そんな中、東京経済新聞の西丸賢治(佐野史郎)が、国内産業発展の歪として公害問題を記事に取り上げた。それを読んだ風越は「日本をここまで豊かにした産業が、まるで悪者だ」と西丸に不満をぶつける。同じく、国内産業保護派の鮎川光太郎(高橋克実)は「公害対策には金がかかる」といい、庭野貴久(堺雅人)は「今は企業が強くならなければならない非常時だ」といって、公害問題に目を向けようとはしなかった。一方、同じ記事を見ていた玉木ら国際通商派は「アメリカと違って日本は狭い。対策を急がないと日本は公害大国になる」と問題を深刻に捉えていた。
しかし、風越は実際に工場排水で汚染された川を視察した山本真(吹石一恵)から、公害問題の実態を聞かされ、自らの認識が誤っていたことに気がつく。風越は公害対策を最優先させるため、公害対策委員会の設置を呼びかけ、「これまで公害問題を一番真剣に考えてきた」として玉木を委員長に推薦する。ほどなく委員会は、玉木の案を基とした「公害三法」を創案し、成立への準備を進めることとなる。
その後日、次官となった丸尾要(西村雅彦)が、「公害対策は玉木に任せて、国内産業保護法の成立へ動いてほしい」と風越に告げた。その話を受けた牧順三(杉本哲太)は、玉木の公害対策には不備があるとし、「全国工場再配置計画」をまとめる。牧の発案は公害対策と共に、国内産業保護法にも関連する内容だった。風越ら産業派の面々は、次の委員会までにその案をまとめるため徹夜で作業する。そんなとき、公害対策委員長の玉木は、日本企業が中東で掘り当てた油田の視察に行くという。その翌週、風越たちは、玉木不在の局長会議で「全国工場再配置計画」提案した…。
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