翌朝、北村が目覚めるとすでに女の姿はなく、浴室に中年男の死体が転がっていた。死体の状況から察すると、毒物で殺されたらしい。慌てた北村は自ら警察に連絡する。
担当の中京署・池内刑事(益岡徹)は状況から北村刑事を殺人容疑で逮捕する。北村はあくまで無実を訴えるが、姿を消した女は発見されず、殺された男も身元不明のままだった。
この事件は、鶴丸あや(名取裕子)が担当することになる。ナオミ(大河内奈々子)たち修習生は、北村の無罪を証明するためにどんなことでもやりますとあやに申し出るが、予断を持って捜査にあたってはならないと一喝されてしまう。
やがて、姿を消した女・坂本竹子が発見されるが、彼女の主張によると、死んだ男は自殺したのだという。恐ろしくなってしまい、その場から逃走した。警察に行くのも怖かったという。
しかし、あやは竹子の家を訪れたとき、着物の虫干しをしているのを見て疑問に思う。虫干しとは、着物を広げて手入れすることだが、暖かい季節ならともかく、冬に行なうのはおかしい。どこか、竹子が身辺を整理しているような、儀式めいたものを感じさせる。
殺された男が、紙の再生工場で働いていることが判明する。その再生工場では企業の機密文書を預かり、溶解処理をして再生紙にしているという。
さらに調べをすすめると、この工場では機密文書の横流しによる不正の疑いがあることがわかる。その首謀者とされるのは、田端という男…田端は殺された男の上司、つまり、上司の秘密を知った男が口封じのために殺されたのではないかと思われるのだ。
では、なぜ、竹子がその場にいたのか?あやの調査の結果、田端は竹子と男女の関係にあったことが判明する。六本木の水商売時代の客だった田端が、竹子を京都に呼び寄せたのだという。
これらの調べから、北村刑事は不起訴となり、釈放された。謹慎処分の下った北村刑事が向かったのは、竹子の家。ふたりは酒を酌み交わす。これまでの揉め事がなかったかのように笑顔で話しを続けていた。竹子は山形の生まれだという、在の祭りが恋しくてたまらないという。
しかし、和んだ空気は一転する。北村刑事は竹子の犯行を見抜いていた。北村刑事は竹子に自首をすすめる。包丁を手にした竹子は北村刑事に刃を向けるが、思いとどまる。「警察ってのは、腹見せないね」と竹子の言葉に白々しい空気が流れる。
竹子の家をあとにした北村刑事と入れ違いに、あやがやってくる。全ての罪を認める竹子。竹子は愛人の田端のために言われるままに殺人を犯してしまったのだという。なぜ、男のために殺人まで…と問い詰めるあや。竹子は「あんな男でもつなぎとめるために仕方がなかった」と自分の中の寂しさを語る。人生に対して投げやりになった竹子。
そのとき、便利屋がやってきて、雨どいの修理をするという。頼んだのは北村刑事だった。「世の中には信頼にたる人間もいる。それが北村刑事です」…泣き崩れる竹子にあやはそう言葉をかけたのだった。
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