小学生の瑠奈(久保結季)が学校からの帰宅途中に姿を消した。しかし、瑠奈の自宅には電話一本入らず、営利目的の誘拐ではなさそうだ。さらに瑠奈が通っていた道々には、まるで暗号のように瑠奈が身につけていたと思われるものが残されていた。理髪店の看板に帽子、倉庫の扉の取っ手にマフラー、小さな祠の稲荷像の頭に手袋、パチンコ屋の店先の花輪にサスペンダー、絵画教室の生徒募集ポスターの上に靴下…。単なるイタズラか、それとも何かのメッセージか。改めて一つ一つを検証した右京と薫もただ首をかしげるばかり…。
瑠奈が通う小学校へ聞き込みに行った右京と薫は、瑠奈の友人という少女から公園に住んでいる吉田というホームレスを訪ねろとアドバイスを受ける。友人によると、瑠奈の親友だという。さっそく吉田の“自宅”を訪ねた右京と薫だったが、吉田は瑠奈と仲が良かったと認めたものの、消息に心当たりはないらしい。実際、瑠奈の名前が入っている英語の教本まである。吉田によると、自分も英語をやり直そうかな、と言うと、あっさり渡してくれたのだという。吉田はそのお礼にぬいぐるみを瑠奈にあげたとか。そんな吉田と瑠奈が出会ったのは近くの教会。教会でシャワーを借りている吉田は、やはり教会に通っている瑠奈と親しくなったのだという。
瑠奈は神父とも親しかったという吉田の証言を受けて、右京と薫は教会の神父・長谷川のもとへ。が、同じく長谷川を訪ねてきた捜査一課の伊丹らは、いきなり長谷川に少女への強制わいせつで服役した過去を明らかにする。どうやら伊丹らはその線から長谷川を訪ねてきたらしい。しかし長谷川も瑠奈については心当たりがないという。
瑠奈の自宅を訪ねた右京と薫は、苛立ちを募らせる父・郁夫と憔悴した母・早苗に許しを得て瑠奈の部屋を見せてもらう。特にこれといった異変はなかったが、テレビもなければゲームなどの遊び道具が一つも見当たらないことが気にかかる。どうやら郁夫は瑠奈に対して厳しく接しているようだ。そして右京は吉田からもらったはずのぬいぐるみがないことにも気付く…。
手がかりらしい手がかりは例の暗号のようなマーキング以外、何もない。行き詰った右京だったが、薫は改めて吉田を訪ね、長谷川神父について聞いてみる。吉田も長谷川を「穏やかな、いい人」と言うが、今朝はなぜかシャワーを借りようとしたが、壊れたからと断られたという。これまでに断られたことなど一度も無いのに…。薫はひっかかるものを感じる…。
一方、右京は鑑識の米沢や角田課長と例のマーキングの謎を解こうとする。理髪店の看板に帽子、倉庫の扉の取っ手にマフラー、小さな祠の稲荷像の頭に手袋、パチンコ屋の店先の花輪にサスペンダー、絵画教室の生徒募集ポスターの上に靴下…。米沢や角田はさっぱり見当が付かないといった様子だが、右京はマーキングに使われた衣類の順番に目をつける。上から脱いでいくと、普通は帽子・マフラー・手袋・サスペンダー・靴下という順序になる。それらが置いてあった場所をその順序どおりに並べると、「理髪店」・「倉庫」・「稲荷像」・「パチンコ屋」・「ポスター」となる。そしてそれぞれ単純な言葉に変換してみると、「髪」・「荷」・「稲荷」・「玉」・「絵」。カミ・ニ・イナリ・タマ・エ…。少々訛ってはいるが、「神に祈りたまえ」と読み取れる。
暗号が「神に祈りたまえ」とすると、やはり教会があやしい。右京と薫が再び長谷川神父のいる教会に出向くと、既に伊丹と三浦が来ていたが、どうやら瑠奈の姿は見当たらないようだ。右京と薫が長谷川に暗号のことを告げると、やはり暗号は長谷川が仕組んだものだったようだ。だが、右京によると長谷川は瑠奈を監禁していたということではないらしい。確かに瑠奈を監禁したならば、わざわざその場所を暗示するような悪戯はしないはず。そして教会では肝心の瑠奈の姿が見当たらない。教会にいないとなると、あと瑠奈が逃げ込む先として考えられるのはホームレスの吉田の家。薫が吉田の家に向かうと、案の定瑠奈がそこにいた。しかし瑠奈は帰りたくないという…。
長谷川の話によると、瑠奈の心は壊れかけているという。母親に暴力を振るう父親、同級生の父親と不倫をしている母親。しかし一歩外へ出ると仲の良い夫婦を演じる両親。そんな状況に瑠奈は混乱し、真実がどこにあるかわからなくなってしまった。そんな状況を知った長谷川は、瑠奈の家に出向き、それとなく注意しようとしたが、二人は付け入る隙を見せず、結局核心には触れられなかったようだ。そして万策尽きた長谷川は瑠奈をかくまい、両親に大切な娘を失う恐怖を感じさせることによって、両親が更生してくれることを願った。それが今回の事件の真実だった。
あらためて瑠奈の家に向かった右京と薫は両親に瑠奈が教会にいることを告げる。両親はさっそく教会へと向かおうとするが、瑠奈が帰りたくないと言っていることを告げ、事件の概要を説明した。それでも自分たちの非を認めようとしない両親に右京は一喝する。自分たちが変わる努力をしないと、瑠奈は戻らないと。さすがに改心した両親とともに右京と薫は教会へ向かい、そこで瑠奈と再開する。最初は抵抗した瑠奈だったが、自分たちが悪かったという両親に心を動かされ、家路に着いた。そんな両親と瑠奈の顔には希望の光が射していた。
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