主人公の自慢は、子供の頃からおもちゃ代わりに与えられていた高価な舶来の金時計。主人公は、この時計をあげた男に、自分自身も与えようと決めていた。男たちが金時計を奪い合う内容だと知った藤尾は、主人公が自分と同じ名前だったこともあり、この本の妄想の世界に入り込んでいった――。
男に弄ばれることを決して許さない藤尾は、愛の女王のように振る舞っていた。近づく男、小野(小林高鹿)や宗近(チョウ・ソンハ)を、その妖しい色香で翻弄する藤尾。肌身離さない藤尾の金時計は、2人を惑わす小道具として使われる。やがて、宗近が親の決めた許婚だったにもかかわらず、藤尾の気持ちは小野に近づいていった。
ある日、小野にデートをすっぽかされた藤尾は、見知らぬ若い女といた小野を追及した。怒り顔の藤尾に、小野らと一緒にいた宗近は、思わぬ話を明かす。2人と共にいた女は、実は、小野と近々結婚する予定の小夜子(吉野汐理)。デートすれば小夜子と結婚できなくなると気付いた小野は、ついに藤尾との約束を破ったのだ。
小夜子と結婚するという小野の意志を確かめた藤尾は、動揺を隠しながら例の金時計を宗近に手渡すが――。
妄想姉妹〜文学という名のもとに〜 TOP