人工心肺の装着が完了し、加藤は臨床工学士に心停止液の注入を開始するよう指示する。だが、朝田は心臓を止めないままで手術を進めると宣言。加藤も見学していた医師たちも驚く。動いたままでの心臓の手術は細胞組織が劣化せず、手術後も患者の体に負担がかからない。だが、停止した心臓を手術する場合の100 倍は難しく、患者が死ぬ可能性も高かった。そんなことになれば、加藤の論文どころか、野口まで責任を取らされることになる。なぜそんな危険な冒険をするのかと、見学室は騒然となるが、加藤も伊集院もミキも、朝田を信じてついていくしかないと覚悟を決めていた。
スタッフワークの良さで、手術は予想以上の早さで進行。いよいよ、バチスタ手術の本番である変性部位(悪い部分)の切除に入る。バチスタ手術において肝心なことは、どのようにしてその部位を見つけるかだったが、それを正確に特定する方法は未だ確立されていない。加藤はその方法を論文で書こうとしているのだ。だがここで、患者の心臓に手を当てたまま、朝田の動きが止まった。見学室の医師たちは変性部位が分からないのか、と驚く。そのとき、鬼頭は朝田の狙いに気が付いた。彼は変性部位と正常な心筋の違いを、心臓の動きで判別するため、心臓を止めないままで手術を始めたのだ。ゆっくりと目を開けた朝田は、変性部位を特定。見学室の医師たちはその判断に驚く。
だが、鬼頭は麻酔医や臨床工学士が、朝田のペースについていけなくなっていると指摘する。案の定、臨床工学士は気分が悪くなったと言って、退室。すると、伊集院は動脈血の色が黒ずんでいることに気が付いた。人工心肺のトラブルで、このままでは患者は心停止で手術中に死んでしまう。朝田は工学士補佐に人工心肺のチェックを命じるが、彼は焦るばかり。朝田と加藤は、伊集院に人工心肺のほうへ行けと指示する。彼の操作で血液は無事に元の色に戻った。
やがて、縫合が終わり、バチスタ手術は終了。教授たちからも拍手が起こる。だが、人工心肺の離脱が済んだところで、朝田は患者の心筋の動きが悪くなっていることに気が付いた。このままではバチスタが成功しても、患者は助からない。朝田は引き続き、バイパス手術を始めると宣言。人工心肺を再装着すると言う。だが、伊集院は機械を触っていたため、手洗いをしないと術野に戻れず、人手が足りない。藤吉は伊集院に、大至急手洗いしてくるよう、命じる。
だが、伊集院が戻るまでバイパス手術を待っては、心機能が回復しなくなる。誰がグラフト採取するのだと訪ねる加藤に、朝田はそれをミキに命じた。看護師がメスを握るなど、日本では許されず、教授たちは騒然。加藤や麻酔医も、朝田に猛反対。野口は手術室に内線を掛け、何が何でも止めさせろと叫んだ。朝田は加藤に深々と頭を下げ、ミキのグラフト採取を認めるよう、懇願。藤吉も野口からの電話を切り、ミキはメスを握る。そして、手術は無事に終了した。
その頃、北日本大学でも霧島軍司(北村一輝)が外国人医師2人とともに、オペを行っていた。無事に終えた彼は、加藤たちの手術に思いをめぐらせる。
野口は加藤に、ミキの行為について追及。加藤は患者の命を助けるための適切な対応だったと言う。さらに、彼女は記者会見を開くことになったと告げ、そんな中で処分者を出しては、手術に問題があったと思われてしまうと進言。野口もどうにか納得し、記者会見に臨む。
朝田は鬼頭に、荒瀬門次(阿部サダヲ)をバチスタチームにもらう話はどうなったと確認。鬼頭は荒瀬の過去を知った上で、それでも使いたいのなら構わないと言い、そばで聞いていた伊集院は驚く。
一方、ミキは他の看護師たちから避けられるように。看護師長は彼女に、今後はどんなことがあっても、越権行為はしないと誓うよう、告げる。だが、ミキは患者の命が救えるのなら、これからもやると宣言。そのときはそれなりの処分を覚悟するよう、告げる看護師長だったが、個人的には医師よりも絶妙なグラフト採取をやってのけるのを見て、すっとしたと言って去っていく。その翌日、朝刊を持った伊集院が大慌てで医局に飛び込んでくる。その紙面を飾っていたのは、霧島らが北日本大学で日本初のバチスタ手術を成功させたという記事だった…。
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