さらに只野は、遺体の発見現場で難解な漢字が書かれたメモを見つける。高木に見せたところ、それは「寂寞(せきばく)」という漢詩で、生きていく望みを失った虚無的な哀しみを詠ったものらしい。では、これが彼女の遺書なのか? 彼女は中国への留学を間近に控え希望に満ちていたはず。そんな人間が自殺とはにわかには信じ難い。だがその後、化学研究室から青酸カリが紛失していたことが発覚。現場には彼女の指紋のついたドライバーが落ちていた。やはり薫は自ら命を絶ったのだろうか……。
真由子(三浦理恵子)の情報により、新キャンパス建設予定地周辺の土地売買で大儲けした人物の存在が浮かび上がる。その人物が薫の死と関係あるのだろうか。謎が深まる中、只野はキャンパスで薫そっくりの女性と出会い、驚く。それはなんと薫の双子の妹・毬(桂亜沙美・二役)だった。彼女の話によれば、姉は病気の自分のために留学費用を手術代にあててくれたのだという。只野は薫が百合に送ったメールの写真をもう一度見直し、あることに気づく。
そこで只野は百合と高木を呼び出し、百合が薫を殺したのではないかと指摘する。憤慨し、教室を出る百合。その夜、高木に呼び出された百合が差し出されたコーヒーを飲もうとしたした瞬間、只野が現れた。「待て! やっぱりあんたが若宮薫を殺したんだな」。高木は新キャンパス建設に反対していたが、予定地の情報を事前に売る事で多額の報酬を受け取ろうと画策。偶然、その現場を目撃した薫に口止め料を要求され、彼女を殺害したのである。只野は薫が遺したメモに書かれた漢字の間違いを高木が指摘しなかったことに疑問を持ち、あらかじめ百合に事情を説明し、高木を罠にかけるためにひと芝居うったのだ。
「私は自分の間違いの責任は取るつもりだ」。そう言って百合が飲もうとした青酸カリ入りのコーヒーを手にする高木。只野は素早く葉巻を投げつけ、コップをたたき落とす。百合が叫ぶ。「責任の取り方はそれじゃないはずです!」。こうして高木は自首し、事件は無事、解決したのであった……。
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