刑務官に監視されながら整列して歩く受刑者たち。
その中で1人、右足を引きずるようにして歩く佐倉春男(阿部寛)の姿があった・・・。
数日後、刑期を終え出所した春男は、9年分の報酬を手に小さな定食屋に入る。
ビールに始まり定食、カツ丼、天ぷらなど大量に注文する春男に驚く店主やお客たち。
同じ頃、パン屋を営む村上康史(遠藤憲一)の家では、娘のさち(大橋のぞみ)と高村佳奈子(白石美帆)が食事の用意をしていた。
その光景はまるで本物の母子のようだ。
定食屋にいた春男がトイレから戻ると、隣の席に座っていた男が報酬を盗んで逃げていくところだった。
一文無しになった春男は、店を飛び出す。
右足を引きずりながら必死で逃げる春男は、ふと、刑務所に入る前に付き合っていた真理子(紺野まひる)との幸せだった日々を思い出していた。
しかたなくネットカフェに泊まることにした春男は、ひょんなことから隣りの個室にいたカップルと顔を合わせる。
強面の春男にすっかり尻込みする男・小島勇樹(遠藤雄弥)を無視して、春男は西田栞(吉高由里子)にある居酒屋をネットで検索してもらう。
そんな春男のどこか風変わりな様子に栞は興味を示す。
春男が検索していたのはヤクザをやっていた時の仲間、安岡竜也(デビット伊東)が営む居酒屋だった。
訪ねてきた春男を歓迎する竜也は、何も聞かずお金を差し出す。
竜也は、春男が服役中に真理子が別の男と一緒に暮らしていたことやその後に病気が治らず亡くなったことを告げる。
真理子の死を知りショックを受ける春男。
9年前、真理子のためにヤクザから足を洗おうとしていた春男は、病気を抱える真理子の治療費として報酬800万円欲しさに殺しの依頼を引き受けて捕まったのだ。
報酬は真理子に渡り治療ができたはずと信じていた春男は怒り、竜也から相手の男の名前を聞き出した。
男は康史だった。
パン屋の喫茶スペースに入ってきた春男を怪訝な顔で見つめる佳奈子。
やがて春男はパンに異物が混入していたと訴えると店主である康史を呼び出し、謝罪金として800万円を要求する。
すぐに帰ったが右足を引きずる姿に何かを思い出した様子の康史。
その帰り道、公園のベンチで休んでいた春男が立ち上がると、さちが声をかけてきた。
書き途中の絵に入ってるから動かないで欲しいという。
怖がることなく無邪気に話しかけるさちに戸惑いながらもベンチに戻る春男。
後日、公園のベンチで寝ていた春男に通学途中のさちが近づいた。
鼻に草をつっこまれた春男が起き上がると、一緒にいたさちの友達が春男の風貌に驚き防犯ベルを鳴らしてしまった。
近所の人の視線が集まり、警察を呼ばれてしまう。
逃げていた春男を見つけた康史はパン屋に呼び、50万円入った封筒を手渡す。
しかし春男は800万円だと言い張り、お金の使い先を問いただすが、康史はお金の存在自体を知らないと言い張るだけだ。
その矢先、警察がやってきて連行される春男。
一方、学校にはり出されたさちの公園の絵には春男らしき男が書かれ、その背中には羽のようなものが生えていて・・・。
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