そんな折、彦一が車椅子の老婦人・北浦ナツ(島かおり)の散歩の付き添いをしていると、ナツがひとりの女性(山田優)を見つけて声を上げる。ナツが玲子と呼びかけた女性は、ナツがひとり暮らしをしていた頃、自宅に来ていたヘルパーだという。それまで元気がなかったのに、ナツは別人のように玲子との再会を喜ぶ。玲子は、彦一に宇野玲子だと名乗る。
その後、かつて訪問介護専門のヘルパーとして働いていたという玲子が、「タイヨウ」にやってくる。美人で気立てのいい玲子は、利用者だけではなく、施設のオーナー・や鷹山三樹矢(薮宏太)、黒沢五郎(五十嵐隼士)、二本橋賢吾(宇梶剛士)からも人気となる。
玲子に再会してから、ナツは元気を取り戻した。そんなとき、和泉零次(山本裕典)は、ナツが玲子に預金通帳を渡しているのを見る。
その後、彦一はひとりでキャッチボールの練習をしている羽鳥涼太(加藤清史郎)を見かける。彦一に気付き後を追ってきた涼太に、ケンカした友だちとはどうなったかと聞くと、涼太は、母親の晶が謝りに言ったと話す。そんな涼太と別れ歩いていると、通りがかったアパートから老婦人と出てくる玲子の姿を目撃する。老婦人が、玲子を「あゆみ」と呼びかけているのを聞いた彦一は、何かを感じる。
施設に戻った彦一は玲子を問い詰めるが、玲子は老婦人が認知症で自分の名前を間違えたのだ、と言い逃れる。釈然としない彦一は、その後も外で働く玲子を尾行。今度は、老人男性から「直子」と呼ばれている玲子を目撃する。さらにマークすると、あろうことか鷲津組の連中と話している玲子に遭遇する。
彦一は、りこら“任侠ヘルパー”に玲子の件を報告。すると、地元警察のホームページを見ていた六車が、最近、老人をターゲットにした連続詐欺事件が起きていると告げる。発生場所や状況からして、玲子が犯人だと疑われた。その上で、自分たちの「研修」とは関係ないし、鷲津組が絡んでいるならなおさら関わらないほうがいいという六車。三樹矢、五郎、二本橋も、六車に同調する。
翌日、施設の老人たちから、玲子と連絡が取れなくなったと聞いた彦一は、一目散に駆け出した。そんな彦一の後をりこが追う。やってきたのは、玲子が住んでいたアパートだったが、そこはすでに引き払われていた。
玲子が詐欺師だと判明し、和泉はナツから事情を聞く。実際、ナツも過去に100万円を盗られていたのだ。しかし、ナツは時間や条件に制限があるヘルパーとは違い、玲子はどんなことにも対応してくれたと話す。やさしくしてくれたのだから詐欺師でも構わない、逃げたのなら無事に逃げ切ってほしい、とまで言うナツ。彦一とりこは、複雑な思いで聞く。
そんな折、六車が、玲子は本名を新藤綾といい、元は父親の経営する介護施設で働いていた介護福祉士であるとの情報を明かす。しかし、施設はつぶれ父親は過労死、結果的に鷲津組からの借金を玲子が背負うことになったらしいと言うのだ。さらに、三樹矢、五郎、二本橋は、玲子がヘルパーとして通っていた家を回り情報収集。玲子が老人たちから預金の一部を盗って逃げたらしいと報告する。しかし、ヘルパーとしての評判は素晴らしく、老人たちは金を盗られたことを警察に届けていないと言う。
自分には関係ないと言っていた六車らがなぜ協力するのか、疑問を呈する彦一に六車は、玲子を野放しにすると、自分のシノギに影響が出るかもしれないからだ、とクールに答える。
それにしても、行方が知れない玲子。手がかりはないか、と思い巡らせるなか、彦一は玲子がナツと交わしていた約束を思い出す。
その約束の日、彦一とりこがやって来たのは、ナツの夫の墓だった。そして、そこで玲子を認める。自分では来られないナツに代わって墓を参ると約束したから律儀に来たのだが、来て失敗したという玲子は観念したように、自分のしたことを認める。しかし、自分はお年寄りの面倒を見ない家族に代わり世話をしたのだから、詐欺だろうが、金はもらって当然の報酬だと主張する。
彦一は、そんな玲子を施設まで引っ張ってくると、老人たちの前に押し出した。そして、詐欺師が感謝されたまま逃げるのは筋違いだ、逃げるなら憎まれて逃げろ、許してほしいなら謝罪しろ、と迫る。すると、車椅子に乗ったナツが玲子に歩み寄り、自分にやさしくしたのも金のためか、と声をかける。玲子が認めると、玲子を叩いて責めた。そして、自分の前にひざまずいた玲子をやさしく撫でながら、待っているから金を返してほしい、と語りかける。玲子は涙を流して約束をする。その後、玲子は警察に自首をし逮捕される。
同じ頃、鷹山は鷲津組の幹部と対峙し、玲子の一件から手を引くという約束を取り付けていた。たとえ自首したといっても、鷲津組と関わりがある以上、玲子は組に追われることになる――それを心配した彦一が、鷹山に頼み話をつけてもらったのだ。
後日、彦一が施設の廊下を歩いていると、フラフラとして進んでくる晶を認める。明らかに普通ではない晶に、彦一は声をかけるが、まもなく晶は倒れそうになる。彦一はとっさに晶の体を支えるが、その瞬間、ユニフォームを引っ張られ刺青を見られてしまった。彦一の顔を真っ直ぐに見つめる晶に、彦一は…。
任侠ヘルパー TOPへ
タグ:任侠ヘルパー