ある日曜日の夕方。不眠に悩まされる右京(水谷豊)は、予約を入れたメンタルクリニックの扉をノックした。しかし診察室からの応答がない。そっと扉を開くと、ドアは内側からガムテープで目張りされ、室内からは鼻を刺す亜硫酸ガスの異臭が…。
そのころ薫(寺脇康文)は同棲相手の美和子(鈴木砂羽)とお見合いパーティーに参加していた。参加者が足りないためのサクラ、とは半分言い訳、実は美和子がお見合いパーティーに参加することを心配しているようだ。と、そこにはなんと捜査一課の伊丹刑事(川原和久)の姿が。どうやらマジで参加しているらしい。斎東リカ(加藤貴子)と七森雅美(中島ひろ子)という女性と話をしている伊丹にさっそく近寄っておちょくる薫。そしてパーティー会場ではくじ引きでペアを組みカップルを作るというイベントが。薫は暗い感じの大人しい雅美とペアに、伊丹はなんと美和子とペアになってしまい不機嫌になる。
雅美との話が弾みだしたその時、右京から電話が入り薫は伊丹とともに事件現場へと向うはめに。そこでは右京を診断するはずだった精神科医・岸田(日向勉)が一酸化炭素中毒で死んでいた。部屋には七輪と練炭の燃え残り、ドアがガムテープで目張りされていたことから、どうやら自殺したらしい。しかし岸田とクリニックを共同経営していた斎藤(近江谷太朗)が自殺する原因に心当たりがない、と言ったことなどから右京は他殺の可能性もあると推理。そのとき薫が予約名簿に「七森雅美」の名前を発見。お見合いパーティーで会った雅美のようだ。
薫の案内で雅美の自宅を訪ねた右京だったが、事件のショックで自室から出てこようとしない。親友のリカによると、雅美はお見合いパーティーで岸田と知り合い、その後何度かクリニックを訪ねていたとか。対人恐怖症というのはあくまでも口実。大人しそうな外見に似合わず、雅美は積極的にアタックしていたらしい。部屋に閉じこもったままの雅美に業を煮やしたリカは強引に部屋に入ると雅美を平手打ち。雅美を抱きしめると懸命に力づけようとする。そんな雅美は薫とだけなら話をしてもいい、と言い出し、潤んだ瞳で薫をじっと見つめる。なぐさめながらも薫は大いに戸惑う…。
以来、薫は雅美からメールで呼び出されたり、同じ服を着られたり、お弁当を持ってこられたり、とまるでストーカーのように付きまとわれ大弱り。美和子と同棲しているなどと口が裂けても言い出せず、彼女の前ではいい顔をするのが精一杯…。
雅美を平手打ちしてまで元気付けようとするリカに不審を抱いた右京は、斎藤に相談。そこで2人が互いに依存し、執着し合う「共依存症」の関係ではないか、と助言を受ける。リカが病的なまでに雅美の世話をするのも共依存の症状のひとつ。右京は共依存の相手・雅美をとられそうになったため、斎藤を殺害したのでは、とにらむ。
そんな折り、薫が美和子と同棲していることが雅美にバレてしまった。ショックを受けた雅美は自殺未遂を起してしまう。病院に駆けつけた雅美の母親・日出子(岩本多代)は雅美の親友リカに原因があると追求。さらにリカに対して雅美と距離を置くように促す。
「リカさん結婚するんでしょう。雅美のことはいいから、自分の幸せだけを考えて。」
しかしリカは結婚などしないという。不思議がる日出子…。右京はそのやりとりに何か引っ掛かるものを感じる。
結局、薫が一晩中雅美の病室に付き添い、翌朝疲れきった様子で特命係に戻る。すると右京は密室のトリックを暴き、岸田の死はやはり他殺だと確信する。さらに右京は岸田が生前にリカに対して雅美と一緒に住むよう勧めたことが気になる。雅美とリカが共依存の関係ならば、一緒に住んでしまうと余計に症状が悪化するはずだが…。
右京は岸田とクリニックを共同経営していた斎藤を訪ね、不眠症の処方箋を出してもらう。そこで斎藤が近々結婚する予定があることを知る。雅美の母親は日出子が雅美の親友・リカが結婚するものと勘違いしていた…。二人の苗字は斎藤と斎東…。右京はある事実に気付く。
そして雅美が退院することになり、薫が花束を持って病院を訪れる。そこで薫は日出子に雅美と一緒に住む決心をした、と告げる。驚く日出子。薫は構わず住所が書かれた紙と部屋のカギを日出子に渡す。
すると後日、薫の自宅に深夜若い服装をした女性が忍び込む…。手にはスタンガン…。薫の首にスタンガンが触れそうになったそのとき、
「そこまでです!」
その手を右京がしっかりと掴み、阻止する。その女は雅美の母親・日出子だった。共依存の関係にあったのは雅美とリカではなく、雅美と母親…。雅美を独占しておきたい日出子は母親からの自立を促した岸田を殺害した。若い服装をしていたのは若い女性による犯行と思わせるため。ガムテープによる密室は掃除機を使用したトリックだった。そして日出子がリカが結婚するものと思い込んでいたのは殺害現場で岸田が電話で斎藤医師から結婚の報告を受けていたからだった。 “斎藤”と“斎東”。電話で「サイトウ」と聞いた日出子はリカが結婚するものと思い込んでしまった。
数日後、雅美は母親の逮捕のショックから立ち直れていないようだったが、親友のリカが横に寄り添っていた。リカはアパートを借りて二人で住み、雅美を立ち直らせると言う。今度は共依存の関係ではなく、二人が純粋な友情によって成長していくことを願う右京と薫だった。
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