そのころ莉子は、出張先のボストンから1日早く帰国し、約束どおり、真っ先にアパートまで訪ねてきた川崎(伊藤英明)と一緒だった。莉子は、川崎にもらった指輪を返すと、直輝のことが好きだと告げた。莉子の気持ちを知り、幸せならそれでいい、と理解を示す川崎。しかし、直輝とケンカし、バイオリニストになるという夢も諦めようとしていた莉子は、幸せだと答えながらも、涙をこらえることができない。川崎は、そんな莉子を優しく抱きしめた。
直輝が莉子のアパートに到着すると、彼女の部屋からちょうど川崎が出てくる。アパートの隣にある公園で直輝と対峙した川崎は、莉子が泣いていたことを話し、お前に彼女を守れるとは思えない、と言い放った。
そんな川崎に、莉子と一緒にいれば強くなれる、彼女と一緒に夢を追い続けたい、と訴える直輝。川崎は、ふっとため息をもらすと、莉子にも同じことを言われたと苦笑し、身を引く代わりに強くなったところをバスケでちゃんと見せてくれ、と直輝に言い残して去っていく。
あくる日、直輝たちアークスの面々は、復帰した川崎の指導の下、練習を開始する。ところがその最中、直輝は、足首に激痛が走り、倒れてしまう。病院に運び込まれた直輝は、医師から手術を受けるよう勧められる。しかし直輝は、手術を受けたら開幕戦に間に合わない、といって拒絶する。そのとき、直輝の意志を無視して、一刻も早く手術の日程を決めてほしい、と医師に申し出たのは、病院まで付添ってきた菜月(相武紗季)だった。菜月は、試合中に同じことが起きたらチームに迷惑がかかる、と説得し、直輝に手術を同意させた。
一方、莉子は、須賀川淳(岡本光太郎)という男から電話をもらい、東都音楽財団の事務室に呼び出される。するとそこに現れたのは、会員制のバーでバイオリンを弾いていた莉子に対し、厳しい言葉を浴びせた男・八尾隆介(升毅)だった。この音楽財団で理事長を務めている八尾は、ある演奏会でバイオリニストに欠員が出たことを伝え、明日からの1週間をくれないか、と莉子に申し出る。莉子の努力次第で、1週間後の演奏会に起用してもいいというのだ。大喜びでその話を受けた莉子は、さっそく直輝に報告した。
直輝は、手術を前に、焦りや苛立ちを隠せなかった。真希子(真矢みき)は、直輝のようすを心配して、復帰したら応援に行くといって励ました。
その夜、練習の合間を縫って直輝とデートした莉子は、田舎に帰ろうと思っていたことを告白する。「お母さんに、もう夢諦めて帰ってきたら、って言われちゃって…もう限界かな、って。でも、いまはもうちょっと頑張ってみようかと思っている」と莉子。直輝は、そんな莉子に、チャンスがある限り頑張るべきだ、と言葉をかけた。
別の日、練習場で廉(金子ノブアキ)に会った直輝は、チームメイトのクセなどを彼に教える。アークスが勝つためには廉の力が必要だと思っての助言だった。廉は、立ち去ろうとする直輝に、ネズミなんて大したことはないのだからさっさと治して帰ってこい、と声をかけた。
そんな中、莉子は、八尾たちの前でレッスンの成果を披露し、遂にコンサート出演のチャンスを得る。莉子は、「受かった!」と直輝にメールした。
アパートに戻った莉子は、さっそく麻衣にも報告した。その際、麻衣は、直輝が手術を受けていることを莉子に知らせる。
病院に駆け付けた莉子は、直輝の病室に入ろうとして立ち止まった。部屋に、菜月の姿があったからだった。
しばらくすると、そこに真希子と優里(大政絢)がやってきた。真希子から声をかけられ、とっさに病室の前から離れる莉子。莉子が来ていることに気づいた菜月は、自分が直輝と別れたからこんなことになった、と真希子に頭を下げると、いまでも直輝のことが好きで、別れたことを後悔している、と真希子に泣きつき…。
莉子のメールを見た直輝は、自分のことのように大喜びし、さっそくお祝いのメールを送った。そこで、足の手術を受けたことも報告する直輝。それを読んだ莉子は、「足、大丈夫?ムリはしないでね。明日は精一杯がんばります。大好きだよ」と返信した。
演奏会の日、会場には、麻衣はもちろん、莉子の両親、光男(野村信次)と晴美(手塚理美)の姿もあった。ドレス姿でステージ現れた莉子は、客席に目をやり直輝の姿を探した。するとそこに、スーツ姿の直輝が松葉杖をつきながらやってくる。その手には、ヒマワリの花束があった。
莉子たちは素晴らしい演奏を聴かせ、喝采を浴びた。直輝も、演奏を終えた莉子に花束を手渡した。莉子は、八尾から、軽井沢を中心に活動している彼の財団のオーケストラに誘われたことを直輝に報告する。しかし莉子は、直輝と離れたくない、という思いから、それを断るつもりでいた。
その夜、いつもの公園で莉子と再会した直輝は、最後の最後まで諦めないで夢を追い続けてほしい、と莉子に告げる。その思いを受け止めた莉子は、涙こらえて直輝と離れる決心をして…。
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