そんな鬼島は、真紀が担当する小さな横領事件の取調べに立ち会うことに。地元の樋村建設の経理課長・三沢輝男(津田寛治)が会社の金500万円を横領した事件だ。あっさりと罪を認めた三沢に対し真紀が起訴を決めようとした矢先、鬼島は自分の判断で処分の保留を決めてしまう。
「あの人、絶対ウソついてますよ」
検事の仕事は起訴すること――そんな「司法の常識」を微塵も気にせず、真実を知ろうとする鬼島は、唖然とする真紀を尻目に、事件の再捜査を開始。三沢の事件を担当した刑事・小石川悟(金山一彦)に補充捜査を依頼した。渋々ながら捜査を開始した小石川がつかんだのは、三沢がギャンブルや酒に大金をつぎ込んでいたという関係者の証言だった。これが三沢の本当の顔なのか?
納得のいかない鬼島は、護送車の中で三沢を問い詰めると、クルマを三沢の自宅に向かわせる。そして、クルマの窓越しに愛娘の姿を見せつけた。
「あなたがあの娘の幸せ創ってあげな、誰ができるんですか」
その言葉に心を動かされた三沢は、木戸検事の取調べで横領は会社の指示だったと自供した。横領した500万円は、樋村社長(名高達男)から命令された3億円の裏金作りの一部だったのだ。巨額の裏金の存在に伊智地検は大騒ぎに。それを知った東京地検の検事正・敷島康広(石橋凌)も苛立ちを隠せない。そして、受話器を取ると真紀に電話をかけた……。果たして二人の関係は?
そんな騒動もどこ吹く風の鬼島の前に、謎の男・安東正親(ビートたけし)が現れる。安東は鬼島に向かい、こう言い放った。
「調子に乗ってんじゃねえぞ。おまえ、死ぬぞ」
安東の眼光に思わず、たじろぐ鬼島。だが、彼はまだ知る由もなかった。この小さな横領事件が、大事件の始まりだということを。
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