その日の深夜、急患が運ばれてきて、医局に応援要請の電話が入った。運ばれてきたのは24歳の急性虫垂炎の女性。朝田は伊集院を連れて、手術室へ向かうが何もしようとせず、おまけに伊集院に執刀するよう命じる。まだ4例しか切ったことがないと反論する伊集院だが、朝田は海外ならばその年齢で百例は切って当たり前というばかり。しょうがなくメスを手にした伊集院だが、教科書通りの位置に虫垂が見つからない。朝田のアドバイスも得て、手術は何とか無事終了。朝田は、外科医は実際に切ることでしか成長しないということを伊集院に教えたかったのだ。
その後廊下を歩いていた二人は、病室から凄まじい女性のうめき声がするのを聞いた。看護師に聞くと、その患者、佐々木文子(加藤治子)は末期の肺癌で、苦しんでいるのは抗癌剤のせいだと告げる。さらにその抗癌剤は製薬会社が開発中の新型で、薬効データ収集のために利用しているとまで聞く。だが、文子も夫の五郎(井川比佐志)も薬が効くと信じていた。
ある日、朝田は明真大学付属病院の看護師になった里原ミキ(水川あさみ)に、文子のCT写真を持ってくるように頼む。そしてそれを見た朝田は、伊集院の意見を無視して、担当医に抗癌剤投与の中止を進言する。しかし、他の医局の方針に口出しするなと却下され、それは野口の耳に入ることとなる。
そして加藤は、朝田の勝手な行動のために謝罪文を書くはめに。加藤の恋人で北日本大学助教授の霧島軍司(北村一輝)は、そんな朝田の病院内でのトラブルを聞きつつ、加藤にバチスタ手術の進行状況を聞いていた。そして朝田のバチスタのスタッフに、かつてMSAP(万人のための医師団)で朝田と一緒だった看護師が加わったことを聞いた霧島の顔つきは鋭くなる。
そんなある夜、交通事故患者の受け入れ要請が入る。伊集院は了承するが、救命救急部の医師、権藤(小林すすむ)から勝手なことをするなと怒られる。実は搬送されてきた患者は、国籍不明の外国人だった。保険証など持っているはずもなく、病院が治療費を負担しなければならないのだ。権藤は救急隊員に、患者を他の病院へ連れていくよう指示する。
だが、その救急車の前に朝田が立ちはだかった。患者をストレッチャーに乗せた彼は止めようとする権藤をよそに、伊集院とともに手術室へ向かう。損傷箇所は3カ所のようだが、最後の1カ所が見つからない。伊集院は焦るが、虫垂炎の時と同じだから落ち着けという朝田の言葉も受け、見事に発見。手術は無事に完了する。その様子を荒瀬門次(阿部サダヲ)や権藤が見学室から見ていた。そのことを知った野口は胸部心臓外科の人間が勝手なことをしたと、救命救急部教授の鬼頭笙子(夏木マリ)に謝罪。だが、鬼頭は救命救急部に責任があると言って、患者の入院費用は全額負担すると言う。手術の様子を聞いた彼女は、自分たちでは救えなかったはずの患者を朝田が救ったと考えたのだ。
伊集院は文子が息子からもらった携帯で、メールの仕方を教えていた。その最中、文子は伊集院に自分は末期癌なのだろうと聞く。だが、伊集院は何も答えられない。二人の会話を聞いていた朝田は五郎に、新薬は効果が望めないと告白。五郎はショックを受けるが、本当のことを教えてくれたのは朝田だけだと言う。やがて、五郎は担当医に、文子を他の病院に移したいと告げた。驚く担当医に彼は、文子を楽に死なせてあげたいのだと言う。数日後、朝田と伊集院は、文子が転院先で息を引き取ったと加藤から聞かされる。加藤は呼吸器内科ともめてまで転院させる意味があったのかと追及。その時、伊集院は携帯にメールの着信があることに気付いた。その文面を見た伊集院は泣き崩れる。ひらがなばかりで打たれた文子からのお礼のメールだった。
朝田は加藤に、バチスタチームの二人目に伊集院を入れると宣言。反論する加藤に、朝田は医局に染まっていない彼こそ、メンバーにふさわしいと言う。その頃、霧島は明真大学付属病院のロビーにいるミキの姿を見つけ「ここにいたのか」とつぶやき…。
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