旧天城トンネルを光彦が歩いていると、「うわああ」と男の叫び声が聞こえた。慌ててトンネルの向こうへと走る光彦だが、崖下をのぞいても誰の姿もない…。
翌日の朝、旅館をチェックアウトした光彦は、パトカーのサイレンを聞く。光彦が昨日の場所へと行ってみると、警察や鑑識の姿があり、少し離れた場所には男の遺体があった。下田署の刑事課長・永井(佐藤銀平)の話によると、免許証から遺体は小林章夫(小林勝也)ということが分かった。「悲鳴が聞こえた昨日は、なにも見えなかったのに…」と怪訝に思う光彦。
そんなこともあり、雪江との待ち合わせに遅れて到着した光彦が、修善寺に着くと、本堂脇の軒に沢山貼られた千社札を見つける。その中に「下司」(げす)の文字があるのを見た。
「心根が卑しいという意味の言葉が、なぜ千社札に?」などと須美子たちと話していると、「貼ったのは私の父です」と小林朝美(笛木優子)から声をかけられる。
ばつが悪くなり、その場を後にする光彦たちだが、その夜、宿泊先の旅館のロビーで朝美と再会した。旧天城トンネルの発見された遺体が朝美の父だと聞いた光彦は、下司の文字の千社札を朝美の父・章夫が毎年一人で貼って歩いていたこと、三日前に宮城へ行くと言って、天城で転落死したことを知る。母がいないという朝美を、男手一つで育て上げていたという章夫が何故? 光彦は、朝美と共に千社札の謎と章夫の行動をたどることに。
ほどなく、ある川沿いで「下司」の千社札が流れてきたのを発見した光彦は、その上流で遺体の検分中の永井刑事課長と再会する。遺体は、宮城県松島町の黒木ゆかり(魏涼子)、遺留品はバッグに化粧ポーチと財布と柿の葉茶、そして婚姻届が。その婚姻届には、黒木ゆかりの名前だけ書かれていた。
章夫が行くと言っていた宮城、「下司」の千社札が流れてきた上流で発見された松島の女性、柿の葉茶と婚姻届、そして2人の関係と事件の謎を解明するために、光彦と朝美は日本三景として名高い宮城県・松島へと向かった。
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