刑事の大和田敏(山崎樹範)は、遺体発見現場の富士夫の部屋に大麻の吸殻、卒業アルバム、シーフードピザ、ジュースに浸かった携帯電話が残されていたと報告。また、大学内で大麻を売っていた高沢という男が失踪していることから、富士夫もそのグループの一員だろうと疑う。
その後、教授の佐川文彦(時任三郎)による解剖の結果、死因は窒息死と判明。大己、久保秋佳奈子(石原さとみ)、桐畑哲平(遠藤雄弥)、羽井彰(佐藤智仁)は、原因を推測し始める。
そんな折、高沢(細田よしひこ)が逮捕される。高沢は、富士夫を殴ったことは認めるが、窒息に関しては知らないと話す。仲間だった富士夫と高沢がなぜそんなことになったのか、亮介は疑問に思うが、富士夫は高沢に都合よく使われ、大麻も強要されていたらしいことがわかる。
後日、技官の蕪木誠(泉谷しげる)が富士夫にアナフィラキシーショックという急性アレルギー反応があったことを発見する。それは、食べ物などのアレルギーが原因でノドの内側に腫れができ、気道を塞ぎ窒息状態になることがある病症だという。大己らが原因を推測する中、亮介は、昔から富士夫が「エビを食べると死ぬ」と話していたことを明かす。現場にはシーフードピザが残され、胃からもエビが見つかっているため、それが原因なのは間違いない。亮介は、死の危険があるのに、大麻を吸って意識が朦朧としたままエビを食べた富士夫が悪い、と悔しそうに言う。ところが、蕪木の分析の結果、意識が朦朧とするほどには大麻を使用していない可能性が高いことがわかる。
それを聞いてある確信を得た大己は、亮介とともに、富士夫の父・五十嵐宗之(小野武彦)が経営する病院を訪ねる。五十嵐を前にした大己は、先日、五十嵐から聞いた富士夫が小学生のときにエビフライを食べて死にかけたという話の詳細を知るために、富士夫が通った小学校で担任教師に会ってきたことを話す。その日、富士夫はアレルギーがあるからと、給食のエビフライを残した。しかし、同級生からの執拗なからかいに遭い悔しさのあまり、エビフライを口にしてしまう。そして、痙攣を起こし病院へ運ばれるのだが、その途中で「男には守らなきゃいけないプライドがある」と、いつも五十嵐に言われていた言葉をつぶやいたという。
そして今回も、富士夫は同じ気持ちでエビが入ったピザを食べたのだと大己。曰く、金に困っていた高沢が大麻の新しい顧客を発掘しろと富士夫に迫ったのだ。高沢は、卒業アルバムを探し出すと住所録を見ながら、顧客になりそうな相手に電話をしろと強要。暴行しながら詰め寄る高沢に抗うために、富士夫は携帯をジュースの中に入れ水没させ、さらに、自分の意志でピザを食べたのだ――それがもたらす結果を知りながらも、守りたかったプライドのために……。
その後、亮介は父・貴之(名高達男)に会うため病院へ。自分が病院を継ぐことを期待している貴之と対峙した亮介は、今まで言い出せなかった言葉を口する。自分には貴之のような立派な医師にはなれないから、自分らしい道を行く――だから、法医学は辞めないから、と。
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