして消える事件が起こる。妻と娘がいない家でひとり晩酌をしていた平介に、耳を疑うようなニュースがテレビ画面から飛び込んできた。それは、直子と藻奈美を乗せたバスが崖から転落したことを知らせる緊急ニュースだった。
平介が長野の救急病院へ駆けつけると、直子と藻奈美は意識不明の状態で集中治療室に入れられていた。直子は外傷が酷く、奇跡的に命を取り留めている状態。そして、直子が身を挺して守ろうとした藻奈美は外傷がほとんどないものの、脳に影響が出ており、意識が戻らない可能性も高いという。突然の出来事に気が動転する平介。やがて直子は一時的に意識が戻ったものの、平介の目の前で逝ってしまう。さらにその直後、藻奈美が奇跡的に覚醒するが、愛する娘からは表情や言葉が消えていた…。
まもなく直子の葬儀が執り行われた。妻を突然亡くしたショックに何とか耐えようとしていた平介だが、葬儀の後に抑えきれない涙が溢れ出してくる。平介にとって、直子はかけがえのない存在だったのだ。その矢先、病室で寝ていた藻奈美が言葉を取り戻す。
喜びで胸がいっぱいになる平介。しかし次の瞬間、藻奈美が思いも寄らぬ言葉を発した。
「私は藻奈美じゃないの。私は、直子なのよ」。
平介には信じられなかった。娘・藻奈美の体にはほかでもない妻・直子の魂が宿っていたのだ――!
もしも本当に藻奈美の体に直子の魂が乗り移ってしまったとしたら、藻奈美はどこへ行ってしまったのだろう。直子と藻奈美はこれからどうなるのだろう…。平介は図書館で必死に憑依に関する文献を読み漁る。その時、平介に声を掛けてきた人物がいた。藻奈美の担任・橋本多恵子(本仮屋ユイカ)だった。藻奈美と平介のことを気遣う多恵子。平介は内心そんな彼女に好感を持つ。
やがて"直子"が退院した。これから2人はどうすればいいのか…。悩んだ挙句、直子は藻奈美のふりをして生活することを決意する。「私がちゃんといなくなれば、藻奈美は藻奈美としてここに生きていたかもしれないのに」――そう言って、平介に謝る直子。
「オレは直子がここにいてくれるだけで十分だ」
平介は涙を浮かべる直子を抱き寄せた。その言葉に嘘はなかった。しかし、今抱き寄せているのは藻奈美の体だ…。平介はふと奇妙な感覚に襲われた。
やがて夏休みが終わり、直子は藻奈美として高校へ通うことになった。直子は"秘密"を悟られないよう、必死でクラスメートの名前を覚えて登校する。しかし、教室に入った直子は思いがけない事態に遭遇する。クラスメートの相馬春樹(竜星涼)が自分だけに分かるようにメッセージを送ってきたのだ。春樹のことなど知らない直子は呆気に取られると同時に、なぜだか胸が高鳴ってしまう。
一方、平介はバス事故の被害者の会に出席していた。事故の原因は、亡くなった運転手・梶川幸広(吹越満)の超過勤務に端を発した居眠り運転だと見られていた。その結果、47人もの死傷者が出たのだ。被害者家族たちの間には重い空気が流れていた。そこへ、梶川の妻・征子(堀内敬子)が姿を現した。謝罪の言葉を述べる彼女に向かって、被害者家族のひとり・藤崎和郎(升毅)が叫ぶ。
「アンタの旦那は人殺しだ!」
その直後、平介は征子と目が合った。彼女は助けを求めるような、哀しげな目をしていた…。
そのころ、藻奈美として新学期1日目を終えた直子は、春樹に呼び出されて美術室へと向かった。そこで直子が凍りつくような出来事が起こる。春樹から突然キスされたのだ!
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