その夜、絵里子が帰宅すると、母・光代(渡辺えり)がため息をついていた。東京にいる人を対象にした中学の同窓会の案内が届いたのだが、光代には5000円の会費を払う金銭的余裕などないからだ。その姿を見た絵里子は、入ったばかりのギャラ5000円を渡し、光代を同窓会へと送り出す。
同窓会当日。光代はいつものパンチパーマに時代遅れの洋服を着て、会場に入る。すると、中学時代に仲の良かった真山佳江(東ちづる)が声を掛けてきた。すっかり垢抜けて見違えた佳江を見て驚く光代。佳江の夫は5年前に独立して出版社を設立、その直後に出した本がすべて大当たりし、自社ビルを建てるほどの大成功を収めているらしい。亡くなった夫が二人ともろくでなしだった上に、いまも借金を返済し続ける生活をしている光代とは大違いだ。素直に感心する光代に、佳乃は明らかに上から目線で「一度うちに遊びにいらっしゃいよ」と招待する。
光代からその話を聞いた絵里子は大興奮。もしかしたら単行本出版の夢が叶うかもしれないと考えた絵里子は、光代と共に佳江の家を訪問し、いきなり『恨メシ屋』を本にしてもらえないかと切り出す。すると、佳江は「オリジナルの新作」という条件で承諾。その代わり、“女の愛と人生”というテーマで、とびきりロマンチックでドラマチックなものを描けという。そんなテーマで描いたことのない絵里子は戸惑いつつも、売れっ子漫画家を目指すため、その条件を飲むことに。
そんな中、光代は佳江から日給1万円で家政婦をやってほしいと頼まれ、引き受けることに。絵里子はいくつも仕事を掛け持ちしている光代の体を心配するが、前の家政婦が急に辞めて困っている友だちを放っておけない光代は、翌日から佳江の家で働き始める。佳江の桁違いの金銭感覚や、貧乏人を見下す態度にどこか違和感を覚えながらも、働き続ける光代。自分の出版話のせいで母親が佳江に頭が上がらないと感じた絵里子は、「絶対に売れるものを描く!」と奮起する。
絵里子は“売れる本”を描くため、画風もガラリと変え、佳江に言われた通りの路線で漫画を描き始める。ところが、描きかけの原稿を見た丈一(塚地武雅)から「全然面白くねぇ」と言い捨てられてしまう。さらに、突然訪ねてきた氷室(田中要次)からも、面白くないと言われた上、光代の頭の方がよっぽど面白いと言われた絵里子は、自分が本当に描きたいものを描こうと決意するのだった。
数日後、必死で描き上げた原稿を佳江に届けた絵里子は、そのまま『週刊秘宝』の編集部へ。するとそこへ、佳江から「原稿が無くなった」という連絡が入る。急いで駆けつけた絵里子に、「いつのまにか無くなっていた」と悪びれずに説明する佳江。さらに、「弁償するわよ」と100万円の小切手を差し出す佳江に呆れた光代は、絵里子に原稿を渡した時のことをもう一度思い出すよう言う。すると、絵里子の原稿はゴミ箱に捨てられてしまったことが判明。しかも、ゴミはすでに収集車に回収され、ゴミ処理場へと運ばれた後だった!
絵里子と光代はゴミ処理場へと向かい、ゴミの山から原稿を探し出すことに……。陽も暮れ、さすがに諦めようとする絵里子に、喝を入れる光代。とそのとき、ゴミの奥から絵里子の原稿が見つかった!
二人は急いで、佳江が出席している財界の実力者の妻たちの集まり『咲百合会』の会場へと向かう。まさに会長就任のあいさつをしようとしていた佳江に、「あったよー」と大声をかける光代たち。渋々原稿を受け取る佳江だったが、原稿を見た途端、さらに険しい表情に。絵里子が渡したのは、自分と母の貧乏話を描いた漫画だったのだ。セレブが売りである夫の出版社では出せないと切り捨てる佳江に、土下座して頼む光代。そんな光代を見下す佳江だったが、光代は中身が空っぽの佳江こそ惨めだと言い返す。絵里子も「見栄張ったり、人に自慢するために金持ちになりたいわけじゃない。母ちゃんを幸せにするために金が稼ぎたい」と言い放ち、二人はその場を後にする。
とは言え、必死で描き上げた70ページの大作がボツになり、すっかり気落ちしてしまう絵里子。編集部員たちの励ましも、全く耳に入らない。翌日、編集部に置いていったはずの原稿が消えてしまい、絵里子が再び大騒ぎしていると、梅本がその原稿を手に戻ってきた。なんと、文暁社からの出版が決まったというのだ。
一ヶ月後、絵里子の初単行本『貧乏ものがたり』が書店に並んだ。書店の片隅で、本が売れて行く様子を嬉しそうに見つめる絵里子と正宗。同じ頃、新聞に掲載された絵里子のインタビュー記事を見つけ、悔しがる佳江の姿があった……。
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