新倉リカ(長澤まさみ)は、悠里の運転手をしている保坂次郎(志賀廣太郎)のことが気になっていた。リカは、一度も保坂の声を聞いたことがなかったのだ。悠里によれば、保坂はもともと悠里の父・惣一(夏八木勲)の運転手で、悠里の運転手を務めるようになって20年近いという。だが、悠里自身も、長い間、保坂の声を聞いていないらしい。
そんな折、悠里たちは、刑務所の慰問に行くことになった。悠里は、子どもたちと一緒に、受刑者たちの前で楽器を演奏するという。悠里はハープ、長男の洸(松坂桃李)はチェロ、次男の廉(矢野聖人)はバイオリン、そして晶はフルートを演奏することができるのだ。洸は、悠里と一緒に練習を始めた。廉も、父・辰也(寺島進)のマンションで久しぶりにバイオリンを手にしていた。
一方、蓮見丈治(反町隆史)は、悠里の依頼で、宇津木の身辺調査に乗り出す。丈治は、宇津木の母親が温泉街でコンパニオンをしていたこと、そしていくつもの犯罪歴がある男と結婚していることを突き止め、悠里に報告した。もし宇津木が修一の子どもだとしたら、ふたりは不倫関係だった可能性もあると知った悠里は、宇津木の母親に会ってみる、と言い出す。すると丈治は、宇津木の母親は話すことができない、と悠里に告げた。
プライベートバーに宇津木を呼び出した悠里は、早乙女家が関わっている会社業務の概要を伝えた。修一の息子だと判明した場合、その後どうしたいか聞いておきたかった、と悠里は宇津木に告げた。その際、宇津木は、修一と若い女性が一緒に写っている1枚の写真を悠里に見せた。そして、金なんかいらない、父親が素晴らしい人だったことを証明したいだけだ、と言い放つ。
刑務所慰問の日、丈治は、社長室を掃除していた女性が、クレーマーの丹羽聖子(エド・はるみ)であることに気づく。聖子は、丈治の制止を振り切って社長室を飛び出し、エレベーターに乗って逃げた。
同じころ、休みをもらったリカは、会社のジムを訪れてトレーニングをしていた。そこにやってきた丈治は、リカから、悠里たちが刑務所の慰問に行ったことを教えられる。すると丈治は、いますぐに悠里たちを追いかけようと言い出す。悠里が慰問なんかするはずがない――丈治は、リカにそう告げると、ただちに刑務所に向かった。
刑務所に向かう車の中で、丈治は、ある事件について語り始めた。悠里が子どものころ、参宮橋の早乙女家に2人組の強盗が現れたこと、若いお手伝いさんが機転を利かせて幼い悠里をベッドの下に押し込んで守ったもののそのお手伝いさんは殺されてしまったこと、そしてそのお手伝いさんは運転手の保坂の新妻だったことを…。
悠里は、保坂に電話をして、「聞いていて」と告げると、子どもたちと一緒にステージに上がった。演奏したのは、モーツアルトの『フルートとハープのための協奏曲』だった。
演奏を終えた悠里は、マイクを手に、受刑者たちに向かって話し始めた。それは、幼いころに体験した、忘れようとしても決して忘れることができないあの事件のことだった。すぐに受刑者たちの間でざわめきが起きた。悠里は、そんなことはお構いなしに、話を続けた。
生まれたとき、赤ん坊は心琴――心にハープを持たされて、それで他者からの感情を受け取る。成長するにつれ、自らこの弦をつまびくことによって人と交わっていくが、この弦はもろく、いけないことをするとプツリと切れてしまう。そうしてついには、奏でる弦がひとつもなくなってしまったのがあなた達だ、と。人間としての尊厳を、利己主義を超えて達成するために生きて、愛して、生き切っていくという命題を放棄し、自分の利益、快楽しか追求できないあなた達はケダモノだ――悠里は、そう叫んだ。
激高した受刑者たちがステージに詰め寄り、会場はパニック状態に陥った。廉は、晶を連れて避難した。辰也と洸、そして駆けつけた丈治は、必死に悠里を守り、彼女をステージから連れ出した。
あくる日、丈治は、惣一の邸宅を訪れる。丈治は、改ざんした修一と宇津木のDNA鑑定の結果を悠里に渡したことを後悔しているようすだった。事実、修一が残した遺書には、宇津木の母親である女性のことも記されていたのだ。しかし惣一は、この話はこれで終わりだ、といって、修一の遺書を燃やしてしまう。
悠里は、宇津木の母が入院している病室を訪れ、DNA鑑定の結果を伝えていた。宇津木は、父親が修一ではなかったことに、ショックを受けているようすだった。悠里は、そんな宇津木に、晶の力になってくれるならふたりの交際を邪魔する理由はない、と告げた。
外は激しい雨だった。病院の玄関を出て車に乗り込み、ため息をつく悠里。そのとき、「明日は晴れるそうです」と保坂が悠里に声をかけ…。
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