その日、全員に大福餅が配られることになり、直樹は大福を配って歩くことに。死刑囚の石峰(六平直政)の所へ配りに行った時、無理やり大福を取られそうになった拍子に直樹は石峰の分の大福を落としてしまう・・・。
石峰の傍若無人な態度に怒りを覚えた直樹は数が決まっているからと、石峰に大福を渡さずに舎房を後にする。
ちょうどその日、10年前に殺された自分の両親の仇を討って1年間の逃亡生活を送っていた“平成の仇討ち殺人犯”渡瀬満(ARATA)が出頭し逮捕される。直樹と満は少年時代、同じ野球チームに所属していたことがあった。当時、直樹にとって満はあこがれのヒーローだった。
しかし15歳の時、満は強盗に押し入った田尻勝男(斎藤歩)に両親を殺され、自らも右肩を刺されたことで野球ができない体になってしまった。妹とともに施設に預けられた満は、復讐の時を待ち、出所した田尻を切り殺したのだった。
しかし、そこには2つの死体があった。田尻は娘を抱えていたのだ。満は田尻だけではなく、娘も切り殺した。満が娘をあえて巻き添えにしたのか、それとも娘には気づかずに巻き込んでしまったのか…これから始まる渡瀬満の公判ではその点がポイントになってくる。直樹は子供のころを思い出し、複雑な気持ちになるのだった…。
翌日、直樹は石峰のために大福をもっていくが、石峰の房はもぬけの殻。
直樹の知らない間に石峰の死刑が執行されていたのだった。死刑の執行は必ずしも刑が確定した順で行われるのではない。石峰の執行を知った直樹は大好物だった大福をあげなかったことで罪悪感にかられる。
そんな直樹に若林(塩見三省)が声をかける。若林は執行の前に石峰が大福をうまそうに食べたことを告げ、死刑囚との接し方に悩む直樹に「刑務官も死刑囚も人間。人間対人間の付き合いなので、長い時間をかけて答えを自分で見つけるしかない」との言葉を投げかける。
翌日、直樹は香西忠伸(中村獅童)という死刑囚に便せんを渡す。
香西は不良グループのリーダーで、リンチによって少年3人を殺害した主犯として死刑が確定した死刑囚だ。最初のうちは荒れていた香西だったが、今は毎日、被害者遺族に手紙を書き続けている。その姿は盲目的にも思えるほどで便せんにひたすら文字をしたためていた。
ある日、そんな香西に被害者の母から初めての返事がくる。直樹は香西の想いが伝わったのだと嬉しくなり、「これでもう手紙を書かなくてもいいんですね」と激励する。
しかし翌日、香西は便せんを飲み込んで自殺を図ってしまう。
とまどう直樹に、深堀は「お前がおいつめたんじゃねぇか」と言い放つ。直樹は、ひたすら手紙を書き続けていた香西を励ましたつもりが、彼に生きる目的を失わせるようなことを言ってしまったのだと気づき、一命を取り留めた香西のもとを訪れる。
香西は、被害者の母親の手紙を読んで、より一層、どれだけのお詫びをしてもどうしようもないことを思い知ったと語る。殺人を犯した自分がこうして生き続けていることが申し訳なく、死んでお詫びをしようとおもった…しかし死ぬことすらできなかったと…。
直樹はどんな言葉をかけてあげたらいいかわからず、香西の手をにぎるのだった。
そんな中、渡瀬満が東京西拘置所に移送されてくることに・・・。
いよいよ渡瀬満の公判がこれから始まるのだった。
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