いつもの公園で待っていた莉子は、びしょ濡れでやってきた直輝に驚き、慌てて彼をアパートまで連れていく。直輝は、莉子が深夜バスの時間に間に合わなくなってしまったことを知り、練習が長引いたと説明して謝った。莉子は、明日電車で帰ることにしたから大丈夫だ、と答えた。莉子がフレンチトーストを作っておいてくれたことを知った直輝は、それを美味しそうに食べ始めた。そんな直輝の姿を見つめていた莉子は、待っている間、不安だったことを彼に告白する。
すると、莉子の携帯電話に菜月から電話が入る。菜月は、直輝と一緒だったことを話すと、莉子に迷惑をかけたことを謝った。菜月から、いまはシーズン前の大事な時期だからカゼをひかないように注意してあげてほしいと頼まれた莉子は、その言葉に従って直輝を帰宅させる。だが、麻衣(貫地谷しほり)と食事をして戻ってきた秀治(溝端淳平)から、練習が早めに終わったことを聞かされた莉子は、また不安な気持ちになってしまう。
あくる日、莉子は久しぶりに実家に戻る。一方、直輝は、シーズン開幕に向けて練習を続けていた。そんな折、直輝や宇都宮(永井大)たちアークスの面々は、莉子と麻衣のアパートですき焼きパーティーを開く。そこで麻衣は、秀治と付き合っていることを宇都宮に告白した。その際、麻衣と秀治は、宇都宮には長い間片思いしている女性がいることを知る。
キッチンで野菜の準備をしていた直輝は、やってきた麻衣に、莉子とのことは川崎(伊藤英明)と話すまで誰にも言わないでほしい、と頼む。そんな直輝に、麻衣は、バーでバイオリンを演奏するアルバイトを辞めたせいもあって、最近莉子は元気がないことを打ち明ける。心配になった直輝は莉子に電話したが、彼女は出なかった。
あくる日、直輝は、宇都宮とともにアークスを代表してPBAの開幕記者会見に出席する。会見を終えた直輝は莉子に電話したが、またつながらなかった。直輝からのメールを読んだ莉子が、同じタイミングで彼に電話していたからだった。
宇都宮に誘われてケーキを食べに行った菜月は、直輝と別れてから自分がどんどん嫌な女になっていく、とその胸の内を明かした。別れたことを後悔してほしかった、とうのだ。菜月は、いまさらどうしようもないことはわかっているが気持ちは止められない、と自嘲気味に宇都宮に言った。
CDショップでヴィヴァルディの『四季』を買った直輝は、メールで莉子に報告した。それを見た莉子は、すぐに直輝に電話をかけた。久しぶりに電話で話すことができたふたりは、莉子が帰ってくる明日の夜、会ってゆっくり話そう、と約束する。
あくる日、東京に戻った莉子は、麻衣とランチをしようと思いたち、アルバイト先の書店を訪れる。そこに現れた菜月は、直輝と浮気をしているのか、と莉子に切り出す。菜月は、あなたと直輝のように傷の舐め合いをするのではなく現実を生きたかった、夢を見ている人間を見ているといらつく、などと酷い言葉を莉子に浴びせた。さらに、直輝が関節内剥離対に苦しんでいることを明かし、直輝は莉子に大事なことは話せない、と続けた。
そこにやってきた麻衣は、ふたりの間に割って入り、話があるなら直接直輝と話せばいい、と菜月に言い放った。莉子は、そんな麻衣を制し、自分の夢は叶いそうもないが、直輝の夢をバカにするのは許せない、と菜月に告げ…。
その日の夕方、アークスのロッカールームで事件が起きた。直輝が廉(金子ノブアキ)を殴り飛ばし、つかみ合いのケンカになってしまったのだ。原因は、廉が菜月のことを蔑むような発言をしたからだった。ふたりは、チームメイトに引き離された。が、怒りが収まらない直輝は、「菜月に謝れよ!」と叫んだ。
莉子は、アパートで直輝からの連絡を待っていた。そこに戻ってきた秀治は、直輝と廉が菜月のことで殴り合ったことを話してしまう。そのとき、莉子の携帯電話に、今日は会えなくなった、という直輝からのメールが届く。
あくる朝、直輝が公園で練習していると、そこに莉子がやってくる。直輝は、昨日は宇都宮と話すことがあって会えなかった、と言って莉子に謝った。そんな直輝に対して、莉子は、どうしてウソをつくのか、と切り出す。その勢いで、どうして菜月のことを大事にするのか、浮気する女なんて最低だ、などと言ってしまう莉子。直輝は、莉子の言葉を遮って、菜月のことをよく知らないのに何故悪口ばかり言うのか、と返す。すると莉子は、自分はいつも直輝のことだけを考えているのに、どうして直輝は私を見てくれないのか、と言い残して走り去ってしまう。
莉子は、直輝からの電話を待っていた。麻衣は、そんな莉子に、自分から直輝に電話したらどうか、と助言する。その際、莉子は、バイオリンを諦めて田舎に帰ろうと思っていることを麻衣に告げる。
練習を終えた直輝は、菜月に呼び止められた。そこで、いまも直輝のことが好きだと言いかける菜月。直輝は、菜月の言葉を遮って、大事にしたいと思っている人がいる、と告げる。「菜月には感謝している。菜月のおかげで俺、いろんなこと知ったよ。辛いことも、楽しいことも。でも、俺はもう、俺の道を行くから」。直輝は、菜月にそう言って、莉子のもとへと向かった。
そのころ、莉子のアパートには川崎の姿があった。川崎は、予定より1日早く帰国し、その足で莉子に会いに来たのだ。そこで莉子は、川崎からもらった指輪を返し、直輝のことが好きだと告げた。莉子の本当の気持ちを知り、幸せならそれでいい、と答える川崎。しかし、直輝とケンカしたばかりの莉子は、幸せだと答えながらも涙をこらえることができない。そんな莉子の姿を見た川崎は、彼女を優しく抱きしめ…。
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