一方、運ばれた病院で目を覚ました晶は、息子・涼太(加藤清史郎)らの心配もよそに、仕事に戻るといって病院を後にする。
同じ頃、「タイヨウ」では、恒例の「地域交流会」の出し物を決めようと、和泉零次(山本裕典)、美空晴菜(仲里依紗)と鷹山三樹矢(薮宏太)、黒沢五郎(五十嵐隼士)、六車雅人(夕輝壽太)、二本橋賢吾(宇梶剛士)らが話をしていた。
そんななか、小澤義男(上田耕一)という男性が「タイヨウ」に運ばれてくる。半身麻痺の小澤は、自宅で妻・さくら(賠償美津子)に介護されていたが、介護疲れからさくらが自殺を図り病院に搬送されたため、「タイヨウ」にやってきたのだ。
彦一、りこ、零次が病院を訪ねると、さくらは小澤の面倒を「タイヨウ」で見て欲しいと訴える。零次は、自宅で介護を続けるよう促すが、さくらは拒絶。すると突然、彦一が、その女に他人の世話はできない、と悪態をつく。さらに、わからないだろう、あれから28年も経ったのだから、と凄む。その言葉に、さくらは硬直し「彦一!?」と声を上げる。
さくらは28年前に彦一を捨てた実の母親だったのだ。しかし、彦一は、りこや晴菜に、さくらには関わるつもりはない、と言い放つ。
後日、退院したさくらが、「タイヨウ」にやってくる。ヘルパーとして働く彦一を認めたさくらは、一瞬驚いた表情を見せるが、声はかけられない。そんななか、さくらはに頼み、小澤の部屋で夫の面倒を見ながら滞在する許可を得る。
さくらのことでいら立つ彦一の元に、晶が現れる。晶は、この前は迷惑をかけた、と彦一に声をかけるが、刺青のことに触れない晶に違和感を感じた彦一は、見たのに何も言わないのか、と迫る。しかし、晶はまるで記憶にない、といった表情を見せた。
一方、「タイヨウ」で暮らし始めたさくらは、頑ななほど精力的に夫を介護しはじめる。その姿を、彦一が陰から見ていた。彦一の気持ちがわかるりこは、さくらは彦一と話がしたくて「タイヨウ」に来たのでは、と話す。
そんな折、彦一の元に涼太がやってくる。涼太は彦一に、晶がグラタンを作ってくれたが、2日連続していたことに本人が気づいていない、病気なのではないか、と涙ながらに訴える。
「地域交流会」が迫るなか、利用者、ヘルパーらは歌の練習に励んでいた。そんなところへ、さくらが小澤の車椅子を押して見学にやってきた。すると彦一は、さくらの前ににじり出て、自分と話がしたいのか、と凄む。止めに入った園崎や和泉を振り切り、介護に嫌気がさして死のうとしたのに、これみよがしに夫の世話をしていい人ぶっているんじゃねえ、と暴れながらほえ続ける彦一。そして、自分を捨てて、どれだけ楽しい人生を送ってきたのか聞かせろ、とさくらに迫ったとき、さくらの手が彦一の頬を打った。一瞬の静寂の後、彦一はその場を立ち去った。
海辺にやってきた彦一の元に、再び晶が現れる。さくらとの一件を知る晶は、親に捨てられたお返しに今度は親を捨てるのか、と皮肉交じりに話す。そして、自分も親を捨てたが、どんなにこじれても親子は親子だ、と諭す。そんなふたりのやりとりを、涼太が見ていた。
夜、「タイヨウ」に戻った彦一が小澤の部屋の前に立っていると、なかで何かが倒れる音がした。急いでドアを開けると、さくらが倒れていた。そこへ駆けつけた晴菜が、今は看護士が不在だと告げる。救急車を呼ぶ間も惜しいと判断した彦一は、さくらをおぶって近所の診療所へ運び込む。
診療所を開けさせ診察してもらった結果、さくらは過労だとわかる。内心安堵した彦一に、点滴をしながらベッドに横になったさくらが「あんたに、ずっと謝りたかった」とついに語りはじめる。彦一を残し家を出たこの28年間、毎日、彦一を迎えに行こうと思っていたが、体を壊し入退院を繰り返していたため行けなかったのだと明かす。小澤は、そんな自分を支え続け、元気になったら彦一を迎えに行こうと言ってくれていた、とも話す。そして、30年近く経ったが彦一に再会できたことで今後も小澤とやっていこうと思えた、と涙ながらに話す。彦一は、静かに母の言葉を聞いていた。
「タイヨウ」に戻った彦一は、小澤にさくらの無事を報告。そして、肩を貸しトイレの介助をする。そんな彦一に小澤は、彦一が立派に育ったことを喜び、そして、さくらを奪ったことを謝罪した。すると、彦一は、トイレの外に出るとドアを閉め、さくらを支えてくれたことに礼を言い、これからもよろしくお願いします、と小澤に向かい頭を下げる。その声は、涙に震えていた。
そして、「地域交流会」当日。さくらと小澤は、一緒に入れる施設が見つかり、「タイヨウ」を出ていった。ふたりを見送りにいった晴菜が戻ると、彦一は穏やかな表情で礼を言う。さまざまな催し物が行われ会が賑わいを見せるなか、彦一はりこに、さくらの手のヤケドは、幼い自分をかばってできたものだと話す。
「交流会」にやってきて涼太と楽しい時間を過ごした晶は、自宅へ戻ると、パソコンに向かい何かのチェックシートに書き込みをはじめる。そこには、「若年性認知症」とあり…。
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