2009年12月09日

浅見光彦〜最終章〜 最終話

光彦(沢村一樹)は、軽井沢に住む野沢光子(星野真里)と宮田治夫(吹越満)と、約5年ぶりに再会することとなった。そもそも3人の出会いは、今はなき浅見家の別荘が軽井沢にあった頃、その隣に住んでいたのが宮田、その近所の野沢牧場の娘が光子で、家族ぐるみの付き合いをしていたのだ。
光彦の母・雪江(佐久間良子)も兄・陽一郎(風間杜夫)も、快闊な光子が大好きで、「今度こそ、しっかり!ね」と、結婚を決めて帰ってこいとばかりに背中を押されるかたちで軽井沢へ向かう光彦だった。光子の出迎えを受けた光彦は、その足で宮田が店長を務める「パンの森・ミヤタ」を訪ねた。久しぶりの再会を喜ぶ3人。そこで宮田は、光子へプロポーズすると決めたと、そっと光彦に告げる。光子は、子供の頃から光彦に惹かれていた。光彦も光子のそんな気持ちを薄々感じていたのだが、なんとなくはぐらかしたまま時が過ぎてきた。そんな経緯を知っている宮田は、光彦へ気持ちを告げたのだった。そんな宮田の真摯な気持ちに、思わず「頑張れよ」と言ってしまう光彦。

そんな3人の再会からほどなく、光子の父・和幸(鶴田忍)が、草津温泉の「西の河原」で遺体となって発見される。現場検証によると、死因は後頭部を鈍器のようなもので殴打されたものだという。現場へ駆けつけた光子と光彦たちに、群馬県警草津署の橋田刑事(山本龍二)と長峰刑事(岡田浩暉)から所持品の確認を頼まれ、二人は草津署へと向かう。署で見せられたのは、和幸のポケットに入っていたという、木彫りの「蝉」の根付だった。根付とは印籠や巾着を腰の帯からぶら下げるときに使った、今でいうストラップのようなものだ。木彫りの蝉というと、高村光太郎の作品が有名だが、「高村光太郎が蝉の根付を作ったという話は聞いたことがない…」と光彦。光子も、この根付を見るのは初めてで、父・和幸のものかどうかは分からないという。
急を聞きつけ、雪江と須美子(原沙知絵)も光子を励ましに軽井沢へとやってきた。宮田の店で美味しいパンが振舞われ、光子の辛い気持ちもほんの少し和らくひと時が流れる。そこで雪江は、以前に和幸から聞いていた、蝉の根付を買った理由を光子に話す。和幸は、妻の智恵子を愛しぬいた高村光太郎にあやかり、光子にもそのような人とめぐり合い結婚をして欲しいと願いその蝉を買い求め、結婚式で渡したいと話していたとのことだった…。

幼なじみの光子のため、事件の捜査を始めた光彦。軽井沢にも高村光太郎の木彫りの蝉を展示するギャラリーがあると宮田に聞くと、光彦は光子を連れ立ってギャラリーを訪ねた。そのギャラリーの店員から、以前、和幸が「怖い顔をして蝉を見ていた」との証言を得た。もし、和幸が高村光太郎の蝉の根付を買ったとしたら、高額な金額の取引をしている可能性があると推測した光彦は、和幸の銀行口座の出納を調べてほしいと光子に頼む。すると、木彫りの蝉の取り引きをしたと思われる人物として、地元軽井沢の名士として知られる柴山武司(清水紘治)の名前が挙がる…。


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