そんな折、正宗は世界的に有名な写真家・霧島(村杉蝉之介)のアシスタントを担当することに。勝手気ままな霧島に振り回されて帰宅時間も遅くなり、ますますコハルの世話に手を回せなくなってしまう。コハルに対して申し訳ない気持ちでいっぱいになる正宗。一方、一人ぼっちでいる時間が長くなったコハルも、大きな不安を感じずにはいられない。しかし、父親を困らせたくない一心で、気丈にも平気なフリをするコハル。率先して正宗を仕事へと送り出しては、深夜まで帰りを待ち続けるのだった。
そんなある日、満月を見たコハルは正宗に、亡き陽子(優香)との思い出を話し出す。「一生懸命頑張れば、お月様に手が届くかも」――満月が出ると、陽子はコハルを肩車し、2人で「月」の歌を歌いながら天に向かって手を伸ばしていたという。コハルにとっては大切なママとの思い出。しかし、陽子を失った寂しさに打ち勝てない正宗は「陽子さんの話はもうやめよう」と言い、話を遮る。そんな正宗を気遣ったコハルは、陽子の話を一切しないことを決意。夜な夜な、正宗の留守中を見計らって思い出の歌を歌っては、そっと陽子に思いをはせるのだった。
正宗の忙しい日々は続いた。コハルも睡眠不足から保育園で居眠りを繰り返す。その様子を見て心配になった保育士・友哉(村上信五)は、正宗に事情を尋ねる。5歳の子どもを置いたまま深夜まで仕事に出かけている事実を知った友哉は、「父親としての自覚がなさすぎる」と一喝。自分のせいで正宗が怒られたことに責任を感じたコハルは、ますます正宗の前でシッカリ者を演じることに…。
その矢先、アパートの住人から「夜中に子どもの歌声が聴こえる」と言われて見回りをした大家・室田澄子はコハルと遭遇。正宗から詳しい事情を聞いた澄子は、子ども嫌いの夫・長市には内緒で、時々コハルの様子を見に来ることにする。ところがある夜、コハルが陽子の話をしようとして口をつぐんだことが気になった澄子は、正宗を問い詰める。「どんな風に陽子さんの話をしたらいいか分からないんです。カッコ悪いけど、コハルちゃんの前で泣いてしまいそうで…」。そう吐露する正宗に対し、澄子は「カッコ悪さも弱さも全部見せ合うのが親子。コハルちゃんの気持ちと向き合ってあげることが大事」と進言する。
コハルの優しさに甘え、ちゃんと向き合おうとしなかった…。僕はコハルちゃんに何をしてあげればいいんだ?――やがて、正宗はある決断をする。満月の下、陽子がかつてしたように、コハルを肩車する正宗。「寂しい。会いたいよね、陽子さんに…」――正宗の目から涙が零れ落ちる。その瞬間にコハルからも、抑え込んでいた寂しさが言葉と涙になって溢れ出す。
「これからはお互い、“楽しい”も“嬉しい”も“悲しい”も“寂しい”も全部話そう」。
正宗の言葉に、コハルは心からの笑顔を見せる。その翌日、正宗は写真スタジオに、コハルを自分の娘として紹介。正宗とコハルはようやく“親子”としての一歩を踏み出したのだった…。
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