「働かねぇなら学費返せ」と父・光雄(小野武彦)や姉・さくら(須藤理彩)に追い立てられ、就職活動に励む健太。そしてついに決まった就職先は…なぜか子ども番組『みんなでうたお!パピプペポン』の歌のおにいさんだった! 辞めてしまおうかとも思う健太だったが、父や姉からのプレッシャー、そして家族からの血も涙もない借金の取立てにより続けることを余儀なくされる。
記念すべき初出勤の日。スタジオに入った健太が見たのは、およそ子ども番組には似つかわしくない光景だった。王子と王女の格好をした男女がオペラばりに声を張り上げて歌っていたのだ…童謡を。自己紹介の場面になって、その異様さはさらに増すこととなる。スタッフ、キャスト、そして健太らを奴隷扱いする歌のお兄さん・氷室(戸次重幸)。その氷室を崇拝しているかのように接する歌のお姉さん・うらら(片瀬那奈)。健太が就職した『みんなでうたお!パピプペポン』は、氷室の独裁政権下にあったのだ…! 氷室のやり方に反発を覚えながらも、犬の着ぐるみを着て踊る健太はこうして、家族にも、友人にも言えない秘密を抱えることになる。
ある日、久々に『みんなでうたお!パピプペポン』の収録に子どもたちが参加することに。これは自分のための番組だと主張する氷室は子どもたちの参加を快く思っておらず、自分よりも目立とうとする子どもを怒鳴りつけ、泣かせてしまう。さらに、健太と守(丸山隆平)に対し、自分に絶対服従を誓わなければ、番組をクビにすると言い放つ! 氷室の横暴なやり方に反発した健太はそのままスタジオの外へ。そんな健太に真鍋(木村佳乃)は「何かに不満があるなら、その現実を変えなさい。そのためには自分がまず変わりなさい」と諭す。
真鍋の言葉の意味を理解できない健太。さらに追い討ちをかけるように、光雄たちに仕事のことがばれてしまう!「こんなことをさせるために大学まで行かせたんじゃねえ!」。そう怒鳴る光雄に健太は「俺のせいじゃねえよ! こんな時代が悪いんだ!」と見事に逆ギレ。家を飛び出してしまう。やりきれない思いの健太は、バンド仲間、そして明音との思い出が詰まったライブハウスへ…。するとそこに明音が現れる。
「健太って何かに夢中になったことある?」「自分の気に入らないことがあったら、いつも逃げ出してたよね」。明音はそう告げると、再び健太の前から姿を消す。残された健太は、明音に言われたこと、そして昼間に真鍋に言われた言葉を思い出すのだった。そしてある決意をした健太は『みんなでうたお!パピプペポン』のスタジオへ向かい、収録を途中で投げ出し帰ったことをスタッフ全員に謝罪する。その様子を見た氷室は「君がまず謝るべきは僕じゃないのか?」と問う。が、健太は氷室にきっぱりと宣言する。
「これは子どもの、子どもによる、子どものための番組だ。だからあんたには謝んねー」
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