輝夫はあっさりと起訴事実を認めるが、生意気な口を利いてあやを怒らせてしまう。それでもあやは、輝夫の指の生傷に注目する。輝夫は麻衣子という恋人と同棲していて、料理をしたときの包丁の傷らしい。あやは、取調べ中の輝夫の不真面目な態度と、家事を分担してやっているらしい輝夫の真面目な姿が、一致せず、疑問を覚える。
輝夫の犯行だということに納得できないまま被害者の妻・秋子(山下容莉枝)のもとを訪れたあやは、そこで見覚えのある少年に出会う。数日前、コンビ二でガムを万引きしようとしてあやに見つかり、逃げ出した少年だった。その少年は、秋子の息子の慎太郎だった。
少年は赤い二輪車の絵を描いていたが、あやを見るなり2階に上がってしまう。またもや、あやは疑問を覚える。見知らぬ若者に携帯マナーを注意する父親の育てた子供が、万引きなどするはずがない。どこかに間違いがあるはず…。
あやが司法修習生たちに指示した輝夫の周辺調査から、輝夫が子供好きの一面を持っていることがわかる。また、輝夫の恋人によると、彼はいつもバイクで通勤していたが、その日は雨だったのでバス通勤に変えたという証言も得る。
しかし、あやは事件当日の天気予報が晴れになっているのを知り、輝夫の恋人の嘘を確信する。輝夫はバスに乗っていない。
そして、あやが導き出した結論は事件のありようを一変させてしまうものだった。
輝夫が葛城を殺したのは事実なのだが、その動機はまったく違うものだった。輝夫は秋子と息子・慎太郎と顔見知りなのだった。なぜ、知り合ったのか。秋子の夫・葛城は家庭内暴力を振るう男だった。妻だけでなく子供にも虐待を加えていた。避難のつもりでいった公園で秋子と慎太郎は、輝夫と知り合った。子供好きの輝夫は虐待を受ける慎太郎の面倒を見ていたのだ。しかし、事件当日、輝夫の存在を知った葛城が逆上し、輝夫と喧嘩。もみ合いから倒れた葛城は、当たり所が悪く、死に至ったのだった。
では、なぜ、輝夫は嘘をついたのか。それは、子供の慎太郎のためであった。死んでいった父親は立派な人だったのだ…せめて、その思い出だけでも持たせてあげたい。優しい心から生まれた嘘だった。
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