前回同様、朝田は心臓を止めないままで手術を始める。荒瀬門次(阿部サダヲ)が加わったバチスタチームは、スムーズに手術を進行。そんな彼らの手術の様子を救命救急の鬼頭教授(夏木マリ)と霧島が見学していた。鬼頭は伊集院や荒瀬、藤吉圭介(佐々木蔵之介)、里原ミキ(水川あさみ)らもいつの間にかオペの状況変化への適応力やテクニックを身につけていることに気付く。そんな各メンバーの姿を見た加藤は感無量。このチームは自分が守ると、霧島を見ながらつぶやく。
手術は無事に終わり、野口の部屋を訪ねた加藤は、朝田の触診に頼らずとも変性部位を特定する方法をバチスタ論文のポイントにしたいと言う。だが、野口は、教授選に立候補もできないのに、今さら論文でもないだろうとチーム解散を宣告。それに対して、加藤は自分ももう教授になるつもりはないと言う。若い芽が育っているチームを残し、変性部位の特定法を確立してほしいだけだと言い、それまでの研究データを野口に差し出した。
やがて、加藤はバチスタチームの慰労会を開催。チームは存続させるので、霧島のもとでバチスタを切るよう、告げる。だが、ミキは北日本大学にいる友人の看護師から聞いたと言って、霧島は薬物投与によって日常生活が送れるレベルの患者にもバチスタ手術を行っていたらしいと報告。論文の成績を上げるために、切らなくてもいい患者を切っているというのだ。それを聞いた朝田は、このチームには加藤が必要だと宣言。他のメンバーたちも加藤のいないチームなど考えられないと言い、その言葉に彼女も涙する。
翌日、朝田は鬼頭に、加藤が教授選に立候補できるよう、推薦してほしいと頼んだ。そうしてくれれば、自分はERに移るというのだ。だが、鬼頭は野口が出した教授選改革案に反対することはできないと言って、去っていく。
そんな中、伊集院は霧島から呼び出された。霧島はバチスタ手術の時の伊集院の頑張りを賞賛し、自分の下で働かないかと誘う。驚く伊集院に、霧島は自分の可能性を捨てるのかと追及。伊集院は、霧島の言葉を振り切るように部屋を出ていく。
やがて、教授会が開かれ、野口の出した改革案に関して多数決が採られることに。すると、鬼頭が立ち上がり、野口の案を絶賛した後、別の改革案を提出すると言う。現在、教授だけが持っている投票権を全医局員にまで広げようというのだ。さらに、彼女は霧島の対立候補として、加藤を推薦すると宣言する。
そして、3人目のバチスタ適応患者が見つかった。あちこちをたらい回しにされた挙げ句、系列の病院から転院されたばかりの患者だという。患者の両親からカルテを渡された藤吉は、当初は北日本大学に入院していたことを知る。さらに、カルテを読み進んだ彼は言葉を失った。臓器や器官の位置が左右逆に生まれつく完全内臓逆位という疾患がある上、拡張型心筋症のほかに単一冠動脈も合併。しかも、術野の至って小さい生後9カ月の赤ん坊だった。北日本大学での担当医は霧島。いったん受け入れておきながら、いずれ明真大学に運ばれるよう、系列病院に転院させていたのだ。
野口はそんな困難なオペは断固として許可できないと、加藤に告げる。それに対して加藤は、切らなくてもいい患者を切り、本当に手術の必要な患者を見殺しにするような霧島が次期教授になっていいのかと反論。野口は加藤に信念が強過ぎると言い、失脚を通告する。
朝田たちはこのバチスタ手術を行うべきかどうか話し合った後、結論を出した。朝田は野口には自分が伝えに行くと言う。その結論を霧島の部屋に密告しに行く男の姿があった。それは、伊集院だった…。
そして、野口の教授室を訪ねていった朝田は、3人目のバチスタは断念すると告げる。
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