「あの潔さが良かったんですよね」と言う僕元に、「実はあの日、下痢やってん」と恥ずかしげもなく告白する木下部長。プレゼンを切り上げたのは漏らしそうになったから…。
木下部長を少し見直し始めていた僕元は真相を聞いてがっかりする。
木下部長は本部長に呼ばれ、越前商事が博打気分で木下部を選んだ事を伝えられる。本部長は堅実に取り組むように釘を刺すが、木下部長はぼけーっと話を聞いていた。 「なんかもう一つ話があったような…」
木下部に戻った木下部長は、本部長の話をすっかり忘れていた。神奈川たちが木下部長に話を思い出させようとしていると、石川が「俺に次の仕事、やらせてくれ」と部屋に飛び込んできた。木下部長は「おお」と即答。本部長のもう1つの話とは次の仕事に関する事だった。
石川にすべてを任せて気楽になった木下部長は「俺、もう帰ってもええんやな?」と一言。出社して30分、木下部長は午前11時に帰ってしまう。
すると石川はすぐにミーティングを始め、外資系大手電機メーカー新商品のマスコミ発表が、木下部指名で来た事を報告。しかも日本上陸第1弾となる新しい機能が搭載された画期的なポットだという。
その頃、木下部長はつぶやいていた。
「やっぱ温泉かなぁ」
やって来た温泉で足湯に浸かって爆睡していると、女性の魅惑的な足が木下部長の足に近づいてくる。足が触れ合って目が覚めた木下部長。
その女性は、木下部長の名前を何故か知っていた。
その頃、君島部が進めるお菓子業界1メーカーの新製品マスコミ発表が、木下部の発表と同じ日になった事が発覚する。石川はお菓子にポットのマスコミ発表が負ける訳にはいかないとライバル心を剥き出しに。
しかし本心では、木下部のマスコミ発表に記者が誰1人来ないのではないかと心配していた。
意を決して石川は君島部長に会いに行き、マスコミ発表を違う日にしてほしいと土下座する。しかし君島は冷静に、石川の頼みを断る。
屈辱に震える石川。
その頃、木下部長は…「やっぱり思い出されへん」
湯上がりに会話をする木下部長と女性。女性は朝までゆっくり一緒にいたいと誘うが、木下部長の脳裏を、かれんのママがよぎる。
ぐずぐずしながらも謎の女の誘いを断った木下部長に、今度は本部長からの誘いが。すぐに会社に戻って来いという。
会社では外資系メーカーの女性幹部が待っていた。本部長は、マスコミ発表が成功するかどうか心配してやってきた彼女に、安心材料を示して欲しいと木下部長に指示。「安心して頂ける材料・・・そうですねぇ…、僕の目を見ていただければ」無言で見つめる女性幹部。
「それから、僕の汗を見ていただければ」温泉帰りでほっかほかだった。
指名したことが勘違いだったと絶句し、発表当日取材カメラがたくさん集まる様にしてくれ、と言い捨て女性幹部は部屋を出て行く。
木下部はマスコミ発表に向け、夜遅くまで準備を進める。皆が一丸となる中、会議室にひょっこり顔を出す木下部長。差し入れの「温泉まんじゅう」と共に。木下部長はイベントの模型に興味津々で、触って壊して、当日に来ればいいと言われて完全に邪魔者扱い。
マスコミ発表当日。時間になってもマスコミのカメラは一台も会場に来ない。外資系メーカー女性幹部は、賠償金問題だと激怒して帰ってしまう。僕元がふと外を見ると隣りの豪華なホテルにたくさんの報道陣が駆け付けていた。そこが君島部のマスコミ発表の会場だったのだ。
その時、堂々と時間に遅れてやった来た木下部長。「え?終わったの?マスコミ発表」と、のんきな発言。
木下部員たちは、マスコミ発表の失敗を前に呆然とするだけだった。すると突然、木下部長は瓶ビールを開けてごくごく飲み始める。驚く部員たち。
「いやぁ、もう飲んじゃおうかなと思て。いまやったら冷えてるし」という木下部長に続き、ひとり、また1人と部員たちがヤケ酒を飲み始める。
かなり酔っぱらった木下部長はコンパニオンに…ディープキスしていた。僕元は、酔うとこうなるのかと、半ば納得半ば驚き木下部長を眺めていた。
しばらくして… 「人が、死んでいる!」 と叫び声が。ホテルの従業員が、木下部の発表会場を覗いて驚いていたのだ。
部屋の中には死体となった木下部長たちが…いや死体のように酔いつぶれた木下部の部員たちだった。
ところが君島部のマスコミ発表に来ていた記者たちはその騒ぎを聞きつけ、続々と木下部のプレゼン会場に駆け付けて…。なんと、たくさんの取材人に囲まれ、熱くジェイソン社のポットについて語る石川が多くのメディアで取り上げられ、木下部のマスコミ発表は大成功という結果となった。
この伝説は「木下の集団ふて寝作戦」と呼ばれ、今も語り継がれている・・・。
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